マンション売却と賃貸はどっちが得?おすすめのケースを紹介

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2025.01.17

マンション売却と賃貸はどっちが得?おすすめのケースを紹介

マンション売却するか、それとも賃貸か?

今すぐ住む予定がないマンションをご所有の方に限らず、ご事情によりお住み替えをご検討の方にとっても、その選択にあたってはお悩みになるのではないでしょうか。

ここではその疑問を解消するために、マンション売却と賃貸のメリットとデメリットを比較したうえで、それぞれに適しているのはどんなケースなのかをご紹介します。

さらに、築40年以上のケース、オーナーチェンジ物件を売却して買換えるケース、マンションを売って賃貸に引っ越すケースの注意点もご紹介いたします。

この記事でわかること
  1. マンション賃貸のメリットは家賃収入のほか税金を経費計上できること
  2. マンションの建物の資産価値は10年以上で16.2%、20年以上で30.9%下がる
  3. 更新が無く期限までに必ず退去してもらえるのは定期借家契約
  4. 大規模修繕が近いマンションが賃貸経営において要注意な理由

目次

マンション売却と賃貸を一覧で比較

マンション売却と賃貸を一覧で比較

まずは、マンション売却とマンション賃貸それぞれのメリットとデメリットを、一覧で比較してみましょう。

マンション売却
メリット一括現金化で確定した売却益がある
所有や賃貸でかかる費用や手間がなくなる
デメリット売却による諸費用や税金がある
マンション賃貸
メリット入居者から月ごとの家賃収入がある
固定資産税などを経費計上できる
デメリット空室リスクがある
事故物件リスクがある
賃貸経営には費用や手間がかかる
マンション資産価値は築年数に伴い下がる

上記一覧からご確認頂いた内容について、マンション売却のメリットから詳しく解説していきます。

マンション売却のメリット

まずは、マンション売却のメリットについて詳しくみていきましょう。

一括現金化で確定した売却益がある

マンションを売却した結果として当然のことながら、確定した売却益がまとまって手に入ります。

賃貸では入居者がいないと月ごとの家賃収入が得られないため、確定した収入が計算できませんが、

売却なら一括で確定した収入が得られることこそがメリットです。

もちろん空室リスクの心配もありません。

所有や賃貸でかかる費用や手間がなくなる

マンションを所有していれば継続して発生する管理費・修繕積立金及び固定資産税などの費用や、マンション賃貸中であれば必要に応じて発生するリフォームなどの費用や手間については、売却すれば発生しなくなります。

またマンションの賃貸管理の手間や委託費用の出費もなくなります。

マンション売却のデメリット

続いて、マンション売却のデメリットについて解説します。

売却による諸費用や税金がある

一時的な費用として仲介手数料や売買契約書に貼付する印紙(印紙税)、売主が負担すべき登記費用が発生します。

また、該当する場合にはリフォーム費用、ハウスクリーニング費用、不用品処分費用、引越(移設)費用が発生します。

さらに、もし売却によって譲渡所得(売却益)が出じる場合には、譲渡所得に対して税金がかかることがあります。

関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法

これらのうち最も金額の大きい仲介手数料は、例えば3,000万円のマンションの取引の場合、

「(取引価格の3%+60,000円)+消費税」

が上限となり、105.6万円(税込)かかります。

 

弊社「東京テアトル」の直接買取であれば、仲介会社に販売活動を依頼せず、買主となる東京テアトルがマンションを直接買い取る取引なので、仲介手数料はかかりません。
マンション売却と賃貸を一覧で比較|マンション売却のデメリット|売却による諸費用や税金がある|東京テアトルの直接買取

関連記事:マンション売却にかかる費用まとめ。相場、手数料や税金など

マンションを賃貸に出すメリット

ここからは、マンション賃貸のメリットについて解説します。

入居者から月ごとの家賃収入がある

自宅マンションを賃貸に出すことの最も大きなメリットが「家賃収入」です。

会社勤めの方なら、お給料の他に毎月「不労所得」が入ってくるのは大変魅力的ではないでしょうか。

所有権はご自身がお持ちのままですから、マンションが資産として残るという点でもメリットがあります。

固定資産税などを経費計上できる

所有しているマンションを賃貸にすると、家賃収入を不動産所得として確定申告する際に、以下の費用を「経費」として計上できます。

管理費、修繕積立金

固定資産税、都市計画税

修繕費、ハウスクリーニング費


損害保険料(火災保険、地震保険など)

