マンション相続の手続き、相続税や評価額、売却までの税金

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.08.10

マンション相続の手続き、相続税や評価額、売却までの税金

この記事は、最初にマンション相続する際の相続手続きの流れや注意点を解説します。

続いて以下のような項目を分かり易く解説していきます。

この記事を読めば、マンションを相続して売却する際の疑問が解消できます。

相続するマンション売却の概要については下記の動画をご覧ください。

目次

マンションの相続手続き・流れ

ご家族(被相続人)が亡くなると同時に相続の手続きが必要となります。

一般的な相続手続き・流れは下記の通りです。

1.遺言書の確認

2.相続人の調査・確認

3.遺産(負債)の調査・確認

・基礎控除額の計算

・相続税の確認、算出

4.相続放棄の選択

5.遺産分割協議(遺産の分け方の話し合いと決定)

6.相続登記(名義変更)

マンションの相続手続き・流れと期限
マンション相続手続き・流れと期限

1~6、それぞれのステップに分け、具体的な手続きとポイント、注意点などを解説していきます。

1.遺言書の確認

●被相続人が亡くなって7日以内に死亡届を提出

●遺言書が残されているか確認

遺言書があれば、原則として被相続人の遺志に従って遺言書で指定された者がマンションなど遺産を引き継ぐことになります。

関連記事:相続手続きの流れ①遺言書の種類と確認

2.相続人の調査・確認

法定相続人

相続人の範囲は、死亡した人の配偶者、配偶者以外は下記順序で配偶者と一緒に相続人になります。

優先順位法定相続人(代襲相続人)
第1順位死亡した人の子供、その子供が既に死亡⇒その子供の直系卑属(子供や孫など)。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供が優先。
第2順位死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)。父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母が優先。第1順位の人がいないときに相続人になる。
第3順位死亡した人の兄弟姉妹、その兄弟姉妹が既に死亡⇒その人の子供。第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる。

相続人の調査・特定

法定相続人の範囲は、戸籍謄本で確認することになります。相続人を調査する術は、被相続人の出生から死亡までの戸籍をコツコツ収集することです。

戸籍謄本は、戸籍のある市町村で入手できます。郵送での交付が可能な市町村もありますが、交付方法は該当する市区町村役場にお問い合わせください。

法定相続分

相続人法定相続分
配偶者と子供配偶者1/2 子供1/2(2人以上のときは全員で1/2)
配偶者と直系尊属配偶者2/3 直系尊属1/3(2人以上のときは全員で1/3)
配偶者と兄弟姉妹配偶者3/4 兄弟姉妹1/4(2人以上のときは全員で1/4)

子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分ける。

関連記事:マンションを相続,兄弟や子供で遺産分割

3.遺産(負債)の調査・確認

プラスの相続財産

マンションなど不動産、現金、有価証券、動産(自動車、貴金属など)、その他(ゴルフ会員券、著作権など)

死亡3年以内の生前贈与や相続時精算課税制度による贈与を相続財産に加算する必要があるケースは、贈与額を加算します。

マイナスの相続財産

負債(借金、住宅ローンなど)、税金関係(未払いの所得税住民税など)、その他(未払い分の家賃など)

関連記事:相続手続きの流れ③相続財産の調査

相続税の基礎控除額の計算

相続税は、相続税の課税対象となる課税価格の合計から基礎控除額を差し引いた部分に対してかかります。

基礎控除額の計算式

3000万円+600万×法定相続人の数=基礎控除額

例えば法定相続人が4人いる場合、下記が基礎控除額となります。

3000万円+(600万×4人)=5400万円

相続税の確認、算出

基礎控除と正味の遺産額

マンション(不動産)や現金預金、有価証券、自動車、貴金属等のような財産のほか、著作権のような無形財産も相続税の対象となります。

相続や遺贈によって財産を取得した人ごとに、課税価格を計算します。

課税価格の計算

各人の課税価格の計算の詳細は、国税庁のホームページ「相続税の計算」でご確認ください。

遺産の総額相続税相続税申告
基礎控除額以下課税されない不要
基礎控除額より多い基礎控除額を超えた分に課税必要

遺産を相続すると、必ず相続税を納めなければならないというこではありません。ざっくり言うと、相続財産総額(正味の遺産額)が「基礎控除額」を超えなければ相続税は発生しませんし、相続税の申告手続きも必要ありません。

基礎控除額を超える場合、その超える部分に対して課税されます。この場合、相続税の申告及び納税が必要となります。その期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内になります。

出所:相続税の計算-国税庁

相続税の速算表

相続税額の算出方法は、各人の相続で所得した財産に直接税率を乗じるわけではありません。

正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残りの額を法定相続分で按分します。

この法定相続分に応ずる取得金額を下の表に当てはめて、それぞれの相続人ごとに税率を乗じます。算出された金額が相続税の総額の基となる税額となります。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1000万円以下10%
3000万円以下15%50万円
5000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1700万円
3億円以下45%2700万円
6億円以下50%4200万円
6億円超55%7200万円

この速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが相続税の総額となります。

出所:相続税の税率-国税庁

相続税を払う人は何パーセント?

