老後の住み替えはマンション?戸建て?後悔しない住まい選びと資金計画

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.04.06

老後の住み替えはマンション?戸建て?後悔しないための住まい選びと資金計画

老後の住み替えについて考える際、マンションや戸建てを購入したばかりの頃は大半の方が「このマイホームを終の棲家に」と思うでしょう。

しかしながら、老後は家族構成やライフステージが変化するため、住み替えをするケースが少なくありません。

ここでは、後悔しない老後の住み替えでの住まい選びのために、マンションや戸建てなど住み替え先ごとのメリット・デメリット、また資金計画におけるポイントなどについて解説していきます。

東京テアトルは、中古マンションの高値買取に自信があります。

  1. ・最短5日、期限までに確実に現金化可能
  2. ・不要な家具はそのままで手軽に売却
  3. ・売却後のトラブルの心配ゼロ

マンションの買取なら東京テアトルまでご相談ください!

この記事でわかること
  1. 老後に住み替えをするのにベストなタイミング
  2. 老後の住み替え先の種類
  3. 老後の住み替え先の種類ごとのメリットデメリット
  4. 老後の住み替え資金のやりくり方法
  5. 老後の住み替えのための資金計画のコツ

老後の住み替えのタイミングは?

実際に住み替えを行う方が多くなるタイミングとは、いつなのでしょうか。

国土交通省の2021年度住宅市場動向調査資料では、住み替えをした年齢層の動向が示されています。

住宅の二次取得者(2回目以上の取得となる世帯)の世帯主の年齢は、分譲戸建住宅以外で50歳代~60歳代の世帯主が中心であることがわかります。

50歳代~60歳代の世帯主を住宅の種類別にみてみましょう。

注文住宅への住み替えは全体の74.5%、中古マンションへの住み替えは全体の67.9%、分譲マンションへの住み替えは全体の65.8%を占めています。

世帯主の年齢_二次取得者202203

参考:国土交通省|令和3年度 住宅市場動向調査書 世帯主の年齢 二次取得者

50代~60代以降の暮らしは、子どもの独立、リタイアやセミリタイアで自分の時間に余裕ができる時期です。

そのため、今の住まいの状況、健康状態などから老後の住み替えについて考える良い機会が多いといえます。

これらのデータから、以下の4つが「老後の住み替えのきっかけとなるタイミング」であるといえます。

  • 定年退職
  • 子供の独立
  • 住まいの老朽化
  • バリアフリー需要

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

定年退職

定年退職はライフステージが大きく変わることから、住み替えのタイミングとして検討する方も多くいらっしゃいます。

一般的にファミリー層がマイホームを購入する際は、通勤や通学の利便性を優先して考慮することが多いです。

しかしながら、定年退職した後の住まいでは、通勤のしやすさを考える必要はありません。そのため、自分の希望するエリアや子供が住んでいる地域への引っ越しも容易になります。

また、駅からの距離は遠くてもスーパーやコンビニ、病院、郵便局や銀行などが近い、といった「日々の生活の利便性が高い場所」に住み替えることも選択肢になります。

子供の独立

子供が独立して子供部屋が不要になり、夫婦2人になった生活では今の家が広過ぎて掃除や管理が大変、といった理由から、住み替えを考えるケースがあります。

もう使用しない品々や多すぎる道具などから厳選して手元に残し、夫婦2人の暮らしに合わせて住環境もダウンサイジングします。

丁度良い広さの住まいに移れば、掃除や管理の手間の軽減のみならず、光熱費の節約も期待できます。

住まいの老朽化

住まいの老朽化を理由に住み替えを行う方も多いようです。

老後に備えるためには住居の補修や耐震補強、バリアフリー化など、リフォームが必要になることもあります。しかしながら、老朽化していると費用がその分高額になってしまいます。住まいの老朽化で大規模な修繕が必要な場合、住み替えた方が費用を抑えられることもあります。

