マンションの名義変更にかかる費用や手続き
カテゴリ:マンション売却
投稿日:2024.03.19
マンションなどの不動産を相続したり売却したりするとき、名義変更という手続きが必要になります。
不動産の名義変更を行う場面に遭遇することはそう多くなく、いざ名義変更となると何をしたらいいか分からない、と困っている方も多いでしょう。
この記事では、名義変更のやり方のご紹介だけではなく、
- マンションの名義変更の費用はいくら?
- 相続するマンションの名義変更手続きは誰に頼む?
- 名義変更しないと何か不都合はある?
といったよくある疑問にもまとめてお答えいたします。
また、不動産の売買(購入)以外の遺産相続、財産分与、生前贈与など名義変更が必要なケースについても、なるべく簡単に解説していきます。
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- マンションなどの不動産を売買・相続する時は、所有者が変わるので名義変更が必要になる
- 離婚による財産分与や生前贈与でも名義変更が行われる
- 名義変更には登録免許税・司法書士に支払う報酬・各種証明書の取得費などの費用がかかる
- 名義変更をしないと、売却ができない・権利が不安定になるといったデメリットがある
- 不動産の名義変更は経験豊富な司法書士に依頼がベスト
目次
マンションの名義変更とは?
まずは、名義変更に関連する基本的な情報をご紹介いたします。
マンションなど不動産の名義変更
マンションなど不動産の名義変更は、実態法上の権利変動に伴って、登記簿に記載される不動産の所有者の登記の名義を変更する手続きのことです。
詳しくは後述しますが、名義変更はマンションなど不動産を売買、相続、財産分与、生前贈与などをした時に行います。
登記簿に名義が記載(登記)されることで、当該不動産の所有者が自分であることを証明し、第三者に対して所有権を対抗できるようになります。逆を言うと、名義変更をしないと当事者以外の第三者へ自らの権利を対抗できないというリスクが生じるので、売買や相続などで不動産の所有者が変わった場合は、速やかに名義変更を行わなければなりません。
登記とは?
法務省のホームページによると「不動産登記」とは、不動産の現状と権利関係を登記簿に記録して公示する制度とあります。
登記には、「不動産登記」の他に
- 商業・法人登記
- 債権譲渡登記
- 成年後見登記
などがあります。
登記簿、登記簿謄本には何が記載されている?
登記簿は、土地と建物に分けられ、表題部と権利部(甲区と乙区)で構成されています。
マンション(建物)の登記簿謄本(登記事項証明書)の表題部には、家屋番号、構造、床面積などの不動産の物理的な現状が記載されています。
甲区と乙区に記載されている内容の詳細は以下の通りです。
権利 | 記載内容 | |
甲区 | 所有権 | 誰が所有しているか、並びに所有権の権利変動の経緯 |
乙区 | 所有権以外の権利 | 抵当権など |
甲区
甲区は、土地や建物の現在の所有者および過去の所有者が記載されています。
上の画像「登記簿謄本(登記事項証明書)」では、甲区1番に記載の松興産業株式会社が過去の所有者、次の甲区2番に記載されている東京テアトル株式会社が現在の所有者になります。
乙区
乙区は、当該不動産に対して誰がどんな所有権以外の権利を持っているのか記載されています。
上の「登記簿謄本(登記事項証明書)」を例とすると、乙区に住宅金融公庫(住宅金融支援機構)の抵当権が平成12年1月17日に設定されています。
順位番号2の箇所に記載されている通り、この抵当権は平成20年3月7日の弁済により抵当権が抹消されています。
なお、順位番号1のように抹消された箇所には、下線が引かれます。
登記簿謄本と登記事項証明書の違いは?
登記簿謄本と登記事項証明書に違いはあるのでしょうか?
