マンションが売れない理由と売れない場合の対策

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.06.06

マンションが売れない理由と売れない場合の対策

弊社東京テアトルは、売主として年間200件超のリノベーション済みマンションを売却しています。買主としては、200件超の購入もしています。

200件のなかには「早く売れるマンション」と「なかなか売れないマンション」が存在します。

「マンションが売れない」とお悩みの方に向けて、マンションが売れない本当の理由

  • 東日本レインズの売りマンション成約データ
  • 弊社リノベ済みマンションの実際の売れ行きデータ
  • 販売実例

などを使って解説していきます。併せてマンションが本当に売れない場合の対策、売却・処分方法、値下げ・価格設定の考え方・コツもご紹介します。

この記事でわかること
  1. 巷のマンション売れない理由は間違い
  2. 古くても競合あっても汚くても売れる
  3. 売出価格と管理費高い物件は売れない
  4. マンション売れないは価格設定が解決
  5. コロナはマンションの売れない理由になっていない

目次

マンションが売れない理由ベスト10

まずは、ネット記事によく書かれているマンションが売れない理由のベスト10を見ていきましょう。

  1. 売出価格が適切でない
  2. 同じマンションに競合物件がある
  3. 築年数が古すぎる
  4. エリアの需要が無い
  5. 不動産会社が販売活動、広告を怠っている
  6. 売り出す時期が悪い
  7. 売主の印象が悪く内覧対応が疎か
  8. 部屋が汚い
  9. 管理費等が高い
  10. 駅遠い、管理が悪い等物件にマイナス

これらは本当に「売れない理由」なのか、次項から分析していきます。

マンションが売れない理由ベスト10|実際の影響と対策

詳細は後述しますが、売れない理由1~10位それぞれの影響度と、売れない理由に対する対策をまとめました。

売れない理由 影響 売れない場合の対策
売出価格 価格設定が最重要、売り出し価格を適正に
競合物件 必ずしも売れない理由にならない
築年数古い 築古は売り難い、価格設定で築50年超も売れる
需要が無い 少ない需要を逃がさない為相場に合わせる
不動産会社 大手不動産仲介会社に依頼すれば安心
時期が悪い 1月中旬から3月までと8月お盆明けが良い
売主印象悪 極端に悪くなければ影響は少ない
部屋が汚い 極端に汚くなければ影響は少ない
管理費高い 高い分を販売価格で調整しないと売り難い
物件にネック ネックを適正に価格に反映させれば大丈夫

上記の売れない場合の対策について、次項から詳しく分析していきます。

東京テアトルは、中古マンションの高値買取に自信があります。

  1. ・最短5日、期限までに確実に現金化可能
  2. ・不要な家具はそのままで手軽に売却
  3. ・売却後のトラブルの心配ゼロ

マンションの買取なら東京テアトルまでご相談ください!

マンションが売れない理由は本当?徹底分析

マンションが売れない理由、原因としてあがっている1~10位の内容について、東日本レインズの成約データや弊社の販売実例などを使って分析していきます。

なお、一部の項目はまとめて解説をしていきます。

1.同じマンションに競合物件があると売れない?

2.築年数が古すぎると売れない?

3.エリアの需要が無いと売れない?

4.不動産会社が販売活動、広告を怠っていると売れない?

5.売り出す時期が悪いと売れない?

6.売主の印象や内覧対応が悪く部屋が汚いと売れない?

7.管理費等が高いと売れない?

8.物件にマイナスポイントがあると売れない?

ランキングには含まれていませんが、誰もが気になる「コロナが原因で中古マンションが売れないのか?」という点に関しても、最後にご紹介いたします。

併せて、マンションが売れない場合の対策、売却・処分方法、値下げ・価格設定の考え方なども解説いたします。

1.同じマンションに競合物件があると売れない?

