マンションが売れない理由と値下げ、処分方法など
カテゴリ:マンション売却の手続き・ノウハウ
投稿日:2020.12.07

マンション売れない、と検索すると無数の「マンションが売れない理由」「売れない理由と対策」「売れない原因」的な記事が検索されます。
弊社東京テアトルは、売主として年間200件前後のリノベーション済みマンションを売却しています。(買主として200件前後の購入もしています)
200件のなかには「早く売れるマンション」と「なかなか売れないマンション」が存在します。
レインズ(不動産会社間の売買物件データベース)の中古マンション成約事例や弊社リノベーション済マンションの実際の売れ行きデータを分析して「マンションが売れない」本当の理由、値下げや価格設定考え方、売れないマンションの処分方法などもご紹介致します。
マンションが売れない理由、ネットに多いのは・・・
ネット記事の売れない理由ベスト10
ネット記事によくあるマンションが売れない理由、原因ベスト10です。
- 売出価格が適切でない
- 同じマンションに競合物件がある
- 築年数が古すぎる
- エリアの需要が無い
- 不動産会社が販売活動、広告を怠っている
- 売り出す時期が悪い
- 売主の印象が悪く内覧対応が疎か
- 部屋が汚い
- 管理費等が高い
- 駅遠い、管理が悪い等物件にマイナス
ネット記事の売れない理由を評価・分析すると
詳細は後述しますが、売れない理由1.~10.のそれぞれの重要度や簡単な評価・分析をまとめました。
売れない理由 | 重要度 | 東京テアトルの評価・分析 |
1.売出価格 | 高 | 価格設定が最重要、売れ行きを大きく左右 |
2.競合物件 | 中 | 必ずしも売れない理由にならない |
3.築年数古い | 中 | 一般的には築古は売り難いと評価されるけど |
4.需要が無い | 中 | 少ない需要を逃がさない為相場に合わせる |
5.不動産会社 | 低 | 大手不動産会社に依頼すれば安心 |
6.時期が悪い | 中 | 1月中旬から3月までと8月お盆明けが良い |
7.売主印象悪い | 低 | 極端に悪くなければ影響は少ない |
8.部屋が汚い | 低 | 極端に汚くなければ影響は少ない |
9.管理費等高い | 高 | 高い分を販売価格で調整しないと売り難い |
10.物件にネック | 中 | ネックを適切に価格に反映させれば大丈夫 |
売れない理由と価格設定
弊社の売れない物件の”売れない”理由は、”売れない”理由があるのに適切に価格設定に反映していないからというケースが多々あります。
”売れない”理由が存在するのであれば、その理由を価格設定に反映しなければ本当に売れなくなってしまいます。
売れない理由ベスト10の2.~10.に該当したから売れないのではなく、”売れない”理由を適切に価格設定に反映していない=割高な価格設定になっているので売れない、ということです。
マンションだけに特化して、年間200件を購入して、リフォーム後に年間200件を売っている弊社でも、”売れない”理由を適切に価格に反映できていないことが多々あります。そのような物件が売れないマンションになります。
ネット記事にある”売れない”理由1.~10.をどのように評価して、どのように価格設定に反映すべきかなどを次項以降で考えていきます。
マンション”売れない”理由は本当なの?
