マンション事故物件(訳あり物件)の売却
カテゴリ:マンション売却の手続き・ノウハウ
投稿日:2020.04.17

マンション事故物件(訳あり物件)の売却に関する下記のような疑問、お悩みなどを解決いたします。
- マンションの事故物件とはどんな物件か?
- 事故物件を売却することはできる?
- 事故物件の売却価格はいくら?
- 普通の物件に比べていくら安くなる?
- 個人の買主に売却しても大丈夫?
- 事故を隠して売れる?
マンション事故物件(告知義務)
告知義務?事故を隠して売れる?
仲介会社は、宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)の告知義務によって、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為を禁じられています。
従って心理的瑕疵、物理的瑕疵などを知り得た場合、必ず重要事項説明書などで説明をします。
仮に仲介会社が自殺などの事実を知り得なかった場合、売主であるあなたが事実を伝えなければ、契約の相手(買主)はその事実を知らずに契約を締結してしまうということになるかもしれません。
しかしながら契約締結後にその事実が発覚した場合、間違いなくクレームになり、更に損害賠償や契約解除などの争いになることは避けられません。このようなことを避けるために事実はきちっと告げて契約をすることをお勧めします。
居住者が自殺した物件
令和元年の自殺者数は20,169人で、対前年比671人(約3.2%)の減となっています。自殺者数のピークは平成15年の34,427人で、平成22年以降は10年連続減少しています。
マンション居住者の自殺の場合、何処で亡くなったかがポイントになります。売却価格の減価率は、1>2>3>4の順となります。
- 居住者が室内で自殺
- 居住者がバルコニーから投身自殺
- 居住者がマンション共用部分(屋上、階段等)から投身自殺
- 居住者が建物やマンション敷地の外で自殺
居住者が病死、自然死した物件
令和元年の死亡数は137万6000人、出生数が86万4000人で、自然増減数は△51万2000人と推計されています。
孤独死は、年間推計2.7万人。「自宅で死亡し、死後2日以上経過」を「孤立死(孤独死)」と定義した数値です。
弊社では、原則家族に看取られたような病死、自然死は非事故物件、上記「孤立死(孤独死)」程度を事故物件としています。減価率については、死後経過の日数や遺体の損傷状況によって個別に判断しています。
正確な集計はしていませんが、弊社が購入する物件のうち10〜15%程度は孤立死(孤独死)物件と思われます。高齢化が進むことで今後更に孤立死(孤独死)は増加して、購入物件に占める割合も高くなるとみています。
殺人事件が起きた物件
殺人事件が起きたというのは、かなりセンセーショナルなことでありマンションであれば建物全体のイメージダウンになります。
殺人事件が起きた部屋ということになれば更に衝撃は強く、弊社では減価率に換算することもかなり困難であると判断しています。
市橋達也の逃走劇がテレビでもたくさん取り上げられたので、皆さまのご記憶にもあると思いますが、部屋で外国籍の英会話教室講師が殺害された市川市福栄マンションの売却相談が何年か前にありました。
弊社に買取できないかという相談でしたが、総合的に判断してお断りしました。
専有部分(室内)で火災発生の物件
専有部分の火災の減価率は、専有部分で①人が亡くなっているか②自殺か不注意か③室内損傷状況等(ボヤ程度<全焼)により、大きく異なります。
- 火災により専有部分で人が亡くなった(原因自殺)+損傷状況
- 火災により専有部分で人が亡くなった(原因不注意)+損傷状況
- 火災のみで専有部分で人が亡くなっていない+損傷状況
専有部分(室内)が浸水した物件
1階住戸や地下・半地下の部屋で、床下〜床上などの浸水や浸水履歴がある物件を事故物件と判定しています。
浸水の頻度、直近浸水からの期間、浸水原因、河川・排水管等の浸水原因の改修改善状況等によって減価率は変わってきます。加えてエリア、販売価格帯、間取り面積なども考慮して減価率を決定します。
共用部分が浸水した物件
マンション敷地、エントランス、駐車場、機械室など共用部分への浸水が発生した物件。
記憶に新しい武蔵小杉のタワーマンションは、地下の電源系統が浸水により故障して、停電等が発生しています。停電によりエレベーターが停止して住民は非常に不便な生活を強いられたと報道されていました。