国税庁によると相続税の課税件数の割合は、2017年で8.3%となっています。被相続人100人のうち約8人の財産に相続税が発生することになります。

2015年以降、相続税の基礎控除額が縮小されたことで、課税される割合は2014年の4.4%から8%台に増加しています。

それでも相続財産そのものが無いか、基礎控除額を差し引くと課税対象がゼロとなり納税義務の生じない人が大多数のようです。

資産家でない限り、マンションと一般的な家庭の現金預金を相続するようなケースでは、相続税の発生はしないことが多いようです。

それでも隠し財産があるかもしれないので、しっかり被相続人の財産を調べて把握することが大切です。

4.相続放棄の選択

借金などマイナスの財産の方が多いケースなど、相続の権利をすべて放棄する相続放棄という選択肢があります。

相続放棄は、「相続の開始をしった日から3ヶ月以内にしなければならない」という期限があります。相続財産の全容を調べたうえ検討することが必要です。

関連記事:マンションの相続放棄の手続き、流れ、期限等を解説

5.遺産分割協議(遺産の分け方の話し合いと決定)

遺産分割協議とは

遺言書がなければ、遺産は相続人全員で遺産の分け方を決めることになります。

話し合いや相談して分ける場合、「遺産分割協議」を行う必要があります。この協議に特別な方法があるわけではありませんが、相続人が全員で行わないと、無効となってしまいます。

遺産分割協議書とは

分割協議の結果や内容は、書類に残すことがおすすめです。この書類のことを遺産分割協議書といいます。

遺産分割協議書は、協議の結果を記録する重要な書類となります。

関連記事:相続手続きの流れ⑤遺産分割協議

6.相続登記(名義変更)

相続したマンションの名義変更

相続をしたマンションの登記上の名義変更をする手続きが相続登記になります。

マンションの相続登記も、遺言があれば遺言の内容にしたがって相続登記または遺贈登記をすることになります。

遺言書が無い場合は、遺産分割協議による相続登記か法定相続分どおりの相続登記かになります。

相続人が複数人いる場合、前項にある遺産分割協議を行ない、遺産分割協議書を作成して相続登記を行ないます。

司法書士など専門家がアドバイス

遺産分割協議や遺産分割協議書の作成、不動産名義変更などのご相談を承ります。弊社取引先専門家と協議のうえアドバイスを差し上げます。まずはお気軽にお問い合わせください。

※弊社相談員へのご相談は無料です。専門家への具体的な相談は初回無料のケース、初回から有料のケースもございます。詳しくは弊社相談員にお問い合わせください

関連記事:マンション相続登記の手続き,必要書類,費用を解説

続いて相続税計算の仕組み・計算例をご紹介していきます。

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相続税計算の仕組み・計算例

親のマンションと預金を相続により取得した場合に相続税がかかってくるのか気になるところです。

不安払しょくのためには、相続税の計算の仕組みを理解しておくことが大切です。

相続税がかかる場合とは?

相続税がかかるケース

「課税遺産総額」が生じる(プラスになる)場合に、相続税がかかります。

課税遺産総額の計算式

「課税遺産総額」とは「課税対象となる遺産の総計はいくらか」を示すもので次の式で計算します。

「課税遺産総額」は、まず「正味遺産額」を出して「基礎控除額」を差し引いて計算します。

次の図で示すと①②③で「正味遺産額」を④で「基礎控除額」を計算します。具体的にみていきましょう。

課税遺産総額の計算
出所:財産を相続したとき│国税庁

課税遺産総額の計算

「正味の遺産額」の計算のしかた

①から③までの手順を経て「正味の遺産額」を計算します。

①「遺産総額」と「相続時精算課税の適用を受ける贈与財産」を合計します。 

1.「遺産総額」とは「相続や遺贈により取得した財産の価値の合計」をいいます。            

「遺産総額」を把握するには、被相続人(亡くなった人)が所有していた固有の財産を全てあげてみましょう。

国税庁の相続税の申告の仕方について、詳しく解説「相続税の申告のためのチェックシート」が参考になります。

被相続人の固有の財産には、マンション・一軒家等の家屋・土地、現金預金、株式・社債等の有価証券、自動車、家具、貴金属、骨董品等のほか、著作権、特許権等の無形財産や、個人や会社に対する貸付金等も財産に含まれます。また、みなし相続財産(死亡保険金死亡退職金等)も忘れずに入れましょう。

固有の財産を全て把握したら個々の財産を相続開始時(被相続人の亡くなった日)の時価で基本的に評価します。

おおまかにいうと「死亡時(日)の価格」で評価しますが、評価方法は財産の種類によって異なります。例えば預金については死亡日の預金残高ですが、建物については死亡年の固定資産税評価額で評価します。

また、マンションや一軒家の土地(敷地)等について「小規模宅地等の特例」を適用する場合には、適用後の評価額を遺産総額に含めます。

関連記事:マンションの相続税評価額の基本、時価、計算例

2.「相続時精算課税の適用を受ける贈与財産」とは、「相続時精算課税を選択して適用している場合に、相続人が被相続人から生前に贈与を受けた財産」をいいます。

相続時精算課税」とは「贈与者1人につき2,500万円までは非課税にし、それを超えると一律20%の税率で課税されるという贈与税の課税方法」です。ただし「相続時精算課税」を使って生前に贈与を受けた財産については「相続時」に「精算」するため「正味の遺産額」に含めなければなりません。

② ①から「債務」「葬儀費用」「非課税財産」を差し引き「遺産額」を出します。

非課税財産には墓所、仏壇、祭壇、香典、生命保険の控除(法定相続人数×500万円)、死亡退職金の控除(法定相続人数×500万円)が入ります。

③「相続開始前3年以内に暦年課税で贈与を受けた財産(贈与財産)があった場合」には、その贈与財産の価額を、②の「遺産額」に加算し「正味の遺産額」を出します。

暦年課税」とは「その年の1月1日から12月31日までの1年間の贈与財産の価額を合計した額から基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額に税率を乗じて税額を計算する贈与税の課税方法」です。

相続財産を取得した相続人については「暦年課税」により相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産がある場合は、その財産を正味の財産に含める必要があります。

