マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法

カテゴリ:マンション売却の税金
投稿日:2020.08.05

マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法

マンション売却時にかかる税金

マンション売却時には、以下の税金がかかります。

税金の種類 詳細
所得税 マンション売却により利益が生じた時の税金
復興特別所得税
住民税
印紙税 売買契約書に必要な収入印紙を貼付した時の印紙代
登録免許税 所有権の移転に伴う不動産登記にかかる税金
消費税 仲介手数料等にかかる税金

 

印紙税と登録免許税については「マンション売却時にかかる他の税金」にて後述しますが、まずはマンション売却で利益が生じたときにかかる税金(所得税・復興特別所得税・住民税)について、解説致します。

なお、不動産会社への仲介手数料や司法書士への手数料は消費税の課税対象となります。

税金の計算方法

個人(会社員等一般の人)がマンションを売却した時の税金は、次の手順で計算します。

第1ステップ:どれくらいの利益が出たのか(譲渡所得)を計算します。

第2ステップ:税率はマンションを持っていた期間(所有期間)により決まります。(5年を超えるか超えないかで税率が異なります)

第3ステップ譲渡所得(第1ステップ)×税率(第2ステップ)=税額となります。

まずは何の特例も適用せず、単純にマンションを売却したケースで考えてみましょう。

譲渡所得

3-1. 譲渡取得とは?

マンションを売った場合、売却金額そのものに課税されるのではありません。そのマンションの取得に要した費用(取得費)や、売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引き、譲渡益が出れば課税されます。この譲渡益のことを「譲渡による所得(譲渡所得)」といいます。

収入金額 ―(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

売却金額等   必要経費       譲渡益

3-2. 譲渡所得にかかる税金の種類

譲渡所得には、所得税(国税)住民税(地方税)がかかります。平成25年から令和19年までは復興特別所得税(国税)も課されます。

3-3. 譲渡所得の税率

それでは譲渡所得の税率(所得税・復興特別所得税・住民税)はどのように決まるのでしょうか?

・「所有期間」により税率が決まります

「取得日からマンションを売却した年の1月1日」で所有期間を判断します

・ 5年以内を短期譲渡、5年超を長期譲渡とします

・ 短期譲渡の税率は長期譲渡の税率よりも高くなります
【短期譲渡】

マンションを売却した年の1月1日の時点で、その所有期間が5年以下の場合の税率は、所得税30%・復興特別所得税0.63%・住民税9%の計39.63%です。

【長期譲渡】

マンションを売却した年の1月1日の時点でその所有期間が5年を超える場合の税率は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の計20.315%です。

【税率】

期間による区分 所得税 復興特別所得税 住民税 合計
短期譲渡 30% 0.63% 9% 39.63%
長期譲渡 15% 0.315% 5% 20.315%

3-4. 譲渡所得の税額の計算

譲渡所得金額に税率をかけて税額を計算します。

譲渡所得×税率=税額

マンション売却の譲渡所得に対する税金は、給与等の他の所得と区分して計算します(分離課税)。

給与所得等は総合課税であり、所得が大きくなれば税率も5%~45%と段階的に高くなりますが(累進税率)、譲渡所得の場合はそれとは別に税額を計算します。

したがって、短期譲渡か長期譲渡かが決まれば、譲渡所得の大小により税率が変わることはありません(居住用財産の軽減税率の特例等除きます)。

3-5. 所有期間の数え方に注意!

所有期間は税率決定の決め手となります。

所有期間の数え方を間違うと、長期譲渡ではなく、数日足りずに短期譲渡になる場合もあります。

税率を決めるのは、取得日から売却した年の1月1日時点の期間です。

実際に所有していた期間(取得日から売却日)ではありません。

【税率を決める時の所有期間の数え方】

マンション取得日 2015年5月1日
マンション売却日 2020年7月1日
実際の所有期間 2015年5月1日~2020年7月1日→5年2か月
税率を決める時の所有期間 2015年5月1日~2020年1月1日→4年8か月

実際の所有期間が5年を超えているため、税の負担が軽い長期譲渡の税率を適用できると考えていたところ、短期譲渡の税率を適用しなければならなくなりました。  

3-6. 取得日と売却日の決め方

それでは、売却したマンションの取得日と売却日は具体的にはいつなのでしょうか?

