マンションの売却をやめたい!違約金のかからないタイミングや注意点

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2024.05.20

マンションの売却を決めたものの、さまざまな事情で売却を止めたくなることがあります。しかし、一旦売却の契約を結んでしまうと違約金が発生する可能性があります。違約金は高額になる場合もあり、大きな負担です。そこで、この記事では違約金を払わずにマンション売却を止められるタイミングと注意点をご紹介します。

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この記事でわかること
  1. 売主都合でマンション売却をやめることは可能
  2. 買主が見つかる前や、購入申し込みの段階でやめるなら違約金は発生しない
  3. 売却契約後にやめると違約金が発生するが、一定の条件に当てはまれば発生しない
  4. ただし、仲介業者から宣伝料などを請求される可能性がある
  5. マンション売却をやめる場合は、早めの相談が肝心

マンションの売却は売主都合でやめられる?

マンションの売却に関して、契約後に売主都合でのキャンセルは可能です。不動産業者の対応に納得できず、途中で仲介業者を変更したり、さらに良い買主が現れたので取引を中止したいと考えることもあるでしょう。

ただし、キャンセルするタイミングによっては違約金が発生します。また、通常は売買契約を結んだ後に売却をやめる場合、手付金の倍額を買主に支払う必要がありますが、状況により支払いが不要なこともあります。

キャンセルに伴う違約金がかからないタイミング

マンションの売却をする際はタイミングによっては違約金なしでマンション売却をキャンセルできる場合があります。キャンセルする際に違約金がかからないタイミングは、以下の通りです。

  • 買主が見つかる前のタイミング(マンション売却契約の前)
  • 買主からの購入申し込みのタイミング
  • 売却契約後のタイミング

以下で各タイミングを詳しく見ていきましょう。

買主が見つかる前のタイミング

マンション売却の媒介契約を不動産会社と結んだ後、買主が決まる前であればキャンセルは比較的簡単です。買主が見つかる前の段階ではまだ売買契約は交わされていないため、基本的に違約金はかかりません。ただし、不動産会社によってはキャンセル料が発生する場合もあります。例えば、次のようなケースで手数料の一部をキャンセル料として請求されることがあります。

  • 売主希望により専門の営業マンが特別な売却活動を行った
  • 特別な広告費用が発生した

不動産会社の営業活動によってコストがかかっている場合は、一定のキャンセル料を請求さ

れる可能性があるので、あらかじめ媒介契約等の内容を確認しておく必要があります。

買主からの購入申し込みのタイミング

マンションの売却活動の際に内覧が増えると、購入予約で買付証明書をもらうこともあります。 買付証明書は、買主希望者が欲しい物件に対する購入の意思を示すために売主に提出する書類を指します。証明書には購入価格・手付金の額や引き渡し時期などの希望条件が記載されており、買主の意思を反映しています。ただし、買付証明書には法的拘束力はないため、買主からの購入申し込みをキャンセルしても違約金を支払う必要性はありません。

売却契約後のタイミング

売却契約締結後にキャンセルする場合、一般的には違約金が発生します。違約金の金額は売買契約書に定められており、通常は物件価格の10〜20%程度が目安とされています。

しかし、以下のケースでは違約金が発生しない可能性があります。

クーリングオフ一定期間内であれば、クーリングオフ制度を利用して無条件でキャンセル可能。期間は売主・買主により異なる。
契約不適合契約の内容と異なる場合は違約金なしでキャンセルができる可能性がある。ただし、売主側からの契約の白紙解約というような状況はかなり珍しいケースと思われる。

上記のようにタイミングによっては違約金が発生しない場合もあるため、契約内容を十分確認しましょう。さらに、特約が適用された場合や口頭で売買契約された場合は、違約金はかからないケースがあります。

特約が適応された場合

不動産売買契約にはさまざまな特約が設けられている場合があります。特約とは、契約書に明記された特別な約束事を指します。特別な約束事の中の一つが「解除特約」です。解除特約は、「〇月〇日までは契約解除ができる」と契約書に記載されていれば、一定期間内であれば買主側も売主側も違約金を支払うことなく契約を解除できるという決まりです。

ただし、解除特約があっても違約金の定めがある場合もあるので、あわせてチェックしてください。契約内容を十分に確認し、売主・買主双方が納得の上で契約を結ぶことが大切です。

