築40年マンションは売れない?いつまで住める?売却相場と20年後

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.06.28

築40年超マンションは売れない?築40年超マンションも売れている、築40年マンションの20年後コープ・オリンピア築57年

この記事は、築40年マンションに係る下記のような疑問を解消します。

  • 築40年のマンションは売れないって本当?
  • 築40年マンションが売れない理由
  • 築40年のマンションはいつまで住める
  • 築40年のマンションの売却相場はいくら?
  • 築40年のマンションの20年後は?

記事後半では築40年超マンションの建て替えと建て替え後の資産価値などについて具体例を使ってご説明します。

本記事が築40年マンションの売却や購入の参考になれば幸いです。

目次

築40年のマンションは売れない?

築40年超マンションが売れないとお悩みの方に築40年超のマンションは本当に売れないのか?それとも売れるのか?レインズのデータなどを使い分かり易く解説していきます。

築40年超マンションの売れ難さ

築年数が古くなるにつれてマンションが売れ難くなるというデータがあります。

下記【対新規登録成約率】は、成約件数を新規登録件数で除した数値です。平たく言うと新しく売り出したマンションが成約になった割合です。

0~5年の築浅を除くマンションは、築年数が古いマンションほど成約率が低下しています。

データがあるのは築31年以上のマンションの成約率13.9%ですが、築年数を築40年超のマンションとした場合、成約率は13.9%より更に低くなると考えるのが合理的です。

築年数21~25から26~30への成約率の低下幅が4.7%なので、同様の低下幅と想定すると築40年超の成約率は9.2%と推計できます。10件の新規登録のうち1件しか売れないということなります。

築40年を超えるマンションは築年数の新しいマンションの約1/3の成約率、築浅マンションの1/3程度しか売れていないと言えます。

このデータから築40年超マンションが売れないとお悩みの方が大勢いらっしゃることが理解できます。

■対新規登録成約率(%)

築年数成約率2021成約率2022
0~530.528.6
6~1040.735.2
11~1535.330.9
16~2034.928.1
21~2528.322.2
26~3019.917.5
31~16.413.9
出所:REINS TOPIC/築年数から見た首都圏の不動産流通市場

つづいて築40年マンションがどの程度売れているかをご紹介します。

築40年超マンションは売れる

一方で成約率は低いものの、築40年超のマンションは売れています。

首都圏中古マンションの2022年成約件数は35,429件、下記の表の通りうち5,846件は築40年超(41年~)マンションの成約でした。

築40年超マンションの全成約件数に占める割合は、11.8%→13.3%→14.7%→16.5%と年々高まっています。

築40年を超えるマンションが売れています。

■中古マンション成約件数

2022年2021年2020年2019年
全成約件数35,42939,81235,82538,109
築41年~5,8465,8524,7654,497
40超割合16.5%14.7%13.3%11.8%
出所:REINZ TOPIC/中古マンション築年帯別構成比率から弊社算出推計値

1都3県の築40年マンションは、中古マンション市場でたくさん取り引きが行われています。

ネットの記事を見て、「築40年超のマンションは売れない?」とご心配の売主様、そんなことはありません、ご安心ください。古いマンションの売れる限界などについての詳しくは下記関連記事をご覧ください。

関連記事:マンション売却と築年数。築50年は売れない?売れる限界は?