登記簿謄本と登記事項証明書は同じもので、正式名称は「全部事項証明書」です。
以前の登記情報は紙に記載されていて、その記載された書類をまとめたものが登記簿、その登記簿を写し取ったものが登記簿謄本と呼称されていました。
不動産売買の名義変更
マンションなどの不動産を売買するとき、所有者が変わるので名義変更が必要になります。
あなたが売主の場合は、所有者であるあなたの名義から新しい所有者になる買主の名義へと変更します。
あなたが買主の場合は、所有者である売主の名義から新しい所有者となる自分の名義に変更が必要です。
一般的な売買の場合、不動産会社(仲介業者)が司法書士を紹介してくれます。その司法書士が、マンションなどの不動産の決済日(※)に名義変更、所有権移転の登記を行います。
※決済日:買主が売主に売買代金を全額支払い、売主が買主に鍵や部屋を引渡しする日です。併せて管理費等と固定資産税の清算も行います。
遺産相続の名義変更
不動産の名義変更を実施するのは、売買時だけではありません。
マンションなどの不動産の所有者が亡くなって相続が発生した場合も、その不動産を相続する相続人へ名義変更をします。
誰が何をいくら相続するかは、遺言があれば原則として遺言の内容にしたがって相続登記または遺贈登記をすることになります。
遺言が無い場合は、遺産分割協議(※)による相続登記か、法定相続分どおりの相続登記かを選択する形になります。
相続人が複数人いる場合、遺産分割協議を行ない、遺産分割協議書を作成して相続登記を行います。
前述した不動産売買のケースと違い、司法書士を自分で探して、相続登記を自分で依頼しなくてはなりません。
※遺産分割協議:遺産を相談して分ける時に行うのが遺産分割協議です。遺産分割協議は、相続人全員が参加して協議をしなければなりません。また遺産分割協議の結果は、書類として残すのが一般的です。この書類を「遺産分割協議書」といいます。
財産分与の名義変更
離婚をする際に、婚姻生活中に夫婦が共同して築いた財産を分配することを財産分与と言います。
財産分与で不動産の名義変更が必要になるケースでは、
- 夫婦でマンションを共有していた場合
- マンションの所有者である夫から妻へ、または妻から夫へ名義を変更する場合
という2パターンが考えられます。
住宅ローンを誰がどう借りているか、どちらが住宅ローンを支払うか、夫婦のどちらがそのマンションに住み続けるか、或いは売却をするのかなどによって必要な名義変更は変わってきます。
一般的に名義変更の手続きは、前述してきたように専門家である司法書士に依頼することになります。
関連記事:離婚でマンションを売却、財産分与の詳細、住宅ローンや共有名義の注意点
生前贈与の名義変更
相続税対策のひとつに、生前贈与があります。
生前贈与の場合も、贈与により所有者が変わるので、名義変更が必要になります。
相続登記と同様に、司法書士を自分で探し、名義変更の登記申請を依頼する必要があります。
生前贈与は相続対策以外の理由で行われることもありますが、不動産のような高額な財産の場合は判断が難しいので、専門家に相談するなど慎重に行う必要があります。
マンションの名義変更に必要な書類
それでは、マンションの名義変更を行う上で必要な書類について詳しく解説いたします。
不動産売買の場合
■買主(新しい名義人)の必要書類と用意するもの
- 住民票
- 認印(実印でも可ですが、実印である必要はありません)
- 本人確認書類・身分証明書
■売主(元の名義人)の必要書類と用意するもの
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書(※1)
- 登記済証(権利証)又は登記識別情報通知(※2)
- 売買契約書(売主、買主どちらかが用意)
- 実印
- 本人確認書類・身分証明書
※1:固定資産評価証明書は、東京23区に所在する不動産の場合は都税事務所、東京23区以外に所在する不動産の場合は所在地の市区町村の役所で取得できます。固定資産評価証明書は、名義変更をする際に課税される「登録免許税」を計算するときに使用します。
※2:登記識別情報は、平成17年の不動産登記法改正により、それまでの登記済証(権利証)に代わって導入された制度です。登記識別情報は、登記識別情報通知という書面に印字され目隠しシールが貼られた状態で交付されます。
■司法書士が用意するもの
- 登記申請書
- 登記原因証明情報
- 委任状
相続の場合(所有者の死亡)
■被相続人(亡くなった方)の必要書類
- 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍(出生から死亡までの連続したもの)
- 住民票の附票または戸籍の附票(登記簿上の住所、本籍地記載あるもの)
■相続人の必要書類
- 戸籍謄本(法定相続人全員の現在のもの)
