マンション売却時に住宅ローン残債がある場合の売却方法を解説!

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2024.08.16

マンション売却と住宅ローン残債の一括返済、抵当権抹消

マンション売却において、お客様から以下のような質問を頻繁にお伺いします。

マンションを売却したいけど、返済中の住宅ローン残債はどうすればいい?

「残っている住宅ローン残債の一括返済はいつ、どのタイミングですればいいの?

「住宅ローンの抵当権抹消の費用や必要書類は?

今回は、このような不動産売却の疑問に関して、まとめて解説していきたいと思います。

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この記事でわかること
  1. 住宅ローン返済中マンションの売却方法
  2. マンション売却時のローン残債返済方法
  3. ローン残債を一括返済するまでの流れ
  4. オーバーローンマンションの売却方法
  5. アンダーローン・オーバーローンとは

目次

住宅ローンの残債があるマンションの売却

まずは、売却したいマンションに住宅ローンの残債があるケースです。

マンションの住宅ローン返済中でも売却は可能?

結論から申し上げると、住宅ローンが残っていても売却活動をすることは可能です。後ほど詳しく解説しますが、売買契約締結までは可能です。

不動産会社に査定依頼をする前に、返済中の住宅ローンの残債額を調べておきましょう。

住宅ローンの残債額が査定価格(査定額)を上回るか、下回るかによって資金計画や売却方法の考え方が変わってきます。詳細は後述しますが、アンダーローン・オーバーローンのどちらかによって大きく売却手続きが違ってきます。

住宅ローン残債の一括返済と抵当権抹消

住宅ローンの残債があるマンションの売買契約を完了(決済)するためには、ローン残債の一括返済、抵当権の抹消登記が必須です。(一戸建て、土地、投資用マンション、いずれもローン残債があれば売却には完済と抹消が必要です)

住宅ローンの残債がある場合、ローン残債が売却金額を上回る(オーバーローン)か下回るかが重要なポイントです。

一般的には、住宅ローンを借りているマンションを売ったお金(売却代金)でローン残債を一括返済して抵当権の抹消登記をする、という流れで売却をすることになります。

マンション売却時の住宅ローンの抵当権と抹消手続き

抵当権とは?

抵当権とは、住宅ローンを借りる時に購入するマンションに対して金融機関が設定する権利のことです。抵当は、財産を借金の保証にあてること、担保というような意味です。

抵当権は、万一ローンの返済ができなくなった時のために、金融機関がマンションを担保に取る権利と言い換えることができます

住宅ローンの抵当権抹消に必要な手続き

マンションを売却する場合、売買契約に定めた日までに抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権の抹消をするには、住宅ローンの残債を完済して、金融機関から抹消登記に必要な書類を取得する必要があります。

この抹消書類の取得が見込めれば抵当権の抹消登記は可能なので、住宅ローンが残っていて抵当権の登記が設定されている状態でも、売却に問題はありません。

もちろん住宅ローンの返済をしていても何ら問題はありません。

重要なのは、住宅ローンの残債を期限までに一括返済できるかです。売買契約を締結した後に、一括返済できないので抹消登記ができないとなると、契約条項に違約することとなり、違約金を払って売買契約を解除することになるので注意が必要です。

住宅ローンの残債額の確認が重要

通常は、マンションを売却した代金から売却に係る諸経費を差し引いた「手取り金額」の中から残債を返済することになります。

住宅ローンの残債を完済するには、手取り金額がいくら必要か、最低限いくら以上で売らなければ完済ができないかを把握するために残債額を確認しましょう。

手取り金額から、あるいは手元資金から充当してローン残債を完済できれば、問題なく抵当権の抹消書類を金融機関から取得することができます。

(完済に不足する金額を次のローンに上乗せして借入れする方法もあります。)

残債がいくらかなのかは、手元にある償還表(返済予定表)で確認できます。手元に償還表が見当たらなければ、金融機関に住宅ローンの残高証明書を発行してもらうという方法もあります。

と昔の感覚で書きましたが、このIT時代世の中は便利になっています。

インターネットバンキングを利用できる環境ならネットで残債額などを確認できます。詳しくは下記参考記事をご確認ください。

参考記事:住宅ローン お借入内容確認│三井住友銀行

マンション売却金額をローン残債が下回るアンダーローン

下記のように①ローン残債が②売却金額を下回れば「アンダーローン」となり、売却代金を充当して一括返済(全額繰り上げ返済)が可能です。

①<②

①ローン残債:2500万円

②売却金額:3000万円

マンションなど不動産売却には、ローン残債の一括返済以外に仲介手数料などの下記③費用がかかります。

③3000万円マンション売却にかかる費用概算:127.6万円

  • 仲介手数料105.6万円(仲介会社へ支払う)
  • 印紙1万円(売買契約書用)
  • 抵当権抹消登記費用5万円(登録免許税と司法書士への報酬)
  • 住宅ローン一括返済費用5万円(銀行に支払う手数料)
  • 引越し費用11万円