築40年マンションが売れない場合

築浅に比べ成約率が低く、売り難い築40年超マンションの売却には、売れない理由を理解して売り出しを適正価格とすることが必要です。

適正価格であれば年間6000戸近い築40年超マンションが売れています。

築40年を超えるような古いマンションの売却価格と売却スピードはトレードオフの関係です。

時間をかけても売れないのは、価格が高い証拠です。

築40年超マンションの売却をお急ぎなら、仲介業者に売出価格の引き下げについて相談をすべきです。

これから売却を検討する売主様は、下記記事で信頼できるおすすめ仲介業者を見つけてください。

関連記事:不動産仲介ランキング!仲介各社の特長や選び方を一覧で紹介

築40年超のマンションの売却をお急ぎであれば「マンション買取」という売却方法もあります。マンション買取なら築40年超のマンションでも早期売却が可能です。

マンション買取やマンション買取業者の詳しくは下記関連記事をご覧ください。

関連記事:マンション買取業者のおすすめはどこ?種類や選び方

続いては、築40年マンションの売れない理由をご紹介していきます。

築40年のマンションが売れない理由

築40年超のマンションは、築年数が新しいマンションと比べて売り難いことは事実です。ただ実際には築40年超のマンションも前述したように売れています。

築40年超の古いマンションが売り難い理由を確認していきます。

築40年超マンションはローン審査が厳しい

築40年のマンションが売れない一つ目の理由は、金融機関によって築年数の古くなったマンションに対する融資の審査が厳しいということです。

国土交通省の報告書では「一部金融機関等では融資対象を築後35年~60年程度までに限定している事例があり、築後40~60年以上経過した物件の流通を阻害する要因となっているのではないか」という問題意識が提起されています。

使えるのに住宅ローン融資が付かないため、築40年~60年以上の古いマンションの流通が滞っているとの指摘です。

報告書では、築年数だけでなく物件個別に使用価値を維持しているかの判断をすべきとしています。

出所:中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書│国土交通省

2023年4月20日の日経新聞には、「中古住宅の価値、適正評価」との記事が掲載されています。

日本の金融機関の7割超は、戸建ての担保価値を築年数で判断しているため評価が低くなっており、それを是正するため、住宅の担保価値に立地の良さや省エネ改修などを評価するモデルを作り、中古物件でも住宅ローンを借りやすくする、とのことです。

マンションでは約6割で取引価格などを参考に評価をしているので、戸建てほど低い評価にはならないようですが、金融機関に新築偏重の是正を促す算定モデルが浸透して、築40年超マンションのローンも通りやすくなることを期待します。

築40年超マンションは修繕積立金が高い

修繕積立金は、マンションの区分所有者が建物修繕のために毎月積み立てをするお金です。

建物が古くなるにつれて修繕が必要な箇所が増えるため、修繕積立金の徴収額も築年数の経過とともに増えます。

大規模修繕を繰り返してきた築40年超マンションは、築浅物件に比べて修繕積立金が高くなります。

築40年のマンションが売れない二つ目の理由は、築浅物件に比べて月々の支払い負担額が高額になるためです。

築40年超マンションはリフォーム費用が高額

大規模なリフォームをせず、部分リフォームだけでだましだまし使ってきた築40年超のマンションは、内装水回りなどのリフォームに多額の費用がかかります。

築40年超のファミリータイプマンションにはほぼ和室あるため、和室を洋室に変更するなどの費用もかかります。

40年超マンションは、多額のリフォーム費用に加えて下記のような手間や時間がかかります。住み替えの場合、二重払いも発生します。

  • リフォーム会社の選定
  • 間取りや内装・設備のスペック検討
  • リフォーム費用の比較検討
  • リフォーム工事の請負契約締結
  • リフォームが終わるまで入居できない
  • リフォーム工事の完了検査、代金支払
  • リフォーム工事期間、ローンと賃料が二重払い

中古マンションとリフォーム会社を並行して探し、比較検討をして購入と発注の決定が必要です。

築40年のマンションが売れない三つ目の理由は、高額なリフォーム費用とリフォームに関連して手間や時間がかかるためです。

築40年超のマンションは旧耐震

1981年(昭和56年)5月31日までの建築確認を適用されて建てられたマンションが旧耐震基準のマンションになりますので、正確には2023年時点で築40年のマンションは新耐震基準で建てられたマンションになります。(建築確認取得後着工が遅くなったなど特殊な物件は除きます)

概ね築42年より古いマンションが旧耐震基準で建てられてマンションと言えます。

築40年超のマンションが売れない四つ目の理由は、2023年時点で築40年超のマンションの大部分が旧耐震基準で建てられたマンションだからです。

国土交通省も「住宅・建築物の耐震化について」のなかで「昭和56年以前に建築された建物の耐震診断・耐震改修をしましょう。」とインフォメーションしています。

次項では、築40年マンション、40年超マンションが売れる理由を解説していきます。

築40年超マンションが売れる理由

築40年超のマンションが売れる理由をご紹介していきます。

築40年超マンション売却相場は割安

下記表は、東京23区の築40年超マンションの最新売却相場(成約価格)です。

不動産経済研究所(全国新築分譲マンション市場動向2021年(年間のまとめ))によると、2021年の東京23区新築マンション価格は8,293万円です。

下記の表の通り東京23区の築40年超マンション売却相場(成約価格)は3800万円前後。築40年超マンションが売れる理由は、築40年超マンションの売却相場が新築マンションの約55%という割安な価格だからです。