マンションの売れない理由、原因としてあがっている1.~10.について、レインズの成約事例や弊社の販売データなどを使って分析していきます。
本当に売れない理由なのか、売れない状況を改善する方法、どのように対処すべきか、など考えていきます。
マンション売れない理由、同じマンションに競合物件がある
戸数の多い大規模物件
大規模物件では、同じマンションに競合物件が存在する可能性が高くなります。
同じマンションに競合する物件があるからといって、必ずしも”売れない”理由になるとは言い切れません。
東急田園都市線に溝の口駅に「パークシティ溝の口」という総戸数1103戸の大規模物件があります。その他の物件概要は下記の通りです。
- 所在:川崎市高津区久本3‐6‐
- 駅距離:徒歩5分
- 築年月:1983年8月築(築37年)
- 総戸数:1,103戸
- 分譲会社:三井不動産
- 施工会社:三井建設他
この物件は大規模物件なので、同じマンションに競合物件があることがあります。現在も下記の2件が販売中で、同じマンションに競合がある状態になっています。
競合していても成約している
「パークシティ溝の口」販売中物件
登録日 | 販売価格 | 棟 | 面積 | 所在階 | 媒介 |
R2.09.21 | 4380万円 | A | 72.85 | 8階 | 一般 |
R2.10.31 | 5280万円 | E | 91.71 | 6階 | 専任 |


本物件の過去の成約を調べると、下記の通り1年間で複数の成約実績が登録されており、競合している状態でも成約になっていることが分かります。
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | |
成約件数 | 5 | 13 | 21 | 10 | 10 |
令和2年11月に成約3件



「パークシティ溝の口」もそうですが、大規模物件には、下記のような大規模のメリットがあります。通常この規模のメリットにより大規模物件は人気が高く、弊社では小規模マンションより「売れない理由」が少ない物件という評価をしています。
- 共用施設が充実(シアタールーム、ゲストルーム等)
- 共用部分が充実(広いエントランス、トランクルーム、駐車場等)
- 規模のメリットにより管理費が割安
- 規模のメリットにより同じ管理費であれば、管理が充実
- エリアのランドマーク的物件で需要が多い
マンション売れない理由、築年数が古すぎる
結論、古くても売れる
結論は、古いマンションも売れています。
築年数が古すぎる、非常に曖昧で定義が不明確な表現です。下記「レインズ成約事例」を見ても、古いからといって必ずしも”売れない”理由になるとは言い切れません。
築年数別の成約件数を見れば分かる
レインズ成約件数 2020年10月(レインズは不動産業者間の物件データベース)
築年数 | ~10年 | 11~20 | 21~30 | 31~40 | 41~50 | 50年~ |
東京 | 554 | 596 | 289 | 239 | 191 | 33 |
神奈川 | 187 | 273 | 190 | 145 | 81 | 18 |
埼玉 | 81 | 104 | 95 | 75 | 30 | 5 |
千葉 | 61 | 131 | 81 | 70 | 91 | 9 |
合計 | 883 | 1104 | 655 | 529 | 393 | 65 |
2020年10月に1都3県で成約した中古マンションを築年数別に調べてみました。
ネットの記事を見て、「古いマンションは売れない?」とご心配の売主様、そんなことはありません。
東京テアトルは、中古マンション専門、築古物件でも積極的に取り扱いをさせて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先:東京テアトル マンション売却相談センター☎0120-900-881
マンションが売れない理由、エリアの需要が無い
交通利便性が悪いエリアなどは、確かに一般的には売り難いとされています。
但し、駅から遠くても安い方が良い、広い方が良い、というようなニーズも多数派ではありませんがあります。
マンション売れない理由、不動産会社が販売活動、広告を怠っている
普通の売主さんは、一生に一度か二度かしかマンションを売却することがないので、販売活動や広告を怠っているといっても、その基準がお分かりにならないと思います。
一部のネット記事は、不動産会社が真面目に売ってくれない、と不安を煽り一括査定に誘導しようとしています。
関連記事「マンション売却の仲介手数料 仲介手数料上位20社ランキング」でも紹介している、仲介手数料上位20社に入る大手仲介会社であれば、真面目に売ってくれないという心配は無いのでお薦めです。
マンションが売れない理由、売り出す時期が悪い
2019年4月~2020年3月の月別成約件数
今年はコロナの影響があり自粛期間の4月5月などが異常値の年なので、2019年4月~2020年3月までの1年間の月別首都圏中古マンション成約件数の推移を見て、何月が売り出すタイミング、時期に適しているかなど確認します。
2019 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
成約件数 | 3440 | 2749 | 3490 | 3233 | 2584 | 3589 |
2019~20 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
成約件数 | 2771 | 3175 | 2810 | 2680 | 3749 | 3642 |
データからみる不動産の閑散期、繁忙期
1年間の成約件数の推移を見てみると、長期休暇がある5月、8月、12月、1月などは住宅探しによりも旅行などに興味が向くので、上記表の通り成約件数が減少します。
例年、幼稚園保育園入学、学校の入学、転勤、就職などにより住み替え需要が高まる2月、3月の成約件数が増加します。
9月は上期末ということがあり、営業成績を上げなければならない不動産会社の都合もあり成約件数が多くなります。
2019年は、消費税の駆け込み需要で9月が前年同月比10.6%の増加となり、その反動減で10月の成約件数が減少しています。
マンション売れない理由、売主の印象が悪く内覧対応が疎か、部屋が汚い
極端に売主の態度が不愛想、部屋が極端にちらかっている、キッチンや浴室が極端に汚い、など極端に悪印象を与えるほどでなければ、そんなに気にする必要はありませんし、”売れない”理由としての影響度はそれほど大きくはないと考えます。
通常仕事が休みの人が多い週末に、購入検討者の内覧(見学)が多くなります。たくさんの購入検討者に部屋を見学してもらうことが、早く高く売れる秘訣なので、内覧希望にできる限り対応しましょう!