- 住民票(新たに名義人になる方のもの)
- 固定資産評価証明書(名義変更年度分)
- 相続関係説明図
- 本人確認書類・身分証明書
■ケースにより必要な書類と用意が必要なもの❶
- 遺産分割協議書(法定相続分どおりの相続登記をしない場合)(※1)
- 印鑑証明書(法定相続分どおりの名義変更、相続登記をしない場合)
- 遺言書、検認調書(遺言があり遺言の内容にしたがって名義変更する場合)
- 固定資産評価証明書
■ケースにより必要な書類と用意が必要なもの❷
- 登記済証(権利証)又は登記識別情報通知
- 不在籍証明書、不在住証明書(参考記事:宮田総合法務事務所)
- 上申書(参考記事:相続登記の上申書について|松谷司法書士事務所)
※1:相続人全員の遺産分割協議を行い合意が得られたら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印して相続人全員分の印鑑証明書も添付します。
■司法書士が用意するもの
- 委任状
財産分与の場合(夫婦の離婚)
■新しい名義人(名義を変更される人)の必要書類と用意するもの
- 住民票
- 認印
- 本人確認書類・身分証明書
■元の名義人(名義を変更する人)の必要書類と用意するもの
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 戸籍謄本(離婚が分かる書類として、二人のどちらかが用意)
- 登記済証(権利証)又は登記識別情報通知
- 登記原因証明情報(離婚の審判書又は調停調書、財産分与契約書など)
- 実印
- 本人確認書類・身分証明書
■司法書士が用意するもの
- 委任状
生前贈与の場合(親子・孫、夫婦間)
■受贈者(譲り受ける人)が用意する書類等
- 住民票
- 本人確認書類・身分証明書
■贈与者(譲り渡す人)が用意する書類等
- 登記済証(権利証)又は登記識別情報通知
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 登記原因証書(贈与契約書、贈与証書など)
- 本人確認書類・身分証明書
■司法書士が用意するもの
- 委任状
マンションの名義変更にかかる費用
マンションなど不動産の名義変更手続きにかかる費用は、大きく分けて以下の3つです。
- 登録免許税
- 司法書士に支払う報酬
- 登記事項証明書等の取得費用
ここからは、それぞれの概要や金額について詳しく解説します。
登録免許税
登録免許税は、不動産の登記申請(名義変更)に対して課税されます。名義を取得する登記権利者が納税義務者になり、法務局に登記申請する際に納付をします。
司法書士に登記申請を依頼する場合、決済時に司法書士へ登録免許税を預けて、司法書士が法務局で納付をするのが一般的です。
名義変更の内容によって登録免許税の税率が異なります。名義変更の内容によって登録免許税の税率が異なります。税率の違いは以下の表をご覧ください。
■税率
土地の所有権の移転登記
内容 | 課税標準 | 税率 | 軽減税率等 |
売買 | 不動産の評価 | 1000分の20 | 1000分の15※ |
相続 | 不動産の評価 | 1000分の4 | |
財産分与 | 不動産の評価 | 1000分の20 | |
贈与 | 不動産の評価 | 1000分の20 |
前述してきましたが、課税標準となる「不動産の価格」は、固定資産評価証明書にある固定資産評価額となります。(固定資産課税台帳に登録された価格のない土地や建物を除く)
■登録免許税
不動産の評価 | 売買(円) | 相続(円) | 離婚(円) | 贈与(円) |
100万円 | 2万 | 4千 | 2万 | 2万 |
500万円 | 10万 | 2万 | 10万 | 10万 |
1000万円 | 20万 | 4万 | 20万 | 20万 |
2000万円 | 40万 | 8万 | 40万 | 40万 |
5000万円 | 100万 | 20万 | 100万 | 100万 |
1億円 | 200万 | 40万 | 200万 | 200万 |
近年、所有者不明土地の問題が取り上げられていますが、その対策として「相続による土地の所有権移転に対する登録免許税の免税措置」が設けられています。詳細は下記参考記事をご参照ください。
「売買」で住宅用家屋を取得した場合、軽減税率を受けられるケースがあります。こちらも詳細は下記参考記事でご確認ください。
司法書士への報酬
名義変更の登記を司法書士に依頼した場合、司法書士に支払う報酬額は一律ではありません。報酬額は司法書士が各司法書士事務所の規定に基づき、任意によって決められます。
司法書士への報酬額は、現在の登記名義の状態や名義変更手続きの内容、作業量によって上下しますが、目安としては10万円前後〜20万円程度になります。
登記事項証明書等の取得費用