マンションの取得日と売却日は、原則は引渡し日になります。例外として、納税者の選択により、売買契約の効力発生日(通常、契約締結日)にすることができます。

ただし、新築マンションの場合、マンションが完成していないことが考えられます。そのような場合は、契約締結日にはマンションが存在していませんので、契約締結日とすることはできません。

【取得日と譲渡日】

取得日 原則 引渡し日
例外 契約締結日
譲渡(売却)日 原則 引渡し日
例外 契約締結日

原則と例外のどちらを選択するかにより、所有期間の計算に影響しますので注意しましょう。

また譲渡所得の発生年度に違いが出る場合があります。

譲渡所得の発生年度に違いが出る場合】

マンション売却の契約締結日 2019年12月24日
マンションの引渡し日 2020年1月24日

原則であれば、マンション引渡し日の2020年1月24日に売却したことになるため2020年の譲渡所得になります。

例外を選択した場合は契約締結日の属する2019年の譲渡所得になります。

3-7. 相続や贈与の場合のマンションの取得時期

相続や贈与でマンションを取得し売却した時は、死亡(贈与)した人がマンションを取得した時期がそのまま取得した人に引き継がれます。

したがって、死亡(贈与)した人がマンションを取得した日から、相続や贈与で取得した人が売却した年の1月1日までの所有期間で長期譲渡か短期譲渡かを判定します。

注意:過去に買換え等の特例の適用を受けたマンションを売却した場合等は、取得日は特例によって異なりますので注意しましょう。

関連記事:相続したマンションを売却。手続きや税金について

収入金額

ここでは「譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)」の収入金額についてみていきます。

4-1. 収入金額とは?

売却金額+固定資産税・都市計画税(以下、固定資産税等)の精算金が収入金額になります(特殊な場合を除きます)。

4-2. 売却金額とは?

売却金額については、売買契約書に具体的な金額の記載があります。

→例:3,000万円

4-3. 固定資産税等の精算金とは?

固定資産税等の精算金とは、売却したマンションの固定資産税等について、買主から売主へ支払う金額をいいます。

4-4. なぜ精算するのか

固定資産税等はその年の1月1日時点で固定資産税台帳に登録されている人に課されます。つまり売主がその年分の固定資産税等の納税義務者になっています。

年の途中で所有者が変更してもその年分の固定資産税等を売主が納める義務がありますので、その一部を、買主にも負担してもらうために精算するのが一般的です。

4-5. 固定資産税等の精算は契約書ではどうなっているのか?

次のような条項が一般的です。

13条1 本物件に課される公租公課は、引渡し日前日までの分は売主が、引渡し日以降の分は買主がそれぞれ負担する。

  2 公租公課の分担の起算日は1月1日とする。

  3 公租公課の分担金の精算は残代金支払い時に行う。

この公租公課に「固定資産税等」が含まれます。 

本条項ではマンションの引渡し日を基準に売主と買主の負担を決めることとしています。売却代金のように具体的な金額の記載はありません。

売買契約書とは別に「精算書」等を作成し、日割り計算を行った上で、買主から売主へ支払う金額を決めることがほとんどです。

4-6. 契約条項を入れないと固定資産税等は売主の負担になる

注意しなければならないのは、買主は、地方公共団体に対して自ら支払うべき固定資産税等を立て替えてもらっているわけではありません。納税義務者はあくまでも売主です。

契約書で買主との合意がなければ年の途中で所有者が買主になったとしても、売主は買主に対して固定資産税等の一部を求償できません。全額が、売主の負担になります。

4-7. 固定資産税等の精算金の計算例

売主と買主が所有期間に応じて固定資産税等を負担する例をみてみましょう

固定資産税の精算金の計算例

固定資産税等の納税額 10万円(起算日1月1日)→売主に納税義務あり
マンションの引渡し日 3月1日
売主の所有期間 1月1日~2月28日(59日)
売主の負担金額 10万円×59日/365日=16,164円→実際は10万円納税
買主の所有期間 3月1日~12月31日(306日)
買主の負担金額 10万円×306日/365日=83,836円→売主に支払う

【固定資産税等の精算】

4-8. 固定資産税等の精算金は忘れず収入金額へ加算する!

固定資産税等の精算金は、買主が支払うべき税金を売主が立て替えているものではありません。 

売主と買主間で行う利益調整のための金銭の授受であり、マンションの譲渡対価の一部として受け取っているため収入金額に加算しなければなりません。

確定申告時に売買契約書上の売却代金だけを収入金額に入れて、精算書をチェックし忘れ、固定資産税等の精算金をうっかり忘れてしまうと、譲渡所得の計算上のミスになります。

4-9. 固定資産税の精算金は消費税の対象になる

売主又は買主が、消費税の課税事業者である場合、建物に係る固定資産税は消費税の課税対象となります。

4-10. 管理費・修繕積立金等の精算金は収入金額に入れない

同じ精算金でも、マンションの管理費・修繕積立金・駐車場・駐輪場は、引渡し日以降は所有者である買主が負担することになります。これらの費用を、前月末までに翌月分を支払う場合は、引渡し日以降の分を売主が先払いしていることがあります。売主に立て替えてもらっている金額を精算するだけなので(立替金の精算)、対価の調整ではなく収入金額には計上しません。

4-11. 共有者がいる場合の収入金額

共有者がいる場合(1つのマンションを複数で所有している場合)は、持分割合に応じて収入金額を配分し、各自が譲渡所得の計算を行います。共有持分割合については登記事項証明書・売買契約書等で確認しましょう。

関連記事:共有名義のマンションを売却する方法

取得費

譲渡所得=収入金額(取得費+譲渡費用)の取得費についてみていきます。

5-1. 取得費とは?

