相続登記にかかる登録免許税。算出方法から納付まで手順を解説

カテゴリ:マンション売却と相続
投稿日:2022.07.21

相続登記にかかる登録免許税。算出方法から納付まで手順を解説

国税庁の「令和2年分相続税の申告事績の概要」からすると、相続財産額に占める不動産の割合は40%です。相続手続きのメインは土地・建物やマンションといった不動産といえます。

相続人が不動産を相続すると、相続税のほかに登録免許税が課税されることがあります。

相続した不動産は、相続人の権利を保護するために、不動産を取得した相続人へ名義変更をすることが必要です。

その名義変更をする相続登記申請の際に、管轄法務局へ計算した登録免許税を納付することになります。

通常は、相続登記の依頼を受けた司法書士が登記申請とともに納税を行いますが、相続税のほかにどのくらいの登録免許税がかかるのかを知りたいところです。

相続登記と登録免許税

不動産を相続する場合、遺言書や遺産分割協議の結果に従って、不動産を取得した相続人又は受遺者は、不動産の名義変更手続きをすることになります。

この名義変更をするときに登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記とは

マンション、土地や建物など不動産の管轄法務局へ所有権移転登記を申請することにより、登記簿上の所有者の名義を変更することができます。

ここでは、相続登記の申請の際に納付する登録免許税について解説していきます。

名義を変更する理由は、「売買」・「贈与」・「相続」と様々です。

相続登記とは、不動産の所有者である被相続人が亡くなったときに、「相続」を原因として不動産の名義を特定の相続人に変更する手続きです。

これまでは、相続登記は、相続人の義務ではありませんでした。

しかし、令和6年4月1日からは、不動産所有者の不明問題の解決をすべく相続登記は義務化されます。

相続登記が義務化されると、不動産所有者が亡くなると、相続人は取得を知ってから3年以内に相続登記することが必要になります。

正当な理由なく怠れば10万円以下の過料に処せられる場合があります。

これは過去の相続にもさかのぼって適用されますので、ご注意ください。

登録免許税とは

不動産登記における登録免許税とは、土地や建物、マンションといった不動産の名義を買主など新所有者へ変更するときや、住宅ローンを組んだ際の抵当権の設定や抹消などの登記申請をするときに課される税金です。

登記を行う際は、原則、登録免許税を納付することになります。

登録免許税は、登記の対象(宅地・公衆道路・防風林・墓)や種類(移転・抹消・変更)、取得方法(売買・贈与・交換・遺贈)などによって、課税標準額の基準や税率が異なります。

登録免許税を納付しない場合は、登記申請は却下されます。これは相続登記においても同じです。

司法書士に依頼せずに、相続人本人が相続登記を申請する場合には、登録免許税を自分で計算して相当額を納付することになります。

ここからは、計算を間違えて登録免許税の納付額を間違わないように、相続登記を申請する際の登録免許税の算出方法について見ていきましょう!

登録免許税の計算手順

基本的には、市区町村から4月ごろに通知される固定資産課税明細書に記載されている不動産の評価額に一定の税率を乗じて相続登記の登録免許税を算出することができます。

登録免許税=不動産の価格(課税標準額)×税率4/1000

登録免許税=不動産の価格(課税標準額)×税率4/1000

不動産の価格(課税標準額)に税率4/1000を乗じたのが登録免許税となります。

もっとも、100円未満は切り捨てとなります。

不動産の価格(課税標準額)の算出方法

相続登記をする際の登録免許税の税率は4/1000ですが、乗じる課税標準額は市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格がある場合は、その価格となります。

固定資産課税台帳での確認が必要

固定資産課税台帳の価格は、毎年4月の上旬ごろに役所から通知される固定資産課税明細書に記載されています。

固定資産課税明細書は、固定資産税・都市計画税が課税されている土地・家屋の所在・地番や価格などの状況を通知する書類です。

固定資産税・都市計画税納税通知書に同封して郵送で通知されます。

不動産の課税価格

役所から郵送で通知される固定資産課税明細書や役所で取得できる固定資産評価証明書に記載された不動産の評価額が課税標準額となるのですが、1,000円未満を切り捨てます。