暦年課税で贈与を受けて3年以内に贈与者が亡くなった場合には、贈与は無かったものとして「正味の遺産額」に含めて相続税を計算するようになっているからです。

だだし、次の財産は含める必要はありません。

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除に相当する金額

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の適用を受けた金額

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税の適用を受けた金額

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税の適用を受けた金額

また相続開始前3年以内の暦年贈与に際して贈与税を支払っている場合には、その金額が相続税を上回っているときには、相続税を納付する必要はありません。しかし相続税より多く贈与税を支払っている場合においてもその差額は還付されません。

参考:贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

 ③の「正味の遺産額」から次の計算式による「基礎控除額」を差し引いて、「課税遺産総額」を計算します。

基礎控除額の計算式

3000万円+(600万円×法定相続人の数)

基礎控除額は、法定相続人が4人の場合は、3000万円+(600万円×4人)=5400万円になります。1人の場合は3,600万円です。

相続税は「正味の遺産額」そのものにかかってくるわけではありません。「基礎控除額」を差し引くことによって、相続税を軽減させる効果があります。法定相続人の数が多いほど基礎控除額が増額するため、税額を減額する効果は大きくなるといえます。

なお「相続人の中に養子がいるとき」には法定相続人の数に含める養子の数は制限されています。

課税遺産総額の計算のまとめ

①から④までのステップを計算式でまとめると次のようになります。

課税遺産総額=遺産総額+相続時精算課税の適用を受ける贈与財産―非課税財産-葬儀費用-債務+相続開始前3年以内の贈与財産基礎控除額

下線部分が「正味の遺産額」の内容ですので上の式は次のようになります。

正味遺産額基礎控除額課税遺産総額>0  →相続税がかかる

【注意点】

小規模宅地等の特例を適用して相続税評価額を減額した結果、課税遺産総額が0円になり税額が生じない場合等には、小規模宅地等の特例を適用したという内容の相続税の申告書を、期限内(被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内)に提出する必要があります。

相続税の計算例

課税遺産総額がプラスになる場合には相続税がかかることがわかりました。

相続税を計算の事例

次に、相続税をどのように計算するのかを事例で確認します。

【事例】

相続人: 配偶者(妻)・子A・子B (計3人)

正味の遺産額:2億円

法定相続分(民法で定められた割合で相続財産を相続人が取得すること)で、それぞれが相続したケースの相続税はいくらになるでしょうか?

最初に課税遺産総額を計算

まず「課税遺産総額」を計算して、相続税がかかるかを判断します。

正味の遺産額2億円-(基礎控除3000万円+600万円×相続人数3人)

=課税遺産総額1億5200万円>0円  ∴相続税がかかるケースとわかりました。

実際の相続税の金額、計算は4ステップ

次に実際の相続税の金額を求めていきます。

「課税遺産総額」1億5,200万円からスタートし、次の図の①から④のステップにより計算します。

相続税の計算例
出所:財産を相続したとき│国税庁

ステップ①法定相続分で按分

①「課税遺産総額」を法定相続分で各相続人に按分します。

妻:法定相続分1/2

1億5200万円×1/2=7600万円

子B:法定相続分1/2×1/2

1億5200万円×1/2×1/2=3800万円

ステップ②相続税の総額

法定相続人ごとに法定相続分に応ずる金額を下の表に当てはめて、税額を計算します。その合計が相続税の総額になります。

参考:相続税の税率│国税庁

【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1000万円以下10%
3000万円以下15%50万円
5000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1700万円
3億円以下45%2700万円
6億円以下50%4200万円
6億円超55%7200万円

妻:法定相続分に対する税額

7600万円×30%700万円=1580万円

子A:法定相続分に対する税額

3800万円×20%200万円=560万円

子B:法定相続分に対する税額

3800万円×20%200万円=560万円

相続税総額

⇒1580万円+560万円+560万円=2700万円

ステップ③相続税総額を正味の遺産額の割合に応じて按分

③ ②の相続税総額を各相続人が実際に取得した「正味の遺産額」の割合に応じて按分します。

今回は、正味の遺産額を法定相続分で按分していますので、各自の税額は次のようになります。

妻:正味の遺産額の1/2を取得

税額2700万円×1/2=1350万円

子A:正味の遺産額の1/4を取得

税額2700万円×1/2×1/2=675万円

子B:正味の遺産額の1/4を取得

税額2700万円×1/2×1/2=675万円

ステップ④実際に納める税額を計算

④次に実際に納める税額を計算します。③で計算した各自の税額から各人の事情に応じてなにか税額から控除(税額控除)できるものはないかを検討します。

一定の要件を満たせば相続税額を減額できる「税額控除」には次のようなものがあります。相続人ごとに適用要件を検討し該当するものがあれば、その人の納める税額を減額することができます。

【相続税を減額する控除について】

配偶者のみしか受けられない控除

●配偶者税額控除(参考記事:配偶者の税額軽減

その他の税額控除

●未成年控除(参考記事:未成年の税額控除

●障害者控除(参考記事:障害者の税額控除

●暦年課税に係る贈与税額控除(参考記事:贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

●相続時精算課税に係る税額控除(参考記事:相続時精算課税の選択

●相次相続控除(参考記事:相次相続控除

これらの税額控除を適用する場合には相続税の申告が必要になります。

今回の事例では、配偶者(妻)以外の相続人(子A・子B)に未成年や障害者に該当する人がおらず、贈与や相次相続に関する税額控除もないケースを想定していますので、適用するのは配偶者の税額控除のみです。

本来、配偶者控除の適用がなければ妻の相続税額は1350万円ですが、税額の軽減により0円になりました。

【実際に納める相続税額】
妻:1350万円
→配偶者の税額控除を適用した結果0円に!
子A:675万円
子B:675万円

このように、配偶者の税額控除は「正味の遺産額を相続する割合が法定相続分まで」か「1億6千万円まで」のどちらか高いほうまでが非課税になるため、配偶者の税額を減らすには大きな効果があるといえます。

相続税を払う人は何パーセント?

