マンション売却と確定申告。必要書類や書き方
カテゴリ:マンション売却
投稿日:2021.01.06
マンション売却と確定申告、必要書類、書き方、申告時期、税金の納付時期や納付方法、マイホームを売った場合の税金の特例などについて説明していきます。
確定申告するといっても、税金について詳細を理解するのは難しいですよね。この記事では、概要を理解しやすいよう細かい部分は省いてご説明します。
税金の計算方法や特例の適用要件などの詳細については、関連記事や参考ページでもご確認ください。
目次
マンション売却、確定申告は必要か?申告時期、税金の納付時期や方法
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税金額を計算して、管轄税務署に申告・納税する手続きのことです。
一般的なサラリーマンの確定申告
一般的なサラリーマンは、会社が毎月の給与や賞与から概算の所得税をあらかじめ天引き(源泉徴収)して、本人の代わりに納税をします。
従って一般的なサラリーマンは、給与所得以外に所得がなければ、概算と正確な税金額の差額を調整する年末調整を会社が行ってくれるので、基本的には確定申告の必要はありません。(年収2000万円超、2カ所以上からの給与所得がある等は確定申告が必要)
マンション等の不動産を売却したら確定申告
譲渡所得(売却益)が生ずる場合であって、売却した金額そのものに課税をされるわけではありません。
譲渡所得に対する税金は、他の所得と区分して計算します。
マンションを売却したときの確定申告の時期など
マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日が申告期間となります。
住んでいる住所地を管轄する税務署に、後述する所定の申告書等に必要事項を記入して提出するのが一般的です。
所得税、復興特別所得税と住民税
マンション等の不動産を売却したときにかかるのは、詳しくは後述しますが、所得税、復興特別所得税(国税)と住民税(地方税)になります。
確定申告が必要なのは所得税で、住民税(地方税)は、普通徴収の場合、確定申告の結果が税務署からまわり、所得税の申告に基づいて役所の課税課が計算して、譲渡所得についての住民税の納付書が6月頃に送られてきます。
税金の納付時期、納付方法など
所得税(国税)
所得税(国税)については、税務署からもらった「納付書」に所得税(国税)の金額を自分で記入して税務署や金融機関に3月15日までに納付します。
銀行印を押印した届出を税務署に提出して振替納税とするなど、下記参考ページにあるように納付方法はいろいろあります。振替納税の場合は、4月中旬以降に指定の口座から引き落としとなります。
住民税(地方税)
住民税(地方税)は、確定申告作成時に第二表の「自分で納付」にチェックをしておくと特別徴収(給与から天引)にならず、前述した通り普通徴収の納付書が送られてくるので、まとめて納税するか年4回に分けてかの方法で納税をします。
給与所得者が「自分で納付」にチェックをしなければ特別徴収となり、毎月の給与から天引きとなります。
確定申告に必要な書類
マンションを売却して確定申告するときには、『確定申告書』以外にたくさんの書類を添付して提出する必要があります。
適用される特例などによって必要書類は変わりますが、主なものは下記の通りです。
「申告書B第一表、第二表」及び申告書第三表(分離課税用)」
確定申告書には、申告書Aと申告書Bがあります。
土地や建物を売った場合の譲渡所得の申告には、「申告書B第一表、第二表」及び申告書第三表(分離課税用)」の申告書用紙を使用します。
譲渡所得の金額の計算は、次で説明する「譲渡所得の内訳書」を用意します。
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
土地や建物の譲渡(売却)による譲渡所得金額の計算用として、特例の適用を受ける場合の計算書として使用する書類で、譲渡(売却)した土地や建物について記載します。
- 所在地、面積、利用状況、売買契約日や買主など
- 購入代金(いつ、誰から、いくらで購入したかなど)
- 売却するために支払った費用(仲介手数料、収入印紙など)
- 譲渡所得金額の計算
- 交換、買換(代替)特例の適用を受ける場合の譲渡所得の計算
参考ページ:国税庁 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
譲渡時の書類
売却したときの下記書類のコピー。
- 売買契約書(売却契約)
- 売買代金の受領書
- 固定資産税等の清算書
- 仲介手数料等譲渡費用の領収書
取得時の資料
売却したマンションを取得したときの下記書類のコピー。
- 売買契約書(取得契約)
- 売買代金の領収書
- 固定資産税等の清算書
- 仲介手数料の領収書