バリアフリー需要

持ち家にバリアフリー化のリフォームを施すより「バリアフリー物件」に住み替える、という選択をする方もいます。

特に自宅が戸建の場合は、部屋数が多いためリフォーム範囲も広くなり、費用や工事期間がかかるためです。

老後に備えて早めにバリアフリー化するご家庭もありますが、リフォームや住み替えにかかる費用を比較しながら検討する必要があります。

老後の住み替え先・物件ごとのメリットとデメリット

住み替え先としては、どのようなお住まいをお考えでしょうか?ここでは、以下のような物件ごとの住み替えによるメリット・デメリットや注意点をご紹介します。

  • 分譲マンション
  • 賃貸マンション
  • 実家に住み替え
  • 子どもと同居(近居、隣居)
  • シニア向け住宅

一つずつ見ていきましょう。

分譲マンション

子供が独立した後は、夫婦2人分の居住スペース、あとは客人用の部屋があればまず十分ですので、一戸建てよりもコンパクトな分譲マンションへ住まいを移すという選択肢もあります。

分譲マンションに住み替える場合のメリットとデメリット、注意点を以下の表にまとめました。

分譲マンションのメリット ダウンサイジング化により掃除や管理の範囲が減る
2階建から住み替えの場合、室内移動の高低差が解消する
セキュリティ面での安心感
駅近物件であれば交通の便が良くなる
分譲マンションのデメリット 古くなった一戸建よりも固定資産税が高くなりやすい
管理費や修繕積立金等のランニングコストが生涯必要となる
ペット不可や大型犬禁止等の物件もある

分譲マンションへの住み替えにあたって重要なことは、

管理費などのランニングコストがどれくらいかかるのかを把握すること

立地やペット飼育、駐車場利用などを含めた希望条件を明確にしておくこと

の2点です。

賃貸マンション

相続によって、子供や親族に負担がかかったりトラブルになるのを避けたいという思いから、賃貸マンションへの住み替えを検討される方もいらっしゃいます。

賃貸マンションに住み替える場合のメリットとデメリットを以下の表にまとめました。

賃貸マンションのメリット 初期費用の負担が少ない
不動産所有の税金や管理費用が発生しない
住み替えや引越しがしやすい
賃貸マンションのデメリット 資産として残らない
毎月家賃が発生する
リフォームができない
賃貸人の都合で賃貸契約を継続できない場合がある
高齢の場合は賃貸物件を借りるのが困難

賃貸マンションは、初期費用の負担は少なく済みますが賃貸人の都合で賃貸契約を継続できない場合があります。

安定した給与所得があれば別の賃貸物件に住み替えるのも容易ですが、給与所得がない場合は容易ではありません。

実家への住み替え

実家に戻って住もうとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実家への住み替えの場合、親との同居か、空室の実家なのか、バリアフリー化を含めリフォームが必要かどうかなど、条件によってすべきことが大きく変わってきます。

周囲の環境が自分のライフスタイルに合っているかも重要です。築年数が経過した住宅にそのまま住むのであれば暮らしにくさを感じるかもしれません。

今は健康であったとしても、先々を考えると元気なうちにバリアフリー化しておけば、将来の負担が軽減できます。

子供と同居

老後の住み替えとして、持ち家を二世帯住宅にリフォームして子世帯と同居する、独立した子どもの家に同居させてもらうなどの方法もあります。

その場合のメリットとデメリットを以下にまとめました。

同居のメリット 親世帯、子世帯がお互いに助け合えるので安心感が高い
二世帯住宅にリフォームした場合はバリアフリー構造となるので安全
同居のデメリット お互いに干渉しすぎないよう配慮が必要
玄関以外に水回り等の設備等も2つずつの配置がベスト
将来、二世帯住宅の物件は売却するのが難しい

老後の生活においては、様子をすぐ確認できる環境が整うことで、互いに安心することができますが、同居の場合だと抵抗感を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また最近では、同居以外の選択肢として「近居」や「隣居」という言葉も耳にするようになりました。