【エリア別成約価格】

成約価格築41~50年築51年~
都心3区6,519万円5,502万円
城東地区2,487万円2,480万円
城南地区4,000万円3,864万円
城西地区3,997万円3,966万円
城北地区2,950万円2,104万円
東京23区3,760万円3,867万円
出所:2022年1Qレインズ成約データを弊社集計

古いマンション+リフォームは国の政策

平成22年の新成長戦略では、新築中心の住宅市場からリフォームにより住宅ストックの品質・性能を高め、中古住宅流通により循環利用されるストック型の住宅市場への転換を図るという方針が示され、2020年(平成32年)までに中古住宅流通・リフォーム市場の規模を倍増(20兆円)という目標も示されています。

古いマンション+リフォーム・リノベーションは国の政策として推し進められています。

出所:中古住宅・リフォームトータルプラン│国土交通省

中古住宅安心してを購入できるよう、瑕疵保険やインスペクションなどが導入されています。

中古住宅流通+リフォーム市場は拡大を続け、古いマンションが売れています。2019年比、築40年超マンションの成約割合が一番伸びており、築40年超マンションが売れていることが分かります。

【築年帯別成約割合】

2022年2021年2020年2019年
0~5年9.3%9.6%9.6%9.1%
6~10年14.4%14.2%14.1%14.1%
11~15年12.5%14.2%16.3%17.5%
16~20年13.8%13.3%14.1%14.3%
21~25年10.7%11.0%11.2%10.6%
26~30年7.8%8.1%7.2%7.7%
31~40年 15.0%15.0%14.2%14.8%
41年~16.5%14.7%13.3%11.8%
出所:REINZ TOPIC/中古マンション築年帯別構成比率

築40年超マンションは好立地

2022年1年間の東京23区の築40年超マンション成約件数は下記の通りです。

特に築50年を超えるような超築古マンションは、分譲マンションの建設が早くから行われた都心3区や城南、城西地区など人気の高いエリアに多くあります。

都内の交通アクセスや住環境が良い人気エリアに立地する築40年超マンションは、築40年超という高経年マンションになっても、たくさんの売買が行われています。

【成約件数】

成約件数築41~50年築51年~
都心3区27152
城東地区40424
城南地区456157
城西地区381178
城北地区30084
出所:2022年1月~12月レインズ成約登録を弊社集計

各地域の内訳は下記の通りです。

  • 都心3区(千代田、中央、港)
  • 城東地区 (台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川)
  • 城南地区(品川、大田、目黒、世田谷)
  • 城西地区 (新宿、渋谷、杉並、中野)
  • 城北地区 (文京、豊島、北、板橋、練馬)

築40年超のマンションを売る時の注意点

中古マンション相場価格の上昇などもあり、築浅と比べると相対的に割安な築40年超の古いマンションが売れています。

築年数が古いマンションほど売れない

以下のような理由で購入決断までのハードルが高い築40年超のマンションは、購入する人が限定されます。結果として築40年を超えるようなマンションの成約率は、築浅マンションと比べると低くなります。

  • 部屋が汚いため第一印象が悪い
  • リフォーム期間居住できない
  • 内装、水回り等リフォーム費用が高額

上記のような理由により築40年超の古いマンションは、売却に時間がかかります。

築40年超の古いマンションを売却して現金化するのに期限がある場合は注意が必要です。

【成約件数÷新規登録件数】

築40年超の古いマンションを売る時の注意点/築年数が古いマンションほど売却に時間がかかる
出所:レインズ

築40年超の古いマンションを売る時のリフォーム

築40年超の古いマンションを売却するのに自分で壁や床などリフォームを検討する方もいらっしゃると思います。

好みの内装デザインや素材、暮らし易さは人それぞれのため、中途半端なリフォームはあまりおすすめではありませんし、築40年超の古いマンションの大規模なリフォームには多額のコストがかかります。