売却したマンションの取得(購入)時にかかった以下のような費用です。

土地・建物の取得費

土地の取得費=土地の購入代金

建物の取得費=建物の購入代金(または建築代金)-減価償却費相当額

その他の取得費

・マンション購入時の不動産会社等への仲介手数料

・マンション購入時に作成した売買契約書に貼付した収入印紙代(印紙税)

・マンション購入時(贈与・相続・遺贈による取得を含む)に納めた登録免許税、登記費用

不動産取得税

・借主がいるマンションを購入した際に、借主へ支払った立退き料

所有権などを確保するために要した訴訟費用(相続財産であるマンションを遺産分割するためにかかった訴訟費用は除きます)

設備費・改良費・増改築の費用

・マンションを購入するために借り入れた資金の利子のうち、そのマンションを実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子

・既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

※事業所得等の必要経費に算入されたものは含まれません。

5-2. 取得費に含まれないもの

火災保険料等

管理費・修繕積立金

引越費用など

5-3. 建物は減価償却・土地は不要

土地と建物の取得費の計算方法の違いは、減価償却費相当額を購入代金から差し引くかどうかです。

建物は利用や時の経過により老朽化し保有期間が長くなるほど価値が減ってきます。その価値の減少分を減価償却費相当額といい、建物の購入代金から差し引きます。

土地は利用により価値が減るわけではないので、減価償却する必要はありません。

5-4. 建物の減価償却費相当額の計算方法

非事業用と事業用のマンションで減価償却費の計算方法が異なります。

①非事業用(自宅マンション等)の場合

建物購入代金×0.9×非業務用建物の償却率(※1)× 経過年数(※2)= 減価償却費相当額(※3)

※1 非業務用建物の償却率 →(鉄骨)鉄筋コンクリートの場合は0.015

※2 取得してから売却日までの年数→経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切捨て

※3 建物の取得価額の95%を限度とする

【自宅マンションの減価償却費相当額と建物の取得費の計算例】

建物の購入代金 2,000万円
償却率 0.015
経過年数 20年
減価償却相当額 2,000万円×0.9×0.015×20年=540万円
建物の取得費 2,000万円-540万円=1,460万円

②事業用のマンションの場合

事業用の場合、減価償却費は必要経費になりますので、適正に計算していることを前提に、取得から売却年までの毎年の減価償却費を合計した額が、減価償却相当額となります(収支内訳書・青色申告決算書の未償却残高を確認しましょう)。

5-5. 土地と建物の購入代金の分け方

土地と建物を一括して購入した場合であっても建物の購入代金がいくらだったのか、わからなければ、建物の償却費相当額の計算ができません。まず土地と建物の購入代金を分ける必要があります。以下の3パターンで分け方を確認してみましょう。

①売買契約書に建物と土地の購入代金が記載されている場合

②売買契約書に土地と建物の購入代金の区別がないが、消費税額がわかる場合→ 消費税額から建物の本体の価格を計算する

③売買契約書に土地と建物の購入代金の区別がなく、消費税額も不明の場合→「建物の標準的な建築価額表」から建物の取得価格を計算する

売買契約書に建物と土地の購入代金が記載されている場合

購入時の売買契約書があり、建物と土地の購入代金を区別している場合はその実際の購入代金になります。

売買契約書に土地と建物の購入代金の区別がないが、消費税額がわかる場合

消費税額がわかれば以下の計算式で建物本体価格が逆算できます。

(※土地には消費税は課税されていません)

建物の購入代金=(消費税÷購入時の消費税率)+消費税
期間

1989

(H1).4.1

1997

(H9).3.31

1997

(H9).4.1

2014

(H26).3.31

2014

(H26).4.1

2019

(R1).9.30

2019

(R1).10.1

 

 

消費税率 0.03 0.05 0.08 0.1

※経過措置が適用されている場合がありますのでご注意下さい。

建物の購入代金が出たら購入代金総額から差し引き土地の購入代金を求めます。

 →土地の購入代金=購入代金-建物の購入代金

③売買契約書に土地と建物の購入代金の区別がなく、消費税額も不明の場合

「建物の標準的な建築価額表」(クリックでPDFファイルダウンロード)を使用します。

建築年と構造から1㎡あたり建築単価を調べて、マンションの専有面積に乗じて建物のおおよその購入代金を計算します。

計算のために必要な資料




「建物の標準的な建築価額表」

 →税務署あるいは国税庁ホームページ(クリックでPDFファイルダウンロードに準備されています


・建物の構造・建築年・床面積・購入日

 →登記事項証明書・売買契約書等で確認します。

「建物の標準的な建築価額表」を使用した建物の購入代金の出し方】

・売却したマンションは平成元年に建築された鉄筋コンクリート造りのもので同年購入

・土地と建物の合計の購入代金:3,000万円 (消費税は不明)

・マンション専有部分の床面積:50㎡ 

・1㎡あたり建築単価:193.3千円→「建物の標準的な建築価格表」により




 ①建物の購入代金:193.3千円/㎡×50㎡=9,665,000円 

 ②土地の購入代金:3,000万円-9,665,000=20,335,000円

5-6. 購入代金が不明な場合は?