 

これによって控除額が増え、節税につながるというメリットがあります。

マンションを賃貸に出すデメリット

最後に、マンション賃貸のデメリットについて解説いたします。

空室リスクがある

マンションを賃貸に出して家賃収入が得られるのは、入居者がいることが前提です。マンションが空室になれば、当然家賃は入ってきません。

マンションの立地や築年数、設備などの条件によっては、入居者がなかなか見つからず空室が続くこともあります。

また、入居者が見つかっても、いつまで住み続けるかは分かりません。

もし入居者が退去してしまった場合、すぐに新しい入居者を探す必要があります。

見つかるまでの間は家賃収入がないだけではなく、空室状態でも所有しているだけでマンションの管理費や固定資産税などの諸費用を払い続けることとなります。

マンションを賃貸する上では、このような「空室リスク」がデメリットとなります。

事故物件リスクがある

万が一、賃貸に出している部屋で事件や事故が起こってしまったら、その部屋は「事故物件」として扱われることになります。

当然、家賃を下げざるを得ない上に、家賃を下げてもなかなか入居者が見つかりません。

また、将来売ろうと思っていたとしても同様に、相場よりも安い価格でしか売却できなくなってしまいます。

賃貸経営には費用や手間がかかる

マンション売却のメリットの部分でも言及したとおり、例えばマンションの設備の給湯器が故障した場合は、貸主が修理費用を負担しなければなりません。

あまりにも設備が古いと借りてもらえないこともあるので、耐用年数なども確認しつつ時期によっては設備の入れ替えも必要になります。賃貸マンションには、このようなメンテナンス費用がかかります。

また、マンションオーナーにとっては大切なマイホームですが、入居者からすればあくまで借りている部屋にすぎません。

大切に住んでくれる入居者ばかりとは限らず、居住中はどんな使われ方をしているか分からないので、ハウスクリーニング費用も使われ方によって変動します。

マンション資産価値は築年数に伴い下がる

賃貸経営を行うマンションの建物の資産価値は、経年に伴って下がっていくことにもご留意ください。

下記の表は、2023年度の首都圏中古マンション成約物件の築年帯別状況です。築年数ごとの成約価格の推移をご覧いただけます。

成約価格専有面積件数
~築5年7,077万円62.87㎡3,284件
築6~10年6,655万円66.19㎡4,778件
築11~15年5,932万円68.19㎡4,178件
築16~20年5,509万円70.49㎡4,904件
築21~25年4,887万円70.60㎡4,111件
築26~30年3,344万円64.94㎡2,768件
築31年~2,359万円59.72㎡11,236件
4,614万円64.11㎡35,259件
出所:レインズタワー
築11~15年の成約価格5,932万円は、~築5年の7,077万円からおよそ16.2%の下落となり、築21~25年の成約価格4,887万円は、~築5年の7,077万円からおよそ30.9%下落していることがわかります。