近居とは、「近くに居る」という字の通り、自転車、車、公共交通機関などを使って、比較的気軽に行き来ができる近さに親世帯と子世帯が住むことを言います。

お互いに行き来がしやすく、何かあったときに助け合える距離でありながら、ある程度の距離感を保ちたいというご家族に近居は最適です。

この近居は、行政も奨励しています。品川区では「親元近居支援事業」の一環として転居費用に応じてポイントを交付、ポイントは区内で使える商品券などと交換できます。

参考:品川区|親元近居支援事業

墨田区では子育て世帯(義務教育修了前のお子さんがいる世帯)が親世帯と同居又は近居するため、新たに住宅を取得した場合、その費用の一部を助成しています。

また、この助成制度の利用と併せて住宅金融支援機構の【フラット35】を利用する場合は、一定期間、借入金利の引き下げを受けることができます。

参考:墨田区|墨田区三世代同居・近居住宅取得支援制度

お互いの世帯が行き来しやすい距離であることという以外は特に条件がないため、住む場所の選択肢が多いのが近居のメリットと言えます。

一方で隣居とは字の通り、隣同士に親世帯と子世帯が住むことを言います。

同居は難しいけど「スープの冷めない距離」くらいの近くに住みたい、という方に、隣居は最適といえます。

同じ建物の設備を使いながら居室やキッチンなどを別にしたり、世帯を建物の左右や上下のフロアなどで分けたりする「二世帯住宅」とは違い、隣居は建物が別になります。

シニア向け住宅

シニア向けの住宅とは、シニアが自立して暮らしを送ることができる分譲マンションや賃貸マンション(サービス付き高齢者向け住宅)です。

居住には年齢制限があるのも特徴の1つで、中には必要があれば介護サービスを受けられるという物件もあります。

シニア向け住宅は、シングルの男性や女性、ご夫婦など世帯形態に合った物件が選択できます。

ただし要介護の度合いによっては他の高齢者施設への転居が必要になる可能性もあります。

メリットとデメリットを表にまとめました。

シニア向け住宅のメリット 徹底したバリアフリー構造で安心感が高い
いざという時にも食事や介護等のサービスを依頼できる
マンション居住者はシニア世代のみなので気兼ねなく住める
交流サロン等の活動が盛んで人間関係を築きやすい
シニア向け住宅のデメリット 中介護・重介護が必要と判断されると転居の可能性がある
通常のマンションよりも管理費が高い
物件数が少ないため、空きを見つけることが難しい
分譲マンションの場合、居住者の年齢制限により、子供が相続しても居住できず、売却もしにくい

関連記事:マンション売却して老人ホーム等に住み替え

関連記事:老人ホームの種類と特徴、費用相場や選び方をプロが解説

老後の住み替え、資金計画のための6つの手段

老後の住み替えで後悔しないためには、無理のない資金計画を立てることが重要です。

ここでは、資金計画を立てるための具体的な手段を6つご紹介します。

  1. 退職金や貯金を購入費用に充当する
  2. 住宅ローンを利用する
  3. リースバックを利用する
  4. リバースモーゲージを利用する
  5. 持ち家の賃貸収入を購入費用に充当する
  6. 持ち家を売却して購入費用に充当する

それぞれの方法について、詳しく解説していきます。

1.退職金や貯金を購入費用に充当する

手元にある退職金や貯金などの自己資金をそのまま購入費用に充当する方法は、住み替えの中でも一番シンプルな方法で、金融機関の融資を受ける必要もありません。

ただし、老後は医療機関にかかる可能性がますます高くなってきますから、住み替えに退職金や貯金をすべて使ってしまうわけにはいきません。

年金を受けとる前に、毎年定期的に郵送で届く「ねんきん定期便」を確認し、年金受給時の収入額や年金の受給見込み額を把握しておきましょう。

そこから生活費がどのくらいかかるのかを考えれば、退職金や貯金から住み替えでいくらまで使えるのか把握できます。

「ねんきん定期便」については、登録手続きが必要ですが、下記サイトでも確認できます。

参考:日本年金機構|電子版「ねんきん定期便」

2.住宅ローンを利用する

老後のお住まいの購入で住宅ローンを利用するにあたり、「住み替えたいけど、ローンが通るだろうか」「ローンは組めるのは何歳まで?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

年齢の若い時と比較すると住宅ローンの借入期間はやはり短くなります。

例えば、住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による住宅ローン「フラット35」の場合で見てみましょう。