例えば、

土地の固定資産評価額が24,828,266円だと、
1,000円未満は切り捨てるため課税標準額は

24,828,000円

となります。

なお、課税価格が1,000円に満たないときは1,000円となります(登録免許税法15条)。

また、同一の相続登記の申請書で複数の不動産の登記申請をする場合は、不動産の評価額を合計した上で、1,000円未満を切り捨てた額が課税価格となります。

例えば、

固定資産評価の価格が、

本地  :24,828,266円
自宅建物:  3,833,725円

の場合の固定資産評価の合計額は、

24,828,266円+3,833,725円
=28,661,991円となり、

登録免許税の算出の基準となる課税標準額は
1,000未満を切り捨てるため

28,661,000円

となります。

さらに、被相続人が共有により所有する不動産を相続する場合は、当該不動産の移転する持分に相当する固定資産評価額に1,000円未満を切り捨てた額が課税価格となります。

例えば、

3,333,333円の建物持分3分の1を
相続する場合は、

3,333,333円×1/3=1,111,111円となり、
1,000未満を切り捨てるため

1,111,000円

が課税標準額となります。

公衆用道路などの評価額のない土地

固定資産課税明細書は、固定資産税・都市計画税が課税されている土地・家屋の所在・地番や価格などの状況を通知する書類のため、公衆用道路などは非課税のため記載されていません。

公衆用道路とは、不特定多数の人によって一般の通行に使われる道路を指しますが、私道のため通常は何人かでそれぞれ共有で持分所有していることが多いと思います。

この場合、役所で非課税証明書を取得することができます。

固定資産税が非課税だからと言って、相続登記をする際の登録免許税が非課税となるわけではありません。課税価格を求める必要があります。

固定資産税・都市計画税土地非課税証明書

非課税証明書を取得すると当該土地は地方税法第348条第2項第5号の規定により公共の用に供する土地のため非課税であることが分かります。

公衆用道路により非課税の土地で近傍宅地の価格が分からない場合は、管轄法務局に照会をして、近傍宅地の提示を受けて当該近傍宅地の評価額から課税標準額を算出します。

本地の単価から算出するようにとの指示もあれば、公衆用道路に接する複数の土地の平均単価から算出すように指示されることもあります。

【本地の単価から算出する方法】

本地の評価額が2,000万円
地積が200㎡

だとしたら、まずは1㎡あたりの単価を計算します。

「2,000万円÷200㎡=1㎡あたり100,000円」となります。

100,000万円に公衆用道路の平米数を乗じると公衆用道路の評価額が算出されます。

さらに課税標準額を算出するには、その評価額に30%を乗じることになります。

【複数土地の平均単価から算出する方法】

法務局から公衆用道路周辺の複数土地の平均単価を使用するように指示されることもあります。

例えば、本地Aと周辺のB・C地の3筆のそれぞれの1㎡あたりの単価の平均単価から公衆用道路の評価額を算出する方法などです。

平均値を出した後は、本地の単価から算出する方法と同様です。

登録免許税の計算例

毎年4月の上旬に役所から納税通知書とともに郵送されてくる課税明細書をお手元にご準備頂けると、ご自分のパターンに合った登録免許税を算出できるかもしれません。

課税明細書を紛失している場合は、役所で、1通300円程度で固定資産評価証明書を取得することにより不動産の評価額が分かります。

では、実際にパターンごとに登録免許税を計算してみましょう!

