マンションの空き家の管理費もったいない、売却するならいつ?

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.06.08

マンションの空き家の管理費もったいない、売却するならいつ?

相続や親の施設への住み替えで発生したマンション空き家、使用していなくても管理費固定資産税などは支払い続けなければなりません。

空き家になってすぐ売却なら関係ありませんが、すぐに売らない場合、ここまでに売った方がいいという期限があります。

マイホーム(居住用財産)として住んでいた空き家マンションを売却する場合は、この時期までに売った方が税金が減らせる可能性がある、という期限があるのです。

マンションに限らず相続した空き家の売却の場合も、売却時の税金を減らせる可能性のある特例適用には期限があります。

マンションの場合、空き家で部屋を使っていなくても無駄なコストがかかり続けることや、所有し続けて建物の経年劣化が進むことで高まるリスクなどについてもわかりやすく解説いたします。

所謂マンション空き家問題の末路をご紹介、空き家マンションを所有していたら1300万円を請求されることになった、なんてことが起きています。築年数が古くなった空き家マンションは特に要注意です。

目次

マンションの空き家、売らないと管理費支払いは継続

使っていない空き家マンションでも支払い義務

結論から言うと、空き家であっても居住している時と変わらずに管理費・固定資産税等の支払い義務が発生し続けます。

分譲マンションの管理費、修繕積立金

一般的な分譲マンションには、毎月管理費と修繕積立金の支払いがあります。

具体的な金額を、2019年度にレインズ(※)経由で成約になった首都圏の中古マンションで見てみましょう。

月額管理費… 12,211円/戸(188円/㎡)

修繕積立金… 10,683円/戸(166円/㎡)

合計… 22,894円/戸(355円/㎡)

となっています。

(※レインズは、不動産会社間の不動産情報交換オンラインシステムです)

空き家で誰も利用していなくても、管理費と修繕積立金合計22,894円/戸の支払いが毎月発生します。年間で約275,000円の無駄な出費となります。

レインズの管理費、修繕積立金は64.46㎡のケースなので、もっと専有面積の大きい物件を所有している場合は、更に出費は増えることになります。

管理費や修繕積立金の割高な年代はある?

レインズのデータによると、1970年代(築40年~50年)とバブル期の1980年代後半から1990年代前半(築34年~26年)に建築された物件の年間管理費、修繕積立金の成約価格に対する比率が他の年代(築年数)に比べ高くなっています。

1970年代の物件は、建物の経年劣化が相当進んでいること、3回目の大規模修繕前後の年数で修繕費用が大幅にかかっている、などにより修繕積立金が割高になっていると推測されます。

バブル期の物件は、①共用部分のスペックが高い②管理体制のスペックが高いなどにより管理費が割高になっているのではと推測します。(プール、浴場、シアタールーム、パーティルームなどがあったり、24時間管理、取次サービス、管理人さんが複数人など、とにかく高スペックの物件が多かった記憶があります)

1970年代(築40年~50年)とバブル期(築34年~26年)の物件を空き家で所有している方は管理費や修繕積立金の出費がより多いということになります。

関連記事:首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2019年度)REINS TOPIC

マンションの空き家、使ってなくても課税される固定資産税等

固定資産税、都市計画税

土地や家屋などの不動産を所有すると課税される税金として、固定資産税と都市計画税があります。

毎年納税しなければならない税金で、居住している市区町村(東京23区は東京都)から納税通知書(納付書)が6月頃に届きます。

年4回の納期限が定められているので、年4回に分けて納税します。全期を一括で納税することも可能です。

築30年のマンションの固定資産税、都市計画税の目安、金額イメージ

固定資産税、都市計画税の税額は、地域、専有面積、建物築年数、などによって様々です。税額をイメージし易いように、弊社所有物件の年税額をいくつかご紹介致します。

マンション所在築年面積固-都税
ザ・ペアシティ四谷新宿198290.16186,200
シーアイM桜上水杉並197170.4960,300
ミオカステーロ六町足立200770.58136,400
等々力リーダーズM世田谷198034.0847,000
久が原台スカイM大田197362.3573,300
コスモヒルズ小豆沢公園板橋200075.00133,600
アルファスシティ大島江東199688.75123,300
ライオンズM大泉学園Ⅶ練馬200063.00101,700
パークシティ溝の口川崎198391.71141,200
ディアクオーレ青葉台横浜200462.23139,300
朝日プラザ川口青木川口198960.9074,500
※固・都税=固定資産税・都市計画税の年税額(単位:円)