収入金額の5%を取得費とします

売ったマンションの購入時の売買契約書がなくて実際の購入代金がわからない場合には、収入金額の5%を取得費とすることができます(「概算取得費」といいます)。また、実際の取得費がわかっている場合でも、その金額が5%相当額を下回る場合には、5%相当額の方を選択できます。

【5%概算取得費の例】

マンションの売却による収入金額:3,000万円 (購入代金は不明)

5%相当額:3,000万円×5%=150万円⇒取得費とすることができる

ただし実際の取得費が120万円とわかっている場合でも150万円を選択できる

5-7. 概算取得費で譲渡所得を計算すると損してしまう場合も…

収入金額の5%でマンションの取得費を計算するということは、収入金額の95%は譲渡所得に組み込まれるということです。

そのため実際は売却損が出ているにも関わらず課税されてしまう場合も生じます。

このような場合には、売買契約書がなくても実際の購入代金を裏付けるような証拠を集める努力をしてみることも大切でしょう。例えば次のような方法があります。

・購入先や購入時の仲介事業者に購入代金の確認をする

・不動産会社に過去の成約情報から当該マンションの購入代金を調べてもらう

・借入により購入した場合は借入先の金融機関等に売買契約書等が保存されていないか聞く

・初年度、住宅ローン控除を受けた確定申告書に記載されたマンションの取得価額を確認する

・登記事項証明書の抵当権設定の内容の確認する

・過去に自宅の買換の特例等を申告した場合は、税務署へ内容の開示請求をする

・状況を知る身内等に購入当時の状況を聞く

・販売用のパンフレットや分譲価格のわかる資料を探す

・手帳やメモへの覚書はないか探す

・購入代金支払いのための預金通帳の振込金額の記載あるいは振込依頼書等がないか探す

これらの資料を準備し、実際の購入代金についての証拠書類になるか検討してみましょう。

譲渡費用

ここでは譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)の譲渡費用についてみていきます。

6-1. 譲渡費用とは?

譲渡費用とはマンションを売却(譲渡)するために直接かかった費用をいいます。

取得費に入れるものを除き二重計上しないようにしましょう。

修繕費や固定資産税などマンションの維持や管理のためにかかった費用は入りません。

また、判断するのは難しいですが、マンションの譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用は入ります。

6-2. 譲渡費用の例

①マンションを売却するために支払った仲介手数料

不動産業者が受け取ることのできる仲介手数料は、宅地建物取引業法により一定の上限額が決められています。

他方、親戚等に仲介手数料を支払う場合は注意が必要です。仲介料という名目であっても、一般的に、不動産業者に支払う仲介手数料をはるかに超えるような金額になる場合は、仲介者への贈与となる可能性もあります。

なお、マンション購入時の仲介手数料は取得費に入ります。

②売買契約書の作成を依頼した場合の費用

弁護士等に売買契約書の作成を依頼し報酬として支払った金額です。

③売却時の売買契約書に貼付した印紙代(印紙税)

売却時の売買契約書に貼付した印紙代(印紙税)です。

購入時の印紙代(印紙税)は取得費に入ります。

たとえば、2014(平成26)年4月1日から2022(令和4)年3月31日までの間であれば、印紙代(印紙税)は次のようになります。

500万円を超え1千万円以下のもの……5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの……1万円
5千万円を超え1億円以下のもの………3万円
1億円を超え5億円以下のもの…………6万円

(2014(平成26)年4月1日から2022(令和4)年3月31日までの間)

(参考:国税庁・質疑応答事例|「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」)

④印鑑証明手数料

売買契約書に実印を使用する等で、印鑑証明書が必要な場合にかかる費用です。

⑤測量のために土地家屋調査士等に支払った測量費用

土地の境界が不明な場合等、実際の面積と登記上の面積が異なれば、保有資産の評価に影響します。

そのため土地を売却する際に、接している土地との境界を測定し確定する作業を土地家屋調査士等に依頼することがあります。その対価として支払う費用です。

⑥解約違約金

既に売買契約を交わしていたマンションをさらに有利な条件の買主が現れた場合に、契約を解除して売却先を変更することがあります。その際に支払った違約金です。

違約金の支払いと手付金の返還が、同一の領収書に記載されていた場合は、違約金のみしか譲渡費用に入りませんので注意しましょう。

⑦建物の取り壊し費用

土地等を譲渡するためにその上にある建物等の取り壊しに要した費用です。

⑧借主がいるマンション等を売却する際に、貸主へ支払った立退料

貸マンション等を売却する場合に、その入居者の立ち退きのため支払った費用です。家族が賃借人である場合は基本的には譲渡費用にはなりません。

また支払う必要のないもの、必要以上に支払った額については譲渡費用に認められない場合もあります。立退料の支払時期とマンション売却時期についても直接の関連性があることが必要です。

