マンション売却時の譲渡所得と税金

カテゴリ:マンション売却の税金
投稿日:2020.06.02

個人(会社員等一般の人)がマンションを売った時の税金は、次の手順で計算します。

第1ステップ:どれくらいの利益が出たのか(譲渡所得)を計算します。

 

第2ステップ:税率はマンションを持っていた期間(所有期間)により決まります。(5年を超えるか超えないかで税率が異なります)

 

第3ステップ譲渡所得(第1ステップ)×税率(第2ステップ)=税額となります。

まずは何の特例も適用せず、単純にマンションを売却したケースで考えてみましょう。

譲渡所得とは?

マンションを売った場合、売却金額そのものに課税されるのではありません。そのマンションの取得に要した費用(取得費)や、売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引き、譲渡益が出れば課税されます。この譲渡益のことを「譲渡による所得(譲渡所得)」といいます。

収入金額 ―(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

売却金額等   必要経費    譲渡益

譲渡所得とは  

譲渡所得にかかる税金の種類

譲渡所得には、所得税(国税)住民税(地方税)がかかります。平成25年から令和19年までは復興特別所得税(国税)も課されます。

譲渡所得の税率

それでは譲渡所得の税率(所得税・住民税・復興特別所得税)はどのように決まるのでしょうか?

「所有期間」により税率が決まります

「取得日からマンションを売却した年の1月1日」で所有期間を判断します

・ 5年以内を短期譲渡、5年超を長期譲渡とします

・ 短期譲渡の税率は長期譲渡の税率よりも高くなります

【短期譲渡】

マンションを売却した年の1月1日の時点で、その所有期間が5年以下の場合の税率は、所得税30%・復興特別所得税0.63%・住民税9%の計39.63%です。

【長期譲渡】

マンションを売却した年の1月1日の時点でその所有期間が5年を超える場合の税率は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の計20.315%です。

税率

期間による区分 所得税 復興特別所得税 住民税 合計
短期譲渡 30% 0.63% 9% 39.63%
長期譲渡 15% 0.315% 5% 20.315%

譲渡所得の税額の計算

譲渡所得金額に税率をかけて税額を計算します。

 譲渡所得×税率=税額

マンション売却の譲渡所得に対する税金は、給与等の他の所得と区分して計算します(分離課税)。

給与所得等は総合課税であり、所得が大きくなれば税率も5%~45%と段階的に高くなりますが(累進税率)、譲渡所得の場合はそれとは別に税額を計算します。

したがって、短期譲渡か長期譲渡かが決まれば、譲渡所得の大小により税率が変わることはありません(居住用財産の軽減税率の特例等除きます)。

所有期間の数え方に注意!

所有期間は税率決定の決め手となります。

所有期間の数え方を間違うと、長期譲渡ではなく、数日足りずに短期譲渡になる場合もあります。

税率を決めるのは、取得日から売却した年の1月1日時点の期間です。

実際に所有していた期間(取得日から売却日)ではありません。

【税率を決める時の所有期間の数え方】

 

マンション取得日:2015年5月1日

マンション売却日:2020年7月1日

実際の所有期間      :2015年5月1日~2020年7月1日→5年2か月

税率を決める時の所有期間 :2015年5月1日~2020年1月1日→4年8か月

実際の所有期間が5年を超えているため、税の負担が軽い長期譲渡の税率を適用できると考えていたところ、短期譲渡の税率を適用しなければならなくなりました。  

取得日と売却日の決め方

それでは、売却したマンションの取得日と売却日は具体的にはいつなのでしょうか?

マンションの取得日と売却日は、原則は引渡し日になります。例外として、納税者の選択により、売買契約の効力発生日(通常、契約締結日)にすることができます。

ただし、新築マンションの場合、マンションが完成していないことが考えられます。そのような場合は、契約締結日にはマンションが存在していませんので、契約締結日とすることはできません。

取得日 原則 引渡し日
例外 契約締結日
譲渡(売却)日 原則 引渡し日
例外 契約締結日

原則と例外のどちらを選択するかにより、所有期間の計算に影響しますので注意しましょう。

また譲渡所得の発生年度に違いが出る場合があります。

譲渡所得の発生年度に違いが出る場合】

 

マンション売却の契約締結日:2019年12月24日

マンションの引渡し日   :2020年1月24日

原則であれば、マンション引渡し日の2020年1月24日に売却したことになるため2020年の譲渡所得になります。

例外を選択した場合は契約締結日の属する2019年の譲渡所得になります。

相続や贈与により取得したマンションの取得の時期は?

相続や贈与でマンションを取得し売却した時は、死亡(贈与)した人がマンションを取得した時期がそのまま取得した人に引き継がれます。
したがって、死亡(贈与)した人がマンションを取得した日から、相続や贈与で取得した人が売却した年の1月1日までの所有期間で長期譲渡か短期譲渡かを判定します。

注意:過去に買換え等の特例の適用を受けたマンションを売却した場合等は、取得日は特例によって異なりますので注意しましょう。

マンション売却時にかかる他の税金

譲渡所得の税金以外に、マンション売却による税金は以下のようなものがあります。

・売買契約書に収入印紙を添付するための印紙税

 

500万円を超え1千万円以下のもの……5千円

1千万円を超え5千万円以下のもの……1万円

5千万円を超え1億円以下のもの………3万円

1億円を超え5億円以下のもの…………6万円

 

(2014(平成26)年4月1日から2022(令和4)年3月31日までの間)

 (参考:国税庁・質疑応答事例|「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」)

・抵当権の抹消登記をする場合には登録免許税

原則として1つの不動産について1,000円です。ただしマンションの場合、建物が複数の土地にまたがる形で建てられている場合は、筆の数が増えるにつき1,000円が加算されます。

・不動産業者が仲介して売買した場合は仲介手数料について、不動産登記を司法書士に依頼した場合は司法書士支払手数料について消費税の課税対象となります。

(執筆)税理士 永竿 敬子
税理士 永竿 敬子
【東京税理士会麻布支部 会員番号106656】

地方公務員→公認会計士事務所を経て2006年税理士登録、2011年税理士事務所を神田錦町にて開業。南青山に移転し現在に至る。
税務署での法人決算説明会講師、区役所・東京商工会議所・東京税理士会納税者支援センター、JETRO等で税務相談員、租税教室などを担当。
東京簡易裁判所所属・民事調停委員。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻修了

 税制は毎年改正されますので、納税者にとって有利な特例等を適用するための要件も毎年変わることが多々あります。
 マンションの売買は人生の中でも大きなご決断になる場合も多いかと存じます。
 お早目の査定と共にその年の税制の取扱いをチェックしていただき、資金計画等に役立てていただければと思います。