大規模物件では、同じマンションに競合物件が存在する可能性が高くなります。

同じマンションに競合する物件があるからといって、必ずしも売れない理由になるとは言い切れません。

東急田園都市線、溝の口駅に「パークシティ溝の口」という総戸数1103戸の大規模物件があります。その他の物件概要は下記の通りです。

  • 所在:川崎市高津区久本3‐6‐
  • 駅距離:徒歩5分
  • 築年月:1983年8月築(築37年)
  • 総戸数:1,103戸
  • 分譲会社:三井不動産
  • 施工会社:三井建設他

この物件は大規模物件なので、同じマンションに競合物件があることがあります。現在も下記の2件が販売中で、同じマンションに競合がある状態になっています。

「パークシティ溝の口」販売中物件

登録日 販売価格 面積 所在階 媒介
R2.09.21 4,380 A 72.85 8階 一般
R2.10.31 5,280 E 91.71 6階 専任

(単位:万円)

競合する販売中物件4380万円
競合する販売中物件5280万円

競合していても成約している実例を紹介

本物件の過去の成約を調べると、下記の通り1年間で複数の成約実績が登録されており、競合している状態でも成約になっていることが分かります。

  2016 2017 2018 2019 2020
成約件数 5 13 21 10 10
下記の販売図面の通り、令和2年11月、ほぼ同時期に3件が成約となっています。「同じマンションに競合物件がある」から売れないとは言い切れません。
マンションが売れないのは競合物件がある
マンションが売れないのは競合物件がある
マンションが売れないのは競合物件がある

大規模マンションは売れない理由が少ない

「パークシティ溝の口」もそうですが、大規模物件には、下記のような大規模のメリットがあります。通常この規模のメリットにより大規模物件は人気が高く、弊社では小規模マンションより「売れない理由」が少ない物件という評価をしています。

むしろ、以下のような売り易いセールスポイントを査定額や売り出し価格に反映してもらい、売却活動時にもメリットとして訴求してもらいましょう。

  • 共用施設が充実(シアタールーム、ゲストルーム等)
  • 共用部分が充実(広いエントランス、トランクルーム、駐車場等)
  • 規模のメリットにより管理費が割安
  • 規模のメリットにより管理体制等充実
  • エリアのランドマーク的物件で需要が多い

2.築年数が古すぎると売れない?

結論として、古いマンションも売れています。

「築年数が古すぎる」というのは、非常に曖昧で定義が不明確な表現です。下記「レインズ成約事例」を見ても、古いからといって必ずしも売れない理由になるとは言い切れません。

不動産仲介会社の仲介で築50年以上も売れる

2020年10月に1都3県で成約した中古マンションを築年別に集計をしてみました。

【東日本レインズ2020年10月成約件数】

築年数 ~10年 11~20 21~30 31~40 41~50 51年~
東京 554 596 289 239 191 33
神奈川 187 273 190 145 81 18
埼玉 81 104 95 75 30 5
千葉 61 131 81 70 91 9
合計 883 1104 655 529 393 65
出所:東日本レインズ売りマンション成約データを弊社が集計
上記2020年10月の首都圏中古マンション成約件数のうち約45%は、築21年~30年築31年~40年築41年~50年築51年超の築古物件が占めています。築年数が古すぎることが”売れない”理由にはなっていません。

ネットの記事を見て、「古いマンションは売れない?」とご心配の売主様、そんなことはありません、ご安心ください。

それではマンションの売れる築年数の限界は何年なのでしょうか?詳しくは下記関連記事をご覧ください。

関連記事:マンション売却と築年数。築50年は売れない?売れる限界は?

築年数が古すぎて売れない場合の対策

上記表でも分かるように、築年数が古くても売れて成約しています。

しかし、築年数が古い物件は、築年数が新しい物件と比べると売ることが難しいのは事実なので、マンションの販売実績の豊富な不動産仲介業者に査定依頼する必要があります。

下記表は、東京23区のマンション媒介契約数(9月17日)の上位11社です。

中古マンションの販売実績が豊富な「マンション売却に強いおすすめの不動産仲介業者」です。

ランキング不動産仲介業者媒介シェア
三井不動産リアリティ88712.7
住友不動産販売84112.1
東急リバブル6208.9
野村不動産ソリューションズ5738.2
大京穴吹不動産3475.0
大成有楽不動産販売2042.9
7オークラヤ住宅1682.4
8三菱地所ハウスネット1211.7
9長谷工リアルエステート961.4
10住友林業ホームサービス921.3
11スターツピタットハウス530.8
出所:レインズ在庫(売主・30㎡未満・オーナーチェンジ除く6968件)を弊社集計