6-3. 譲渡費用に入らないもの

「マンションの譲渡に直接かかった費用」や「マンションの譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用」に該当しない費用は譲渡費用に入りません。次のようなものです。

①引越し費用

住んでいた自宅マンションを売却し、引越しする際に引越し業者等に支払う費用です。 

②修繕費、清掃費用

マンションの維持管理や保全のための費用です。

③住所変更登記・抵当権抹消登記・相続登記の費用

これらの登記は譲渡とは別の行為の流れから生じる費用であり、単に譲渡と同一時期になされたにすぎないため譲渡費用ではありません。

④弁護士費用

・売却代金の取立てに要した費用

 →売却代金を取立てるための費用です。

・紛争解決のための訴訟費用

 →資産の権利確保について紛争になった場合に解決のために要した費用です。

・遺産分割協議の成立のための費用

 →遺産分割交渉を依頼し報酬を支払った場合の費用です。

⑤税理士報酬

マンション売却時の税金についての相談や譲渡所得が生じた場合の所得税の確定申告を税理士に依頼した場合の費用です。

⑥固定資産税・都市計画税

マンションの保有に要した費用です。

⑦引渡遅延損害金

契約で定めた期限までに譲渡物件の引渡しを完了しなかったため、買主に対して損害金を支払った場合、その損害金は譲渡費用とせず、売買契約締結時の売却金額の修正とします。

⑧交通費、宿泊代

消費生活の範ちゅうに含まれる費用です。

しかし、時期、相手方、金額等から譲渡の実現との直接的関連性と有益性がある場合は譲渡費用となる可能性があります。

⑨リフォーム費用

マンションの売却価額を増加させるためにかかった費用であれば、譲渡費用になる可能性があります。個別具体的に慎重に判断すべきでしょう。

マンション売却時にかかる他の税金

譲渡所得の税金以外に、マンション売却時にかかる税金は以下のようなものがあります。

7-1. 売買契約書に収入印紙を添付するための印紙税

500万円を超え1千万円以下のもの……5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの……1万円
5千万円を超え1億円以下のもの………3万円
1億円を超え5億円以下のもの…………6万円

(2014(平成26)年4月1日から2022(令和4)年3月31日までの間)

(参考:国税庁・質疑応答事例|「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」)

7-2. 抵当権の抹消登記をする場合には登録免許税

原則として1つの不動産について1,000円です。ただしマンションの場合、建物が複数の土地にまたがる形で建てられている場合は、筆の数が増えるにつき1,000円が加算されます。

関連記事:マンション売却時の抵当権抹消登記。申請のタイミングや手続き

 

また不動産業者が仲介して売買した場合は仲介手数料について、不動産登記を司法書士に依頼した場合は司法書士支払手数料について消費税の課税対象となります。

マンション売却で利益が生じた場合の特例・控除

自宅マンション(居住用財産)を売却して利益(譲渡益)が生じた場合、税法上の特例を適用することにより税額の減額や繰り延べができます。

ここでは、自宅マンションを売却した場合の特例と自宅マンションを売却し代わりの自宅マンションを購入した場合の特例をとりあげます。

主な特例には

①3,000万円の特別控除
②軽減税率
③自宅を買換えた場合の特例

があります。

 なお「居住用財産」についてはこちらをご覧ください→「売却したマンションが居住用財産か?」

8-1. 3,000万円の特別控除

後述する適用要件を満たした場合は、譲渡益から3,000万円まで控除できます。これを3,000万円の特別控除といいます。

この特例は、長期譲渡、短期譲渡のいずれの場合にも適用できますが、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)と重複して適用することはできません。

収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除(3,000万円まで)=譲渡所得

特別控除により譲渡所得が減る結果、税額も減少します。

ただし、譲渡益が3,000万円まで満たない場合の特別控除額は、譲渡益の金額が限度となります。つまり、特別控除の適用により譲渡所得が0円になることがありますが、マイナスになることはありません。
 例えば譲渡益が1,500万円生じている場合は、1,500万円が特別控除の限度となります(譲渡益1,500万円-特別控除1,500万円=譲渡所得0円となります)。

 

【3,000万円特別控除の節税効果】

マンションの売却時の収入金額3,000万円、取得費+譲渡費用1,500万円のケース

・特例を適用しない場合
収入金額3,000万円-(取得費+譲渡費用)1,500万円=譲渡所得1,500万円
短期譲渡の税額 1,500万円×39.63%=5,944,500円
長期譲渡の税額 1,500万円×20.315%=3,047,250円