フラット35は借入期間を35年、または「80歳-住宅ローン申し込み時の年齢(1年未満切り上げ)」のいずれか短い方、かつ15年以上と設定しています。

したがって65歳を超えてしまうと住宅ローンの融資を受けることができず、高いハードルとなります。

頭金の額を多くするという方法もありますが、子供に家を残したい方、自己資金が少ない方は以下でご紹介する

  • 親子リレーローン
  • ぺアローン

の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

親子リレーローンとは

親子リレーローンは、親子で1つの住宅に対してローンを契約し、二世代でローンを返済していく仕組みです。

始めは親がローンを返済し、定年退職や収入減により一定の年齢に達した場合や親が亡くなった場合に子供が返済を引き継ぎます。

親子リレー返済を利用する場合は、後継者の年齢を基準とするため、65歳以上でもローンの契約が可能です。

「親と子でペアローン」との違いは、ペアローンが2本の契約になるのに対し親子リレーローンは契約が1本となります。

注意点は、親と子の両方で団体信用生命保険の加入をするかどうかは金融機関によって対応が異なる、ということです。

親が団体信用生命保険に加入している場合、亡くなった時に保険金をもとにローンが完済されます。

しかし加入していない場合はローンを子供が返済していく形になり、支払いが困難になるケースがあります。

健康上の理由や金融機関の契約内容により、親が団体信用生命保険に加入できない場合には注意が必要です。

ペアローンとは

ペアローンは、夫婦や親子で収入を合算し、1つの物件に対して2人でローンの契約を行い、お互いが連帯保証人となる仕組みです。

それぞれ別名義の住宅ローンとなるため、事務手数料が2倍かかりますが、住宅ローン控除も1人ずつ利用できます。

ペアローンを契約すると、夫婦または親子二人とも団体信用生命保険に加入する事になります。

ただしどちらかの健康状態が良好でなく加入できない際はペアローンを組めない可能性があります。

金融機関の中には、対象者の要件が親子で同居必須、または同居予定であることを条件としていることがあります。

また、収入が親子どちらかではなく双方で一定の要件を満たしていない場合ローンを組めないというケースもあります。

金融機関に問い合わせ、現在の状況からどのようなローンが検討できるのか確認してみましょう。

参考:住宅金融支援機構【フラット35】|親子リレー返済

参考:新生銀行|住宅ローンには親子ローンという選択も!メリットとデメリットとは?

3.リースバックを利用する

リースバックとは、自宅を不動産会社などへ売却し、その後も賃貸という形で同じ家に住み続けられる不動産取引のことです。

自宅を売却して得た資金は、使い道に制限がなく、老後資金として自由にお使いいただけます。夫婦の生活費や医療費などの備えにすることも可能です。

また、持ち家を現金化しておけば、複数の相続人がいても資産を分配しやすくなります。

賃貸であるため、固定資産税や都市計画税などの税金の負担はありません。

住み替えにあたって、新居購入資金確定の時間もかかるし仮住まいを探すのも面倒、という方に向けた「住み替えサポートのリースバックシステム」を提供している金融機関や買取業者もあります。

買取業者は、自宅を売却後最長2年まで居住可能、としている会社が多いようです。

参考:株式会社セゾンファンデックス|利用事例 住み替えのため-事例1

参考:大成有楽不動産販売株式会社|リースバックサービス

4.リバースモーゲージを利用する

リバースモーゲージとは、自宅を担保に生活資金を借入れし、持ち家に継続して住み続け、借入人が死亡したときに担保となっていた不動産を処分し、借入金を返済する仕組みで、高齢者向けの貸付制度といえるでしょう。

住み替えを希望する方には「リバースモーゲージ型住宅ローン」という選択肢があります。詳細は表の下のリンクから参考記事をぜひご覧ください。

住宅ローンは、一括で受け取った融資額を月々返済していき、最終的に借入残高がなくなるのが一般的です。

しかし、リバースモーゲージは毎月、あるいは一括で借入れた分の残高を最後にまとめて返済する仕組みです。

メリットとデメリットを表にまとめました。

メリット 毎月の支払いは利息のみなので、老後生活中の支出を減らすことができる(通常の住宅ローンは、毎月の返済が元金+利息)
元金の返済は、借入人が死亡した際に「現金一括」または「自宅の売却」のいずれかを選べる(借入人の生存中に繰上返済することも可能)
住宅や土地を担保にして、自宅に住み続けながら老後資金の借り入れができる
借入人が死亡した場合、配偶者が契約を引き継げるようにしている金融機関が多いため、配偶者の居住に関するリスクを回避できる
退職金や預貯金などのまとまった資金を残しておくことで、居住環境を確保しながら老後資金の減少を遅らせることができる
デメリット 長生きすればするほど、最初に設定された融資限度額まで資金を使ってしまうリスクがある(借入期間は一般的に借入人の死亡時までの期間)
生存中に土地・建物の価値が下落すれば、融資限度額の見直しがされるリスクがある
変動金利のみのため、金利変動リスクがある