口約束で売買契約された場合

口頭で売買契約を結んだ場合、マンション売却をキャンセルできるかどうかは状況次第です。原則的に不動産の売買契約は仲介会社を挟むケースが多く、仲介会社がいる場合は宅建業法上口頭契約になることはあり得ません。仲介会社を挟まないケースの場合は、民法上、口頭契約は成立する可能性はありますが、口約束では違約金に関するお互いの合意も取れているとは考えにくいです。そのため、違約金の支払いが発生する可能性は低いでしょう。

しかし、口約束の場合であっても買主はマンション購入に至るまでに大きな判断や住宅ローンの相談など多くの時間をかけている可能性もあります。また、契約書こそ作成していないものの、契約関係が具体化していれば、単なる口約束ではなく法的拘束力のある契約が成立していたと見なされ、売主の一方的な売却中止には損害賠償が発生する恐れがあります。

マンション売却をキャンセルする際は、口約束のみか契約関係が具体化していたかを確認する必要があります。不安な場合は、専門家に相談してください。

マンション売却をやめたときに請求される費用

マンション売却をキャンセルした場合は、業者によりかなりの費用を請求されることもあります。マンション売却をやめた場合に発生する可能性のある費用は以下になります。事前に知っておけば、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

  • 手付倍返しや仲介手数料
  • 違約金または損害賠償金
  • 広告宣伝費や営業費

以下で各費用を詳しく解説します。

手付倍返しや仲介手数料

マンション売却をキャンセルした場合、手付金の倍返しや仲介手数料の支払いが発生する可能性があります。

手付金は、買主から売主へ契約成立の証として支払われる一種の保証金です。売主が契約を解除した場合、「手付倍返し」と呼ばれる手付金の2倍の金額を買主へ返還しなければなりません。ただし、手付倍返しで契約解除ができたとしても不動産仲介会社から仲介手数料が請求される場合もあります。

仲介手数料は不動産会社に支払う報酬です。売主都合でキャンセルした場合、手付金の倍返しと仲介手数料の二重の出費が生じる可能性があり、マンション売却のキャンセルには多額の費用がかかる場合があります。

違約金または損害賠償金

マンション売却をキャンセルする際、違約金や損害賠償金が発生する可能性があります。違約金は、売買契約で事前に定められた金額です。一方、損害賠償金は、実際に買主が被った損害に応じた金額となります。

ただし、違約金の有無や金額は不動産売買契約や媒介契約の内容によって異なります。例えば、先述したように特約が付された場合は違約金が発生しないこともあるでしょう。一方で、口約束でも契約関係が具体化された際は、違約金や仲介手数料を請求される可能性があります。

売却をキャンセルする際は、十分に不動産会社と相談し、発生するリスクや費用の確認が重要です。

媒介契約については『媒介契約とは?わかりやすく3つの種類と期間や手数料を解説』の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。

違約金の相場

違約金は、売買契約の時期や金額により変動します。一般的に、売買契約後の期間が長ければ長いほど、物件価格が高ければ高いほど違約金の金額は高くなる傾向です。一般的には10~20%程度の範囲のケースが多いですが、特殊な契約条件や地域によっても相場は変わるため、契約時に確認しておきましょう。

広告宣伝費や営業費

契約期間を待たずどうしても解約をしたい場合は、売却活動にかかった広告宣伝費や営業費が請求されます。広告宣伝費や営業費は、違約金とは別に発生する可能性のある費用です。広告宣伝費とは、マンションの情報を掲載するための費用のことです。物件情報サイトや不動産フリーペーパーなどへの掲載費用が含まれます。一方の営業費は、不動産会社の営業スタッフが物件の売買活動を行う際に発生する交通費や人件費などの実費を指します。

広告宣伝費や営業費の金額は原則的に仲介手数料に含まれる費用のため、売主都合により解約した場合も、原則的に仲介手数料を超えた費用を仲介会社から請求をされることはありませんただし、売主側の依頼により契約前に特殊な広告活動を依頼した場合は、仲介手数料だけでなく広告宣伝費や営業費が発生する場合もあることを把握しておきましょう。

マンションの売却をやめたいときの注意点

マンション売却の途中で売却をキャンセルすると、違約金や損害賠償金が発生する可能性があります。売却をキャンセルする際は、契約内容を再確認した賢明な判断や不動産会社との信頼関係を損なわないよう、丁寧な対応が求められます。マンション売却のキャンセルには細心の注意を払う必要があります。以下でマンションの売却をやめたいときの注意点を見ていきましょう。