・特例を適用した場合
収入金額3,000万円-(取得費+譲渡費用)1,500万円-1,500万円(特別控除)=譲渡所得0円

短期譲渡・長期譲渡のいずれの場合であっても、特別控除の適用ができるため譲渡所得0円となり税額は0円になります。

※特例を適用した場合は、短期譲渡では約594万円、長期譲渡では約304万円も税額に違いがあり、節税効果が大きいことがわかります。
「3,000万円の特別控除」の適用要件についてはこちらをご覧ください。
国税庁「マイホームを売ったときの特例」

特例の適用を受けられるか否かの確認にはチェックシートが便利です。        
国税庁「居住用の家屋や敷地(居住用財産)を譲渡した場合の特例チェックシート(Ⅰ.3,000万円の特別控除の特例)」

8-2. 夫婦で自宅を共有している場合の3,000万円の特別控除

譲渡益が生じている場合は、各々が所得税の確定申告をする必要があります。

①家屋と敷地が共有である場合

共有持分に応じて譲渡所得を計算します。夫と妻の各人が要件を満していれば、それぞれ3,000万円の特別控除が受けられます。家屋について夫1/2・妻1/2、敷地について夫1/2・妻1/2を所有しているような場合です。

 

②家屋と敷地を別々に所有している場合

土地の所有者が夫で、家屋の所有者が妻というような場合です。3,000万円の特別控除は家屋と敷地等の所有者が同一であることを前提にしているため、家屋を所有していない土地のみの所有者の譲渡所得の計算に際しては原則として適用はありません。
しかし、一定の条件を満たす場合には、次のような例外が認められています。

まず家屋の所有者である妻の譲渡益から特別控除の3,000万円を差し引き、まだ引ききれない控除の残額がある場合には、土地のみの所有者である夫の譲渡益から控除することができます。

 

【参考条文:措法35条1項】

 

8-3. 軽減税率の特例

自宅マンション(居住用財産)を売却した年の1月1日時点で所有期間が10年超の場合は、3,000万円の特別控除の特例を適用後の譲渡所得に対して6,000万円までは軽減された税率で税額を計算できます。

なお住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)と重複して適用することはできません。

所有期間が10年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率

譲渡所得金額 所得税 復興特別所得税 住民税 合計
6,000万円までの部分 10% 0.21% 4% 14.21%
6,000万円超の部分 15% 0.315% 5% 20.315%
【3,000万円特別控除後に軽減税率を適用する事例・シミュレーション】
10年超保有の自宅マンションを売却し譲渡所得7,000万円のケース

収入金額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円(特別控除)=譲渡所得7,000万円

6,000万円まで     6,000万円×14.21%=8,526,000円
6,000万円超の部分 (7,000万円-6,000万円)×20.315%=2,031,500円
            税額  8,526,000+2,031,500円=10,557,500円
【参考条文:措法31条の3】

8-4. 自宅を買換えた場合の特例

自宅マンション(居住用財産)を譲渡し、代わりの居住用財産を取得する場合には、要件を満たすことで、譲渡所得への課税を繰り延べる特例が適用できます。
買換えの特例の適用できる要件は次のとおりです。なお住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)と重複して適用することはできません。

譲渡資産の要件

・売却年の1月1日時点での所有期間が10年超の居住用財産で国内にあること
・居住用期間が10年以上であること
・売却による収入金額が1億円以下のもの
(収入金額には固定資産税の精算金等も入ります)

買換資産の要件

・個人の居住用財産で国内にあるもの
・家屋の居住用の床面積(マンションの場合は専有面積)が50㎡以上であるもの
・中古住宅の場合は、取得日以前25年以内に建築されているもの又は耐震住宅として証明されたもの
・家屋の敷地については、土地面積(マンションの場合は敷地面積について所有する持分割合より計算した面積)が500㎡以下であるもの
・譲渡資産を売却した年の前年から売却した年の翌年までの3年の間に買換資産を取得していること
・一定の期間内に居住用にしていること

買換えの特例で課税繰り延べをする計算例・シミュレーション

1985年 自宅マンションの購入価格              1,000万円 
2020年 自宅マンションの売却金額              5,000万円
2020年 買い換えた自宅マンションの購入金額            7,000万円
2030年 買い換えた自宅マンションの売却金額               8,000万円

2020年の譲渡益 5,000万円-1,000万円=4,000万円
2030年の譲渡益 8,000万円-7,000万円=1,000万円

原則:2020年に譲渡益4,000万円が課税対象
   2030年に譲渡益1,000万円が課税対象

特例:2030年に譲渡益5,000万円が課税対象
(2020年の譲渡益4,000万円については課税の繰り延べができるので、2020年には課税されず2030年に課税されます) 

図は「国税庁ホームページ」より引用 ※説明を簡潔にするため、減価償却などは考慮していません

【参考条文:措法36条の2】

「自宅を買換えた場合の特例」の適用要件についてはこちらをご覧ください。
国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」