相続税の課税対象の割合は増加

前述してきましたが、国税庁の|相続税の申告状況について」によると被相続人のうち相続税の課税対象となった人の割合は2014年の4.4%から2017年では8.3%に増加しています。つまり被相続人100人のうち約8人に相続税が生じるようになりました。

■課税割合の推移

相続税を払う人は何パーセント?/課税割合の推移
出所:国税庁

同資料によれば、相続財産の金額の構成比は約土地36.5%、現金・預貯金等31.7%、有価証券15.2%となっており、土地と預金の割合が高いといえます。

自宅マンションと若干の現預金のみが相続財産

マンションの場合はマンション敷地(土地)全体の面積に、敷地権の割合を乗じて被相続人の有する敷地権(土地)の評価するため、被相続人の相続財産に含まれるマンションの敷地権(土地)は一軒家の敷地に比べて、比較的面積が小さくなる傾向にあります。

敷地権(土地)の面積が狭ければ相続税評価額も小さくなりますので、「自宅マンションと若干の現預金のみ」が相続財産の場合には、相続税がかからない場合も十分考えられます。

例えば次のようなケースでは相続税はかかりません。

マンション相続税がかからない事例

マンション相続税がかからないケースをご紹介します。

質問:

亡くなった兄の住んでいた自宅マンションを相続により取得しました。兄は独身であったため、相続人は妹の私ひとりです。

空き家になっているので売却したいと考えていますが、その前に相続税がいくらかかるのか心配です。兄の相続開始時(亡くなった日)の相続財産の内容と相続税評価額、葬儀費用の金額は以下のとおりです。

相続税はいくらになるのでしょうか?

相続財産と相続税評価額

答え:
①正味の遺産額を計算をします。

遺産総額(マンション1800万円+預金500万円+株式100万円+家具一式10万円)-葬儀費用50万円=正味の遺産額2360万円

 ②基礎控除額の計算をします。

3000万円+600万円×法定相続人1人=3600万円

③課税遺産総額を計算します。

正味の遺産額2360万円-基礎控除額3600万円=課税遺産総額マイナスになるので0

正味の遺産額が基礎控除額を下回り課税遺産総額が0円になるため相続税はかかりません。

小規模宅地の特例も適用していないため相続税の申告も不要です。

ただし、相続税はかからなくてもマンションを売却した場合には所得税の申告が必要になる場合があります。

関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法

マンションの相続税評価額の計算方法と計算例

マンションの「家屋」と「敷地権」は分けて相続税評価

マンションの場合、売却等の処分については「家屋」と「敷地権」を一体化して行うのが基本です。

一方、相続税評価は、被相続人が区分所有していた「家屋」と「敷地権」に分けて評価を行います。評価する「家屋」の範囲は居室の専用部分のみだけでなく、共有部分に対する持分も含まれます。

「家屋(専有部分と共有の持分)」と「敷地権」をそれぞれ評価した後に、合計して当該マンションの相続税評価額を計算します。

マンション相続評価額の求め方

相続開始時(亡くなった日)の時価で評価

相続税評価額は、相続開始時(亡くなった日)の時価で評価することが基本になります。

この時価とは、簡単にいうと亡くなった日に、財産を現金にした場合にはいくらで評価できるかということです。

被相続人がマンションを買った時の金額や、相続人が相続して取得後に売る時の金額が相続税評価額になるのではありません。

「亡くなった日の時価」といっても納税者にとってはなにが時価なのか判断することは難しく、また税務行政を統一化するためにも、実際は、国税庁の公表している「財産評価基本通達」に従って、「家屋」と「敷地権」の相続税評価を行うのが基本です。

「財産評価基本通達」では財産の種類別に評価方法を定めています。

参考記事:財産評価│国税庁

マンションの相続税評価額の計算例

マンションの1部屋について、被相続人が亡くなった時点で被相続人の①自宅であった場合と②貸していた場合の相続税評価額の計算例をみてみましょう。

なお、計算を簡単にするため敷地の一方だけが路線に接しているケースを想定し画地調整率による調整などは省きます。

被相続人の自宅であった場合の相続税評価額

自宅マンションは次のような内容でした。

相続税評価額計算例の前提条件
相続するマンションを売却、相続税評価額の計算例

被相続人が貸していた場合の相続税評価額

貸マンションは次のような内容でした。

相続税評価額の計算例の前提条件
相続するマンションを売却、相続税評価額の計算例
このように、被相続人がマンションを自宅として使用していたのか、賃貸していたのかによって同じマンションでも相続税評価額が違ってきます。

さらに「小規模宅地等の特例」が適用できれば、相続税評価額を大幅に減額できるため相続税を減額する効果も大きくなります。

マンションの「家屋」「敷地権」の相続税評価、「小規模宅地等の特例」の適用要件などの詳細は、下記関連記事でご確認ください。

関連記事:マンションの相続税評価額の基本、時価、計算例

マンションを相続、名義変更の費用や必要書類

マンション相続の名義変更

亡くなった人の名義を相続人へ変更する

マンションを相続したら、相続手続きのひとつとしてマンションの名義変更(相続登記)が必要になります。

被相続人(亡くなった方)の名義になっているマンションの登記名義人を、そのマンションを相続した相続人の名義に変更する登記手続きが相続登記です。

親のマンションを兄弟で相続、兄弟のマンションを兄弟で相続、叔父叔母のマンションを姪甥で相続など相続の形態は様々です。

マンションを相続して売却

相続したマンションを売却する場合、被相続名義人のマンションをそのまま第三者に名義変更=所有権移転登記することはできません。

相続人への相続を原因とする所有権移転登記を行なった後に、第三者への所有権移転登記を行なう必要があります。

マンション相続の名義変更に必要な書類等

相続不動産の相続登記

相続不動産の相続登記には、下記の3通りの手続きがあります。

  • 遺言書による相続登記
  • 遺産分割協議による相続登記
  • 法定相続分どおりの相続登記

ここでは、遺産分割協議による相続登記の必要な書類をご案内いたします。

遺産分割協議による相続登記に必要な書類

遺言書が無く、相続人が二人以上いるときは、マンションを誰が所有するかを記入した遺産分割協議書を作成して、有効な遺産分割協議書とするために相続人全員の署名押印をします。