築年数が古すぎて売れない場合の売却・処分方法

築年数が古すぎる物件でも、時間をかけて適正な価格で売却活動をすれば、前述してきたように不動産仲介会社の仲介で成約をしています。

少し安くなっても時間をかけず早く確実に築年数の古すぎる物件を売りたい方には、マンション買取業者に売却する買取があります。

マンション買取業者は、買い取ったマンションをリフォームして再度販売をしますので、築年数が古くなって内装、設備が経年劣化している物件でも問題なく買い取ってくれます。

不動産仲介会社の仲介で売却
不動産仲介会社に依頼して売却する仲介
マンション買取業者の買取で売却
マンション買取業者に売却する買取

お問い合わせ先東京テアトル マンション売却相談センター0120-900-881

3.エリアの需要が無いと売れない?

駅から遠い、交通利便性が悪い、水害の履歴がある、治安や環境が悪いなどネックがあり需要が低いエリアは、確かに一般的には売り難いとされています

しかし、駅から遠くても安い方が良い、広い方が良い、というようなニーズも多数派ではありませんが存在することは事実です。

需要が低くマンションが売れない場合の対策

エリアの需要が低い物件は、強気の価格設定をせず、少数派のニーズを逃さないようにすることが必要です。

そのためには、エリアの需要が高い物件と比較して割安な価格設定が必要です。

4.不動産会社が販売活動、広告を怠っていると売れない?

普通の売主さんは、一生に一度か二度しかマンションを売却することがないので、販売活動や広告を怠っているといっても、その基準がお分かりにならないと思います。

一部のネット記事では、不動産会社が真面目に売ってくれない、と不安を煽り不動産一括査定サイトに誘導しようとしているケースが見られます。しかし、大手の不動産仲介会社であれば販売活動を怠るということはあり得ないと言えるでしょう。

いい加減なことをすれば、SNSなどで簡単に評価が拡散される時代なので、誰にでも分かるようないい加減な仕事をする不動産会社はほとんど無くなりました。

不動産会社が悪くてマンションが売れない場合の対策

万が一、大手ではない仲介業者に売却を依頼していて売れない場合は、前述した「マンション売却に強いおすすめの不動産仲介会社」に売却を依頼することをおすすめします。

通常媒介契約の契約期間は3ヶ月なので、3ヶ月経過した時点で媒介契約を更新しなければペナルティ無しで依頼先を変えることは可能です。

マンション売却に強いおすすめの不動産仲介会社」にランクインする大手不動産仲介会社であれば、真面目に売ってくれないという心配はほとんど無いので安心・おすすめです。

5.売り出す時期が悪いと売れない?

売り出す時期は、マンションが売れない原因となり得るのでしょうか。

それを分析するため、1年間の月別首都圏中古マンション成約件数の推移を見て、何月が売り出すタイミング、時期に適しているかなど確認してみましょう。

なお、2020年はコロナの影響があり、自粛期間の4月5月などは異常値の年なので、2019年4月~2020年3月までの期間としています。

【2019年4月~2020年3月の月別成約件数】

2019 4月 5月 6月 7月 8月 9月
成約件数 3440 2749 3490 3233 2584 3589
2019~20 10月 11月 12月 1月 2月 3月
成約件数 2771 3175 2810 2680 3749 3642
出所:東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch 2020年4月度

1年間の成約件数の推移を見てみると、長期休暇がある5月、8月、12月、1月などは住宅探しによりも旅行などに興味が向くので、上記表の通り成約件数が減少します。売り出す時期としては悪い時期です。

例年、幼稚園保育園入学、学校の入学、転勤、就職などにより住み替え需要が高まる2月、3月の成約件数が増加します。

9月は上期末ということがあり、営業成績を上げなければならない不動産会社の都合もあり成約件数が多くなります。

2019年は、消費税の駆け込み需要で9月が前年同月比10.6%の増加となり、その反動減で10月の成約件数が減少しています。

時期が悪くてマンションが売れない場合の対策

首都圏中古マンション成約件数の推移を見ると、売り出す時期による影響があることが分かりました。

売り出すタイミングは、1月の中旬以降3月中旬までがベストの時期です。次に良いのは、8月のお盆明けのタイミングです。

悪い時期に売り出してしまった場合、ベストの時期になってから広告を投入してもらうよう仲介業者に相談をしてみましょう。

6.売主の印象や内覧対応が悪く、部屋が汚いと売れない?

