任意売却後のリースバックはやめた方がいい?注意点とポイントを詳しく解説
カテゴリ:マンション売却
投稿日:2024.05.27
経済的な問題によって住宅ローンの支払いができなくなってしまった時、任意売却という売却方法を選ぶことができます。
不動産を売却しても同じ物件に住みたい場合は、リースバックを活用すれば賃貸契約で住み続けることが可能です。
このように任意売却とリースバックは、併用されることもあります。ただし、全ての方にとってこの方法がベストというわけではありません。まずは任意売却とリースバックについて基本情報を理解した上で、慎重に検討しましょう。
今回は、任意売却後のリースバックについて、メリット・デメリット、売却の流れなどを詳しく解説いたします。
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- 住宅ローンの支払いが困難になったときは、早めの任意売却がおすすめ
- 任意売却ができれば、競売を回避できる
- さらに、条件がそろえば任意売却後もリースバックとして同じ物件に住むことができる
- 任意売却後のリースバックには、支払いが長期に渡るといったデメリットがある
- メリットとデメリット、条件を正しく理解して任意売却後のリースバックを検討しよう
目次
任意売却とリースバックの違い
任意売却とは、ローンの返済ができなくなってしまった債務者が、自主的に不動産を売却することです。一般的に借金の返済に充てるための売却は「競売」になりますが、任意売却なら売り先を債務者の都合で選ぶことができます。
一方リースバックとは、自身の所有する不動産を売却した後、その不動産を賃借して利用し続ける方法です。所有権は手放しますが、一定期間その不動産を借りて住み続けられます。
つまり、任意売却で売り先をリースバック業者に指定すれば、売却金で借金を返済した上で同じ住居に住み続けることができるということです。
任意売却の定義と流れ
任意売却では、借主が自主的に自身の所有物件を売却します。借主が自ら売却に踏み切る理由としては、返済が困難になったり、生活に余裕がなくなったりと、経済的な理由が主なものとなります。
任意売却の流れは以下の通りです。
- 売却先の選定
- 売却の交渉
- 売買契約の締結
- 所有権の移転
- 残債務の精算
任意売却の最大のメリットは、借主の意思で進められることです。競売とは異なり、借主が主体的に売却を進められるため、理想の売却価格を設定できます。
ただし、任意売却には競売に比べ時間とコストがかかるというデメリットもあります。そのため、「やめた方がいい」と言われてしまうこともあるのでしょう。
また、任意売却はあくまで借金を返済するために不動産を売却する方法なので、債権者の同意がなければ任意売却自体ができず、競売となってしまいます。
競売とは
競売の定義も確認しておきましょう。
競売とは、債務者の所有する不動産や動産を金銭に換え、債権者に分配する手続きです。
競売においては、債務者の意思とは関係なく手続きが進行するのが特徴です。
競売による売却金は債権者への債務返済に充てられるほか、残余財産があれば債務者にも分配されます。
リースバックの定義と流れ
リースバックとは、自身の不動産を売却した後、その不動産を賃貸として賃借する方法です。流れは以下の通りです。
- 自身の不動産を売却
- 買主となった業者と賃貸借契約を締結
- 売却した自身の不動産に賃借人として住み続ける
売却金が得られて、住み慣れた住居に住み続けることができるという点が最大のメリットです。
ただし、契約内容や不動産のオーナーの都合によっては、一定期間後に転居を余儀なくされる可能性があるというデメリットがあります。
任意売却とリースバックは組み合わせられる?