【亡くなられた方(被相続人)の書類】

書類内容、理由
戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本相続人を確定するため、遺産分割協議書に署名押印しているのが相続人全員であることを証明するため、被相続人が生まれた時から亡くなった時までの連続した戸籍謄本が必要。
住民票除票or戸籍附票被相続人を住所、氏名、本籍地で特定をするのに必要。
  • 被相続人必要書類の詳細は、相談員にお気軽にお問い合わせください。
  • 戸籍謄本(1通)は、最後の本籍地のある市町村役場にてご請求ください。
  • 出生時からの除籍謄本(1通)は、市町村役場にお尋ねください。
  • 改正原戸籍謄本(1通)は市町村役場にお尋ねください。

【相続人の書類】

書類内容、理由
戸籍謄本相続人全員の戸籍謄本が必要です。相続開始後に取得したもの。
遺産分割協議書+印鑑証明書相続人全員が署名、実印で押印して、印鑑証明書を付けます。
住民票全部事項証明書に所有者として記載される住所を特定するため。
登記委任状相続登記の手続きを司法書士に委任する場合に必要。
固定資産税評価証明書相続登記にかかる登録免許税を計算するため。
登記済権利証(or登記識別情報通知書)相続登記をおこなうべき不動産を確認するため。

詳しくは、相談員にお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:☎0120-900-881

マンション相続の名義変更にかかる費用

相続登記費用の内訳

相続登記の費用の内訳は、大きく分けると下記の二つになります。

  1. 登録免許税と登記事項証明書や固定資産税評価証明書等の取得費用
  2. 司法書士への報酬

1.登録免許税は、固定資産税評価額に登録免許税の税率0.4%を乗じて算出した金額になります。

2.司法書士への報酬は、個々の司法書士が決定していますので、見積もりを依頼して比較してみましょう。

実際に見積もりするといくら?

【見積書例】

件名件数報酬額登録免許税
1.所有権移転(相続)登記 区分建物160,00057,300
2.遺産分割協議書作成130,000 
    
14.調査・閲覧料・測量図・建物図面 1,000360
15.謄本・抄本・印鑑証明書・資格証明書11,000600
16.市役所証明(戸籍、固定資産税評価証明書)31,0001,250
17.申請・受領 10,000 
小計 103,000/①59,510/②
    
その他の費用/郵送代及び交通費 2,550 
小計 2,550/③ 
合計(①+②+③) 165,060/④ 
消費税(①×10/100) 10,300/⑤ 
差引請求額(④+⑤) 175,360 

上記見積もりは、郊外の3000万円程度のマンション、相続人が2~5人程度を想定して作成したものです。詳しくはお問い合わせください。

ご希望があれば、信頼性は高く、報酬はリーズナブルな、弊社取引先司法書士事務所をご紹介致します。

関連記事:マンションの名義変更、費用や手続き

マンションを相続して売却、税金と費用

譲渡所得と譲渡税(所得税、住民税)の計算方法

譲渡所得(利益部分)の計算方法

譲渡所得(利益部分)=売った金額(売却金額)-買った金額(取得費)-売却にかかった経費(譲渡費用)-特別控除額

【売った金額】

実際に売却した金額

【買った金額】

相続したマンションの場合、被相続人(亡くなった方)が購入した金額を買った金額(取得費)として引き継ぎます。建物は、購入した金額から減価償却相当額を差し引く必要があります。その他取得時の経費を取得費として買った金額(取得費)に含めることが出来ます。

(参考:国税庁|減価償却のあらまし)

(参考:国税庁|建物の取得費の計算)

【譲渡費用】

売却にかかった仲介手数料、印紙代など

【特別控除額】

譲渡所得の金額の計算上、要件に当てはまれば特例として受けられる特例・特典です。

譲渡所得(利益部分)に税率を乗じて税金を計算する

【短期譲渡】マンションを購入してから5年以内の場合

所得税=譲渡所得(利益部分)×30%

復興特別所得税=譲渡所得(利益部分)×0.63%

住民税=譲渡所得(利益部分)×9%

【長期譲渡】マンションを購入してから5年超の場合

所得税=譲渡所得(利益部分)×15%

復興特別所得税=譲渡所得(利益部分)×0.315%

住民税=譲渡所得(利益部分)×5%

【相続によって取得したマンション(資産)の取得の時期】

相続により取得した場合、死亡した人の取得の時期がそのまま所得した人に引き継がれることになります。

親が亡くなって相続したマンションの場合、親がマンションを取得した日から、相続した子供が売却した年の1月1日までを所有期間として長期譲渡所得か短期譲渡所得かを判定することになります。

マンションを相続して売却する時の費用

仲介手数料

一般的なマンションであれば、仲介手数料の上限金額である”売却金額の3%+6万円+消費税”が不動産会社(仲介会社)に支払う手数料相場となっています。

住所変更登記、氏名変更登記、抵当権抹消登記などの登記費用

登記を行なうのに登録免許税と司法書士への報酬等が発生します。

印紙

売買契約書(不動産売却)に貼付する印紙が必要になります。

契約金額本則税率軽減税率
500万円を超え1千万円以下1万円5千円
1千万円を超え5千万円以下2万円1万円
5千万円を超え1億円以下6万円3万円

※軽減税率は平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される、不動産の譲渡(土地や建物、区分所有マンションなどの不動産売却)に関する契約書が対象となります。