マンション売れない理由、管理費等が高い
ランニングコストが高い
管理費や修繕積立金等のランニングコストが高いマンションがあります。
管理費が高いのは、管理が充実し過ぎ、小規模で戸数が少ないなどの理由があります。
建物の経年劣化が進み大規模修繕が必要になる時期にかけて修繕積立金を上げていくのが一般的です。
管理費、修繕積立金が高くなりやすい物件
雁行や2戸1エレベーターなど修繕費が高くなりやすい建物、1戸当たりの負担が大きくなりやすい小規模物件などは、一般的なマンションに比べて修繕積立金が高くなることがあります。
- 雁行型のマンションは、外壁面や開口部が広いので修繕コストがかかる
- 2戸1マンションは、メンテコストの高いエレベーターの設置台数多くなる
- 戸数の少ない小規模マンションは、戸当たりメンテコストが割高になる
- 同様に小規模の管理費は、管理員さん等の人件費の戸当たり負担が割高
管理費が高い物件と普通の物件の支払い総額比較
トップ四谷:2980万円、月々支払い129,127円

頭金は0円、全額借入で購入する場合、住宅ローン、管理費、修繕積立金を合計した月々の支払いは129,127円(ローン返済77,027円+管理費36,800円+修繕積立金15,300円)になります。※頭金0円、住宅ローンは金利0.475%返済期間35年で計算。
四谷コーエイマンション:3190万円、月々支払い108,695円

頭金は0円、全額借入で購入する場合、住宅ローン、管理費、修繕積立金を合計した月々の支払いは108,695円(ローン返済82,455円+管理費14,140円+修繕積立金12,100円)になります。※頭金0円、住宅ローンは金利0.475%返済期間35年で計算。
月々支払いの差額が20,432円
トップ四谷の販売価格2980万円、四谷コーエイマンションの販売価格3190万円と販売価格は210万円高いにもかかわらず、四谷コーエイマンションの方が月々支払いが20,432円少なくなります。
これは、トップ四谷の管理費が高いからです。
月々の支払は「ローン返済+管理費+修繕積立金」
購入検討者は、専有面積、駅距離、築年数などの条件が近い物件を比較検討します。比較検討で候補に残っても、管理費や修繕積立金が一般的な金額より高い物件は、他の候補物件と比べ月々の支払が高額になるので、候補物件から外れてしまうことになります。
マンション売れない理由、駅遠い、管理が悪い等物件にマイナスポイント
どんな物件にもマイナスポイント
分譲マンションには、何かしらマイナスポイント、ネックがあるのが普通です。ネックがあるから”売れない”のであれば、ほぼ全ての中古マンションが売れないことになってしまいます。
マイナスポイントを価格設定に反映しましょう!
