マンションの名義変更、費用や手続き

カテゴリ:マンション売却の手続き・ノウハウ
投稿日:2021.01.28

マンションの名義変更、費用や手続き

マンションの名義変更費用はいくら?相続するマンションの名義変更手続きは誰に頼む?名義変更しないと何か不都合はある?

マンションなど不動産の名義変更が必要な局面にそんなにたくさんは遭遇しないので、いざ名義変更となると何をしたらいいか分からない、と困っている方も多いと思います。

マンションなどの不動産を購入(売買)した時の名義変更は、物件の紹介をしてくれた不動産会社(仲介業者)又は融資借入先の銀行などが司法書士を手配してサポートしてくれるので問題なく手続きが進みます。

この記事では、不動産の売買(購入)以外の遺産相続、財産分与、生前贈与など名義変更が必要なケースについても、なるべく簡単に解説していきます。

マンションの名義変更とは?

マンションなど不動産の名義変更

マンションなど不動産の名義変更は、登記簿に記載される不動産の所有者の登記の名義を実態法上の権利変動に伴い、変更する手続きのことです。

詳しくは後述しますが、名義変更はマンションなど不動産を売買、相続、財産分与、生前贈与などをした時におこないます。

登記簿に名義が記載(登記)されることで、当該不動産の所有者が自分であると第三者に所有権を対抗できるようになります。

名義変更をしないと当事者以外の第三者へ自らの権利を対抗できないというリスクが生じるので、売買や相続などで不動産の所有者が変わった場合は、速やかに名義変更をおこなうことが必要です。

登記とは?

法務省のホームページによると「不動産登記」とは、不動産の現状と権利関係を登記簿に記録して公示する制度とあります。

登記には、「不動産登記」の他に「商業・法人登記」「債権譲渡登記」「成年後見登記」などがあります。

参考記事:登記 -不動産登記-|法務省

登記簿、登記簿謄本には何が記載されている?

登記簿は、土地と建物に分けられ、表題部と権利部(甲区と乙区)で構成されています。

マンション(建物)の登記簿謄本(登記事項証明書)の表題部には、家屋番号、構造、床面積などの不動産の物理的な現状が記載されています。

甲区には所有権(誰が所有しているか、並びに所有権の権利変動の経緯)に関する事項が、乙区には所有権以外の権利(抵当権など)が記載されています。

甲区

甲区は、土地や建物の現在の所有者(名義が誰か)や過去の所有者が記載されています。

上の登記簿謄本(登記事項証明書)では、甲区1番に記載の松興産業株式会社が過去の所有者、次の甲区2番に記載されている東京テアトル株式会社が現在の所有者になります。

この所有権移転の登記が、「マンションの名義変更」の具体的な手続きになります。(所有者が松興産業株式会社から東京テアトル株式会社に名義変更)

乙区

乙区は、当該不動産に対して誰がどんな所有権以外の権利を持っているのか記載されています。上の登記簿謄本(登記事項証明書)では、乙区に住宅金融公庫(住宅金融支援機構)の抵当権が平成12年1月17日に設定されています。

順位番号2の箇所に記載の通り、この抵当権は平成20年3月7日の弁済により抵当権が抹消されています。(順位番号1のように抹消された箇所には、下線が引かれます)

登記簿謄本と登記事項証明書の違いは?

登記簿謄本と登記事項証明書に違いはあるのでしょうか?

登記簿謄本と登記事項証明書は同じもので、正式名称は「全部事項証明書」です。

以前の登記情報は、紙に記載されていて、その記載された書類をまとめたものが登記簿、その登記簿を写し取ったものが登記簿謄本でした。

現在の登記情報は、紙の登記簿でなく登記記録というデータで記録されていて、そのデータから登記情報の証明書を発行するようになったので、名称が登記事項証明書に変更となっています。