確かに内覧時の印象は大切ですが、極端に悪印象を与えるほどでなければ、こちらの原因はそこまで気にする必要はありません。

極端な悪印象としては、

  • 売主の態度が無愛想すぎる
  • 部屋が非常識なほどちらかっている
  • キッチンや浴室がかなり汚い

などが挙げられます。極端でなければ売れない理由としての影響度はそれほど大きくはないといえます。

印象が悪くマンションが売れない場合の対策

心理学で、人は最初に与えられた情報によって評価が大きく左右される初頭効果の影響を強く受けるとしています。

極端はマイナスです。やはり第一印象は大事です。できる限り愛想よく、綺麗な状態の部屋で見学者をお迎えしましょう!

通常仕事が休みの人が多い週末に、購入検討者の内覧(見学)が多くなります。たくさんの購入検討者に部屋を見学してもらうことが、早く高く売れる秘訣なので、内覧希望にはできる限り対応しましょう!

7.管理費等が高いと売れない?

管理費や修繕積立金等のランニングコストが高いマンションがあります。

管理費が高いのは、管理が充実し過ぎ、小規模で戸数が少ないなどの理由があります。

そしてこれらの費用は、建物の経年劣化が進み大規模修繕が必要になる時期にかけて値上がりしていくのが一般的です。

管理費等が高いことが原因で、マンションが売れないということはあるのでしょうか。まずは管理費等が高くなりやすい物件の特徴について見ていきましょう。

管理費、修繕積立金が高くなりやすい物件

以下のような特徴を持つマンションは、一般的なマンションに比べて修繕積立金が高くなることがあります。

■雁行型のマンション

 外壁面や開口部が広いので修繕コストがかかる

エレベーター2戸1マンション

 エレベーターが多くメンテナンス費用がかかる

小規模・少戸数マンション

 維持・管理費の戸当たり負担が割高になる

どれほど月々の金額に差があるのか、実際の事例で比べてみましょう。

管理費修繕費が高い「トップ四谷」と普通の「四谷コーエイマンション」の月々支払合計を比較してみます。

物件名販売価格ローン返済管理費修繕費支払合計
トップ四谷298077,02736,80015,300129,127
四谷コーエイM319082,45514,14012,100108,695
マンションが売れない理由|販売価格は安いのに、支払合計が高くなり選ばれない

トップ四谷:2980万円、月々支払い129,127円

マンションが売れない理由、管理費、修繕積立金が高い

頭金は0円、全額借入で購入する場合、住宅ローン、管理費、修繕積立金を合計した月々の支払いは129,127円(ローン返済77,027円+管理費36,800円+修繕積立金15,300円)になります。

※頭金0円、住宅ローンは金利0.475%返済期間35年で計算。

四谷コーエイマンション:3190万円、月々支払い108,695円

マンションが売れない理由、管理費、修繕積立金が高い

頭金は0円、全額借入で購入する場合、住宅ローン、管理費、修繕積立金を合計した月々の支払いは108,695円(ローン返済82,455円+管理費14,140円+修繕積立金12,100円)になります。

※頭金0円、住宅ローンは金利0.475%返済期間35年で計算。

月々支払いの差額は20,432円

トップ四谷の販売価格2980万円、四谷コーエイマンションの販売価格3190万円と販売価格は210万円高いにもかかわらず、四谷コーエイマンションの方が月々支払いが20,432円少なくなります。

これは、トップ四谷の管理費が高いからです。

管理費が高くてマンションが売れない場合の対策

購入検討者は、専有面積、駅距離、築年数などの条件が近い物件を比較検討します。比較検討で候補に残っても、管理費や修繕積立金が一般的な金額より高い物件は、他の候補物件と比べ月々の支払が高額になるので、候補物件から外れてしまうことになります。

マンションの売却においては、家や土地の売却などと異なり管理費や修繕費が高いことがネックとなります。

ローン返済と管理費、修繕積立金の合計が月々の支払総額になるので、ランニングコストの高い物件は、その分販売価格を低くする必要があります。高い分がアジャストされた販売価格に設定されていれば”売れない”ということはありません。

8.物件にマイナスポイントがあると売れない?