コストをかけても必ず高く売れるという保証もありませんので注意が必要です。

マンション売却時のリフォームの費用や必要性などの詳しくは下記関連記事をご覧ください。

関連記事:マンション売却とリフォーム。費用や必要性、注意点を解説

築40年超の古いマンションを売る時の契約不適合責任

築40年を超えるような古いマンションは、売却した後に故障や不具合が見つかるリスクが高いと言えます。

契約不適合責任を問われて、修理費用が新たに発生したり、代金の減額請求や契約解除の可能性もゼロではありません。

築40年を超えるような古いマンションは、雨漏りや漏水など重大なクレームの可能性があるので注意が必要です。

築40年超のマンションを売る時の注意点が分かったところで、築40年のマンションはいつまで住めるのか考察していきます。

築40年のマンションはいつまで住める?

築40年超マンションの耐用年数、寿命、いつまで住める、資産価値について考察していきます。

分譲マンションの耐用年数は47年

分譲マンションの会計上の法定耐用年数は、47年です。

築40年超マンションは、法定耐用年数に近く、50年マンションは住まいとして会計上耐用年数オーバーです。

法定耐用年数は、あくまで会計上建物の価値がゼロになる年数であり、マンションに居住できる期間やマンションの寿命が47年ということではありません。

出所:主な減価償却資産の耐用年数表│国税庁

築40年超のマンションの寿命

マンションのような鉄筋コンクリート造建物は、メンテナンスを適正に行なえば100年以上維持することが可能です。

国土交通省によると、鉄筋コンクリート造の住宅の平均寿命推計値は68年。鉄筋コンクリートの耐用年数は120年程度で、外装仕上げにより延命して150年になると報告されています。

築40年のマンションはいつまで住める?中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書│国土交通省

出所:「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書│国土交通省

築40年のマンションはいつまで住める?

築40年のマンションがいつまで住める?という問題に対する答えは、それぞれのマンションの個別要因に大きく左右されるため、全ての築40年のマンションに当てはまる答えを出すのは難しいといえます。

マンションごとにそれぞれ異なる、個別要因として考えられるのは下記のようなことです。

  • 分譲時の建物仕様、スペック
  • 大規模修繕など建物の維持管理状態
  • 将来的な建物の維持管理計画やかけるコスト
  • 所有者の建物維持・管理に対する考え方、姿勢
  • 所有者の修繕積立金等経済的負担への考え方
  • 所有者の住み続けたい年数、利用したい年数
  • 建て替えの可能性の有無

答えは出せないので、国が目指している方向性をご紹介します。

戦後しばらくの間に建てられた住宅は性能がよくない等の問題があり、短期間で建替えられてきたため、建物の 価値が20年程度でゼロになるという市場の共通認識が形成されてしまったのではないか。しかしながら、ここ20~ 30年に建てられた住宅は、性能が向上してきているので、リフォームを適切に行えば、100年でも十分もつものとなっている。

米国や英国の木造住宅は、実際に100年以上もっているからこそ、中古の建物に価値が認められて取引されている。リバースモーゲージの普及も考えるならば、適切なリフォームやメンテナンスを前提とすれば、住宅は100年以上もつということを示すべきである。

「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書│国土交通省

ここで言っているリフォームやメンテナンス(維持管理)というのは、建物全体=共有部分と室内=専有部分の両方に対してだと思われます。

建物を100年もたせるには、管理組合と区分所有者の両方の合意形成や方向性の一致が必要ということです。逆に言うと、そのような合意形成や方向性の一致が図られればマンションを100年もたせることは可能と言えます。

次項では「築40年マンションはいつまで住める?」の一つの答えとして、築60年前後経過したマンションがどうなっているかをご紹介します。

管理組合による日々のメンテナンスや将来的な修繕に対する合意形成が図られているマンションは、築60年前後になっても現役バリバリの築古マンションとして住み続けられています。

築40年マンションの20年後

築40年マンションの20年後を知るために、現時点で築後60年前後を経過している分譲マンションの現状を調査しました。

リフォームや建物の維持管理を適切に行っていれば、20年後の現在も十分にもっていると推測されますが、果たして結果は?