媒介契約期間を終了してからやめる

マンション売却は、媒介契約期間を終了してから売却をやめましょう。媒介契約期間を過ぎてからの方がスムーズにやめられます。多くの方が契約する専属専任媒介契約・専任媒介契約は、3ヶ月の契約期間が一般的です。そのため、3ヶ月を過ぎたタイミングで売却活動を終了すると良いでしょう。マンション売却をやめたい場合は、できる限り早い段階で不動産会社に相談してキャンセルしてください。

特約がないと売買契約後に違約金が発生する

売却契約の際に特約がない場合、通常通り違約金の支払いが適応されます。

通常、売買契約を結ぶ際は、買主から売主へ売却額の10%ほどの手付金が支払われます。 そのため、売買契約後に売主が売るのをやめる際は、手付解除期間内であれば、手付金の返還とともに、手付金の同額を買主に支払うことにより解約することができます。また、手付解除期間を超えた場合は、違約となるため売買契約書に取り決められた金額を、手付金の返還とは別に買主に支払う必要があります。また、不動産会社により仲介手数料を請求される場合もあるでしょう。少しでもキャンセルする可能性がある場合は、事前に不動産会社に相談して売買契約書に特約を盛り込んでもらってください。

契約の着手後は多額の違約金などがかかる

契約締結後は、売主と買主の双方が売買契約に基づく義務を履行するため、キャンセルする場合は多くの違約金や損害賠償金が発生する可能性が高くなります。売買契約後に、手付解除期間を超えた場合は、手付倍返しでの解除ができません。

手付解除期間を超えたあとに契約を解除する場合は、手付解除をする場合に比べて多額の費用がかかるため、手付解除期間内にマンション売却をやめることを決められると良いでしょう。また、広告費用や仲介手数料などの実費も請求される可能性があるため、契約の着手以降の解約は十分な注意が必要です。

一般媒介契約は広告費を請求される場合がある

一般媒介契約は、売主が複数の不動産会社と媒介契約を結んでいる形態を指します。

一般媒介契約は媒介契約の中でも最も制限が緩く、契約期間の定めもありません。複数業者に相見積もりを取って競い合わせるように物件の宣伝や広告ができる契約なので、キャンセルする時期も自由です。ただし、一般媒介契約の場合も売主希望により特別な広告方法を要望した場合は、相応の広告費の実費が請求されてしまう場合もありますので注意が必要です。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は途中解約しない

先述した一般媒介契約よりも厳しい制限がありますが、専任媒介契約・専属専任媒介契約は、宅地建物取引業法で最大3ヶ月までの有効期限があります。

専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んだ場合は、契約条件により、契約期間中に売主側の都合で契約を解除できないケースもあります。もし途中解約を希望するなら、不動産会社と協議し双方が合意に至った場合のみ可能です。

専任媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶ際は、契約期間や違約金の条件をよく確認し、長期にわたって契約を継続できるか・解除条件はどうなっているかを慎重に検討する必要があります。

なるべく早めに売却をやめる決断をする

マンションの売却をやめたいと考えたときは、早めに売却をやめる決断をしましょう。売却の手続きが進むにつれ、買主や不動産会社に対する影響は大きくなり、キャンセル時の違約金などの費用負担も大きくなります。

できるだけ早い段階で売却をやめる決断をすれば、違約金などの費用負担を最小限に抑えることが可能です。仮に売却を前提に特殊な広告費用などの実費が発生していても、早期のキャンセルであれば請求額は抑えられます。

早めに不動産会社に相談する

マンションの売却をやめたい場合は、早めに売却を依頼した不動産会社に相談してください。媒介契約の種類にもよりますが、不動産会社に早めに相談すると、物件情報の露出を抑え、内覧希望を断ってもらうことも可能です。また、不動産会社への交渉次第で媒介契約中でも売却活動をやめられるため、早めに相談し不動産会社に負担がかからないようにしましょう。

また、売りたくない買主に当たってしまった場合も早めに不動産会社へ相談してください。相談する際は、正直な理由を不動産会社に伝えましょう。

不動産会社とも協力的に対応すると、トラブルを未然に防げるでしょう。

まとめ

マンションの売却をお考えの方は、途中で売却をキャンセルしたくなる事態に遭遇するかもしれません。不動産会社との契約内容や進行状況によっては、高額な違約金が発生する可能性があります。しかし、初期の段階でキャンセルすれば費用負担は最小限に抑えられます。

転勤や家族構成の変化・資金計画の見直しなど、さまざまな理由でマンション売却をやめたくなった経験はあるのではないでしょうか。売却の途中でも状況は変わります。早めに不動産会社に相談し、最善の選択肢を見つけることが大切です。不安を抱えたままでいるよりも、一歩を踏み出すことで新しい道が開けるかもしれません。

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