不動産売買の名義変更

マンションなどの不動産を売買するとき、所有者が変わるので名義変更が必要になります。

あなたが売主の場合は、所有者であるあなたの名義から新しい所有者になる買主の名義へと変更します。

あなたが買主の場合は、所有者である売主の名義から新しい所有者となる自分の名義に変更が必要です。

前述しましたが一般的な売買の場合、不動産会社(仲介業者)が司法書士を紹介してくれます。その司法書士が、マンションなどの不動産の決済日(※)に名義変更、所有権移転の登記をおこなってくれます。

決済日:買主が売主に売買代金を全額支払い、売主が買主に鍵や部屋を引渡しする日。併せて管理費等と固定資産税の清算も行います。

遺産相続の名義変更

マンションなどの不動産を所有していた所有者が亡くなって相続が発生した場合、その不動産を相続する相続人へ名義変更をします。

誰が何をいくら相続するかは、遺言があれば原則的に遺言の内容にしたがって相続登記または遺贈登記をすることになります。

遺言が無い場合は、遺産分割協議(※)による相続登記か法定相続分どおりの相続登記かになります。

相続人が複数人いる場合、遺産分割協議を行ない、遺産分割協議書を作成して相続登記を行います。

前述した不動産売買のケースと違い、司法書士を自分で探して、相続登記を自分で依頼する必要があります。

遺産分割協議:遺産を相談して分ける時に行うのが遺産分割協議です。遺産分割協議は、相続人全員が参加して協議をしなければなりません。また遺産分割協議の結果は、書類として残すのが一般的です。この書類を「遺産分割協議書」といいます。

財産分与の名義変更

離婚をする際に、婚姻生活中に夫婦が共同して築いた財産を分配するのが財産分与です。

財産分与でマンションなど不動産の名義変更が必要になるケースは、夫婦でマンションを共有していた場合と、マンションの所有者である夫から妻へか、妻から夫へ名義を変更する場合が考えられます。

住宅ローンを誰がどう借りているか、どちらが住宅ローンを支払うか、夫婦のどちらがそのマンションに住み続けるか、或いは売却をするのかなどによって必要な名義変更は変わってきます。

一般的に名義変更の手続きは、前述してきたように専門家である司法書士に依頼することになります。

生前贈与の名義変更

相続税対策のひとつに(相続対策でない場もありますが)生前贈与があります。

贈与により所有者が変わるので、名義変更が必要になります。

相続登記と同様に、司法書士を自分で探し、名義変更の登記申請を依頼する必要があります。

不動産のような高額な財産の生前贈与は判断が難しいので、専門家に相談するなど慎重に行う必要があります。

マンションの名義変更に必要な書類

不動産売買の場合

買主(新しい名義人)の必要書類と用意するもの

  • 住民票
  • 認印(実印でも可ですが、実印である必要はありません)
  • 身分証明(本人確認書類)

売主(元の名義人)の必要書類と用意するもの

  • 印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書(※1)
  • 登記済証(権利証)又は登記識別情報通知(※2)
  • 売買契約書(売主、買主どちらかが用意)
  • 実印
  • 身分証明(本人確認書類)

※1:固定資産評価証明書は、東京23区に所在する不動産の場合は都税事務所、東京23区以外に所在する不動産の場合は所在地の市区町村の役所で取得できます。固定資産評価証明書は、名義変更をする際に課税される「登録免許税」を計算するときに使用します。

※2:登記識別情報は、平成17年の不動産登記法改正により、それまでの登記済証(権利証)に代わって導入された制度です。登記識別情報は、登記識別情報通知という書面に印字され目隠しシールが貼られた状態で交付されます。

司法書士が用意するもの

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報
  • 委任状

相続の場合(所有者の死亡)

被相続人(亡くなった方)の必要書類

  • 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍(出生から死亡までの連続したもの)
  • 住民票の附票または戸籍の附票(登記簿上の住所、本籍地記載あるもの)

相続人の必要書類

  • 戸籍謄本(法定相続人全員の現在のもの)
  • 住民票(新たに名義人になる方のもの)
  • 固定資産評価証明書(名義変更年度分)
  • 相続関係説明図
  • 身分証明書(本人確認書類)