(参考:国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置)

不用品の処分費用、引越し費用等

廃棄する不用品の量や内容によって費用が決まります。お見積りやご相談は、信頼できる弊社取引先会社等をご紹介致します。

関連記事:不用品の処分や荷物整理・お引越しのサポートチームメンバー紹介

譲渡所得を減らし、税金が減る特例や特別控除

所得費加算の特例

【特例を受けるための要件】

  • 相続によって財産を取得した人が売却をしたこと
  • その財産を取得した人が相続税を支払っていること
  • その財産を相続税の申告期限から3年以内に売却したこと

譲渡所得(利益部分)=売った金額(売却金額)-(買った金額(取得費)+売却したマンションに対する相続税額)-売却にかかった経費(譲渡費用)

相続税の取得費加算は、支払った相続税のうちのマンション売却に関わる部分に相当する金額を所得費に加算できることで、課税の対象になる譲渡所得(利益部分)を減らすことが出来ます。

(参考:国税庁|相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)

空き家売却の特例(被相続人の居住用財産(空き家)に係わる譲渡所得の特別控除の特例)

マンション(区分所有建物)は適用されませんが、一定の条件を満たす家屋の敷地等を相続して譲渡した場合、譲渡所得(利益部分)から最高3000万円まで控除することが出来ます。

マンションは対象外なので詳細は割愛致しますが、詳しくは国税庁の該当ページをご参照ください。

(参考:国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例)

所得費が不明な場合

取得したのがかなり昔で、取得した金額(取得費)が分からない場合、概算取得費として売った金額(売却金額)の5%と計算することになっています。

5000万円で売った場合、その5%の250万円が所得費となります。

過去の契約書を紛失していても、通帳の出金履歴や分譲時の価格表等、根拠となるものがあれば、その金額を取得費として計上が出来ます。

その金額が5%で計算した金額より高い場合、譲渡所得(利益部分)が減ることで、課税対象額が減り税金が少なくなるので、購入時の取得費を調べてみましょう!

契約書などがあり購入代金が分かる場合は、マンションの購入代金や仲介手数料など取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却を差し引いた金額が取得費となります。

(参考:国税庁|取得費が分からないとき)

参考:国税庁|建物の取得費の計算)

マイホーム(自宅)を売却したときの5つの特例

適用要件に合致すれば、自宅マンションを売却したときに使える5つの特例があります。

【譲渡益が出た場合の特例】

●3000万円の特別控除の特例

譲渡所得(利益部分)から3000万円を控除できる特例です。

親と同居していた子供が相続した後に売却するときや、相続で取得後に子供が自宅として住んだ後に売却したとき等に適用が可能となります。

(参考:国税庁|マイホームを売ったときの特例)

●10年超所有軽減税率の特例

所有期間が10年を超えて、細かい適用要件にも合致していると、税率が軽減されます。

3000万円の特別控除の特例とこの軽減税率の特例は重ねて受けることができます。

【課税譲渡所得6000万円超】

6000万円以下の部分6000万円超の部分
所得税10.21%15.315%
住民税4%5%
合計14.21%20.315%
※所得税には復興特別所得税が加算されています。

(参考:国税庁|マイホームを売ったときの軽減税率の特例)

●特定居住用財産の買換え特例

所有期間が10年を超えるマイホーム(自宅)を売却して、代わりのマイホーム(自宅)に買い換えたときは、譲渡益に対する課税を将来に繰延べすることが出来ます。

(参考:国税庁|特定のマイホームを買い換えたときの特例)

【譲渡損が出た場合の特例】

●居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

(参考:国税庁|マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

●特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

(参考:国税庁|特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

税務署への確定申告及び納税

相続したマンションを売却して譲渡所得に対する譲渡税が発生するときには、その申告手続き、納税手続きを自ら税務署へおこなう必要があります。

手続きは毎年の所得税の確定申告と同様に、売却した年度の2月16日~3月15日におこないます。

(参考:国税庁|平成30年分譲渡所得の申告のしかた(記載例))

マンションを相続して売却、税金の特例

「相続税を取得費に加算する特例」とは?

個人が相続したマンションを、売却する場合、相続時には相続税、売却時は譲渡所得に対する所得税がかかり、短期間のうちに税金の負担が重くなる場合があります。
その負担を軽くするために「相続税を取得費に加算する特例」という税法上の制度があります。
この特例は、相続により取得したマンション等を、一定期間内に売却した場合に、相続税額のうちの一定金額を取得費に加算することができるというものです。相続税額の一部を取得費に加算することで、譲渡所得を減らし所得税の負担を減らすことができます。この手続きは「所得税の確定申告」で行います。
計算式は次のとおりです。

相続するマンションを売却、取得費加算
取得費加算の特例を適用した場合の計算

※上の図では、取得費が増えた分だけ譲渡益が減り譲渡所得が減額していることがわかります。

「相続税を取得費に加算する特例」の適用要件

「相続税を取得費に加算する特例」を適用するためには、次の全ての要件を満たす必要があります。

① 売却したマンションは相続(又は遺贈)により個人が取得した
② 相続税額が確定している
③ 相続財産の課税価格の中に、売却したマンションの相続税評価額が入っている
④ 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却している
⑤ 売却により譲渡益が生じている

各要件のポイントは以下のとおりです。

売却したマンションは相続(又は遺贈)により、個人が取得した

個人つまり自然人(ヒト)が取得したということです。法人が取得した場合にはこの特例は適用できません。法人税の枠組みで計算します。また取得要因は、相続(又は遺贈)でなければなりません。