武蔵小杉エリアが台風や大雨に弱いことが露呈、風評も含めて流通性が低下して、価格は下落傾向が想定されます。
タワーマンションの災害に対する弱点が強く認識されて、タワーマンション離れ=資産価値の低下の可能性も考えられます。
マンション事故物件の具体例まとめ
事故物件は、所謂心理的瑕疵を有する物件ということになります。ここでの瑕疵は、欠陥、不具合、欠点という意味になります。
心理的瑕疵は、「何となく気味が悪い」「何となく怖い」というような心理的な抵抗が生じる、抵抗を感じる恐れがあることがら=心理的な欠陥を有することといえます。
心理的瑕疵には前項であげた具体例以外に、近くに墓地、火葬場、ゴミ処理場など嫌悪・迷惑施設がある、近隣に暴力団事務所やその構成員が居住していることなどがあります。
マンション事故物件の売却
事故物件でも売却可能
マンションの事故物件の売却は可能です。
但し、心理的瑕疵の度合いによって価格を安くする必要があります。皆さんもお分かりの通り心理的瑕疵のある物件と無い物件を比較した時、当然無い物件を選びますよね。瑕疵の度合いや瑕疵の捉え方によっては、瑕疵のある物件は絶対買わないという人も少なからずいます。
買う人が少ない、限定されるということは、市場での流通性が低いということになります。売却までに時間がかかるのと、価格は割安にならざるを得ないということです。
誰が事故物件を買うの?
弊社(東京テアトル)は、年間200件超の平均築年数26年の区分所有マンションを取得して、リフォーム後に一般のエンドユーザーに販売をしています。
上記の具体例に記載した自殺、孤独死などの事故物件も取得をして、フルリフォーム後に販売をしています。弊社は事故の痕跡をできる限る見えにくくするために、原則全ての内装、全ての設備(水回り等)をリフォームします。自殺や孤独死があったことは告知をしますが、室内の見た目は全く事故物件とは分からない状態にして販売をします。
このような物件を実際にどのような方が購入しているか、弊社の事例をご紹介をします。
- 物件所在地(事故):①購入理由等 ②家族数/居住地 ③用途
- 藤沢市(自殺):①割安な価格②藤沢市③数年住んで賃貸用
- 板橋区(自殺):①買い換え、割安感②3人/埼玉県③居住用
- 横浜市(自殺):①賃貸脱出、割安な価格②2人/横浜市③居住用
- 横浜市(火事):①気にならない➡︎割安感②単身/横浜③居住用
- 川口市(孤独死):①賃貸脱出、割安感②3人家族/川口③居住用
- 千葉市(孤独死):①実家近い、割安感②2人/千葉市③居住用
- 座間市(孤独死):①賃貸脱出、割安感②/2人/座間市③居住用
購入理由の1番は、周辺の相場に比べ割安な価格・割安感、その他の理由としてあがっているのは下記のような理由です。
- 割安な価格、割安感
- エリアの人気物件(大規模&売主大手デベ)+割安感
- 希望エリア・支払額で購入可能はこの物件だけ(乗り越え派)
- 自殺があったことが気にならない(少数派)
- 孤独死=病死であれば気にならない(現実的冷静判断派)
- 数年住んで将来的には賃貸(投資・利回り重視派)
事故物件の売却方法
【仲介会社の「仲介」で売却】
普通の物件と同じように仲介会社に依頼をして、買主を探してもらう売却方法。成約時に、仲介会社へ仲介手数料(成約価格×3%+6万円+消費税)を支払う。
事故物件の場合、割安な価格にしても普通の物件に比べて流通性が低く、成約までに時間がかかる傾向にあります。普通の売却物件を多く抱える大手仲介会社などでは、時間のかかることを嫌いあまり積極的に販売活動をしてくれないこともあるようなので注意です。
【不動産会社の「買取」で売却】
不動産会社(買取業者)に直接売却する=買い取ってもらう売却方法。仲介会社が間に入らないので、仲介手数料(成約価格×3%+6万円+消費税)は必要無し。
買主は、プロである不動産会社(買取業者)なので事故物件でも成約までの時間はかかりません。弊社東京テアトルの場合、最短5日で現金化が可能です。
仲介会社の仲介で売却、不動産会社の買取で売却、それぞれメリットデメリットがあります。詳しくは下記『関連記事:直接買取と仲介のメリットデメリット』からご確認ください。
事故物件の価格
事故物件の価格=相場価格との価格差