既に説明してきましたが、残債の一括返済ができれば抹消書類が取得でき、抵当権の抹消登記が可能となります。

これで住宅ローンの残っていたマンションの売却が完了できます。

「全額繰上返済に必要な資金」「抵当権抹消書類のご返却について」など銀行さんのページをご紹介しますので、こちらでもご確認ください。

関連記事:住宅ローン 繰上返済│三井住友銀行

マンション売却して手元に残る金額

上記のケースであれば、③の費用を売却代金から支払うと372.4万円の売却代金が残ります。②-(①+③)

買い替えであれば次に購入する住宅の自己資金として、老人ホームや高齢者施設への入居であれば入居一時金などとして利用するのが一般的です。

マンション売却金額をローン残債が上回るオーバーローン

先ほどご紹介した「アンダーローン」と異なり、下記のようにローン残債がマンションの売却金額を1000万円上回り、住宅ローン残債を完済できないケースもあります。

①>②

①ローン残債:4000万円

②売却金額:3000万円

上記のようなケースで住宅ローンの残債を完済できなければ、債権者(金融機関)は抵当権抹消手続きに必要な書類を出してはくれません。抵当権の抹消ができなければ、売却の決済(完了)をすることもできなくなります。

前述してきたように、売却には仲介手数料などの費用もかかります。この売却にかかる費用も、別途用意しなくてはなりません。

オーバーローン状態を解消して売却する方法

前述したオーバーローン1000万円のマンションを売却する方法として、以下が考えられます。

●1000万円を預貯金など自己資金で用意

●1000万円を住み替え(買い替え)ローンで用意

●1000万円残ることを債権者(金融機関)と合意

次項で更に詳しく説明をしていきます。

マンション、家を売っても住宅ローンが残る住み替え

できるだけ高く売却できるように、

  • 複数の不動産会社で査定
  • 不動産一括査定を利用
  • 一番高い査定だった不動産会社に売却依頼

このような策を講じても、結果として住宅ローンの残債額が売却価格を上回ってしまうこともあります。

マンションを売ってもローンが残るケースで住み替えをする場合、一括返済に不足する金額を自己資金で補いローンを完済する必要があります。

不足しているのが少額であれば自己資金を返済に充てることも考えられますが、前述したように不足する額が1000万円と金額が大きくなってしまう場合、自己資金での完済は難しいケースが多いと思います。

オーバーローン状態の場合、不足を自己資金で用意して一括返済できなければ、住み替えを諦めるしかありません。

住宅ローンの返済が滞っていて、金融機関から残債務全額の一括返済(期限の利益の喪失)を求められているような状況でなければ、売却を諦め住み続けるか、不足分が貯まるまで住み替えを延期するしかありません。

マンションなどの家を売っても住宅ローンが残るオーバーローン状態の住み替えについて下記3つのケースをご説明していきます。

  1. 住み替え(買い替え)ローンを活用
  2. ローンを滞納して任意売却
  3. 競売で強制的に売却

一つずつ詳しく見ていきましょう。

1.住み替え(買い替え)ローンを活用

融資の条件などが厳しくなりますが、買い替えであれば不足分を買い替えする物件の住宅ローンに上乗せして借り入れができる、住み替え(買い替え)ローンを使って買い替える方法があります。

借入れ額が増えることで支払いも増えるケースが多いため、利用の際は金融機関や不動産会社に相談をして、慎重に検討・判断しましょう。

住み替え・買い替えローンの概要や商品詳細については、下記関連記事でご確認ください。

関連記事:住み替えローン│三井住友銀行

2.ローンを滞納して任意売却

先ほども触れましたが、住宅ローンを滞納して一定の期間が経過すると、金融機関は残債全額の一括返済を求めてきます。(期限の利益の喪失

一般的には、ローンを完済するために、担保となっているマンションを売却して返済資金を捻出することになります。

完済に不足する金額の取り扱いは、債権者(金融機関)と交渉をしてその返済方法などの合意を得る必要があります。

いわゆる「任意売却」になり、債権者(金融機関)の同意がなければ実質マンションの売却が不可能となります。

つまり、販売価格の設定や売買契約の締結などは、都度債権者(金融機関)にお伺いをたて、承認を得なければならないことになるのです。

マンションを売却しても返済しきれない金額がいくら残るのか、残った金額をどのように返済していくのかなど、金融機関と事前に話し合い、調整をして互いの合意をしておかなければなりません。