相続税額が確定している

マンション売却日の属する年分の所得税の納税義務の成立する時点、すなわち原則として売却した年の12月31日時点で相続税額が確定している必要があり、マンションを相続して売却した人が負担していなければなりません。
 相続税額が確定しているかどうかは、通常は相続税の申告期限が、所得税の申告期限よりも前か後かで決まります。以下ではその2つのパターンについての申告手続の違いをみていきます。

(1)相続税の申告→所得税の申告をする場合

 相続税の申告・納税→相続により取得したマンションを売却し、譲渡益が生じた(その年の12/31時点で所得税の納税義務が発生)→翌年の申告期限(通常は3/15)までに、所得税の申告・納税という流れであれば、所得税の確定申告時には既に相続税額が確定しているので、この要件はクリアしています。

(2)所得税の申告→相続税の申告をする場合

相続税の申告が後であるため、所得税の確定申告時点では、相続税の金額が確定しておらず、相続税を取得費に加算する特例の計算ができません。
その場合は、取得費の特例は適用をせずにひとまず所得税の確定申告書を提出し納税します。 その後、相続税の申告書を期限内に提出し納税が済んでから、税務署へ所得税の「更正の請求」という手続きを行うことにより、特例を適用して計算した場合の税金との差額を還付してもらうことになります。

相続財産の課税価格の中に、売却したマンションの相続税評価額が入っている

納付した相続税額のうち、売却したマンションに対応する相続税相当額を取得費に加算するには、相続財産の課税価格の中に、売却したマンションの相続税評価額が入っていることが前提になります。

・相続開始前3年以内に亡くなったかたから受けた贈与により取得したマンションも含みます。

相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却している

相続税取得費加算の適用要件3年10ヶ月

相続開始のあった日の翌日から10か月後が相続税の申告期限ですから、この特例が適用できるのは、相続発生後3年10か月以内に売却したマンションが対象となります。相続開始後3年10ヵ月を過ぎて売却すると、取得費加算の特例は受けられません。
例えば、令和2年5月1日に亡くなった場合は、その翌日の令和2年5月2日から令和6年3月1日までに売却している必要があります。 

売却により譲渡益が生じている

取得費加算の特例を適用して譲渡益が0円の例

譲渡損失が生じている場合には、この特例の適用を受けることはできません。また特例の適用は譲渡益を限度とするため、譲渡所得を0にすることはできますが、マイナスになることはありません。

特例の適用を受けられるか否かについてはチェックシートが便利です。
相続財産を譲渡した場合の相続税額の取得費加算の特例チェックシート

取得費に加算する相続税の計算式

相続するマンションを売却、相続税取得費加算の計算式
【相続税を取得費に加算する特例の計算例】 
Aさんが支払った相続税:4,000万円
Aさんが相続し売却したマンションの相続税評価額:1億円
Aさんの相続財産の課税価格:2億円
債務控除額 なし
相続するマンションを売却、相続税取得費加算の計算式実例

 

※確定申告書を作成する際には「相続税の申告書」の内容を確認しながら、「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」により計算します。
  この用紙は税務署にあります。国税庁のホームページからもダウンロードできます。

【参考条文:措法39条】
 
 
相続したマンションに住む予定がなく空き室のままであっても、固定資産税・管理費・共益費・修繕費等の費用が継続的に生じます。管理の手間や時間もかかるでしょう。さらに人が住まないとなおさら建物が劣化して時の経過と共に財産価値が落ちていきます。収益を生み出さず費用のほうがかかる不動産であれば、できるだけ早めに、相続したマンションを売却して現金化するというのも選択肢のひとつでしょう。

※本内容は令和2年5月31日現在の税制等に基づいて一般的な税法の取扱いを記載しております。税法は改正されることが多く、本内容と異なる取扱いがなされる場合があります。判断が難しい場合やご不明点がある場合等は税務署や税理士に相談することをお勧めします。

空き家を売却し利益が生じた場合の税法の特例

被相続人(亡くなった人)がひとり暮らししていた自宅を相続しても、特に誰も住むこともなく管理もせず放置されている空き家が増えています。このような空き家を売却しやすくするために、被相続人の居住用財産であった空き家を売却して利益(譲渡益)が生じた場合、税法上の特例を適用することにより税額の減額ができる場合があります。空き家(一軒家)が対象となりますので、マンションには使えませんが、是非、知っておきたい制度です。

被相続人の居住用財産であった空き家を売却した場合の3,000万円の特別控除

相続(又は遺贈)により取得した被相続人(亡くなった人)の居住用財産を売却し一定の要件に当てはまるときは、譲渡益から最高3,000万円まで控除できます(措法35条の3)。
 長期譲渡所得、短期譲渡所得のいずれの場合にも適用できます。 

収入金額―(取得費+譲渡費用)―特別控除(3000万円まで)=譲渡所得

3000万円特別控除適用した場合の譲渡所得

特別控除することにより譲渡所得が減る結果、税額も減少します。
 ただし、譲渡益が3,000万円まで満たない場合の特別控除額は、譲渡益の金額が限度となります。

つまり、特別控除の適用により課税所得は0になることがありますが、マイナスになることはありません。

被相続人の居住用財産とは?

「被相続人の居住用財産」とは「被相続人の居住用家屋及び居住用家屋の敷地等」をいいます。

被相続人の居住用家屋とは?

次の全てを満たすものです。

・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
旧耐震基準で建築された家屋
・区分所有建物登記がされている建物でないこと
一軒家等ということ。マンション等は対象になりません
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。被相続人が一人で住んでいたということ
ただし、被相続人が老人ホーム等に入所して亡くなった場合は、入所直前に居住用に供していた家屋(従前居住用家屋)について、こちらの要件を満たせば適用できます。
国税庁「被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」

被相続人居住用家屋の敷地等とは?