次項では、マンション売却と賃貸でそれぞれおすすめできるのはどのようなケースなのかを解説いたします。

マンション売却をおすすめするケース

マンション売却をおすすめするケース

まず、マンション売却が適しているのは、以下のケースに当てはまる方です。

  • 売却益を充当しお住まいを購入するケース
  • 老人ホームなど高齢者施設へ入居するケース
  • その他まとまった資金が必要なケース

一つずつ解説します。

売却益を充当してお住まいを購入するケース

新しいお住まいへの買い替えにマンションの売却益を充てるご予定であれば、マンション売却がおすすめです。

もし住宅ローンを利用される場合でも、マンション売却益を充てることによって借入額が軽減されます。

関連記事:マンション買い替えの流れ、デメリットと費用、タイミングや税金も解説

老人ホームなど高齢者施設へ入居するケース

売却代金を、老人ホームなど高齢者施設の入居一時金を支払うために充てたいとお考えの方には、賃貸ではなくマンション売却をおすすめします。

老人ホーム・介護施設といっても様々な種類があります。費用としては、月額料金の他に入居一時金が、特養などを除き、大部分のホーム・施設で必要になります。

関連記事:マンション売却して老人ホーム等に住み替え

その他まとまった資金が必要なケース

お住まいのお買い換えや施設へのご入居以外にも、お戻りになるご実家のリフォーム費用など、お住み替え先での諸費用でまとまった資金がご入用のケースなども想定されます。

その際には、まとまった資金を売却益として得られるマンション売却がおすすめです。

マンションを賃貸に出すべきで売らない方がいいケース

マンションを賃貸に出すべきで売らない方がいいケース

一方、マンションを売却せず賃貸に出す選択は、以下のケースに当てはまる方におすすめです。

  • マンション賃貸経営を始めようとしているケース
  • 転勤後に戻り持ち家マンションを維持するケース

順にみていきましょう。

マンション賃貸経営を始めようとしているケース

マンションの賃貸経営をすることを目的として長期保有を望まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

前述の通りマンションを賃貸に出すと、所有権はご自身がお持ちのまま、月ごとに家賃収入があるというメリットがあります。

もし、マンション売却によって今すぐにまとまった資金が必要、というわけではないのなら、賃貸経営をされるのも選択肢のひとつです。

マンションの賃貸経営においては、賃料相場、物件の立地、室内および建物の状況、そして管理の手間などといった収益を左右する要素を考慮したうえで、その物件が一定の水準を保てるかが重要です。

そのため、場合によっては貸す前にリフォームなどの費用が発生することもあります。

賃貸経営が成功すれば安定した収入源となりますが、一方、賃貸中にも空室リスクや事故物件リスク、メンテナンスの手間やコスト、税金などの負担も発生します。

普通借家契約を締結した場合には「もう賃貸をやめて売ろう」と貸主が思っていても、もし借主が退去を拒否すれば、出ていくまで売却することはできません。

つまり「一度賃貸に出すとそう簡単にやめられない」ことにご注意ください。

転勤後に戻り持ち家マンションを維持するケース

例えば短期間の転勤などで、今後戻って居住するご予定が明確にあるのなら、マンションのご売却はおすすめできません。今後必ず住むときがくるまで、賃貸に出すご検討をされてはいかがでしょうか。

マンションの賃貸で締結する契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」とがあります。

もし、「普通借家契約」を締結してしまうと、契約の更新が発生するうえ、その際に借主が住み続けたいと希望すれば、賃貸借期間が更新され続けてしまいます。

もし戻ってくる時期がはっきりしていれば、期限付きで賃貸する「定期借家契約」を締結すると良いでしょう。

この「定期借家契約」とは、3年や5年、あるいは10年などの契約期間を最初から定めておく賃貸契約のことです。

契約期間が満了すると自動的に契約は解除されるので、借主の都合で延長して住み続けることはできず、確実に明け渡してもらえます。

ただ、住める期間が決まっているため、家賃を相場より少し安めにするなど、入居者を募集する際の工夫が必要です。

(参考:国土交通省|定期建物賃貸借)

築40年超のケース、マンションを売るか貸すかで2つの注意点

築40年超のケース、マンションを売るか貸すかで2つの注意点

ここでは、築40年超の古いマンションのケースを解説いたします。売るか貸すかの判断材料となる注意点が2つありますので、ぜひ参考になさってください。

  • 古い建物の価値低下による収益への影響は立地で差がある
  • 古いマンションはリフォーム費用がかさむ

順にみていきましょう。

古い建物の価値低下による収益への影響は立地で差がある

築年数が40年以上といった古いマンションをご所有のケースでは前述の通り、マンションの新築時と比較して、建物の資産価値が下がっています。

また、地価がもともと高い都心よりも、比較的地価の安い郊外のマンションのほうが、建物の資産価値の低下の影響が大きくなります。

そのため、都心より郊外のほうが、築年数が浅いマンションほどの収益が見込めず、貸しにくくなるということにご注意ください。

古いマンションはリフォーム費用がかさむ

また、マンションの新築時と比較して、リフォーム費用がかさむことも想定されます。

前述の通り立地にも左右されますが、たとえ賃貸に出しても元を取るのが困難になってしまうこと、また売却においても買主が思う通りのリフォームを購入後に施すことのニーズや可能性を考えると、賃貸経営での収益が見込めないのなら、現況で売るほうがよいと考えます。