先述の通り、任意売却とリースバックを組み合わせることは可能です。
まず一般的な組み合わせケースとして、住宅ローン残債があり競売を免れたい場合に、任意売却した上で同物件をリースバックするという例があげられます。
物件の状況や今後の生活プランをよく吟味し、任意売却とリースバックの組み合わせ方を検討することが重要です。
どのようなケースなら組み合わせが可能なのか、またリースバックをせずに任意売却だけを選ぶ場合のケースに関して、以下から詳しく解説いたします。
組み合わせが可能なケース
一時的に資金が不足してローンの支払いは滞っていても、
- 自宅を売却することで残債を圧縮でき、無理なく支払い続ける事ができる
- 任意売却後も居住を希望している
- 物件の買主である賃貸人がリースバックを認める
これらの条件に当てはまれば任意売却とリースバックの組み合わせが可能です。
リースバックをしない場合
一方で、リースバックをせずに任意売却のみを選択するケースも存在します。
- 任意売却後、実家などに住む予定がある
- リースバックの設定賃料が支払えない
などに当てはまる場合は、リースバックは不要・または不可能となるでしょう。
この場合は、任意売却後に転居という流れになります。
任意売却後にリースバックを行う方法
ここからは、任意売却後にリースバックを行う方法を各ステップごとに紹介していきます。
任意売却後にリースバックを行う際のステップ
任意売却後にリースバックを行う際は、以下のステップを踏む必要があります。
1.自身の資金繰りを確認する
任意売却を検討する際は、まず自身の資金繰りを確認します。返済が厳しいと判断した場合に、リースバックは断念せざるをえません。
2.任意売却物件を取り扱うリースバック業者を選定する
リースバック業者の中から、自身に合った業者を選定します。物件の売却金額、リースバックをする際の賃料、契約期間、更新条件など、条件に応じて検討しましょう。
3.任意売却の申し入れを行う
リースバック業者に対し、任意売却の申し入れを行います。不動産の資料や財務資料の提出を求められますので準備しておきましょう。
4.審査を受ける
リースバック業者による契約条件の審査を受けます。審査結果次第では、任意売却が認められない場合もあります。
5.契約の締結・実行
審査を通過できた場合は、不動産売買契約およびリースバック契約を業者と締結・実行します。
6.元の住居に住み続ける
残債を返済しながら、家賃を支払って元の住居に住み続けることができます。
以上が、任意売却後にリースバックを行う流れになります。
任意売却後のリースバックのメリット
任意売却後にリースバックを行うメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 自宅に住み続けることができる
- 金銭的な負担が軽減される
- プライバシーが保護される
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
自宅に住み続けることができる
任意売却後にリースバックを行う最大のメリットは、慣れ親しんだ自宅に住み続けることができる点でしょう。
通常の任意売却では、物件を売却後に住む場所を確保する必要があります。しかし、リースバックを利用することで、売却後も引き続き同じ物件に住むことが可能になります。
住み慣れた地域から転居する必要がなくなるため、生活環境の変化を最小限に抑えられます。引越しの費用や転居先の初期費用も発生しません。
特に高齢者やお子様のいる世帯では、転居に伴う環境の変化は大きなストレスとなる可能性があるため、リースバックはメリットが大きいでしょう。
金銭的な負担が軽減される
任意売却後にリースバックを行うと、一括で家の売却代金が受け取れます。売却金額が残債額を上回れば、残った住宅ローンを一括で完済できます。
また、リースバック時の家賃は通常の賃貸物件よりも低く設定されることもあるため、任意売却後のリースバックは金銭的な負担が少なくなる売却方法と言えるでしょう。
例えば、次のようなケースが考えられます。
項目 | 金額 |
物件価格 | 3,000万円 |
残債務 | 1,500万円 |
売却代金 | 3,000万円 |
家賃 (リースバック時) | 月額5万円 |