本地と自宅のパターン

横浜市の課税明細書のサンプルです。

緑の枠に注目してください。

土地の課税証明書

家屋の課税証明書

こちらの横浜市のサンプルをもとに、土地と家屋を相続した相続人が相続登記をする際の登録免許税を計算してみたいと思います。

土地・家屋ともに緑の枠の数字を見てください。その数字が不動産の固定資産評価額であり登録免許税を算出する課税標準額となります。

サンプルの不動産の評価額は次のとおりです。

・土地の評価額:1,932,5697円

・家屋の評価額:8,755,000円

では、この評価額をもとに登録免許税を計算します。

【土地と家屋】相続登記の登録免許税の計算方法

最初に、相続登記を申請する不動産の評価額を合算します(①)。

そのうえで、1,000円未満の端数を切り捨てます(②)。

1,000円未満を切り捨てた金額が、課税標準額となります。

その課税標準額に相続人が相続登記をする際の税率4/1000を乗じます(③)。

課税標準額に4/1000を乗じた金額の100円未満の端数を切り捨てます(④)。

その金額が、国へ納付すべき登録免許税となります(⑤)。

今回の事例では、相続登記の際に112,300円の登録免許税を納付することになります。

土地と家屋と公衆用道路の持分のパターン

土地と家屋と公衆用道路の持分

土地の課税証明書

家屋の課税証明書

固定資産税・都市計画税土地非課税証明書02

こちらの横浜市の課税明細書のサンプルをもとに、土地と家屋さらに公衆用道路を相続した相続人が相続登記をする際の登録免許税を計算してみたいと思います。

土地・家屋ともに緑の枠の数字を見てください。その数字が不動産の固定資産評価額であり登録免許税を算出する課税標準額となります。

サンプルの不動産の評価額は次のとおりです。

・土地の評価額:1,932,5697円

・家屋の評価額:8,755,000円

もっとも、亡きAが所有していた公衆用道路の持分は非課税のため、固定資産評価額は0円です。

そのため、登録免許税を算出するのに評価額を求めなくてはなりません。

固定資産税等は非課税でも登録免許税は非課税となりませんので注意が必要です。

非課税土地については、役所によっては近傍宅地の価格を記載してくれてますが、記載のない場合は、管轄の法務局に近傍宅地の照会をして確認をします。

今回は、亡きAの本地を基準に算出することにします。

【土地と家屋+公衆用道路】相続登記の登録免許税の計算方法

公衆用道路の評価を算出するため、本地の1㎡あたりの単価を求めます。

次に、1㎡あたりの単価に公衆用道路の全体の地積を乗じます。その金額に30%を乗じます。

以上で、公衆用道路の全体の評価額が分かるため、公衆用道路持分1/6を乗じることにより公衆用道路の持分の課税標準額が算出できます(①)。

あとは、相続登記を申請する不動産の評価額を合算(②)します。

そのうえで、1,000円未満の端数を切り捨てます(③)。1,000円未満を切り捨てた金額が課税標準額となります。

その課税標準額に相続人が相続登記をする際の税率4/1000を乗じます(④)。

課税標準額に4/1000を乗じた金額の100円未満の端数を切り捨てます(⑤)。

その金額が、国へ納付すべき登録免許税となります(⑥)。

今回の事例では、相続登記の際に117,100円の登録免許税を納付することになります。

敷地権付き区分所有マンションのパターン

区分所有マンションの課税証明書

こちらの横浜市の課税明細書のサンプルをもとに、敷地権付マンションを相続した相続人が相続登記をする際の登録免許税を計算してみたいと思います。

土地・家屋ともに緑の枠の数字を見てください。その数字がマンションの固定資産評価額であり登録免許税を算出する基準となります。

サンプルの不動産の評価額は次のとおりです。

・土地の評価額:151,042,404円 
 ※マンション敷地全体の評価額で高額です

・家屋の評価額: 7,408,916円

通常、マンションを購入すると、マンションの専有部分1部屋の区分所有権と同時に敷地権(敷地利用権)も所有することになります。

敷地権とは、マンションなどの区分所有建物と敷地をセットで取引できるようにするため、建物と一体化した土地に対する権利のことです。

そのためマンションの専有建物を相続すると敷地利用権もセットで相続することになります。

マンションの相続登記の登録免許税を考える際には、所有するマンションに割与えられた敷地権の割合に基づく土地の評価額を算出する必要があります。

敷地権割合については、課税明細書で確認できない場合は、固定資産評価証明書や登記事項証明書(登記簿謄本)で確認をします。

今回の敷地権割合は10,000分の500という前提で計算してみましょう!

【敷地権付区分建物(マンション)】相続登記の登録免許税の計算方法

課税明細書により区分所有建物と敷地の評価額を確認します(①)。

課税明細書には敷地権割合が記載されていないこともあります。その場合は、敷地権割合は登記簿謄本(登記事項証明書)などから確認をします(②)。

敷地権割合の確認ができたら、土地全体の価格に敷地権割合を乗じます(③)。

あとは、区分所有建物と求めた敷地権の評価額を合算(④)します。

そのうえで、1,000円未満の端数を切り捨てます(⑤)。

1,000円未満を切り捨てた金額が課税標準額となります。

その課税標準額に相続人が相続登記をする際の税率4/1000を乗じます(⑥)。

課税標準額に4/1000を乗じた金額の100円未満の端数を切り捨てます(⑦)。

その金額が、国へ納付すべき登録免許税となります(⑧)。

今回の事例では、相続登記の際に59,800円の登録免許税を納付することになります。

登録免許税が免除される条件とは 

平成30年度の税制改正により、所有者不明土地の対策の一環として相続による土地の所有権の移転登記について、登録免許税が、期限付きですが一定の場合に免税となる措置が定められました。

免除期限については、令和3年度に続き令和4年度の税制改正により、期限が3年延長されて、令和7年3月31日までとなりました。

では、どのような場合に、相続登記の登録免許税が免除されるのでしょうか?

申請書への記載を忘れずに!