関連記事:マンション売却にリフォームは必要?費用相場や注意点を解説

オーナーチェンジ物件を売却して買い換えるケース、6つの注意点

オーナーチェンジ物件を売却して買い換えるケース、6つの注意点

ここでは賃貸経営に関して、賃貸中のマンションの売却や買い替えでの購入を検討中の方に向けて、6つの注意点を解説いたします。

  • 賃貸中マンションを売却の際は立ち退き不要
  • 賃貸中マンションの売却でかかる税金は居住用の場合とは異なる
  • オーナーチェンジ物件の購入には実質利回りを参考にする
  • オーナーチェンジ物件には買い替えが必要
  • オーナーチェンジ物件の立ち退きは正当事由があっても時間がかかる
  • 大家都合の退去での立ち退き料は家賃6~12か月分が相場

順を追って解説いたします。

賃貸中マンションを売却の際は立ち退き不要

投資用マンションやアパートの売却では、賃貸中の入居者に立ち退いてもらう必要はありません。

むしろ空室になると賃料が得られなくなり、買主となる投資家にとっては不利益となるため、特別な事情が無い限り、専ら入居者がいる状態で売却されます。

これはオーナーチェンジと呼ばれ、マンションをはじめ不動産取引において一般に行われる取引形態です。

賃貸中マンションの売却でかかる税金は居住用の場合とは異なる

オーナーチェンジ物件には賃貸中マンションの売却でかかる税金は、所有者が居住しているマンションの売却の場合とは異なります。

賃貸中のマンションの売却で譲渡益が出た場合においては、マイホームの3つの特例(3,000万円特別控除、10年超所有軽減税率の特例、特定居住用財産の買換え特例)は利用できません。

賃貸中のマンションの売却で譲渡損が出た場合においても同様に、損益通算・繰越控除の特例(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)は利用できません。

賃貸中のマンションの売却でかかる税金については、特定事業用資産の買換え特例制度があります。

個人が事業の用に供している特定の土地建物等を譲渡し一定期間内に特定の土地建物等の資産を取得し、その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供した場合に適用を受けることができます。

この特例では、売った金額より買い換えた金額の方が多いときは、売った金額に20%を掛けた額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。

※讓渡代金5,000万円、買換え代金3,000万円、譲渡資産の取得費900万円、譲渡費用100万円の場合、特定事業用資産の買換え特例を利用した場合の譲渡所得の計算

①譲渡収入金額A5,000万円-3,000万円=2,000万円

       B3,000万円×20%=600万円

       A+B=2,600万円

②取得費・譲渡費用

(900万円+100万円)×(2,600万円/5,000万円)

=520万円

③譲渡所得2,600万円-520万円=2,080万円

売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額と買い換えた金額に20%を掛けた額との合計額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。

※讓渡代金5,000万円、買換え代金3,000万円以上、譲渡資産の取得費900万円、譲渡費用100万円の場合、特定事業用資産の買換え特例を利用した場合の譲渡所得の計算

①譲渡収入金額3,000万円×20%=600万円

②取得費・譲渡費用

(900万円+100万円)×20%=200万円

③譲渡所得600万円-200万円=400万円

出所:国税庁|事業用の資産を買い換えたときの特例

オーナーチェンジ物件の購入には実質利回りを参考にする

賃貸中のマンションを、賃貸経営を目的にオーナーチェンジ物件として購入する際の注意点はどんなことでしょうか?