売れないとすれば、マイナスポイント、ネックを反映、評価した価格設定になっていない可能性があります。適正価格に値下げが必要です。
査定金額が「500万円もの差があった」「900万円も高かった」などと煽る一括査定の広告がありますが、もし本当に数百万円も査定金額が違うなら、上記のようなネックを反映、評価しない査定になっている可能性があります。
査定金額は、売れることを保証してくれるものではないので、極端に高い査定金額には要注意です。
マンション売れない理由、売出価格が適切でない
売れない理由の大部分は価格設定
極論、売れない理由のほとんどは価格設定にありと言っても過言ではありません。
ネット記事の「マンションが売れない理由2.~10.」は、確かに売れない理由の一部ではあります。
「売出価格を適切」とは、その時点での相場価格にするということで、相場価格にすれば必ず売れます。
二千件超売ってきて、売れないマンションはゼロ
過去に二千件超のマンションを売ってきましたが、1件たりとも”売れない”物件はありませんでした。
極論すれば、前述の通り価格設定さえ合っていれば必ず売れます。売れるか売れないかは、価格設定=査定の良し悪しにより決まります。
多数の査定をして高い査定金額を出してもらえば、あたかも高く売れるような広告は嘘です。決して査定金額=成約価格ではありません。
リノベ済マンションが5ヶ月超売れない理由
直近約3年間の弊社販売物件で、売れるまでの期間が約5ヶ月以内の物件(501件)と約5ヶ月超の物件(122件)を比較してみました。結果は下記の通りです。
売却期間 | 件数 | 面積 | 築後 | 実績価格 | 計画価格 | バス | 比率 |
①約5ヶ月以内 | 501 | 64.39 | 30.4 | 26,482 | 26,358 | 33 | 6.5% |
②約5カ月以上 | 122 | 68.06 | 32.7 | 25,761 | 28,375 | 21 | 17.2% |
①+② | 623 | 65.11 | 30.8 | 26,341 | 26,753 | 54 | 8.7% |
売却が長期化した②の方が、専有面積が3.67㎡大きく、築後年数が2.3年古く、バス比率が10.7ポイント高くなっています。
最寄り駅までバス利用、平均よりやや古く、少し専有面積の大きい物件が売れず、販売期間が長くなっています。
長期化した②は、計画価格と実績価格の金額乖離が大きく(▲2,614千円)なっています。これは、計画した当初の販売価格で売れず、販売価格を平均2,614千円下げなければ成約に至らなかったことを示しています。
マンションが売れない理由まとめ
アベノミクス前は市況が悪く売れなかった、現在は
現在の中古マンション市況は、コロナの影響が予想より少なく、下記の表の通り緊急事態宣言解除以降は比較的堅調に推移をしています。
前年に消費税アップの駆け込み需要があった9月の成約件数こそ前年マイナスでしたが、10月11月の成約件数は、前年比大幅プラスとマーケットは好調に推移しています。
成約件数の増加に伴い在庫件数は減少を続けており、売却をご検討の方に有利なマーケット環境といえます。
■2019年11月~2020年11月の首都圏マンション成約件数と在庫件数
19~20年 | 成約件数 | 前年比 | 在庫件数 | 前年比 |
11月 | 3175 | -1.6 | 47699 | 0.9 |
12月 | 2810 | -5.9 | 47051 | -0.2 |
1月 | 2680 | 0.5 | 47624 | -2.4 |
2月 | 3749 | 7.6 | 47423 | -2.6 |
3月 | 3642 | -11.5 | 46192 | -3.3 |
4月 | 1629 | -52.6 | 46251 | -2.0 |
5月 | 1692 | -38.5 | 46507 | -0.9 |
6月 | 3107 | -11.0 | 45555 | -3.0 |
7月 | 3156 | -2.4 | 44350 | -6.6 |
8月 | 3053 | 18.2 | 42731 | -11.3 |
9月 | 3328 | -7.3 | 41137 | -13.7 |
10月 | 3636 | 31.2 | 39829 | -16.7 |
11月 | 3620 | 14.0 | 38520 | -19.2 |
売れないマンションを処分するなら買取
マンションの売却方法には、下記のふたつの方法があります。
仲介:仲介会社(不動産会社)に売却依頼、主に個人の買主を探してもらう方法
買取:不動産会社が自ら買主となる、不動産会社に買い取ってもらう売却方法
売れないマンションの処分をご検討であれば、早くて手間のかからない買取による売却がお薦めです。
「仲介」と「買取」の詳細や違い、メリット・デメリットなどは下記関連記事にてご確認ください。
関連記事:マンション売却方法、仲介と買取の流れ、おすすめの不動産会社
(執筆)
森田 学【宅地建物取引士】
1999年東京テアトル株式会社に入社。「テアトルタイムズスクエア」などの映画館の運営スタッフ業務、ラグジュアリーホテル「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、区分所有マンションの売買を担当し現在に至る。
マンションのご売却はご不明な点も多く、不安をお感じの方も大勢いらっしゃるかと存じます。
マンション専門に年間200件以上、取引築年数平均が30.8年と築古物件が得意な弊社が独自メソッドによる査定で高値買取致します。円滑で安心なお取引の一助となれば幸いです。