事故物件を売却する時、割安な価格設定が必要なことは既に説明をしてきました。ここでは、どの程度割安にする必要があるのかをご説明します。
自殺は◯%ダウン、火災は◯%ダウンというような決まり、方程式はありません。
弊社に鑑定士がいますが、鑑定評価にも自殺減価率、火災減価率は無いとのことです。
需要の多い物件は減価率=値下り率が低く、需要の少ない物件の方が減価率=値下り率は高くなります。
経験則ですが、小さな子供いるようなファミリーより、大人だけの世帯や単身世帯の方が事故物件を購入される確率がやや高い気がしています。(データを取っているわけでないので感覚値です)
下記のような物件の内容、条件によって減価率=値下り率は変動します。
- 物件所在エリア
- 駅距離
- 価格帯
- 面積、間取り
- 規模・総戸数
- 分譲不動産会社(分譲時売主)
事故物件の価格まとめ
あくまでも感覚的な数値となりますが、仲介で売る場合は下記のような相場価格との差が必要と考えています。
- 自殺:相場価格の25%〜40%ダウン
- 孤独死:相場価格の5%〜10%ダウン
※販売価格900万円の△5%(△45万円)と販売価格1億円の△5%(△500万円)では、同じパーセントでも値下り金額が大きく異なるので、販売価格帯によってパーセントは上下するとお考えください。
※相場価格には、幅があります。相場価格を算出する根拠となる、成約登録されている物件の売却事情は様々であり、「売り急ぎ」の物件が多く含まれれば算出相場価格は低くなります。逆に成約事例が少なく、その中に「高くても買いたい」という特殊な事情・ニーズを持った買主の事例が入っていた場合、算出相場価格は高くなります。
事故物件(マンション)の売買に関する裁判判例
一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | RETIO判例検索システム
自殺があった物件に瑕疵担保責任が認められた事例
H1.9.7 | 横浜地裁 | 家族との居住目的で購入したマンションにおいて六年前に縊首自殺があつたことは瑕疵であるとして、買主の売主に対する売買契約の解除及び違約金条項に基づく損害賠償請求が認められた事例 |
エレベーター設置工事中の転落事故を原因とする買主の契約解除及び手付金の返還請求を棄却した事例
H24.4.17 | 東京地裁 | 買主が、契約締結後に工事中のマンションにおいてエレベーター設置工事中に転落死亡事故が発生したことから、売主は債務の本旨に従った履行をすることが不可能になったなどとして、債務不履行責任等に基づく契約解除と手付金の返還を求めた事案において、事故によって売主の債務の履行が不能になったと解することはできない等として請求を棄却した事例 |
発生現場が購入した部屋とはフロアを異にしている
以上から債務の履行が不可能になったとはいえないなど買主の請求を棄却
参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | RETIO判例検索システム
マンション事故物件の売却のまとめ
事故物件、特に心理的瑕疵の物件の売主さんは、大切な親族を亡くして心を痛めている方が多くいらっしゃると思います。
息子さんを亡くされた相続人である80代のお父様とお取り引きをさせていただいたことがあります。自分の父親と同じようなご年齢で、淡々と契約をされていましたが、心中を察すると辛いものがありました。
買い換えや資産処分など前向きでプラスの売却理由の売主さまが多数ではありますが、中には様々な後ろ向きでマイナスのご事情を抱えた売主さまもいっらしゃります。
会社情報で社長の太田も申し上げておりますが、「信頼できる相談相手、お客様の心のパートナー」を私たちは目指しています。大切な資産である“マンションの売却”は普通の物件でも分からないことだらけで大変なのに、事故物件(訳あり物件)となれば更に分からないことだらけだと思います。
マンション売却でお悩みであれば、是非ご安心して東京テアトルの「マンション売却相談センター」へご相談ください。
社長の太田が言っております、我々相談員も同じ気持ちです。
「どんな些細な相談でもお気軽にお問い合わせいただけることを心よりお待ちしております。」
東京テアトル(株) マンション売却相談センター ☎️0120−900−881
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