上記11物件の平均、築年数29.5年、専有面積69.93㎡程度の一般的なマンションの固定資産税・都市計画税は、約110,618円/年になります。

上記のような一般的なマンションを空き家にしたまま何も利用していなくても、年間11万円の税金が課税され無駄な出費となります。

大まかな金額のイメージがわかったところで、「固定資産税」と「都市計画税」がどのような税金なのかを解説していきます。

固定資産税、どんな税金?

固定資産税は、毎年1月1日に固定資産(土地、家屋及び償却資産)の所有者に対して、その固定資産の価格をもとに算出される税額をその固定資産の所在する市町村が課税する税金です。

  • 納税義務者:毎年1月1日に固定資産の所有者として固定資産税課税台帳に登録されている方
  • 税率:1.4/100

都市計画税、どんな税金?

都市計画税は、都市計画事業又は土地区画整理事業に要する費用に充てるために、目的税として課税される税金です。都市計画法による都市計画地域のうち、原則として市街化区域に所在する土地及び家屋が課税の対象となる資産です。

  • 納税義務者:毎年1月1日に土地又は家屋の所有者として固定資産税課税台帳に登録されている方
  • 税率:0.3/100(税率は市区町村により異なる場合があります)

空き家の中古マンションを売らないと生じるリスク

空き家でマンションを所有するリスク

空き家でマンションを所有することで、さまざまなリスクが生じます。

  • 修繕積立金が知らない間に高くなっている
  • 所有者不明が増え、資産価値が低下する
  • 劣化が進行し、売却時に多額のリフォーム費用がかかる

一つずつ解説していきます。

修繕積立金が知らない間に高くなっている

既に「管理費や修繕積立金の割高な年代はある?」で説明してきましたが、大規模修繕工事には多額の費用がかかります。

従って大規模修繕工事の前後には修繕積立金が枯渇、或いは不足するので修繕積立金の値上げが行われることが多いようです。

国土交通省のマンションの大規模修繕工事に関する実態調査によると、マンションの大規模修繕工事は、概ね1回目は築13年~16年前後、2回目は築26年~33年前後、3回目以上は築37年~45年前後の時期で実施されている、と報告されています。

マンションを空き家の状態で所有し続けて、共有部分の経年劣化が進み、大規模修繕工事の時期にさしかかると修繕積立金が値上げになる可能性が高まります。

リスクは、空き家で保有し続ける間に共有部分の経年劣化が進み、大規模修繕の前後に修繕積立金が値上がりすることです。管理組合によっては、月々の値上げではなく一時金を数十万円単位で徴収する場合もあります。所有しているだけで高額な出費ということになりかねません。

参考記事:大規模修繕と診断の必要性~マンション改修の周期の目安

参考記事:大規模修繕工事回数と築年数、棟数(国土交通省)

所有者不明が増え、資産価値が低下するリスク

国土交通省によれば、築40年超のマンションは令和元年末時点で91.8万戸(マンションストック総数の約14%)、10年後の令和11年末には213.5万戸、20年後令和21年末には384.5万戸と大幅に増加する見込みです。

所有者が亡くなった後、登記などの手続きが行われず所在が不明、相続されても住まいが別にあるので連絡先が不通の空き家(空室)のあるマンションの割合は全体で3.9%となっています。