ケースにより必要な書類と用意が必要なもの❶

  • 遺産分割協議書(法定相続分どおりの相続登記をしない)(※1)
  • 印鑑証明書(法定相続分どおりの名義変更、相続登記をしない)
  • 遺言書、検認調書(遺言があり遺言の内容にしたがって名義変更する)
  • 固定資産評価証明書

ケースにより必要な書類と用意が必要なもの❷

※1:相続人全員の遺産分割協議を行ない合意が得られたら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印して相続人全員分の印鑑証明書も添付します。

司法書士が用意するもの

  • 委任状
当事者のご用意が難しい場合、司法書士が被相続人及び相続人の必要書類を職務上請求が可能です。

財産分与の場合(夫婦の離婚)

新しい名義人(名義を変更されるひと)の必要書類と用意するもの

  • 住民票
  • 認印
  • 身分証明(本人確認書類)

元の名義人(名義を変更するひと)の必要書類と用意するもの

  • 印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 戸籍謄本(離婚が分かる書類として、二人のどちらかが用意)
  • 登記済証(権利証)又は登記識別情報通知
  • 登記原因証明情報(離婚の審判書又は調停調書、財産分与契約書など)
  • 実印
  • 身分証明(本人確認書類)

司法書士が用意するもの

  • 委任状
協議離婚の場合は、審判書又は調停調書がないため、司法書士が登記原因証明情報を作成します。

生前贈与の場合(親子・孫、夫婦間)

受贈者(譲り受けるひと)が用意する書類等

  • 住民票
  • 身分証明書(本人確認書類)

贈与者(譲り渡すひと)が用意する書類等

  • 登記済証(権利証)又は登記識別情報通知
  • 印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記原因証書(贈与契約書、贈与証書など)
  • 身分証明書(本人確認書類)

司法書士が用意するもの

  • 委任状

マンションの名義変更にかかる費用

マンションなど不動産の名義変更手続きにかかる費用は、大きく以下の3つ。

  • 登録免許税
  • 司法書士に支払う報酬
  • 登記事項証明書等の取得費用

ここからは、それぞれの概要や金額について詳しく解説します。

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記申請(名義変更)について課税されます。名義を取得する登記権利者が納税義務者になり、法務局に登記申請する際に納付をします。

司法書士に登記申請を依頼する場合、決済時に司法書士へ登録免許税を預けて、司法書士が法務局で納付をするのが一般的です。

名義変更の内容によって登録免許税の税率が異なります。

前述してきましたが、代金を受領して不動産を売る場合は「売買」、所有者が亡くなって相続人への名義変更の場合は「相続」、夫婦が離婚する際の財産の分配による場合は「財産分与」、相続税対策など不動産を無償であげる場合は「贈与」に該当します。

税率

内容課税標準税率軽減税率等
売買不動産の評価1000分の20土地1000分の15※
相続不動産の評価1000分の4
財産分与(離婚)不動産の評価1000分の20
贈与不動産の評価1000分の20
※令和3年3月31日までの間に登記を受ける場合、1000分の15

前述してきましたが、課税標準となる「不動産の価格」は、固定資産評価証明書にある固定資産評価額となります。(固定資産課税台帳に登録された価格のない土地や建物を除く)

登録免許税

不動産の評価売買相続離婚贈与
100万円2万円4千円2万円2万円
500万円10万円2万円10万円10万円
1000万円20万円4万円20万円20万円
2000万円40万円8万円40万円40万円
5000万円100万円20万円100万円100万円
1億円200万円40万円200万円200万円

所有者不明土地の問題が取り上げられていますが、その対策として「相続による土地の所有権移転に対する登録免許税の免税措置」が設けられています。詳細は下記参考記事をご参照ください。

「売買」で住宅用家屋を取得した場合、軽減税率を受けられるケースがあります。こちらも詳細は下記参考記事でご確認ください。

参考記事:登録免許税の税額表│国税庁

司法書士への報酬

名義変更の登記を司法書士に依頼した場合、司法書士に支払う報酬額は一律ではありません。報酬額は司法書士が各司法書士事務所の規定により任意に決められます。

司法書士への報酬額は、現在の登記名義の状態や名義変更手続きの内容、作業量によって上下しますが、目安としては10万円前後〜20万円程度になります。

登記事項証明書等の取得費用

名義変更に必要な証明書等の発行手数料(目安)は下記の通りです。

登記事項証明書600円法務局
住民票300円役所
戸籍謄本450円役所
戸籍附票300円役所
印鑑証明書300円役所
固定資産評価証明400円都税事務所、役所
※手数料は、区役所・市役所等、発行方法(窓口、オンライン、郵送)によって異なります。