売却代金3,000万円から残債務1,500万円を払えば、1,500万円の手元資金ができます。さらに、リースバック時の家賃は月額5万円と一般的な賃貸より低額です。
このように任意売却後のリースバックにより、一時金を準備できたり毎月の家賃負担が軽減できるのです。
ただし、賃料設定が相場より安いということは、物件の売買代金が相場より安くなるケースが多く、また将来的に賃料改定がされる可能性も高いので契約内容は十分に吟味する必要があります。
プライバシーが保護される
借金の返済トラブルは、デリケートな問題であり、できるだけ周囲に知られたくないものです。
任意売却後にリースバックを行えば、プライバシーが守られるというメリットがあります。
競売の場合、「公開入札」という過程を経る必要があります。競売物件の情報は落札者に向けて公開されるため、偶然知り合いが目にしてしまうというリスクがあるでしょう。
また、売却後は必ず引越しをしなくてはならないため、「借金の返済を滞納して転居をした」という個人情報が周囲に知られてしまう可能性があります。
一方、リースバックでは個人間の取引となるため、このような心配は不要です。自宅の売却価格や契約条件など、重要な個人情報が公開されることは一切ありません。
任意売却後のリースバックのデメリット
任意売却後のリースバックには、メリットが多いですが当然デメリットもあります。リースバック後に後悔することがないように、事前に以下のようなデメリットも理解しておきましょう。
- 長期的な家賃負担がかかる
- 買戻し条件が厳しい
- 売却価格が低くなる可能性がある
一つずつ、解説していきます。
長期的な家賃負担がかかる
任意売却後にリースバックを選択した場合、長期にわたって家賃の支払いが必要になります。
リースバックのメリットとして家賃の金額は低めとご説明しましたが、支払いが長期間に及ぶ場合はデメリットとなり得るでしょう。
一般的なリースバック契約では、以下のような家賃設定が行われます。
物件の売却価格×6%~13%= リースバックの家賃総額 リースバックの家賃総額÷契約年数= リースバックの年間家賃 リースバックの年間家賃÷12ヶ月= 月間家賃 |
売却価格に対して何%が家賃になるかは、契約期間の長さにも関わります。一般的に、長期契約になるほど家賃が高めになる傾向にあるようです。
また、郊外で条件が悪い物件の場合も、家賃が割高になります。リースバックの場合、一般的な賃貸物件の相場とは異なる計算式で算出されるため、注意が必要です。
買戻し条件が厳しい
リースバック契約時に注意すべきなのが、買戻し条件です。
買戻しとは、将来的に自宅を再び購入することを指します。売却後にリースバックを選択した場合、買戻しの権利は付与されても、その条件は厳しくなる傾向にあります。
買い戻し条件は、以下のように定められることがあります。
- 買い戻しできる期間が限定的
- 買い戻し価格が相場よりも割高になる
- 収入などの財務状況の審査が入る
つまり、買い戻しをしたければ一定期間内に売却価格以上の資金を用意し、審査に通過しなければ認められません。この条件をクリアできずに契約期間が終了すれば、強制退去を余儀なくされる可能性もあります。
買戻しを含むリースバック契約には、長期的な視点が重要です。短期的なキャッシュフローの改善だけでなく、中長期的な支払い能力や住宅の継続所有意向を慎重に検討する必要があります。
売却価格が低くなる可能性がある
リースバックの売却価格は、市場価格の90〜70%ほどと言われており、売却価格が低くなる可能性があるのはデメリットでしょう。
売却価格が低いと、債権者の任意売却への合意が得られないリスクがあり、仮に合意が得られても、残債が増え返済負担が重くなります。
任意売却では残債の返済義務があるため、家賃と合わせて残債を支払うことになってしまいます。
残債と売却価格のバランスが取れない場合は、複数の業者に見積もりを取ったり、リースバック以外の選択肢を検討することも大切です。
任意売却後のリースバックはこんな方におすすめ
- 住宅ローンの返済トラブルを近所に知られたくない方
先述の通り、任意売却は競売のように個人情報が公開されるということがありません。さらにリースバックをすれば引越しをする必要もないため、住宅ローン返済ができなかったということが知られずに済みます。
- 離婚後に持ち家の一戸建ての分配でトラブルになった方