マンションの築年数が古くなるほど、所在不明、連絡先不通の空き家(空室)住戸があるマンションの割合が高くなる傾向にあります。

1979年以前に建てられたマンション(築後40年超)では、所在不明、連絡先不通の空き家(空室)住戸がある割合が13.7%と高くなります。

所在不明、連絡先不通の所有者が増えると、適正な管理がされにくくなり老朽化が進み資産価値の低下を招く可能性が高くなります。

今後、空き家状態で所有しているマンションに所有者不明住戸が増え、管理組合が機能し難くなったり、修繕費が不足したりして、老朽化が急激に進むことになり「美和コーポ」のようなことに巻き込まれるリスクも考えられるので注意が必要です。

空き家で放置すると劣化が進行、売却時に多額のリフォーム費用が必要となるリスク

窓の開け閉めや換気扇による通風・換気や通水などの管理をせずに放置すると、湿気の滞留によるカビの発生、木部の腐食や排水トラップの破封による悪臭や害虫の侵入など劣化が進行し易くなります。

掃除もしないので、閉め切った状態でチリやホコリが積もり、それを餌や栄養として虫やカビが繁殖し劣化が進行し易くなります。

空き家で放置している間、外壁やバルコニー・屋上の防水、給排水管などの共有部分の経年劣化が進行します。住んでいれば、共有部分に起因する雨漏りや水漏れに気づき修理などをおこないますが、空き家の場合気づかずそのまま放置されてしまうことになります。雨水や排水などの侵入は、劣化速度を加速させてしまいます。

空き家で所有する部屋は、上記のように劣化が進行し易いので、いざ売却しようと思った時には多額のリフォーム費用がかかってしまったなどとならないよう注意が必要です。

マンション空き家問題の末路

実際にあった事例から、マンション空き家問題の末路をご紹介いたします。
少し極端なケースとも言えますが、滋賀県野洲市の「美和コーポ」の経緯は下記の通りです。

鉄骨3階建ての老朽化したマンションで、10年ほど前から住民は不在、管理組合も無く建物の維持・管理がほとんどされないまま老朽化が進んだ状態で放置されていました。

市が所有者に自主的に解体をするように勧告したものの、所有者の合意が得られず建て替えはとん挫してしまいます。

最終的には、市がマンションを「特定空き家」に指定、行政代執行で解体に着手しました。解体費用は一時的に市が負担し、工事は終了します。

市は一時的に負担した解体費用1億1800万円を回収するために、各所有者に納付命令書を送付しました。

なんと1所有者あたりの負担額は、1300万円!支払いが出来なければ督促状の送付などを経て、差し押さえによる回収を検討しているようです。

空き家でマンションを所有しているリスクにおいて、おそらく一番大きなリスクがこのケースかと思います。

全国にこのような老朽化マンションは数多く存在しているようですし、バブル期前後に建てられたマンションが今後続々と老朽化していくことになります。

空き家状態で古いマンションを所有している方は、「突然1300万円の負担!」というようなことに巻き込まれないよう注意が必要です。
築古マンション売却のご相談は、東京テアトル マンション売却相談センターにお気軽にご相談ください。相談員一同、お問い合わせを心よりお待ちしております。

マンション売却相談センター 0120-900-881

マンションの空き家の管理

空き家になっているマンションが遠方だったり、仕事や家事が忙しかったりと、部屋に行く時間がなかなかとれないという方もいらっしゃると思います。

空き家で放置すると劣化が進行するので、換気などを定期的に行いたいとお考えの方のために、マンションの空き家管理サービスなどをご紹介いたします。

三井のリハウスの空家・空地巡回サービス

使用されていない不動産に対して、定期的に巡回を行い、劣化防止の手伝いをしてくれるサービスです。

マンションや一戸建てに対して月1回、不動産を巡回確認して状況を報告してくれます。巡回確認時に、通気・換気・通水等を行い、建物の劣化防止をお手伝いしてくれます。

サービスの月額利用金額は、7,650円(税抜)です。

住友不動産販売の空家巡回サービス

長期間空き家になっているマンション、一戸建てをガードマンが月に一度巡回点検するサービスです。建物の換気や水漏れの状態等を定期的に点検し、空き家管理の悩みをサポートしてくれます。