参考記事:任意売却とは│一般社団法人全国住宅ローン救済・任意売却支援協会

3.競売で強制的に売却

任意売却をするための金融機関との交渉や売却活動をせず、一括返済の求めを放置したとします。すると、金融機関は担保となっているマンションを強制的に売却をして、売却代金から貸しているお金の回収をすることになります。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、この担保不動産(マンション)を地方裁判所が強制的に売却するのが競売です。

マンションの競売は、直接室内の確認ができなかったり、明渡し交渉に時間がかかるなどリスクがあるので、不動産のプロが落札することが多く、一般的には相場価格より低い価格で売却されることになります。

マンション売却時のローン残債一括返済の流れ

アンダーローンとオーバーローンの違いについてわかったところで、実際にローン残債を一括返済する流れを3ステップでご紹介いたします。

  1. 住宅ローンの返済金額の確定
  2. 住宅ローンの返済日の確定
  3. 住宅ローン残債の一括返済

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.住宅ローンの返済金額の確定

売却が決まり、売却代金を受領して一括返済する日が決まったら、まずは金融機関に連絡をします。

金融機関は、完済日までの日割りの金利(未払い利息)などを計算して、最終的な返済金額を確定します。

通常、金融機関が定める全額繰り上げ返済手数料がありますので、上記返済金額と合わせて支払うことになります。

参考記事:繰上返済手数料│三井住友銀行

2.住宅ローンの返済日の確定

住宅ローンが残っているマンションを売却して、その売却代金を繰り上げ返済に充当する場合は、売却の決済日と同日に繰り上げ返済日を設定します。(※決済日は買主から売買代金の全額受領して、買主に物件の引渡しを行う日のことです。)

通常、住宅ローンを一括繰り上げ返済すると金融機関から抵当権抹消に必要な書類が送られてきます。

一括繰り上げ返済日の当日に抹消書類が必要なので、事前に金融機関へ依頼をしておきましょう。

例えば三井住友銀行さんでは、下記「ご注意ください」にあるように、

  • 一括繰り上げ(全額繰上)返済日当日に抵当権抹消書類が必要な場合は、ローン取引店にあらかじめご連絡の上、店頭窓口の書面にてお手続きください。

と注意喚起されています。

住宅ローン一括繰り上げ返済時の抵当権抹消書類の受け取りについて

参考記事:抵当権抹消書類のご返却について│三井住友銀行

3.住宅ローン残債の一括返済

最後は、住宅ローン残債の一括返済です。

  • 金融機関より案内されている借入れ残高
  • 繰り上げ返済日当日までの未払い利息
  • 繰り上げ返済手数料
  • 延滞をしている場合は損害金

を繰り上げ返済日当日に支払います。

支払いが完了したら、金融機関から抵当権抹消書類を受け取り、返済完了となります。

決済手続きを行う銀行と繰り上げ返済する銀行が異なる場合は、売主本人か登記を担当する司法書士が銀行に取りに行くことになります。

マンション所有者が死亡した場合、ローン残債の一括返済はどうなる?

売却ではありませんが、住宅ローンを返済中のマンション所有者が亡くなり、そのマンションを相続した場合、住宅ローンの残債はどうなるかをご説明します。

相続した相続人がローンの支払いを続けなければならないのでしょうか?

一般的な住宅ローンには、団体信用生命保険(団信)が付いているため、その心配はありません。

住宅ローンの返済期間は長期間にわたり、返済中にローン契約者が死亡や高度障害状態になったとき、住宅ローンの返済が困難になります。このようなリスク回避のために、銀行が契約者となり生命保険に加入します。これが団体信用生命保険です。

ローン契約者が死亡、または高度障害となった場合、保険会社から銀行に保険金が支払われて、住宅ローンの残債額はゼロになります。

住宅ローン残債は保険金で一括返済
出所:りそな銀行 団体信用生命保険の比較
住宅ローンを返済中のマンション所有者が亡くなった場合、団体信用生命保険でローン残高は0円になるので、相続する方は安心です。(一定の条件があり該当しないケースもあります)

関連記事:りそな銀行 団体信用生命保険の比較

マンション売却時の抵当権抹消に必要な書類

ローン残債の一括返済が完了したら、続いて抵当権抹消の手続きを進めます。
まずは必要な書類を見ていきましょう。

一括返済後に金融機関から受け取る書類

一括返済の完了後、住宅ローンを借入していた金融機関から下記「抵当権抹消書類」を受領します。

【銀行から受領する「抵当権抹消書類」】

  • 弁済証書(解除証書)
  • 登記済証(設定登記が平成19年以降受付であれば登記識別情報)
  • 委任状
  • 会社法人等番号(登記事項証明書)

司法書士が抵当権抹消登記を申請

司法書士は、決済日に売却する中古マンションの所有権移転登記申請と同時に上記「抵当権抹消書類」と売主の委任状で抹消登記の申請を行います。

これで一般的な契約書の契約条項にある「所有権の行使を阻害する一切の負担を除かなければならない」を履行したことになります。住宅ローンの残債があるマンションの売却が完了です。

住宅ローンありでも安心。信頼できる専門家をご紹介します!