離婚時の財産分与で、ローン残債がある一戸建てを手放さなくてはならない場合、リースバックなら住み慣れた家に住み続けられます。売却と同時に賃借契約を結べば、転居の手間も避けられます。
- 自宅に住みつつ、子どもに不動産を相続させたい高齢者の方
リースバックは買い戻しができるので、今は手放しても将来的に子供に相続したいと考えている高齢者の方におすすめです。ただし、買い戻し条件は厳しくなる傾向があるため、買い戻しに向けた資金計画は重要になります。
任意売却とリースバックを利用する際の注意点
任意売却後のリースバックを成功させるには、知っておくべき注意点があります。
業者選びや契約に失敗してしまわないよう、以下の点に気をつけましょう。
信頼できる業者を選ぶ
任意売却後のリースバックをスムーズに行うには、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
悪質な業者に手続きを任せてしまうと、高額な手数料や不利な契約条件を押し付けられる恐れがあります。
業者を選ぶ際は、
- 会社の設立年数
- 取引実績の有無
- 業界団体への加入状況
- 顧客の口コミや評判
など、実績と信用度を確認しましょう。
また、料金の透明性や対応の迅速さ、サポート体制なども重要なポイントです。
不動産の売却は大きな金額が動きますので、業者選びは慎重に行いましょう。
契約前に全ての条件を理解する
任意売却後にリースバックを行う場合、事前に業者との契約内容を確認し、全ての条件を理解した上で契約を締結しましょう。
以下のチェックシートを参考に、条件を再確認してください。
【契約条件チェックシート】
確認項目 | 内容 |
家賃の金額 | 毎月の家賃がいくらになるのか |
契約期間 | 契約期間はどのくらいなのか |
更新条件 | 契約期間後の更新条件はどうなっているか |
買戻し条件 | 買戻しできる条件や金額はどうなっているか |
修繕費用の負担 | 修繕費用はどちらが負担するのか |
引越費用の負担 | 引越費用はどちらが負担するのか |
中には、条件提示の際に一見わかりにくいものもありますので、疑問点があれば業者に質問し、納得できるまで説明を求めましょう。 契約内容を理解した上で、慎重に検討し、リースバックするかどうかを判断することが大切です
任意売却とリースバックで競売を回避|事例を紹介
住宅ローン返済を限界まで滞納してしまうと、競売を回避できず、強制退去となってしまいます。一体どのタイミングで任意売却を決断すれば、リースバックをして今まで通りの生活を続けることができるのでしょうか。
事例を元に解説いたします。
事例紹介
Tさんは、自ら立ち上げた事業を順調に経営しており、都内近郊に建てた一戸建てで奥さんと子ども2人と一緒に暮らしていました。しかし、主要な取引先が突然倒産し、収入が激減してしまいます。子どもの学費や生活費の支払いもままならなくなり、住宅ローンの返済の目処が立たなくなってしまいました。
このままでは競売にかけられてしまう、と思いましたが、不動産売却の査定で相談した業者から任意売却とリースバックの提案をされました。残債の返済が可能な金額で売却でき、無事リースバック契約を締結しました。将来的に買い戻しができるように、今では事業の立て直しに専念しています。
成功した理由の分析
Tさんの事例では、早めの相談によって任意売却とリースバックを選択できたことが成功のポイントでしょう。家族に言い出せない、周囲にどう評価されるかわからない、などの理由で相談を後回しにしてしまうと、取り返しのつかない事態になり競売しか選択肢がなくなってしまいます。
ローン返済に滞りが出てきたら、長期的な返済計画を立て、計画に基づいて任意売却を検討しましょう。
まとめ
任意売却とリースバックについて、詳しく解説いたしました。
任意売却とリースバックは、一定の条件をクリアすれば組み合わせることができます。
経済的に余裕がなく住宅ローンの返済が困難な方は、任意売却とリースバックを組み合わせることで自宅に住み続けられるメリットがあります。一方で、長期的な費用負担が発生するデメリットは無視できません。この記事で紹介した内容を参考に、ご自身にとって任意売却とリースバックがベストかどうか、慎重に検討しましょう。
マンション売却のお悩みは、ぜひ東京テアトルにご相談ください。