修繕積立金・管理費の疑問を解説。売却価格が変わる?

カテゴリ:マンション売却の手続き・ノウハウ
投稿日:2020.06.09

修繕積立金・管理費の疑問を解説。売却価格が変わる?

分譲マンションには修繕積立金管理費がつきものです。毎月支払わないといけません。

しかしながら、マンションを売却してしまったあとは、マンションの修繕は直接関係なくなってしまうのも事実です。

「これまでに支払った修繕積立金はどうなるのか?」
「滞納している管理費はもう払わなくていいのか?」

この記事ではそんな疑問について詳しくお伝えしていきます。マンション売却のご検討の際にお役立て頂ければ幸いです。

修繕積立金や管理費はマンション売却時に返還されない

先に結論から申しますと、修繕積立金や管理費はマンション売却時に返還されません。かなりの額の修繕積立金や管理費を支払ってきたのに、自分が将来住むことがないのなら、損をしているような気もします。

出来ればマンション売却時に返して欲しいところですが、国土交通省が作成したマンション標準管理規約(単棟型)第60条6項には下記の通りに定めています。

「組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない」

(出典:国土交通省|マンション標準管理規約(単棟型))

管理組合は、快適な住環境の確保および資産価値の維持・向上を目的として管理費や修繕積立金等を徴収しており、マンションが存続する限り永続的なものです。この趣旨に基づいて標準管理規約が定められています。

管理費とは?

区分所有者は管理組合の一員

「建物の区分所有等に関する法律」第3条には、

「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し」

と明記されています。

(出典:総務省|e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律 第一章 建物の区分所有 第一節 総則)

すなわち、マンションの住戸を購入して区分所有者になったとき、マンションの各住戸の区分所有者全員で構成されるマンションの「管理組合」の一員となります。管理組合には「区分所有者変更届」を提出します。

管理組合が支払う「管理会社」への管理業務委託料や「共用部分の電気代」などの費用を管理費といいます。

 

管理会社は、マンション管理の専門業者です。マンションについて以下の3点を担う役割です。

  • マンションの日常生活を快適にする
  • マンションのオーナー同士のコミュニケーションを円滑にする
  • マンションの劣化を防ぐ

主に「共用部分の清掃」「共用部分の備品の管理・点検」「管理組合の会議の進行補助等運営のサポート」などの管理業務を管理組合から受託し、代行します。

なかには管理会社に管理業務を委託しておらず、管理組合が自主管理をしているマンションがあります。メリットとしては管理費をその分安く抑えることができますが、デメリットとしては管理組合の一員である各住戸への管理組合業務の負担が増加することと、プロフェッショナルである管理会社が関わっていないことによりマンションの劣化や治安の悪化、マンション内外を含むご近所トラブルなどの可能性が上がることがあげられます。

修繕積立金とは?

マンションは戸建てと違い、共用部分の劣化などの補修はマンションの管理組合の費用で賄なわれます。管理組合に毎月修繕積立金を納入し、その修繕積立金から必要な時に修繕費用に充当します。

メリットとしては下記の2点が挙げられます。

  1. まとまった金額を集約できるので、効率よく運用ができる
  2. 修繕が必要になったときに一戸当たりの多額の出費を防ぐことができる

マンションの規模やグレードなどによって修繕積立金の額はさまざまです。例えば総戸数が500戸以上の大規模マンションの場合、1戸当たりの負担はさほど高い額にはならないでしょうし、機械式駐車場やゲストルーム、ジムやプレイルームなど、共用施設が充実していればその分、補修にかかる費用もかさむことが予想されますので、大抵の管理組合は「長期修繕計画」に基づいて修繕積立金を適切に運用します。

2.について、修繕積立金がないマンションでは、共用部分(階段やエレベーターなど)の故障で突然、数百万円以上の高額を請求をされ、1戸当たり多額の費用が課せられることがあります。最近多くのマンションで懸念されているのが、この費用が回収できず、壊れたまま放置されるという問題です。

当然に不便や危険もありますし、不動産価値は老朽化に伴い下落します。

大規模修繕
(足場を架設して行うマンションの大規模修繕工事)

極端な例かもしれませんが、下記のようなケースもあります。

鉄骨3階建てのマンションは10年ほど前から居住者不在、管理組合も機能せず建物の維持・管理もほとんどされず、老朽化が進むまま放置。

市が所有者に自主的な解体を勧告するも所有者の合意が得られず、建替えはとん挫。

最終的には、市がマンションを「特定空き家」に指定、行政代執行で解体に着手、解体費用は一時的に市が負担して工事は終了。

市は一時負担した解体費用1億1800万円を回収するため、各所有者に納付命令書を送付。

なんと1所有者当りの負担額は、1300万円!支払いが出来なければ督促状の送付などを経て、差し押さえによる回収を検討しているようです。

全国にこのような老朽化マンションは多く存在しており、今後バブル期前後に建てられたマンションが続々と老朽化していくことになります。

修繕積立金と管理費の支払い義務はいつまで?

修繕積立金と管理費の支払い義務は住んでいる期間ではなく、所有している間ずっと発生しています。

マンションを所有していて住んでいない場合は修繕積立金や管理費を払う必要がないんじゃない?と考えるのは間違いで、マンションの区分所有者全員に支払う義務があります。

所有しているマンションを賃貸に出していて、賃貸借契約で「所有者(賃貸人)が支払う」か「賃借人が支払うか」を選ぶ形になっているかと思いますが、賃借人が管理費などを滞納した場合、支払い義務はマンションの所有者にかかっていますので、最終的には所有者に支払い義務があります。

修繕積立金・管理費は「所有者」に支払い義務がある!