名義変更に必要な証明書等の発行手数料(目安)は下記の通りです。
証明書の名称 | 発行手数料 | 入手先 |
登記事項証明書 | 600円 | 法務局 |
住民票 | 300円 | 役所 |
戸籍謄本 | 450円 | 役所 |
戸籍附票 | 300円 | 役所 |
印鑑証明書 | 300円 | 役所 |
固定資産評価証明 | 400円 | 都税事務所、役所 |
名義変更の具体的な見積り例
不動産の評価が約3000万円のマンションの相続登記の見積り例になります。
見積りには、遺産分割協議書の作成や必要書類の取得費用も含まれています。
■相続登記見積り例
名義変更をしないデメリット・リスク
不動産の名義変更を行わなかった場合は、どのようなデメリットやリスクがあるのでしょうか。
売却などができない
名義変更をしないとマンションなど不動産を売却したり、貸したり、担保に入れて融資を受けたり(抵当権設定)ができません。
不動産売却や担保設定をするには名義変更が不可欠です。
権利が不安定になる
民法177条では、不動産物権変動について下記のように規定しています。
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
つまり、不動産を取得したときに所有権の移転登記をしないと、第三者に自分の所有権を主張できないということです。
相続登記を放置すると
マンションなどの不動産を所有していた所有者が亡くなって相続が発生した場合、相続人へ名義変更をせずに放置しているとどのようなデメリットが発生するのでしょうか。
放置している間に相続人が亡くなると、亡くなった方の相続が発生(数次相続)して、相続人が増えることになります。
相続人が増えると意見の相違が起こりやすくなります。そして、前述した遺産分割協議(遺産の分け方の話し合い)がまとまりにくくなります。
マンションなどの不動産を購入したら
一般的なマンション売買の場合の、不動産購入後の流れをご紹介します。
代金決済日、一般的には司法書士が立ち会い、司法書士が本物の売主なのか本人確認をして、登記に必要な書類が揃っているか確認をした後に、残代金の支払い、鍵の引渡しなどを行います。
前述のようなトラブルが起きないように、司法書士は、売買代金全額の支払い(決済)と同日に所有権の移転登記の申請を行います。
マンションの名義変更、費用や手続きまとめ
記事の要点、ポイント
名義変更の流れや費用などについてご理解頂けたでしょうか?
最後に、記事の要点を確認していきましょう!
名義変更って何?
マンションなど不動産の名義変更は、登記簿に記載される不動産の所有者の登記の名義を変更する手続きのことです。詳しくは「マンションの名義変更とは?」をご覧ください。
名義変更が必要なケースは?
マンションなど不動産を売買、相続、財産分与、生前贈与などをした時に名義変更が必要になります。詳しくは「不動産売買の名義変更」「相続」「財産分与」「生前贈与」をご覧ください。
名義変更の費用の内訳は?
マンションなど不動産の名義変更手続きにかかる費用は、大きく分けると登録免許税や登記事項証明書等の取得費用などの実費と司法書士に支払う報酬になります。詳しくは「マンションの名義変更にかかる費用」をご覧ください。
名義変更をしないデメリット、リスクは?
デメリット、リスクは下記の通りです。
- 売却などができない
- 第三者に自分の所有権を主張できない
- 相続の話し合いがまとまり難くなる
詳しくは、「名義変更をしないデメリット、リスク」をご覧ください。
司法書士をご紹介、売却のご相談も承ります!
高齢化社会となり、高齢な親が相続したマンション、高齢な親が死亡して相続したマンションを売却したいというシニア層からのご相談が増えています。
伯父伯母(叔父叔母)が亡くなって高齢な父親(母親)が相続、お父様が亡くなって高齢な母親と息子さんの親子で相続、高齢なお母様が亡くなって兄弟で相続、などそのケースは様々です。
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東京テアトルは、東証上場、創業七十年超の中古マンション売買専門の不動産会社です。
名義変更、マンションの売却などご検討の方、お気軽にお問い合わせください。
マンション売却相談センター(東京テアトル)☎0120-900-881
(記事監修) 司法書士 林 美樹 【リーガルサポート会員番号 3112795】 2009年11月 司法書士試験合格 2009年11月 司法書士法人事務所勤務 2010年 9月 辰巳法律研究所 講師 2011年 3月 林美樹司法書士事務所開設 司法書士の使命は、国民の権利の擁護と公正な社会の実現にあります。 信義に基づき、公正かつ誠実に職務を行うため、法令及び実務に精通し、皆様のお役に立てます様に、鋭意努力させて頂きます |