8-5. 「3,000万円の特別控除」「軽減税率」「自宅を買換えた場合」の特例の適用関係

自宅を買換える場合にも買換えない場合にも適用要件を満たせば「3,000万円特別控除」又は「軽減税率」の特例を適用することができます。ただし自宅を買換えた場合には「自宅を買い換えた場合の特例」と、「3,000万円の特別控除」又は「軽減税率」の特例とは選択適用になっています。

「自宅を買換えた場合の特例」を適用することにより「課税の繰り延べ」ができますが、買換えたマンションを売却する時に繰り延べられていた税金が一斉に生じるケースがあります。「3,000万円の特別控除」又は「軽減税率」の特例を適用したほうが、税額については有利になるケースもありますので、選択にあたっては、長期的な資金計画等の視点から判断しましょう。

※ 本内容は令和2年5月31日現在の税制等に基づいて一般的な税法の取扱いを記載しております。税法は改正されることが多く、本内容と異なる取扱いがなされる場合があります。判断が難しい場合やご不明点がある場合等は税務署や税理士に相談することをお勧めします。

マンション売却で損失が生じた場合の特例・控除

自宅マンション(居住用財産)を売却して損失が生じた場合には①自宅を買換える場合と②自宅を買換えない場合の特例があります。

9-1. 譲渡損失とは

マンションを売却し、収入金額を必要経費(取得費+譲渡費用)が上回った場合には譲渡損失が生じます。買った時よりも売った時の金額が低かったので譲渡損失になるという単純な計算ではありません。特に建物の取得費は、取得価額から減価償却費相当額を控除して計算することを忘れずに行いましょう。

収入金額 ―(取得費+譲渡費用)= 譲渡損失

売却金額等   必要経費    マイナスになる
譲渡損失とは(収入金額を必要経費が上回る場合)

不動産(マンション・土地・建物等)の譲渡損失は、同じ区分に属する不動産の譲渡所得とは損益通算することができますが、原則として給与等の他の所得とは損益通算できません。給与等は総合課税、不動産の譲渡は分離課税という別の税の枠組みで計算しています。
ただし例外として自宅マンション等(居住用財産)を売却した場合は、損益通算等ができる場合があります。なお「居住用財産」についてはこちらをご覧ください「売却したマンションが居住用財産か?」

9-2. 特例を適用してできること-損益通算と繰越控除-

自宅マンション(居住用財産)を売却して譲渡損失が生じた場合には、一定の要件を満たしていれば特例を適用することにより次の2点が可能になります

①  売却した年の給与等その他の所得と譲渡損失を損益通算できます。
② ①の損益通算で控除しきれず残った譲渡損失の金額については、売却した翌年以後3年間は繰越して給与等その他の所得と損益通算できます(合計所得金額が3,000万円を超える年には適用できません)。

①他の所得との損益通算②繰越控除を行うためには、期限内に所得税の確定申告書を提出し、かつ、その後の年も連続して確定申告書を期限内に提出する必要があります。

①損益通算と②譲渡損失の繰越控除の節税効果を簡単な例で確認してみましょう。

シミュレーション:マンションを売却して譲渡損失が生じたケース(会社員Aさん)

Aさんの給与所得             500万円
源泉所得税                    274,500円(年末調整しており給与から納付済)
マンションの譲渡損失 1,100万円

9-3. 自宅マンションを売却して買換える場合の特例

自宅マンション(譲渡資産)を売却し譲渡損失が生じて、代わりの居住用財産(買換資産)を取得する場合の特例の適用要件をみてみましょう。

譲渡資産の要件

・売却した年の1月1日に所有期間が5年を超える個人の居住用財産であること
・国内にあるもの

買換資産の要件

・個人の居住用財産(家屋・敷地等)で国内にあるもの
  マンションの場合は専有部分の床面積のうち居住用部分が50㎡以上ある
・譲渡資産を売却した年の前年から翌年までの3年の間に取得すること
・取得した日の属する年の12月31日において買換資産に係る10年以上の住宅ローン残高があること
・取得した年の翌年12月31日までの間に居住するかその見込みがあること

【参考条文:措法41条の5】

特例の適用を受けられるか否かの確認にはチェックシートが便利です。
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例チェックシート」

9-4. 自宅マンションを売却して買換えない場合の特例

自宅マンション(譲渡資産)を売却し譲渡損失が生じており、買換えをしない場合の特例の適用要件をみてみましょう。

住宅ローン残高から売却収入を控除した残高を限度として①損益通算②繰越控除ができます。売却収入金額を住宅ローン残高が上回っていることが要件になります。

譲渡資産の要件

・売却した年の1月1日に所有期間が5年を超える個人の居住用財産であること
・国内にあるもの
・売却契約締結日の前日、償還期間10年以上の住宅ローン残高等があること

この特例は①譲渡損失と収入金額の合計<住宅ローン残高の場合と②譲渡損失と収入金額の合計>住宅ローン残高の場合の2パターンがあり、控除できる譲渡損失の割合が次のように異なります。

【参考条文:措法41条の5の2】

特例の適用を受けられるか否かの確認にはチェックシートが便利です。
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例チェックシート」

※本内容は令和2年5月31日現在の税制等に基づいて一般的な税法の取扱いを記載しております。税法は改正されることが多く、本内容と異なる取扱いがなされる場合があります。判断が難しい場合やご不明点がある場合等は税務署や税理士に相談することをお勧めします。

売却したマンションが居住用財産か?