まず大前提として、どんな物件にもマイナスポイントはあるものです。

分譲マンションには、何かしらマイナスポイント、ネックがあるのが普通です。ネックがあるから売れないのであれば、ほぼ全ての中古マンションが売れないことになってしまいます。

マイナスポイントでマンションが売れない場合の対策

売れないとすれば、マイナスポイントやネックを反映・評価した価格設定になっていない可能性があります。適正価格への値下げが必要です。

査定金額が「500万円もの差があった」「900万円も高かった」などと煽る一括査定の広告がありますが、もし本当に数百万円も査定金額が違うなら、上記のようなネックを反映・評価しない査定になっている可能性があります。一括査定サイトの不動産仲介会社が提示する査定金額は、その金額で必ず売れるとは保証してくれるものではないので、極端に高い査定金額には要注意です。

マイナスポイント、ネックがあっても適正な販売価格にして、時間をかけて売却活動をすれば”売れない”ということにはなりません。

売れないマンションへの最大の対策は「価格設定」

極論、売れない理由のほとんどは価格設定にありと言っても過言ではありません。

ネット記事の「マンションが売れない理由2.~10.」は、確かに売れない理由の一部ではあります。

年間200戸のマンションを売っていて感じるのは、2.~10.の売れない理由は全て売出価格を適切にする=値下げすることによって売れない理由ではなくなります。

「売出価格を適切に設定する」とは、その時点での相場価格にするということで、相場価格にすれば必ず売れます。

2000件超の売却実績で売れないマンションはゼロ

弊社「東京テアトル」では、過去に2000件超のマンションを売ってきましたが、1件たりとも売れない物件はありませんでした。

過去の経験則から、前述の通り適正な価格設定で時間をかけさえすれば必ず売れます。売れるか売れないかは、価格設定=査定の良し悪しにより決まります。

あたかも査定価格が高ければ、高く売れるように誤認しそうな広告で煽る一括査定より、信頼できる大手仲介会社、信用ある地元仲介会社を数社選んで、適切な査定、売出価格の提案を受けることをおすすめいたします。

多数の査定をして高い査定金額を出してもらえば、あたかも高く売れるような広告は嘘です。決して査定金額=売却価格ではありません。

リノベ済マンションが5ヶ月超売れない理由

それでは、「売れやすいマンション」と「売れにくいマンション」の違いを見ていきましょう。
直近約3年間の弊社販売物件で、売れるまでの期間が約5ヶ月以内の物件(501件)を「短期」として、約5ヶ月超の物件(122件)を「長期」として比較しました。結果は下記の通りです。

期間件数面積築後実績計画バス比率
短期50164.3930.42,6482,635336.5%
長期12268.0632.72,5762,8372117.2%
合計62365.1130.82,6342,675548.7%

売却が長期化した「長期」の方が、専有面積が3.67㎡大きく、築後年数が2.3年古く、バス便の比率が10.7ポイント高くなっています。

つまり、最寄り駅までバス利用で平均よりやや古く、少し専有面積の大きいマンションは売れにくく、販売期間が長くなっています。

また長期は、計画と実績の金額乖離が大きく(▲261万円)なっています。これは、計画した当初の販売価格で売れず、販売価格を平均261万円下げなければ成約に至らなかったことを示しています。

つまり、売出価格が適切でなかったことが原因で売れず、適正価格に値下げしたら売れたと考えられます。

前述した通り価格設定が相場と合っていないことが、売れない理由です。販売価格が相場に合ってさえいれば、売れないマンションはありません。

マンションが売れない、所有権の放棄は可能?