東証に上場する弊社「東京テアトル」が、登記などを依頼している信頼できる司法書士などの専門家をご紹介致します。抹消に関する銀行とのやりとりも安心して任せることができます。

不動産売買の抵当権抹消登記申請手続きはもちろんのこと、相続登記、相続の特例などについてもご相談を承っております。

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関連記事:専門家のご紹介

マンション売却時の住宅ローン抵当権抹消登記費用

それでは最後に、住宅ローンの抵当権抹消登記手続きによって発生する費用についてご紹介いたします。

抹消登記費用の内訳

抹消登記費用の内訳は、以下の通りです。

  1. 登録免許税(不動産の数(1筆)×1000円)
  2. 事前調査費用(抹消前登記事項証明書の取得費用600円+報酬)
  3. 抹消登記完了後登記事項証明書取得費用(取得費600円+報酬)
  4. 司法書士報酬(一般的なマンションの抹消登記10000〜50000円)

概算の見積もり

前項でお伝えした内訳を、実際の概算見積もりで見てみましょう。

下記見積書は、弊社がマンションを購入する時の所有権移転登記申請を多数行っていただいている「H司法書士事務所」の抵当権抹消登記申請手続の金額です。

【見積書】

件名件数報酬額登録免許税
1番抵当権抹消登記120,0002,000
2番抵当権抹消登記120,0002,000
    
調査・閲覧料・測量図・建物図面 1,000350
謄本・抄本・印鑑証明書・資格証明書 1,000600
申請・受領 10,000 
小計 ①52,000②4,950
    
その他の費用/郵送代及び交通費 2,080 
小計 ③2,080 
合計(①+②+③) ④59,030 
消費税(①×10/100) ⑤5,200 
差引請求額(④+⑤) 64,230 

抹消登記費用

登録免許税は、税金(国税)なのでどこの司法書士に登記を依頼しても同じ金額となります。

ただし、司法書士に支払う「報酬額」は一律ではありません。上記見積もりにある「報酬額」は抹消登記1件で20,000円となっていますが、この金額は司法書士が任意に決められます。

抵当権の抹消登記の「報酬額」をネットで調べると司法書士ヤマトという事務所さんの3,800円という金額もありますが、10,000~20,000円程度が相場のようです。

参考:国税庁_No.7191 登録免許税の税額表

マンション売却時に住宅ローン残債がある場合の売却方法を解説!まとめ

この記事でご紹介した、マンション売却における住宅ローン残債の一括返済と抵当権抹消について、まとめていきます。

住宅ローンが残っている家、マンションは売却できる?

結論は売却できます。住宅ローンの残債額が売却金額を上回るか下回るかによって手順や手続き、必要なお金などが違ってきます。

住宅ローン残債額が売却代金を下回れば、売却代金を残債額の一括返済に充当してスムーズに売却完了です。上回った場合は、上回った金額を自己資金でなどで充当しなければ売却ができません。詳しくはこちらをご覧ください。

住宅ローンの抵当権抹消登記の費用は?

抵当権抹消登記の費用は、大きく分けて登録免許税と司法書士への報酬になります。

司法書士へ抵当権の抹消登記を依頼した場合の概算の見積りはこちらをご覧ください。

ローン残債の一括返済の流れ、注意点を教えて?

ローン残債の一括返済をする場合、返済金額と返済日を確定させなければなりません。ローン残債の一括査定の流れや注意点はこちらをご覧ください。

オーバーローンでも売却できる?

住宅ローンの残債がオーバーローン状態の場合、売却代金を充当しても返済しきれないローン残債を自己資金などで返済しなければ売却はできません。

買い替えなら「住み替えローン」の利用、返済しきれないローン残を金融機関と相談する「任意売却」という方法もあります。詳しくはこちらをご覧ください。

東京テアトル 0120‐900‐881(マンション売却相談センター)

森田学
(執筆)

森田 学

宅地建物取引士。1999年東京テアトル株式会社に入社。映画館の運営スタッフ業務、「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、マンション買取再販を担当し現在に至る。

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