参考:りそな銀行|リバースモーゲージとは?仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説

5.持ち家の賃貸収入を購入費用に充当する

自宅を賃貸に出す場合は、その前にクリーニングのみならずリフォームが必要となるケースが少なくありません。

さらに固定資産税や、マンションの場合は管理費・修繕積立金などの費用も発生します。

老後のマンション生活でも同様の出費がありますので、旧居を賃貸に出す場合はこれらが新居と合わせて2戸分かかることになります。

持ち家の賃貸収入で住み替えを検討する場合は、賃貸運営の初期投資とランニングコストがどのくらいかかるのかを確認しておきましょう。また、継続した賃貸収入を見込んでいても、賃借人が退去して空室になることもあります。

空室になってしまうと入居者を再度募集しなくてはならなくなり、新たな賃借人が入居するまでは賃料収入が途絶えてしまいます。

持ち家を賃貸に出す場合と売却する場合、それぞれのメリットとデメリットを表にまとめました。詳細は表の下の関連記事をぜひご覧ください。

  メリット デメリット
賃貸 入居者から家賃収入が得られる 借家契約は一度賃貸すと簡単にやめられない
固定資産税などを経費計上できる 空室リスク
  メンテナンス費用がかかる
  管理の手間
  事故物件になるリスク
売却 まとまった収入が手に入る 不動産売却に関する諸費用及び税金が発生する
不動産所有の税金や管理費用が発生しない  

関連記事:マンションは売却と賃貸、どっちが得?メリットデメリットを比較

6.持ち家を売却して購入費用に充当する

最後は、自宅を売却し手元に残った資金で住み替え先の新居を購入するという方法です。

購入代金のほか、税金や仲介手数料などの諸費用も含めた全てを自宅の売却代金で賄うことができれば問題ありません。しかしながら、もし不足分があり、自己資金を合わせても足りなければ、金融機関の融資を受ける必要があります。

また、現在の住まいのローンが完済されていれば支障なく売却できますが、もし住宅ローンの残債がある場合、完済して抵当権を抹消する必要があります。

なお、自宅の売却代金がローンの残債よりも高い場合は問題なく完済できますが、売っても残債が完済できない場合は、「住み替えローン」を利用するという方法もあります。

自宅マンション売却のケースが中心ですが、下記関連記事も併せてご覧ください。

関連記事:マンション売却時に住宅ローン残債がある場合の売却方法を解説!

住み替えにも影響?老後資金2000万円問題とは

2019年6月に、金融庁が公表した金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の内容がニュースに大きく取り上げられ、話題となりました。

なかには、老後資金は老後30年で2,000万円不足するなどといった、誤解を招くような表現を織り交ぜた記事もあり、「老後資金2,000万円問題」と呼ばれるようになりました。

これは老後の住み替えにも影響があるか、ご心配な方も多いのではないでしょうか。

統計資料が何を示しているのかを確認していきましょう。

老後資金2000万円問題の根拠は?

本当に老後資金は老後30年で2,000万円不足するのでしょうか?

「年金だけでは老後30年で2,000万円不足する」という数字の根拠について詳しく見ていきましょう。

まず、下の図の黒い部分「不足分」をご覧ください。

高齢者無職世帯では毎月約5万5千円足りなくなり、それが1年で約66万円、30年間で約2,000万円になる、という試算です。

下記の資料を見ると、夫婦の年金を含めた収入が月に約21万円あり、月の支出は約26万5千円です。消費支出の平均値のうち、食費は月額約6万5千円、交通通信費は月額約2万7千円ですから、一般的な高齢のご夫婦の生活からは乖離している印象を受けます。

高齢夫婦無職世帯の家計収支2017

参考:総務省|家計調査年報 家計収支の状況 世帯属性別の家計収支(2017年)

では、現状この不足分に対して高齢者はどのように対処しているのか、という疑問については、次の事実から推測できます。

高齢無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)2017

参考:総務省|家計調査年報 家計収支の状況 世帯属性別の家計収支(2017年)

上記の資料から、2017年における高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は2,348万円であると言うことがわかります。

つまり、2つの統計資料が示すのは「貯蓄から毎月約5万5千円を取り崩す範囲で生活している」ということです。

もちろん“平均”ですので、一部の超高所得者がその値を引き上げてしまい、一般的な実態と乖離しているといった問題点はあります。

しかしながら、統計が示す現状は、「多くの高齢者が退職後の生活について、主に年金と退職金でやりくりしている」という事実は変わりません。

老後資金不足額を最新資料で試算するとどうなる?