それは、表面利回りではなく実質利回りを見て比較検討することです。

利回りは、諸経費を差し引くかどうかの違いによって、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類に分類され、表面利回りとは、年間家賃収入を投資額で割ったものです。

(1年間の家賃収入) ÷ 物件価格 × 100 = 表面利回り(%)

オーナーチェンジ物件の広告やチラシでは、表面利回りのみ記載されていることが多いです。

実質利回りは、「Net Operating Income」の略で、NOI(エヌオーアイ)利回りとも呼ばれ、以下の計算で表すことができます。

{(1年間の家賃収入 - 諸経費) ÷ 物件価格} × 100 = 実質利回り(%)

実質利回りの諸経費となるものは、固定資産税及び都市計画税、保険料、管理委託料、メンテナンスコスト、水道光熱費、仲介手数料、リフォーム費用が挙げられます。

表面利回りが同じでも、支出の多い物件は実質利回りが低くなるため、購入にあたっては、売主に実質利回りを確認しましょう。

実質利回りを知るための関連資料には、固定資産税納税通知書、保険料記載資料、管理費記載資料、メンテナンスコスト記載資料、直近過去3年間の修繕履歴(平均して1年あたりの修繕費を仮定)が挙げられます。

オーナーチェンジ物件には買い替えが必要

賃貸経営の安定継続のためには、売却して別のオーナーチェンジ物件を購入、つまり買い替えをしていく必要があります。その理由は以下の通りです。

収支低下により損切りするため

築年が一定以上経過し、メンテナンスのコストが増え、投資対象としての利回りが下がりそうな場合、そのオーナーチェンジ物件を売却して買い換えを検討すべきです。

とりわけ大規模修繕が近いマンションは、工事に伴う管理費や修繕積立金などコストの値上がりにより収支が低下する可能性が高いため、賃貸運営にあたっては買い替えのタイミングです。

もし利回りがマイナスになってしまう場合、月々の支払いが自己資金からの持ち出しとなりますので、損失が継続することのないよう、早急に売却する必要があります。

利益を確定するため

オーナーチェンジ物件の賃貸運営の収支と売買収支の合計がプラスで収益確定できる場合にも、オーナーチェンジ物件を売却することとなります。賃貸運営を終了する際の理想的な状況です。

別の資産運用方法に変更するため

別の投資不動産としてアパートや1棟の賃貸マンションやオフィスビルなど物件を購入した場合にも、ローンを新たに組み直したり、オーナーチェンジ物件を売却したりすることになるでしょう。

また、前項に関係して、売却により利益が確定した資金を元手に、株式など別の資産運用方法に変更する場合も考えられます。

関連記事:オーナーチェンジ物件とは?メリット・デメリット・購入するポイントを解説

オーナーチェンジ物件の立ち退きは正当事由があっても時間がかかる

オーナーとしてマンションを賃貸する際は、借主と貸主との間で借家契約を締結します。この借家契約自体は借主を保護するためのものであり、借主に有利な内容の契約になっています。

そのため、契約後に立ち退いてもらいたくても、家賃滞納などといった「正当事由」がなければ、貸主のほうから契約を解除したり契約の更新を拒んだりはできません。

そのほかの正当事由としては、建物の老朽化による建て替え、再開発による取り壊し、所有者が自ら建物の使用を必要とする事情がある、入居者による契約違反などが挙げられます。

しかしながら、これらの正当な理由があったうえで正式な手続きを踏んでも、退去までには半年から1年ほどかかってしまうことにもご留意ください。

大家都合の退去での立ち退き料は家賃6~12か月分が相場

入居中の賃貸マンションを大家(オーナー)の都合で退去してもらいたい場合、立ち退き料の相場はいったいいくらなのでしょうか?

そもそも立退料の支払いについての法律による定めはありませんが、入居者に転居などの負担をかけるため、オーナーの都合による退去をお願いする場合、一般的に立退料を支払います。

賃貸中のアパートや区分マンションの場合、家賃の6〜12か月分相当の立退き料を支払うケースが多いようです。

マンションを売って賃貸に引っ越すケース、3つの注意点

マンションを売って賃貸に引っ越すケース、3つの注意点

ここでは、お子様が独立された方や住宅ローンの支払いが困難になった方、もしくは終活の一環などで、「持ち家のマンションをご売却後に賃貸物件へのお引越し」をご検討中の皆様に向けて、以下の注意点を解説いたします。

  • 持ち家を売って賃貸に住むとどう変わるのかを確認する
  • 老後家を売って賃貸に住もうとしても借りることが難しい場合がある
  • 賃貸と持ち家で居住費用に1300万円の差が出るのか