築40年マンションの20年後を調査

四谷コーポラス(1956年築/築後67年)

四谷コーポラスは、四ツ谷駅から約5分、民間業者による分譲マンション第一号物件です。

四谷コーポラスは、下記引用にある通り、築61年時点の2017年に建替え決議が成立して建て替えとなっています。築61年まで住宅(家)として使用されていたようです。

四谷コーポラスの建て替えについての詳しくはこちらをご覧ください。

2013年に新宿区の補助金を利用して耐震診断を実施したところ、耐震性に問題があり、補強費用の見積もりが8,000万~2億8,000万円と高額になったことから、建て替えを推進することにした。その後、16年に同社を事業協力者として選定。17年3月に建替え決議が成立、同年8月に等価交換契約を済ませた。

「四谷コーポラス」の建て替え後を公開

信濃町アジアマンション(1959年築/築後63年)

信濃町アジアマンションは、「マンション」というネーミング・ブランドの嚆矢、はじまりのマンションです。築後63年の現時点でも現役マンションとして使用されています。

マンションマーケットのデータによると参考相場価格は、2,160万円~2,270万円です。

築40年のマンションはいつまで住める?/信濃町アジアマンション/築40年のマンションの20年後
出所:マンションマーケット

信濃町アジアマンションは、令和2年9月にレインズ成約登録があり、直近でも売買が成立しています。

コープ・オリンピア(1965年築/築後57年)

コープ・オリンピアは、表参道に建つ億ションの草分けマンションです。築後57年の現時点でも現役マンションとして使用されています。

マンションマーケットのデータによると参考相場価格は、8,560万円~8,990万円です。

築40年のマンションはいつまで住める?/コープオリンピア/築40年のマンションの20年後
出所:マンションマーケット

コープ・オリンピアは、令和5年3月にレインズ成約登録があり、令和に入ってから9件の売買が成立しています。現役バリバリです。

メゾン西宮(1964年築/築後58年)

メゾン西宮は、早くも住宅ローン付きで販売された物件です。築後58年の現時点でも現役マンションとして使用されています。

マンションマーケットのデータによると参考相場価格は、3,790万円~3,980万円です。

築40年のマンションはいつまで住める?/メゾン西宮/築40年のマンションの20年後

メゾン西宮は、令和2年12月にレインズ成約登録があり、直近でも売買が成立しています。

築40年マンションは20年後も住める

四谷コーポラスは、建て替え事業によって2019年にアトラス四谷本塩町(不動産会社旭化成不動産レジデンス)に生まれ変わっていましたが、信濃町アジアマンション、コープ・オリンピア、メゾン西宮は現役マンションとして使用され、中古マンション市場でも流通しています。

今回調べた築40年前後のマンションの20年後は、現役バリバリの築古マンションでした。

「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書からの引用にもあったように「ここ20~ 30年に建てられた住宅は、性能が向上してきているので、リフォームを適切に行えば、100年でも十分もつものとなっている。」とあります。

現在築40年マンションは、ご紹介してきた現状築60年前後のマンションよりは性能が向上していると推測できます。従って現在築40年マンションの20年後は十分たもたれていると推測できます。

今回調査した4物件のうち1物件は建て替えが推進されていました。次項では築40年を超えるマンションの建て替えについて解説をしていきます。

築40年超マンションの建て替え

築40年以上のマンションのストック戸数、古いマンションの建て替え実施状況について解説をしていきます。

築40年以上マンションは115.6万戸

下記国土交通省の「築後30、40、50年以上の分譲マンション数」によると築40年以上の古いマンションは現在115.6万戸、マンションストック総数の約17%です。

築40年超の古いマンションは、10年後には約2.2倍の249.1万戸、20年後には約3.7倍の425.4万戸となる見込みです。

築40年超マンションの建て替え/築40年以上マンションは115.6万個
出所:国土交通省

マンションの建て替えは270棟

国土交通省の「マンション建替えの実施状況」によると、今年4月1日時点で建て替えを終えた古いマンションは全国で累計270棟です。

建て替えが実現している割合は、弊社推計値で1.16%~2.33%です。(建て替えられたマンションが平均50戸として13,500戸、平均100戸として27,000戸が建て替え実現戸数。推計値は築40年以上のストック115.6万戸に対する割合)