空き家物件を月に一度巡回及び点検(通風・換気、通水、郵便物確認、雨漏り、カビ確認など)を行い、状況をメールで報告してくれます。

サービスの月額利用金額は、5,000円(税抜)です。

リロの空き家管理サービス

空き家を月1回訪問し、住居内を巡回して通水、通風・換気、清掃、雨漏り確認などを行ってくれ、Web上で報告書が確認できるサービスです。

月1回~3回の巡回まで選択が可能となっています。

サービスの月額利用金額は、月1回10,000円(税抜)~月3回30,000円(税抜)です。

日本空き家サポート(株式会社L&F)のマンション管理プラン

こちらも月1回の巡回管理を代行してくれるサービスです。管理作業は、ポスト確認・清掃、契約駐車場の見回り・清掃、全室換気、通水、清掃、雨漏り・カビ確認です。

サービスの月額利用金額は、5,000円(税抜)です。

空き家マンション管理サービスのまとめ

放置して劣化が進まないようサービスを利用

空き家マンション管理サービスの利用金額は、月額5,000円~10,000円(税抜)程度が多いようです。

「いずれは戻って住む」など明確な理由があって空き家でマンションを所有している方は、空き家で放置して劣化が進まないようこのようなサービスの利用がおすすめです。

管理費等、固定資産税等に加えて年間66,000~132,000円の費用増

既に説明してきましたが、平均的なマンションでは管理費と修繕積立金で年間275,000円、固定資産税・都市計画税で110,618円が所有するコストとしてかかってきます。

空き家マンション管理サービスを利用すると更に66,000円~132,000円のコストが増えることになります。

明確な理由も無く空き家マンションを所有し続けると、年間約45万円~50万円強の無駄なコストをかけていることになります。そんな方には早めの売却をおすすめします。

まずは、どの程度の売却金額になるか、お気軽に売却査定をご依頼ください。

東京テアトルに訪問査定を依頼する

マイホームだったマンションの空き家を売却するときの5つの特例

要チェック!住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末まで

住んでなくても「マイホームを売ったときの5つの特例」が適用されるケース

居住の用に供さなくなった(住まなくなった)日から3年を経過する日の属する年の年末までに売却すると、「マイホームを売ったときの5つの特例」が受けられます。

※その他の適用要件も満たすことが前提です。

空き家として所有している居住用だったマンションの売却をご検討であれば、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売り、特例を受けることで、税額を減らしたり、繰り延べをすることが可能となります。

マイホーム(居住用財産)を売ったときの5つの特例

それでは、マイホームだったマンションを売った時の5つの特例をご紹介いたします。

譲渡益が出た場合

1.マイホームを売ったときの特例(3000万円の特別控除)

2.マイホームを売ったときの軽減税率の特例(10年超所有軽減税率)

3.特定のマイホームを買い換えたときの特例

譲渡損失が出た場合

4.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

5.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

上記の5つの特例には「3年経過する日の年の年末までに」以外に適用要件があります。詳しい適用要件は、下記関連記事にてご確認ください。

1.関連記事:マイホームを売ったときの特例(国税庁)

2.関連記事:マイホームを売ったときの軽減税率の特例(国税庁)

3.関連記事:特定のマイホームを買い換えたときの特例(国税庁)

4.関連記事:マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

5.関連記事:特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

譲渡益が出た場合の3つの特例

では、先ほどご紹介したうち「譲渡益が出た場合の3つの特例」について解説いたします。

以前に住んでいたマイホーム(居住用財産)を売却して譲渡益(売却益)が生じた場合、その譲渡益(売却益)にかかる税金(所得税、住民税)を減額したり、繰延べしたりできる特例が下記の3つです。

  1. マイホームを売ったときの特例(3000万円の特別控除)
  2. マイホームを売ったときの軽減税率の特例(10年超所有軽減税率)
  3. 特定のマイホームを買い換えたときの特例

譲渡益(売却益)にかかる税金を減らすことができる特例

譲渡所得の計算式は以下の通りです。

収入金額(売却金額等)-(取得費+譲渡費用)=  譲渡所得(譲渡益)