売却したマンションの全部事項証明書
管轄の法務局で取得できる他、郵送による交付請求やオンラインによる交付請求も行うことができます。
特例の適用を受けるために必要な書類
■マイホーム(居住用財産)を売って譲渡益や譲渡損失がある場合の特例
- 居住用財産の3000万円の特別控除の特例
- 10年超所有の軽減税率の特例
- 特定居住用財産の買換え特例
- 居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算、繰越控除
- 居住用財産の譲渡損失の損益通算、繰越控除
特例の内容は、目次「6.確定申告をして納税が必要なケース」と「7.確定申告をして所得税を減らせるケース」で説明をしています。6.と7.をご確認ください。
■特例を受けるために必要な書類
・戸籍の附票など居住していたことを証明する資料(1〜5)
・売却した自宅マンションの全部事項証明書の原本(2〜5)
・買換え取得(新居)資産の資料(売買契約書の写し)(3、4)
・買換え取得(新居)全部事項証明書(3、4)
・耐震基準適合証明書など(3)
・新居の住宅借入金等の残高証明書(4)
・譲渡資産(売却したマイホーム)の住宅借入金等の残高証明書(5)
適用要件、必要書類等の詳細については国税庁のホームページなどでご確認ください。
参考ページ:国税庁 譲渡所得について主な特例を受ける場合の申告書添付書類チェックシート
確定申告の時期・タイミング
確定申告が必要な場合は、前述したように売却(譲渡)した年の翌年2月16日から3月15日の期間に行います。
マンションを売却(不動産売却)して譲渡所得(売却益)が生じた時の申告の仕方は、国税庁の「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」にその詳細が記載されています。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」は、全44ページとたいへんなボリュームになっています。
初めて聞くような専門的な言葉も多いので、理解してきっちり記入するにはかなり時間がかかりそうです。
次項では、そんな方のために確定申告で知っておきたいキーワードを分かり易く解説します。
確定申告に必要な用語・知識集
マンション売却時の確定申告書の記入や申請で知っておきたい下記のキーワードを簡単にご説明します。
- 4-1.譲渡所得(売却益)と課税譲渡所得金額の計算方法
- 4-2.短期譲渡所得、長期譲渡所得の税率
- 4-3.収入金額
- 4-4.取得費
- 4-5.減価償却費
- 4-6.譲渡費用
- 4-7.譲渡損失
- 4-8.損益通算
4-1.譲渡所得と課税譲渡所得金額の計算方法
譲渡所得(売却益)
マンションを売却した場合、売却代金そのものに課税されるのではありません。そのマンションの取得に要した費用(取得費)や売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引き、利益が出れば課税されます。
この利益のことを「譲渡による所得(譲渡所得)」といいます。
課税譲渡所得金額の計算方法
収入金額(売却金額等) − (取得費+譲渡費用)− 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
後ほど説明しますが、マイホーム売ったときなど一定の条件に当てはまると特別控除などの特例があります。この特別控除額を差し引いて課税譲渡所得金額を算出します。
4-2.短期譲渡所得、長期譲渡所得の税率
短期譲渡:39.63%
マンションを売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年以下の場合の税率
- 所得税:30%
- 復興特別所得税:0.63%
- 住民税:9%
長期譲渡:20.315%
マンションを売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年超の場合の税率
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%
- 住民税:5%
譲渡所得の税額の計算
譲渡所得金額に短期、長期の税率をかけて計算します。
マンション売却の譲渡所得に対する税金は、分離課税といって給与等の他の所得とは区分して計算します。
譲渡所得の所有期間の数え方、取得日と売却日の決め方、相続により取得したマンションの取得の時期は?などは、関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法をご参照ください。
関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法
4-3.収入金額
収入金額とは?