さて、ここで最新資料として、夫婦高齢者無職世帯の家計収支の2021年版を見てみましょう。

不足分の額に注目してください。2017年版では約5万5千円でした。

ところが、下の図の黒い部分「不足分」は、約1万9千円に減っています。

2021年版に基づくと1年で約23万円、30年間で690万円という試算になります。

2,000万円ではなく690万円、およそ3分の1です。

高齢夫婦無職世帯の家計収支2021

2017年版の資料では老後資金2,000万円問題だったのが、2021年版の資料を見ると老後資金690万円問題になってしまいました。

参考:総務省|家計調査年報 家計収支の状況 総世帯及び単身世帯の家計収支(2021年)図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2021年-

現状をふまえた資金計画を立てれば過度な心配は不要

平均貯蓄額でやりくりできていることと、家計収支状況の平均値から導き出した不足分の月額が4年で約3万6千円も減少していた、ということを統計からご覧頂きました。

ただし、それらはあくまでも平均値から見る“現状”ですので、2,000万円や690万円といった数字に一喜一憂することは必ずしもありません。現状を把握し続けることが重要です。推測できるのは「寿命が伸びる」ことと「年金支給額が減少する」ということですから、住み替えも含めてしっかりと現状をふまえた老後の資金計画を立てるに越したことはありません。

具体的にいうと、「住み替えで手元に残るのはいくらか、そこから購入物件にいくら充当できるかが明確になるように資金計画を立てること」です。

老後の住み替え、査定や資金計画は信頼できる不動産会社に相談

住み替えにあたっては、自分一人で資金計画を立てることを想像して不安な方も多いと思います。

信頼できる不動産仲介業者を見つけて、相談しながら進めていくことが、解決策のひとつです。

関連記事:不動産仲介ランキング!仲介各社の特長や選び方を一覧で紹介

老後の住み替え、住まい選びと資金計画のまとめ

それでは最後に、この記事で紹介した要点をおさらいしてみましょう。

住み替えのタイミングはいつ?

住み替えタイミングのきっかけとして以下の4つを挙げています。

  • 定年退職
  • 子供の独立
  • 住まいの老朽化
  • バリアフリー需要

詳しくはこちらをご覧ください。

老後の住み替え物件、どんな家に住めばいい?

この記事の「老後の住み替え先・物件ごとのメリットとデメリット」では、以下のお住まいをご紹介しています。

  • 分譲マンション
  • 賃貸マンション
  • 実家に住み替え
  • 子どもと同居(近居、隣居)
  • シニア向け住宅

老後の住み替え資金、どうやってやりくりすればいい?

  • 退職金や貯金を購入費用に充当
  • 住宅ローン(親子リレーローン、ペアローン)
  • リースバック(住み替えサポートのリースバックシステム)
  • リバースモーゲージ(型住宅ローン)
  • 持ち家を貸して賃貸収入で充当
  • 持ち家の不動産売却代金で充当

上記の方法をご紹介しています。この記事の「老後の住み替え、資金計画のための6つの手段」をぜひご覧ください。

老後の住み替えで後悔しない!資金計画のコツは?

  • 一つ目は、「住み替えで手元に残るのはいくらか、そこから購入物件にいくら充当できるかが明確になるように資金計画を立てること」です。
  • 二つ目は、「資金計画を立てるときは、信頼できる不動産仲介業者を見つけて、相談しながら進めていくこと」です。

詳しくはこちらをぜひご覧ください。

住み替えでのさまざまなニーズのあるお客様にとって何よりも大事なのは、相談する相手がいかに信頼できる相手かどうかです。

東京テアトルグループはサービス業を主軸とする会社であり、マンションの売却相談についてもサービス業のアイデンティティで取り組んでおります。

古くなったけど愛着あるマンションを安心して売却したい、というお客さまの心のパートナーとして、どんな些細な相談でもお気軽にお問合せいただけることを心よりお待ちしております。

森田学
(執筆)

森田 学

宅地建物取引士。1999年東京テアトル株式会社に入社。映画館の運営スタッフ業務、「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、マンション買取再販を担当し現在に至る。

マンションのご売却はご不明な点も多く、不安をお感じの方もいらっしゃるかと存じます。

弊社は、マンション専門に年間200件超を買取、独自メソッドによる査定で築古物件でも高値買取致します。