特例の内容、特徴

1.は、譲渡益(譲渡所得)から3000万円を控除して残額がある場合は課税、譲渡益が3000万円までは特別控除により譲渡益0円となり、税額は0円になります。

2.は、所有期間が10年超の場合、3000万円控除後の譲渡益(譲渡所得)に対して6000万円までは軽減された税率(14.21%)で税額を計算できます。

3.は、売却して代わりの居住用財産を取得する場合には、譲渡益(譲渡所得)への課税を繰り延べることができます。譲渡価格より買換資産の取得価格が少ない時には買換超過分に20.315%の税率となります。

1.~3.の特例の内容、詳細については、下記関連記事にてご確認ください。

関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法

譲渡損が出た場合の2つの特例

5つの特例のうち、譲渡損失が出た場合の2つの特例について解説いたします。

   4.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

   5.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

なお、譲渡損失の算出方法は以下の通りです。

収入金額(売却金額等)-(取得費+譲渡費用)=  譲渡損失(マイナス)

マイホームだった空き家を売却して譲渡損失が出た場合の特例

4.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホーム、住まなくなったマイホームを売却して、新たにマイホームを購入した場合に、譲渡による譲渡損失が生じたときには、一定の要件を満たすものは、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。

さらに損益通算を行なっても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間は繰り越して給与等その他の所得と損益通算(繰越控除)できます。

関連記事:マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき|国税庁

5.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

住宅ローンのあるマイホーム、住宅ローンのある住まなくなったマイホームを住宅ローンの残高を下回る価格で売却して譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものは、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。

さらに損益通算をおこなっても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間は繰り越して給与等その他の所得と損益通算(繰越控除)できます。

関連記事:住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき|国税庁

特例の内容、特徴

以前に住んでいたマイホーム(居住用財産)を売却して譲渡損失が生じた場合には、一定の要件を満たせば特例を適用することにより、下記の2点が可能になります。

●売却した年の給与等その他の所得と譲渡損失を損益通算できます。

●上記損益通算で控除しきれず残った譲渡損失の金額については、売却した翌年以降3年間は繰り越して給与等その他の所得と損益通算できます。

譲渡損失の損益通算と繰越控除による節税効果

特例を適用するための確定申告をすることで、上記損益通算と譲渡損失の繰越控除により下記のような節税効果(所得税・住民税の軽減、還付)が得られます。

関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法

マイホームだった空き家を売却するときの5つの特例まとめ

現在住んでいるマイホームを売却したときに適用される特例が5つあります。

居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却をすれば、マイホーム(居住用財産)の売却として特例が適用されます。※特例適用には上記以外の適用要件や制限条件との合致が必要です。

居住用財産の要件、居住用財産の売却とは?特例の適用要件などの詳細は下記関連記事でご確認下さい。

関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法

相続した空き家マンションを売却(譲渡)した場合の取得費の特例

相続したマンションを空き家のまま所有していて、誰も住む、利用する予定がないので売却したいというご相談が多くあります。

空き家になっている理由

下記のような理由で相続したマンションが空き家のままで、今後も利用(居住)する予定がない、というようなお話しをよくお聞きします。

  • 相続人は既に住宅を所有しているので不要
  • 相続したマンションが古い、故障不具合も多い
  • 住むには多額のリフォーム費用が必要
  • 相続したマンションに家財や荷物が多く片付ける時間がない
  • 相続人は複数人、利用予定はなく現金化(換価分割)が必要
  • 相続人は、マンションから遠方(首都圏外)に住んでいる
  • 相続人が高齢なので賃貸などの利用は考えない
  • 相続したマンションの交通アクセスが悪いので住めない

上記が、空き家になっている理由として多い内容です。

節税になる、相続税が取得費に加算される特例

マンションを売った場合、売却した金額そのものに課税されるのではありません。 そのマンションの取得に要した費用(取得費)や売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引き、譲渡益が出れば課税されます。