持ち家を売って賃貸に住むとどう変わるのかを確認する

分譲マンションと比較してどう変わるのか、賃貸物件の特徴をあらためてご確認ください。

  • 売買をしないぶん住み替えが容易になる
  • 固定資産税などの税金が発生しない
  • メンテナンスコストは不要だが原状回復義務あり

一つずつみていきましょう。

売買をしないぶん住み替えが容易になる

賃貸物件は、ライフステージの変化によって希望する立地や間取りなどが変わっても、気軽にお住み替えが可能です。

当初は駅から遠く築年の経ったお住まいから、収入が上がって高級な駅近の築浅物件へお引っ越しといった場合も、分譲マンションよりも賃貸物件のほうがお手軽です。

固定資産税などの税金が発生しない

不動産を所有すると、固定資産税や都市計画税のほか、不動産取得税、登録免許税などの税金がかかります。

賃貸の場合は、基本的に賃料や共益費、更新料の支払いのみで、追加で税金の負担を求められることはありません。

メンテナンスコストは不要だが原状回復義務あり

賃貸物件であれば、設備の不具合やメンテナンスは管理会社やオーナーが対応してくれます。借主に過失がない設備トラブルや故障なら、費用の負担なく修理してもらうことも可能です。

また、建物の老朽化の対応や、災害時の修繕費用も管理会社やオーナーが負担するため、住む人にとってはメリットです。

しかしながら借主は、「通常損耗や経年変化に当たるもの」以外のものについて、退去時に原状回復=入居時の状態に戻す義務が発生します。2020年4月の民法改正により明文化されました。

引越し作業でできたキズや、タバコのヤニ・においなどは、通常損耗・経年変化には当たらないとされ、費用が増える可能性があります。

一方、家具を置いていた場所の床やカーペットのへこみ、家電製品の後ろの壁の黒ずみなどは、「通常損耗や経年変化に当たるもの」として、原状回復義務はありません。

老後家を売って賃貸に住もうとしても借りることが難しい場合がある

マンションを売って賃貸に引っ越す場合の注意点として、ご高齢の方ほどお部屋探しが難しいことが挙げられます。

賃貸物件を貸すかどうかの判断は、大家(オーナー)に委ねられます。

オーナーによっては、収入がない方や保証人を立てられない方とともに、ご高齢の方も、賃貸を断られてしまう可能性があるのです。

そのため、老後に家を売ってから賃貸物件を借りようかと検討する際には、ご高齢の方のお部屋探し自体が難航するおそれもあることにご注意ください。

賃貸と持ち家で居住費用に1300万円の差が出るのか

定年後に家賃を払い続け、かつ同じグレードの物件で比較した場合に、賃貸では持ち家より1,300万円程度の費用がプラスでかかるケースが実在するそうです。

定年退職の年齢を65歳と仮定すると、賃貸相場の月額家賃およそ7.5万円は定年後15年間の合計で1,300万円程度かかり、ローン完済後の持ち家と比較して1,300万円程度の差が出るというロジックのようです。

しかしながら、分譲マンションを売って賃貸に引っ越すケースでは、持ち家を売却することで売却益を得る以上、上記のように単純に比較することは難しいです。

そのため、賃貸物件に住むか持ち家かを選ぶ際は、それぞれの特徴や注意点を把握し、損益をある程度シミュレーションしたうえで、ご自身の希望に沿った住まい方を選択することが大切です。

マンションの賃貸と売買を比べるとどっちが得?

マンションの賃貸と売買はつまるところ、どっちが得といえるのでしょうか?