名義変更の具体的な見積り例

不動産の評価が約3000万円のマンションの相続登記の見積り例になります。

見積りには、遺産分割協議書の作成や必要書類の取得費用も含まれています。

相続登記見積り例

マンションの名義変更見積り例

名義変更をしないデメリット・リスク

売却などができない

名義変更をしないとマンションなど不動産を売却したり、貸したり、担保に入れて融資を受けたり(抵当権設定)ができません。売却や担保設定をするには名義変更が不可欠です。

権利が不安定になる

民法177条では、不動産物権変動について下記のように規定しています。

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

参考記事:司法書士試験攻略

簡単に言うと、不動産を取得したときには、所有権の移転登記をしないと、第三者に自分の所有権を主張できないということです。

自分が登記する前に、他の誰かが権利を取得したという登記を済ませてしまうと、所有権を主張できず所有権を失うことになってしまいます。

相続登記を放置すると

マンションなどの不動産を所有していた所有者が亡くなって相続が発生したけど、相続人へ名義変更をしないで放置しているとどんなデメリットが考えられるでしょうか。

放置している間に相続人が亡くなると、亡くなった方の相続が発生(数次相続)して、相続人が増えることになります。

相続人が増えると意見の相違が起こり易くなります。前述した遺産分割協議(遺産の分け方の話し合い)がまとまり難くなります。

参考記事:数字相続による相続登記|千葉いなげ司法書士事務所

マンションなどの不動産を購入したら

一般的なマンション売買の場合

代金決済日、一般的には司法書士が立ち会い、司法書士が本物の売主なのか本人確認をして、登記に必要な書類が揃っているか確認をした後に、残代金の支払い、鍵の引渡しなどをおこないます。

前述のようなトラブルが起きないように、司法書士は、売買代金全額の支払い(決済)と同日に所有権の移転登記の申請をおこないます。

マンションの名義変更、費用や手続きまとめ

記事の要点、ポイント

名義変更の流れや費用などについてご理解を頂けたでしょうか?

記事の要点の確認してみましょう!

名義変更って何?

マンションなど不動産の名義変更は、登記簿に記載される不動産の所有者の登記の名義を変更する手続きのことです。詳しくは「マンションの名義変更とは?」をご覧ください。

名義変更が必要なケースは?

マンションなど不動産を売買、相続、財産分与、生前贈与などをした時に名義変更が必要になります。詳しくは「マンションの名義変更、不動産売買」「相続」「財産分与」「生前贈与」をご覧ください。

名義変更の費用の内訳は?

マンションなど不動産の名義変更手続きにかかる費用は、大きく分けると登録免許税や登記事項証明書等の取得費用などの実費と司法書士に支払う報酬になります。詳しくは「マンションの名義変更の費用は?」をご覧ください。

名義変更をしないデメリット、リスクは?

デメリット、リスクは下記の通りです。

  • 売却などができない
  • 第三者に自分の所有権を主張できない
  • 相続の話し合いがまとまり難くなる

詳しくは、「名義変更をしないデメリット、リスク」をご覧ください。

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マンション売却相談センター(東京テアトル)0120-900-881


(記事監修)
司法書士 林 美樹
【リーガルサポート会員番号 3112795】

2009年11月 司法書士試験合格
2009年11月 司法書士法人事務所勤務
2010年  9月 辰巳法律研究所 講師
2011年  3月 林美樹司法書士事務所開設
司法書士 林 美樹
司法書士の使命は、国民の権利の擁護と公正な社会の実現にあります。
信義に基づき、公正かつ誠実に職務を行うため、法令及び実務に精通し、皆様のお役に立てます様に、鋭意努力させて頂きます