収入金額(売却金額等)-(取得費+譲渡費用)= 譲渡益 

相続税の取得費加算の特例は、支払った相続税のうちのマンション売却に関わる部分に相当する金額を取得費に加算できます。

課税の対象になる譲渡益(譲渡所得)を減らすことができ、結果として税金を減らすことができます。

相続税の取得費加算の適用にも期限があります

この特例の適用要件は5つありますが、前項の『マイホームの売却』と同様に期限の要件があります。

『マイホームの売却』は「住まなくなってから3年の年末」でしたが、この特例の期限は下記の通りとなります。

期限の要件は、「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却している」です。

下記の例のように、相続開始のあった令和2年5月1日の翌日令和2年5月2日から10か月後の令和3年3月1日が相続税の申告期限になります。

その申告期限の翌日以後3年を経過する令和6年3月1日が特例の適用期限となります。

相続開始の翌日(令和2年5月2日)から3年10か月後(令和6年3月1日)までに売却をしている必要があります。

相続したマンションの売却をご検討であれば、上記期限を意識して売却スケジュールを決めた方がお得です。

特例の適用要件の詳細などは、下記関連記事でご確認ください。

関連記事:相続したマンションを売却。手続きや税金について

空き家となっているマンションを売却しないで保有する場合の注意点

今後も引き続き空き家としてマンションを所有する場合に、知っておきたい注意点を3つご紹介いたします。

①売却を先送りすればするほど、月々の管理費、修繕積立金や固定資産税、都市計画税などの無駄な保有コストがかかり続けることになります。

②共有部分の経年劣化による修繕費の値上がり、一時金の支払い、資産価値低下、専有部分の経年劣化によるリフォーム費用の増大などの保有リスクが高まります。

③売却したときの税金が少なくなる税法上の特例の適用を受けるには期限があります。空き家マンションを売却するのであれば、空き家となった日、或いは空き家となる原因の相続開始日をチェックしておくことが肝要です。詳しくはこちらをご覧ください。

空き家となっている築古マンションの売却をご検討であれば、『マンション専門のマンション売却相談センターby東京テアトル』へお気軽にご相談ください。

マンション売却相談センターby東京テアトル 0120-900-881

関連記事:相続をしたマンションを売却。手続きや税金について

マンションの空き家まとめ

最後に、この記事でご紹介した空き家のマンションに生じるコストやリスクについてまとめていきます。

マンションの空き家にかかるコストは?

空き家にして部屋を使っていなくても毎月管理費や修繕積立金、年に一度固定資産税や都市計画税がかかります。

年間でどの程度の無駄な出費になるのかなど詳しくはこちらをご覧ください。

空き家の中古マンションを売らないと生じるリスクは?

毎月のランニングコストが増えたり、資産価値が低下したり、室内の劣化が進行するなどのリスクがあります。

マンションの空き家を所有していたリスク事例として、所有者に1300万円もの負担が生じた実際のケースもあります。

詳しくはこちらをご覧ください。

空き家マンションを売却しないで保有する場合の注意点は?

売却しないで保有するコスト、売却しないで保有するリスクがあります。

また売却する部屋が元マイホームや相続の場合、税法上の特例を受けられる期限があります。

詳しくはこちらをご覧ください。

マンションの空き家管理サービスはありますか?

空き家になっているマンションが遠方だったり、仕事や家事が忙しかったりという方のために、マンションの空き家管理サービスがあります。

代表的なサービスや費用などをご紹介します。詳しくはこちらをご覧ください。


森田学(執筆
森田 学【宅地建物取引士】

1999年東京テアトル株式会社に入社。「テアトルタイムズスクエア」などの映画館の運営スタッフ業務、ラグジュアリーホテル「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、区分所有マンションの売買を担当し現在に至る。

 マンションのご売却はご不明な点も多く、不安をお感じの方も大勢いらっしゃるかと存じます。
 マンション専門に年間200件以上、取引築年数平均が30.8年と築古物件が得意な弊社が独自メソッドによる査定で高値買取致します。円滑で安心なお取引の一助となれば幸いです。