自宅等で生活の拠点としていたマンションを売却した場合に、多額の税を支払うことで生活に必要な資金を減らさないために、税法上、各種の特例が規定されています。

適用するには売却するマンションが、税法上の「居住用財産」の要件を満たしているかを確認することが大切です。

ポイントとして、家屋等を真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたということが証明できなければなりません。

また過去に住んでいた場合でも、住まなくなってから長時間経って売却した場合には居住用財産の特例の適用ができなくなることがあるため注意が必要です。

10-1. 居住用財産の売却とは?

現に自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
過去に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る」とは?

・過去の自宅に住まなくなった日(転居した日) :2017年5月1日
・住まなくなった日から3年を経過する日    :2020年4月30日
・住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日:2020年12月31日

※2017年5月1日に転居した過去の自宅を、2020年12月31日までに売れば特例が使えます。言い換えると、転居日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売らなければ控除は受けられないということです。

転勤で家族のみが住んでいる場合は居住用財産に該当する?

Q:私は転勤で京都に単身赴任中です。転勤前は、東京に保有している自宅マンションに家族と住んでいましたが、今は妻と子供のみが住んでいます。休日などは、東京に戻り家族と過ごしています。東京のマンションの売却を考えていますが、平日は京都に住んでいるため、東京のマンションは居住用財産の適用要件を満たさないのでしょうか?
A:当該事情が解消し(転勤が終わり東京に戻り)、家族と起居を共にすることとなるような場合は、生計を一にする家族が生活の拠点としている東京の家屋は、居住用財産に該当します。ただし単身赴任先の京都にも居住用家屋を有している時など、2以上の家屋を所有している場合は、その人が主として居住している1つの家屋のみが居住用財産に該当します。
※ 転地療養で家族と離れて生活を送っている場合にも該当します。

10-2. 居住用財産の特例の適用が受けられない場合

①次のような家屋等を売却した場合

特例の適用を受けるためのみの目的で入居した家屋等
・新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋等
一時的・臨時的な目的で入居したと認められる家屋等
・別荘のように主として趣味、娯楽又は保養のために所有する家屋等
貸与していた、あるいは事務所として使用していた家屋等

②次のような状況に該当する場合

・配偶者、直系血族(父・母・子・孫等)その他生計を一にする親族などや同族会社などに売却した場合
事実を仮装するために住民票を異動したような場合

※売却した年の前年及び前々年に特例の適用を受けているケースや、適用要件を満たしていても他の特例の適用と重複しているケース等においては、目的の特例が適用できない場合があります。個別の適用要件を必ずご確認ください。

10-3. 居住用財産の判断は「生活の拠点」としていたかどうか

税務調査などの場合に、居住用財産と判断されるためには、次のような状況を総合的に勘案して判断します。単に住民票の住所だけで判断するのではありません。

・その者や家族の日常生活がその家屋で行われていたか
・通勤・通学などその場所から行っていたか
・郵便物の配達先であったか
・水道光熱費等のライフラインを使用していたか
・人が居住して日常生活を送るのに必要な台所・浴室・トイレ・居室等の生活の設備が整っており使用していたか
・仕事場や事務所としての場所ではなかったか
(居住用と店舗用が一緒になっている住宅を売った場合には3,000万円の特別控除の特例等は、自宅(居住用)に使っていた部分に限り適用できます。)
・近隣住人からの聞き込み内容と矛盾しないか

※自宅マンション等を売却する際には事前に「居住用財産」の要件を満たしているかを確認しておきましょう。

(執筆)税理士 永竿 敬子
税理士 永竿 敬子
【東京税理士会麻布支部 会員番号106656】

地方公務員→公認会計士事務所を経て2006年税理士登録、2011年税理士事務所を神田錦町にて開業。南青山に移転し現在に至る。
税務署での法人決算説明会講師、区役所・東京商工会議所・東京税理士会納税者支援センター、JETRO等で税務相談員、租税教室などを担当。
東京簡易裁判所所属・民事調停委員。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻修了

 税制は毎年改正されますので、納税者にとって有利な特例等を適用するための要件も毎年変わることが多々あります。
 マンションの売買は人生の中でも大きなご決断になる場合も多いかと存じます。
 お早目の査定と共にその年の税制の取扱いをチェックしていただき、資金計画等に役立てていただければと思います。