詳細は割愛しますが、築40年を超える古いマンションの建て替え実現は、極めて困難であると言えます。

【マンション建替えの実施状況】

築40年超マンションの建て替え/築40年超のマンションの建て替え270棟
出所:国土交通省

築40年マンションの資産価値

最初に建て替え検討開始時点築47年だった南青山リハイムの建て替え成功事例と資産価値アップについて解説をしていきます。

築40年超マンションの耐震診断

南青山リハイム管理組合は、築後47年を経過していた2017年におこなった耐震診断をきっかけに耐震補強か建替えかの議論が始まり、6年の年月をかけて建て替え計画の推進が決定しました。

現在築後53年の古いマンションが建て替えに向けて動き出しました。

2022年の11月までに明渡し、いよいよ12月からマンションの解体工事が始まる予定です。

  • 名称:南青山リハイム
  • 所在地:東京都港区南青山2-29
  • 交通:東京メトロ銀座線「外苑前」駅
  • 築後年数:53年
築40年超のマンション建て替え事例/南青山リハイムの区分所有法第62条に基づく建替え決議
区分所有法第62条に基づく建替え決議
築40年超のマンション建て替え事例/南青山リハイムの建て替え建築計画
建築計画のお知らせ看板

マンション建て替え決議から権利変換計画承認決議

最大のポイントであった南青山リハイムの建替え関する件(区分所有法第62条に基づく建替え決議)は、5分の4以上の賛成をもって2021年9月に成立しました。

2022年9月に権利変換計画承認決議を行います。

築40年超のマンション建て替え事例/南青山リハイム
南青山リハイム外観写真(1970年築)
築40年超のマンション建て替え事例/南青山リハイム建替事業外観イメージ図
南青山リハイム建替事業外観イメージ図
築40年超のマンション建て替え事例/南青山リハイム、臨時総会(権利変換計画)招集通知
権利変換計画承認総会招集通知

2022年9月15日に南青山リハイムマンション建替組合の「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」第57条2項に基づく臨時総会(権利変換計画承認総会)が開催され、下記第1号議案が4/5以上の賛成をもって可決成立しました。

第1号議案:権利変換計画決定及び認可申請の件

2017年の建て替えか耐震補強かの議論開始から6年の年月をかけて建て替え計画の推進が決定しました。

築40年超マンションが新築に建て替え

築40年超の築古マンションだった南青山リハイムは、4年後の2026年に新築マンションへ建て替えられます。

新築マンションは、坪単価800万円を超える分譲価格で販売される計画になっています。

弊社購入時点、築40年超のマンションであった南青山リハイムの価値は、坪単価800万円を超える新築マンション相当ということになります。建て替え成功によって資産価値は、約1億4000万円に大幅アップします。

前述した通り築40年超の古いマンションの建て替えが纏まることは極めて稀なケースと言えますが、纏まれば今回のようにその資産価値は大きくアップします。

築40年超マンションの建て替え/明け渡しを終えた南青山リハイム
建て替え前の南青山リハイム/2023年4月6日
築40年超マンションの建て替え/南青山リハイム既存建物解体工事のお知らせ
南青山リハイム既存建物解体工事のお知らせ
詳細は割愛しますが、マンション建て替え実現には敷地面積、容積率緩和、高さ制限、分譲価格などいくつかの条件が揃うことが必要です。建て替え成功の条件を満たす築40年超の古いマンションは極めて少ないのが現実です。
築40年超マンションの資産価値/築40年超マンションが新築に建て替え
南青山リハイム建て替え/解体工事2023年6月26日

築40年超マンションの価値|負動産

「美和コーポB」は、1972年築、鉄骨3階建て、全9戸の分譲マンションですが、区分所有者による管理組合が存在せず、10年以上も前に住民もいなくなり、所有者は高齢化或いは所在不明という状況でした。

そんな管理組合による維持管理や将来的な修繕の合意形成も図れていなかった築40年超マンション「美和コーポB」は、築後48年になる2020年に行政代執行で取り壊され現在は更地となっています。

築40年のマンションはいつまで住める?/築40年超マンションの価値がマイナス
出所:老いるマンション|東京新聞
築40年のマンションはいつまで住める?/築40年超マンションの価値がマイナス
出所:老いるマンション|東京新聞