ずさんな不動産業者が仲介して賃貸借契約をした場合、賃借人の管理費不払いが退去時にうやむやにされるケースもありますので、注意が必要です。

後述しますが、マンションを売却する際は修繕積立金や管理費の滞納で売却査定額が大幅に下がる場合もあります。

修繕積立金や管理費の日割精算方法

マンションを売却する際には、修繕積立金や管理費は日割で精算する必要があります。

一般的には仲介した不動産業者が精算の手続きをしてくれますが、ずさんな不動産業者の場合、うやむやにして「二重払い」をしてしまうケースもありますので、日割精算方法は知っておいた方が間違いないと思います。

売主と買主の費用負担、基準は物件の引渡し日

※一般的に「引渡しの前日までを売主、引渡し日以降を買主の負担」とします。

【計算式】
「買主の所有期間」÷該当月の日数(4月なら30日)×「修繕積立金、管理費の合計額」

【例】修繕積立金と管理費の合計額が20000円、引渡しを行うのが16日の場合。

日割計算の式は、
15日(16日から月末までの日数)÷30日×20,000円=10,000円となります。

ここでひとつ、気をつけておきたい点があります。

ほとんどのマンションでは修繕積立金・管理費は銀行口座からの引き落としとなっており、「前払い」の場合も多いので、手続きが間に合わずに二重払いとなる可能性があります。

「前払いの場合は、必ず精算のなかで翌月分も買主から先に受領する」ということに注意しましょう。

修繕積立金・管理費は売却時には「日割で精算」する!

修繕積立金や管理費を滞納していた場合

マンションの売買で区分所有権が移転すると、修繕積立金や管理費の支払い義務は現所有者に引き継がれます。

単純に考えると滞納したまま逃げ切ることができそうに思えますが、そんなことにならないよう、マンションの売却契約書の契約条項に「公租公課並びに管理費等の負担金の分担」の内容が明記されています。前項の日割精算方法でもあった通り、一般的に引渡しの前日までを売主、引渡し日以降を買主の負担としています。

もし滞納があれば、売却前に清算をすませるべきですが、高額ですぐに支払うことが困難などの事情があれば、その分を物件価格から差し引く等の考慮がなければ買い手はつきません。

つまり、滞納分の値引きが必要になるわけです。

一般的に修繕積立金や管理費の滞納がある物件は敬遠され、買い手がつきにくいので値段が下がる傾向にあります。査定を依頼して不動産会社から提示される売却査定額も低くなります。

相当分を値下げする場合よりも先に、滞納分を清算する方が結果的には得になる場合が多いことを念頭においておくべきでしょう。

修繕積立金を抑えてマンションを売却する方法

マンションを売却する時に大切なのはタイミングだと聞いたことがあるかもしれませんが、このタイミングは地価の変動以外に修繕積立金の変動が大きな材料となります。

簡単に言うと、修繕積立金を値上げする前に売却することがポイントです。

管理費は管理会社が変わらない限りは大きく変わることはありませんが、修繕積立金は違います。

修繕積立金は築年数とともに費用負担額が上がっていく

マンションの長期修繕計画では一般的に築年数5年目、10年目などの大規模修繕工事実施予定に合わせて段階を踏んで修繕積立金が大幅に値上がりする場合がほとんどで、マンションごとにそのタイミングは異なります。

修繕積立金は築年数が上がるにつれて段階的かつ急激に負担が増える!

マンションは建物が古くなるほど、維持や管理の費用はかさんでくるので、このような仕組みになっているのですが、なぜ初めから一定額でないかというと、新築分譲時から高額な修繕積立金を提示しているとマンションが売れないからです。

マンション購入時には修繕積立金について「そんなものなのかな?」とあまり気にならないかもしれませんが、この負担増は大きく、住み続ける場合も売却する場合にも重大な問題です。

マンションを売却しようとした時に、修繕積立金の費用負担が大きくなればなるほど、購入検討者は敬遠し、売りにくくなります。査定を依頼して不動産会社から提示される売却査定額も同様に低くなります。

そうすると、物件の価格そのものを安く設定するしかなくなり、当初の想定より多くの損失が出ることにつながります。

マンション売却時の修繕積立金を抑えるには、手元になければマンションの管理会社か管理組合に問い合わせて「マンションの長期修繕計画書」を入手し、値上げのタイミングの前に売却してしまうのが最善策です。

修繕積立金の負担が売却価格に大きく影響する→値上げ前に売却するのが最善策!

修繕積立金・管理費の疑問を解説。売却価格が変わる?のまとめ

マンション売却の修繕積立金や管理費に関するポイントは、

  • 修繕積立金・管理費は「所有者」に支払い義務がある。
  • 修繕積立金・管理費は売却時には「日割で精算」する。
  • 修繕積立金は築年数が上がるにつれて段階的かつ急激に負担が増える。
  • 修繕積立金の負担が売却価格に大きく影響する→値上げ前に売却するのが最善策!

ということになります。

下記関連記事もマンションの売却を考える際のご参考にして頂けたらと思います。

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森田学(執筆
森田 学【宅地建物取引士】

1999年東京テアトル株式会社に入社。「テアトルタイムズスクエア」などの映画館の運営スタッフ業務、ラグジュアリーホテル「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、区分所有マンションの売買を担当し現在に至る。

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