収入金額は、売却金額+固定資産税・都市計画税の清算金になります。
売却金額は、売買契約書に記載された金額になります。
清算金は、通常固定資産税と都市計画税を日割計算して、買主負担分を決済日に売主に支払います。一般的には、引渡日前日までが売主、引渡日以降が買主の負担となります。
固定資産税等の清算金の計算方法、管理費・修繕積立金等の清算金が収入金額に入れない理由など詳細については、関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法をご参照ください。
関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法
4-4.取得費
取得費は、売却するマンションの取得時にかかった下記のような費用です。
土地・建物の取得費
- 土地の取得費=土地の購入代金
- 建物の取得費=建物の購入代金−減価償却費相当額
建物の取得費は、購入代金から減価償却費相当額を差し引きます。
建物は利用や時の経過により老朽化し、保有期間が長くなるほど価値が減ってきます。その価値の減少分を「減価償却費相当額」といい、建物の購入代金から差し引きます。
その他の取得費
- 購入時の仲介手数料
- 購入時の売買契約書に貼付した収入印紙代
- 購入時の登録免許税・登記費用
- 不動産取得税
- リフォーム費用、増改築費
- その他費用(立退料、所有権確保の訴訟費用、違約金など)
4-5.建物の減価償却費相当額の計算方法
非事業用の(自宅マンション)の場合
非事業用と事業用のマンションでは、減価償却費の計算方法が異なります。
ここでは、自己の居住用建物など非事業用建物の場合を説明します。
建物の取得価格 × 0.9 × 償却率※1 × 経過年数※2 = 償却費相当額※3
※1 非業務建物(居住用)の償却率
区分 | 木造 | 木骨モルタル | (鉄骨)鉄筋コンクリート | 金属造① | 金属造② |
償却率 | 0.031 | 0.034 | 0.015 | 0.036 | 0.025 |
※2 経過年数の6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満の端数は切り捨て。
※3 建物の取得価格の95%を限度とします。
詳細は、関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法をご参照ください。
関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法
マンションのように土地と建物を一括で購入している場合の購入代金の分け方
①購入時の契約書において建物と土地の購入代金が記載されている場合
契約書等に建物と土地の価格が記載されている場合には、その購入代金により区分します。
②購入時の契約書において建物と土地の購入代金の区別がないが、消費税額が分かる場合は消費税額から建物の本体の価格を計算
消費税が分かれば下記の計算式で建物代金が逆算できます。
建物の購入代金 =(消費税÷購入時の消費税率)+ 消費税
③購入時の契約書において建物と土地の購入代金の区別がなく、消費税額も不明の場合は、建物の標準的な建築価格から建物の取得価格を計算する。
「建物の標準的な建築価格表」を使用して、建築年と構造から㎡あたり建築単価を調べて、マンションの専有面積に乗じて建物のおおよその購入代金を計算します。
建物の標準的な建築価格表の建築単価 × 建物床面積(専有面積) = 建物取得代金
購入代金が不明な場合は?
実際の取得費が分かっている場合でも、その金額が5%相当額を下回る場合には、5%相当額の方を選択することができます。
詳細は、関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法をご参照ください。
関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法
4-6.譲渡費用
譲渡費用とは?
譲渡費用は、下記のようなマンションを売却(譲渡)するするために直接かかった費用をいいます。
- 売却時に支払った仲介手数料
- 売却時の売買契約書に貼付した印紙代
- 印鑑証明書の発行手数料
- その他(売買契約書の作成費用、解約違約金、立退料など)
“譲渡費用には入らないもの“など譲渡費用の詳細については、関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法でご確認ください。
関連記事:マンション売却にかかる税金はいくら?種類と計算方法
4-7.譲渡損失
譲渡損失とは?
マンションを売却した時、収入金額(売却金額等)を取得費+譲渡費用(必要経費)が上回った場合には、譲渡損失が生じます。
買った時よりも売った時の金額が低かったので譲渡損失が生じるという単純計算ではありません。
建物の取得費の計算
特に建物の取得費は、「2-4.取得費」でも説明したように購入代金から減価償却費相当額を控除する計算が必要です。
収入金額 − (取得費+譲渡費用)= 譲渡損失(収入金額<取得費+譲渡費用)
4-8.損益通算
損益通算とは?