行政代執行で野洲市が負担した費用は1億1800万円、解体後各区分所有者に約1300万円を請求しています。築40年超マンションの価値がマイナス、正に負動産です。

管理組合の有無、所有者の高齢化や所在不明所有者の割合などによっては、建て替えどころではありません。

建物の維持管理もままならず、築40年超マンションの資産価値が大幅にマイナスということもあり得ます。大きな負担を背負うことにもなりかねないので、管理組合や管理状況は要チェックです。

出所:<老いるマンション>進む建物・所有者の高齢化 管理不全、公金で後始末|東京新聞

マンションの資産価値については、弊社不動産鑑定士が執筆しました下記関連記事をご覧ください。

関連記事:マンション資産価値の調べ方とランキング、価値が下がらない物件の要因

築40年超マンションの建て替えが難しければ、残される選択肢は「住み続ける」か「売却」です。築40年超マンションの売却相場をご紹介します。

築40年超マンション売却相場

法定耐用年数を超えるような築40年超、築50年超の古いマンションの売却相場について詳しく分かり易く解説をしていきます。

築40年超の古いマンション売却相場

築41~50年のマンション売却相場(レインズ成約価格)を集計しました。

築40年超の古いマンション売却相場を地域別にご紹介します。

年数東京神奈川埼玉千葉
41~50年3426万1540万1070万1049万
出所:2022年1Qレインズ成約データを弊社集計

東京の築40年超マンションは、他の地域に比べ2倍~3倍強の売却相場となっています。

築50年超のマンション売却相場

築51年以上の古いマンションの売却相場は下記の通りです。

年数東京神奈川埼玉千葉
51年~2969万1208万847万664万
出所:2022年1Qレインズ成約データを弊社集計

東京の築50年超マンションの売却相場は、他の地域に比べて2.5倍~4倍強の売却相場となっています。

建物は法定耐用年数を超えていますが、土地の価格が高い東京の築50年超マンションは、3,000万円弱という高額で売買されています。

マンションの売却と築年数の相関関係、売れる限界は何年?などの詳しくは下記関連記事をご覧ください。

関連記事:マンション売却と築年数。築50年は売れない?売れる限界は?

築40年のマンション売れない?いつまで住める?売却相場と20年後まとめ

築40年のマンションについての下記ような疑問は解消できたでしょうか?

  1. 売れない?
  2. いつまで住める?
  3. 売却相場は?
  4. 20年後は?

解説してきた内容を振り返り、まとめていきます。

築40年のマンションは売れない?

答えは「築40年のマンション、築40年超のマンション、築50年超のマンションいずれも売れる」です。

築40年のマンションは売れない?の回答の詳細はこちらをご覧ください。

築40年のマンションはいつまで住める?

分譲マンションの法定耐用年数は47年、マンションなど鉄筋コンクリート造の住宅の平均寿命推定値は68年です。

いつまで住めるか?に対する答えは、築48年で解体されたマンション、築60年を超えても売買されるマンションなどがあり、マンションの維持・管理状況によって様々です。

築40年のマンションはいつまで住める?の詳しくはこちらをご覧ください。

築40年超の古いマンション売却相場は?

東京の築40年超の古いマンションの売却相場は3426万円、築50年を超える古いマンションは2969万円です。

その他地域の築40年超マンション、築50年超のマンションの売却相場の詳しくはこちらをご覧ください。

築40年のマンションの20年後は?

築40年マンションの20年後を知るために、現時点で築後60年前後を経過している分譲マンションの現状を調査しました。

築40年のマンションの20年後の詳しくはこちらをご覧ください。

築40年超の古いマンションどうなる?

築40年以上のマンションは現在115.6万戸(マンションストック総数の約17%)ありますが、これらの古いマンションの建て替え成功は270棟だけです。

築40年超の古いマンションの建て替えと南青山リハイム(1970年築)の建て替え成功事例の詳しくはこちらをご覧ください。


森田学(執筆)
森田 学【宅地建物取引士】

1999年東京テアトル株式会社入社。「テアトルタイムズスクエア」などの映画館の運営スタッフ業務、ラグジュアリーホテル「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、マンション購入・仕入、リフォーム工事の企画を担当し現在に至る。

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