首都圏の平均的な成約価格帯のマンションを参考に、売却した場合と賃貸した場合とで、それぞれいくら儲かるか、一定の条件を定めたケースのシミュレーションを行いました。

結論から申し上げますと、「マンションを売った儲け」を「マンションを貸した儲け」が上回るのが、少なくても7.33年後でした。よって、8年以降は賃貸のほうがお得になります。

しかしながら、空室が続いた場合のリスクが大きく、加えて事故物件になるリスク、賃貸経営の手間やリフォーム費用などのデメリットを考慮する必要もあります。

首都圏の平均的な成約価格帯のマンションを参考に、売却するといくら儲かるか、一定の条件を定めたケースのシミュレーション結果は、以下の通りです。

    4,700万円           (売却価格)

   - 2920万円           (購入費用)

  - 161.7万円    (売却にかかる仲介手数料)

  - 180万円  (売却にかかるリフォーム費用)

    - 20万円    (売却にかかる他の諸費用)

    - 0円   (税金:3,000万円特別控除の特例)


 1,418.3万円    (マンションを売った儲け)

同様に賃貸するといくら儲かるか、一定の条件を定めたケースのシミュレーション結果は、以下の通りです。

  4,700万円             (物件価格)


  252万円        (1年間の家賃収入)

  - 30万円   (1年間の管理費・修繕積立金)

  - 14万円(1年間の固定資産税・都市計画税等)

  - 15万円   (1年間の管理委託費・保険料)


  193万円  (1年間マンションを貸した儲け)

  4.11%            (実質利回り)

今後発生するかもしれないリフォーム費等を除いても、マンションを売った儲け1413.8万円分の利益を得るまでには、少なくとも7.33年を要します。

同じように購入費用2,920万円分の利益を得るまでには少なくとも15.13年を要し、物件価格4,700万円分の利益を得るまでには少なくとも24.35年を要します。

マンション売却と賃貸はどっちが得?それぞれに適したケースを解説のまとめ

最後に、この記事でご紹介した、マンション売却と賃貸はどっちが得かについて、要点をまとめます。

マンションを賃貸に出すデメリットは?

この記事ではマンションを賃貸に出すデメリットとして、以下の4点を挙げています。

  • 空室リスクがある
  • 事故物件リスクがある
  • 賃貸経営には費用や手間がかかる
  • マンション資産価値は築年数に伴い下がる

マンション売却と賃貸のメリットとデメリットを比較できる一覧はこちらをご覧ください。

マンション売却をおすすめするケースは?

マンション売却をおすすめするのは以下のケースです。

  • マンション売却益を充当してお住まいを購入するケース
  • 老人ホームなど高齢者施設へ入居するケース
  • その他まとまった資金が必要なケース

マンション売却をおすすめするケースの詳細はこちらをご覧ください。

マンション賃貸をおすすめするケースは?

一方、マンションを賃貸に出すのをおすすめするのは以下のケースです。

  • マンション賃貸経営を始めようとしているケース
  • 転勤後に戻って持ち家のマンションを維持するケース

マンション賃貸をおすすめするケースの詳細はこちらをご覧ください。

マンションの売却は賃貸中でもできる?

投資用マンションやアパートの売却では、一般的に賃貸中の入居者がいる状態で売却され、こうした不動産取引はオーナーチェンジと呼ばれています。

オーナーチェンジの詳細はこちらをご覧ください。

マンションの賃貸と売買はどっちが得?

首都圏の平均的な成約価格帯のマンションを参考に一定の条件を定めたケースのシミュレーションでは、「売った儲け」を「貸した儲け」が上回るのが、少なくても7.33年後でした。

よって、8年以降は賃貸のほうがお得になります。

しかしながら、空室が続いた場合のリスクが大きく、加えて事故物件になるリスク、賃貸経営の手間やリフォーム費用などのデメリットを考慮する必要もあります。

マンション賃貸と売買はどっちが得かの詳細はこちらをご覧ください。


(著者
今井 俊輔【不動産鑑定士宅地建物取引士

2006年東京テアトル株式会社に入社。不動産鑑定により培った「理論」と不動産取引実務の「経験」に基づき、一棟オフィスビルをはじめ多岐にわたる不動産物件の売買に携わる。現在は管理職として区分所有マンション担当若手社員の育成にも力を注ぐ。

 マンションのご売却は大きなイベントです。わからないことだらけで不安とご心配の皆様のお役に立てるよう、業務で身に着けた知識と経験を活かし、丁寧にお話をお伺いいたします。何なりとご相談ください。 
 マンション専門に年間200件以上、取引築年数平均が30.8年と築古物件が得意な弊社が独自メソッドによる査定で高値買取致します。