損益通算は、各種所得金額の計算上生じた損失のうち譲渡所得など一定のものみ、総所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
損益通算で節税
損益通算は、売って生じた損とその他の所得と相殺することで節税ができることといえます。
具体的には、マンション売却の譲渡損失と給与等その他の所得との損益通算により売却した年の所得が計算上減り、結果として所得税が減ります。
普通のサラリーマンであれば、源泉徴収されている所得税が確定申告によって還付され節税になります。
確定申告書の記載手順・書き方
すでに説明したように確定申告書は、「申告書B第一表、第二表」及び申告書第三表(分離課税用)」の申告書用紙を使用します。
5-1.確定申告書の記載手順
確定申告書の記載手順
❶譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)作成
❷申告書B第一表の収入金額等と所得金額の箇所を記入
❸申告書B第二表を作成
❹申告書B第一表の所得から差し引かれる金額の箇所を記入
❺第三表の分離課税の収入金額や所得金額などの箇所を記入
❻第三表の税金の計算の箇所を記入
❼第三表の税金の計算、その他の箇所を記入
記載内容の詳細につきましては、下記よりご確認ください。
参考ページ:国税庁 土地や建物をお売りになった場合 確定申告書の記載手順
【事例1】土地(共有)を売却して譲渡益が算出されるケース
「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」の記載例はこちら▶
【事例2】居住用財産を売却して譲渡益が算出されるケース(新たに自宅を買い換えない場合)
「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」の記載例はこちら▶
【事例3】居住用財産を売却して譲渡損失が算出されるケース(新たに自宅を買い換える場合)
「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」の記載例はこちら▶
5-2.国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」
入力手順、具体的入力例
所得税及び復興特別所得税の申告書などは、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で作成することができます。
「確定申告書等作成コーナー」を利用して、画面案内に従って売買契約書や領収書等から収入金額などを入力すれば、税額などが自動計算されます。
入力手順や具体的入力例は下記国税庁ホームページからご確認ください。
参考ページ:国税庁 「確定申告書等作成コーナー」の入力手順など
参考ページ:国税庁 「確定申告書等作成コーナー」を利用しての具体的入力例
マンション売却、確定申告が必要なケース
マンションを売却(譲渡)した時、「確定申告をして納税が必要なケース」と「確定申告をして所得税を減らせるケース」があります。
最初に「確定申告をして納税が必要なケース」ついて簡単にご説明します。
6-1.マンション売却と譲渡所得
給与所得以外の所得がない普通のサラリーマンは、勤務先で年末調整の手続きを行なってくれるので確定申告の必要性はありません。
確定申告が必要なサラリーマンは、複数の会社から給与をもらっている、副業の収入がある、不動産収入がある、のような方になります。
普通のサラリーマンでもマンションを売却した結果、譲渡所得(売却益)が生ずる場合は、「確定申告をして納税が必要なケース」となります。
譲渡所得の計算式は下記の通りになります。
譲渡所得 = 収入金額(売却金額等)−(取得費+譲渡費用)
マンションを売った時の税額は、次の手順で計算します。
- どのくらいの利益が出たのか譲渡所得を計算します。
- 税率は持っていた期間、所有期間により決まります。
- 譲渡所得×税率=税額
既に説明したようにマンションの所有期間が5年以下は短期譲渡、5年超は長期譲渡となり、それぞれの税率をかけて税額を計算します。
6-2.居住用財産(自宅)を売却したときの特例
6-2.では納税額を減額できる「居住用財産(自宅)を売却したときの特例」の概要をご説明します。
売却したマンションが居住用財産(自宅)で、譲渡所得が生じた場合、税法上の特例の適用により、税額の減額や繰り延べができます。
主として下記の3つの特例になります。
3000万円の特別控除
収入金額(売却金額等) − (取得費+譲渡費用)− 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
売却した年の1月1日時点で、所有期間が10年超の場合は、3000万円の特別控除の特例を適用後の譲渡所得対して6000万円までは軽減された税率で税額を計算できます。(適用要件を満たしているケース)
- 6000万円まで:所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%
- 6000万円超 :所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%
特定のマイホームを買い換えたときの特例
【売却価格≦買い換え価格】
売却した時点では、自宅マンションの譲渡所得には課税されず、買い換えた居住用財産を将来売却する時に繰り延べられます。
課税が免除されるわけではなく、買い換えた居住用財産を売る時まで先送りされることになります。
【売却価格>買い換え価格】
譲渡所得を下記の式で計算
- 収入金額 = 売却価格 − 買い換え価格
- 必要経費 =(売却した自宅マンションの取得費 + 譲渡費用)×(1.÷ 売却価格)
- 譲渡所得 = 1.−2.