「被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利」をいいます。

適用のポイント

被相続人居住用家屋の敷地の適用ポイント

①取得要因は相続又は遺贈であること

②売却した人が被相続人居住用家屋及びその敷地の両方を取得していたこと
→いずれかのみを取得した場合は、適用できません
③相続の開始があった日から3年目にあたる年の12月31日までに売却すること

④家屋に被相続人の同居人又は賃借人がいなかったこと

⑤相続時から売却時まで、事業用、貸付用、居住用として使用していないこと

⑥譲渡価額が1億円を超えないこと

⑦配偶者、直系血族(父、母、子、孫等)その他生計を一にする親族などや同族会社などに売却したものでないこと

⑧売却時に次のいずれかに該当していること

(1)家屋が耐震基準を満たしていた
(2)家屋が耐震基準を満たすための耐震リフォームをした
(3)家屋を取り壊し更地にした

⑨相続税を取得費に加算する特例等の適用を重ねて受けることはできません。
相続税の取得費加算の特例についてはこちらをご覧ください→「相続したマンションを売却した場合の税金の特例」

相続空き家の特例についてのQ&A

Q1 相続税額が0円の場合にも使えますか?
A  使えます

Q2. 被相続人が老人ホームで亡くなりましたが、入居前はひとりで居住していた空き家については使えますか?
A  要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定の事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは使えます。適用要件についてはこちらをご覧ください。→国税庁「被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」

Q3 同年に、自宅マンションを売却しました。自宅マンションの3,000万円の特別控除と空き家の3,000万円特別控除は、同じ年に適用できますか?
A  適用できます。ただし、両方を合計して3,000万円までしか控除できません。

Q4 昨年、自宅マンションを売却し3000万円の特別控除を適用しました。今年、相続した空き家について3,000万円特別控除は受けられますか?
A  適用できます。

Q5 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)との併用はできますか?
A.  できます。

Q6 相続した空き家と敷地を相続人AとBの共有で相続しました。売却した場合、3,000万円控除はどうなりますか?
A. AとBは各自、3,000万円特別控除を適用できます。

3000万円特別控除適用例

Q7 相続した空き家の家屋は相続人Aが相続し、敷地はAとB共有で相続しました。これらを売却した場合の3,000万円特別控除はどうなりますか?
A  Aは適用できますが、Bは適用できません。本特例は、家屋及びその敷地の両方を取得していなければ適用できません。

3000万円特別控除適用例②


                                   【参考条文:措法35条3項】

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の適用要件についてはこちらをご覧ください。 
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
特例の適用を受けられるか否かの確認にはチェックシートが便利です。
被相続人の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例チェックシート 

※本内容は令和2年5月31日現在の税制等に基づいて一般的な税法の取扱いを記載しております。税法は改正されることが多く、本内容と異なる取扱いがなされる場合があります。判断が難しい場合やご不明点がある場合等は税務署や税理士に相談することをお勧めします。

相続した古いマンションのおすすめ売却方法

古いマンションでも早期に売却が確定可能

マンションが古くお部屋の状態が悪いと、一般の個人の買主を探す「仲介」では、売却に時間がかかることがあります。家具や荷物が多いと個人のお客様は生活のイメージがし難く、同様に売却に時間がかかることがあります。

東京テアトルの「直接買取」であれば、下記のようなマンションでも早く、手間なく、お部屋はそのままの状態ご売却いただくことが出来ます。
  • マンションが古いので水回りなどに故障や不具合がある
  • 長年住んでいたので汚れや破損が箇所が多い
  • 空き家になって年数が経過しているので不具合が心配
  • 所有者が室内で孤独死
  • 相続したマンションが住まいから遠方

売却相談、査定は無料

価格の査定や売却のご相談は無料です。

他社様の査定額や当初の売却価格設定に対する疑問、一括査定の査定価格に幅があり逆に悩んでいるなど、何でもお気軽にご相談、お問い合わせください。

関連記事:東京テアトルの直接買取

関連記事:直接買取と仲介のメリットデメリット

お問い合わせ先:☎0120-900-881

※実際の相続手続き、納税額や納税、譲渡所得の計算や申告などは、必要に応じて弁護士、司法書士、税理士等と十分にご相談の上、ご自身の責任においてご対応くださいますようお願い致します。

マンション相続の手続き、相続税や評価額、売却までの税金まとめ

マンション相続の手続き・流れは?

マンションなどを相続する場合、最初にすることは遺言書の有無の確認です。

続いて相続人の調査・確認、遺産(負債)の確認という流れになります。

マンション相続の手続き・流れの詳しくはこちらをご覧ください。

マンション相続、名義変更の費用や必要書類は?

郊外3000万円程度のマンション、相続人が2~5人程度の名義変更費用は、17万円~20万円程度です。

マンション相続、名義変更の費用や必要書類の詳しくはこちらをご覧ください。

マンションを相続、相続税はいくら?

親のマンションと預金を相続した場合など、相続税がかかってくるか気になるところです。

相続税には基礎控除があります。相続財産総額をこの基礎控除が超えなければ相続税は発生しません。

マンションなどを相続する時の相続税の詳しくはこちらをご覧ください。

マンションを相続して売却、税金はいくら?

売却益(譲渡所得)が生じる場合、所得税や住民税などの税金がかかります。

税金以外の費用として、仲介手数料、登記費用、印紙代などの費用が発生します。

マンションを相続して売却、かかる税金や費用の詳しくはこちらをご覧ください。

森田学
(執筆)

森田 学

宅地建物取引士。1999年東京テアトル株式会社に入社。映画館の運営スタッフ業務、「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、マンション買取再販を担当し現在に至る。

マンションのご売却はご不明な点も多く、不安をお感じの方もいらっしゃるかと存じます。

弊社は、マンション専門に年間200件超を買取、独自メソッドによる査定で築古物件でも高値買取致します。