価格を下げても下記のような問題により売れないマンションとなっている物件もあります。

  • 維持費の高いリゾートマンション
  • 大規模修繕が行われず老朽化が酷いマンション
  • 所有者不明・不在が多く修繕積立金の滞納が多いマンション

このような売れないマンションの所有権は放棄できるのでしょうか?結論としては、売れないから放棄は難しいです。詳しくは下記関連記事をご覧ください。

関連記事:マンションが売れないので区分所有権を放棄することは可能か?

コロナは中古マンションが売れない原因になる?

マンションの売却を考えるうえで、2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大による影響があるのか気になる方も多いでしょう。
2011年から、ウィズコロナが始まった2020年度までの10年間の首都圏中古マンションの成約件数、価格、築年数を確認していきます。

年度件数前年比価格前年比築年数
201129620-1.12516-2.518.50
2012324489.525150.019.01
20133676213.326143.919.42
201433265-9.527896.719.66
2015351005.529325.120.27
2016374466.730785.020.38
201737172-0.732535.720.75
2018376011.233543.121.12
2019379120.834783.721.81
202037049-2.336685.522.10
出所:REINS TOWER

2012年12月に始まった第二次安倍政権の経済政策(アベノミクス)による景気回復に合わせて中古マンションマーケットも回復、首都圏の中古マンションの成約件数が大幅に増加しました。

コロナ以降の中古マンションマーケットは売れなくなるどころか、2019年よりも好調に推移しています。以下の表をご覧ください。

成約件数2021年2020年2019年
4月342816293440
5月329716922749
6月326231073490
7月300231563233
8月261530532584
9月317633283589
上期計187801596519085
10月344036362771
11月341636203175
12月288125332810
1月276034802680
2月314635873749
3月340542283642
下期計190482108418827
出所:REINS TOWER

2020年度第一四半期は、コロナの第一波に対する緊急事態宣言により4月5月の人の動きが極端に減少、不動産売却が低調に推移。中古マンションも売れず、成約件数も大幅に減少しました。

しかしながら6月以降、予想に反して中古マンションの売れ行きは急激に回復して、下期のマンションは売れないどころか、成約件数は前年同期を上回りました。結果コロナ1年目の2020年度成約件数は前年比-2.3%の微減となりました。

2021年度、2022年度に入っても引き続き中古マンションマーケットは、堅調に推移しています。

1都3県に立地するマンションのうち、遵法性に欠ける、建物の欠陥など特殊な物件を除けば、現状の良好な中古マンション市況で売れない物件は極めて少ないといえます。

人口減少に伴い、今後は築古や遠隔地の物件に売り難い物件も増えてくると考えられるので、マーケットが好調で価格も高値の今が売り時かもしれません。

マンションが売れない理由と対策のまとめ

最後に、この記事でお伝えしたマンションが売れない理由とその対策について、まとめていきます。

マンションが売れない理由は?

巷で言われている中古マンションが売れない理由を10項目にまとめ、実際に売れない理由となっているのかを検証しました。

東日本レインズのマンション成約事例や弊社が販売したリノベ済マンションの成約データを使ってマンションが売れない本当の理由を解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。

コロナで中古マンションは売れない?

コロナ以降は、中古マンション市場は好調に推移しています。
東日本レンズのデータを使って、コロナ禍の中古マンションの売れ行き、相場の変化などを解説します。

詳しくはこちらをご覧ください。

マンションが売れない場合の対策は?

仲介業者に売却を依頼したマンションが売れない場合の対策、解決方法を解説します。

詳しくはこちらをご覧ください。

中古マンションは築年数が古すぎると売れない?

結論としては、築年数の経過した古いマンションでも売れます。東日本レインズの成約データなどを使って古くても売れることを証明し、売れない場合の対策や処分方法もご紹介します。

詳しくはこちらをご覧ください。


森田学(執筆)
森田 学【宅地建物取引士

1999年東京テアトル株式会社に入社。「テアトルタイムズスクエア」などの映画館の運営スタッフ業務、ラグジュアリーホテル「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、区分所有マンションの売買を担当し現在に至る。

 マンションのご売却はご不明な点も多く、不安をお感じの方も大勢いらっしゃるかと存じます。
 マンション専門に年間200件以上、取引築年数平均が30.8年と築古物件が得意な弊社が独自メソッドによる査定で高値買取致します。円滑で安心なお取引の一助となれば幸いです。