譲渡する物件、買い換える物件それぞれに適用要件があります。詳しくは下記参考ページ等でご確認ください。
参考ページ:国税庁 売った金額より少ない金額でマイホームを買い換えたとき
マンション売却、確定申告で所得税を減らせる
7-1.確定申告をして所得税を減らせるケース
次に「確定申告をして所得税を減らせるケース」について簡単にご説明します。
マンションを売却した時、損失が生ずる場合があります。マンションを含む不動産を売却して生じた譲渡損失(売却損)は、同じ区分の不動産の譲渡所得(売却益)とは損益通算できますが、原則として給与等の他の所得とは損益通算ができません。
ただし、例外として自宅マンション(居住用財産)を売却した場合は、損益通算等ができるケースがあります。これが「確定申告をして所得税を減らせるケース」です。
7-2.譲渡損失(売却損)の損益通算と3年間の繰越
一定の要件を満たしていれば、所得税の確定申告をすることにより下記の2点が可能になります。
- 売却した年の給与等その他の所得と損益通算できます。
- 1.の損益通算で控除しきれず残った譲渡損失の金額については、売却した翌年以後3年間は繰越して給与等その他の所得と損益通算できます。
参考ページ:国税庁 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
参考ページ:国税庁 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
それぞれの特例には、適用要件があります。詳しくは上記記載の「参考:国税庁ページ等」でご確認ください。
相続したマンションを売却した場合の税金の特例
「相続したマンションを売却した場合の税金の特例」について簡単にご説明します。
個人が相続をしたマンションを売却する場合、相続時には相続税、売却時には所得税等がかかり、短期間のうちに税金の負担が重くなることが考えられます。
その負担を軽くするため「相続税を取得費に加算する特例」という税法上の制度があります。
8-1.相続税を取得費に加算する特例
この特例は、相続により取得したマンションを、一定期間内に売却した場合に、相続税額のうち一定金額を取得費に加算できるというものです。譲渡所得を減らし所得税の負担を減らすことができます。
この特例を使える5つの要件は下記の通りとなります。
- 売却したマンションは相続(又は遺贈)により個人が取得した
- 相続税額が確定している
- 相続財産の課税価格に、売却したマンションの相続税評価額が入っている
- 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却している(※相続開始の翌日から3年10ヶ月以内が対象)
- 売却により譲渡所得が生じている
8-2.取得費に加算する相続税の計算方法
取得費に加算する相続税額=確定した相続税額×(相続により取得して売却したマンションの相続税評価額÷相続により取得した財産の課税価格(債務控除前))
支払った相続税のうち売却したマンションに対応する税額分を取得費に加算できるということになります。
8-3.相続したマンション売却のポイント
相続したマンションは、誰も住む予定がなく空き家のままにしておくと、毎月の管理費、修繕積立金や固定資産税・都市計画税などの支出が続いてしまいます。
適用要件を満たしている方は、節税ができる期間内に早めの売却をご検討ください。
関連記事:相続したマンションを売却した場合の税金の特例の詳細
マンション売却と確定申告のまとめ
本記事は、確定申告書を記入する際に、覚えておいた方が記入がスムーズになるキーワード、知っておいた方が税額を減らせるなどお得な特例について、出来る限り短く分かり易く説明をしています。
具体的な税金の計算方法、詳しい特例の適用要件などは、各関連記事や参考ページにてご確認ください。
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