平成30年度の税制改正から令和4年度の税制改正における相続登記の登録免許税が0円となるケースは3つ想定できます。

ポイントは「土地」の相続だけです。「建物」の相続については登録免許税の免税はありません。

相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合

相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合

個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年3月31日までの間においては、当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税が課されません(租税特別措置法84条の2の3第1項)

相続登記を申請する際には、申請書の登録免許税を記載する欄に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載し、登録免許税が0円である根拠条文を示します。

評価額100万円以下の土地の所有権移転登記・保存登記

土地の評価額が100万円以下である場合は、当該土地の「所有権移転登記」と「保存登記」が免除されます。

登録免許税が免除される土地は、これまではかなり限定的な運用でしたが、令和4年4月1日からは適用対象が全国の一般的な土地にまで拡充されました。また土地の評価額も10万から100万円と拡充されました。

さらに、相続による「土地の所有権移転登記」のみならず、「土地の亡き人名義への保存登記」も対象となります(租税特別措置法第84条の2の3第2項)。

相続登記を申請する際には、申請書の登録免許税を記載する欄に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載し、登録免許税が0円である根拠条文を示します。

墓地

これまでご紹介した3つのケースとは異なり、登録免許税法により非課税となる場合をご紹介します。

土地の登記簿上の地目が「墓地」であり現況も墓地の場合は、固定資産税は課されていません。

公衆用道路の登録免許税の説明で固定資産税が非課税でも、登録免許税は非課税ではないとお話しましたが、墓地の場合は例外です。

土地の登記簿上の地目が「墓地」となっている場合に、墓地の所有権を移転する申請をする際には、登録免許税を納付する必要はありません。「墳墓地に関する登記」については、登録免許税を課さないと定められています(登録免許税法5条10号)。

登録免許税の納付方法

不動産を相続した相続人は、登記手続きを行い、当該相続人への不動産の名義変更の手続きを管轄の法務局にするのが通常です。その際には、免税されない限り登録免許税の納付が必要となります。

登録免許税とは、不動産登記をするときに課される税金です。

登録免許税を納付しないと登記申請は、管轄法務局により却下されてしまいます。

そこで、ここでは登録免許税の納付方法について解説します。

登録免許税の納税期間

相続登記にかかる登録免許税の納税期限は、基本的には法務局が登記を受理するときです。

登録免許税の納付は、相続登記を申請する際に、申請書に金融機関等で納付した領収書、若しくは収入印紙を貼付して行います。

現金を金融機関等で納付するか、収入印紙を郵便局又は法務局で購入し納付します。

登記申請の際に、領収書、若しくは収入印紙を貼付していないと、登記申請は却下されます。

あくまでも、登録免許税は相続登記を申請する際に課される税金のため、相続登記の申請をしない限り登録免許税が課されることはなく、納税期限もありません。

金融機関での現金納付

登録免許税は、原則として、銀行などの金融機関で登録免許税に相当する金額を納付し、その領収書を登記申請書に貼り付けて申請します(登録免許税法21条)。

登録免許税を現金で納付する場合は、金融機関にて登録免許税(国税)納付用の納付書に所定の必要事項を記入して、窓口に提出し、登録免許税を納付します。

金融機関から交付される領収証書を相続登記の申請書に貼付して、管轄法務局に登記申請をします。

なお、申請の際に法務局で直接に現金納付をすることはできません。

3万円以下の場合は印紙で納税が可能

登録免許税は金融機関で現金納付をし、金融機関から発行される領収証書を法務局に添付して納付するのが原則ですが、登録免許税額が30,000円以下の場合には、収入印紙で納付することが、法律により認められています(登録免許税法22条)。

なお、収入印紙は、郵便局や法務局内の印紙売り場で購入することができます。

もっとも、実務上、書面で登記申請をする場合には、登録免許税額が30,000円を超える場合でもあっても、収入印紙で納付するケースが少なくありません。

相続登記は司法書士が行うもの?

令和6年4月1日から相続登記は義務化されます。相続登記が義務化されると、不動産を所有する被相続人が亡くなるとその相続人は、相続により不動産の取得を知ってから3年以内に相続登記をすることが必要となります。これは、施行前の相続にも一定の要件の下、適用されます。

正当な理由なく怠れば、10万円以下の過料が科されることもあります。

そのため、相続登記を専門家である司法書士に依頼するようなケースが増えるかもしれません。

しかし、相続登記と一口に言っても、相続人や相続不動産の数、さらに相続方法、家族関係などさまざまであり、手続きの難易度も異なります。

もっとも、配偶者と子供が相続人となる基本的な相続登記のみであれば、司法書士に依頼せずとも相続人みずから相続登記手続きをすることも十分可能です。

自分で行うことを検討してもいいケース

司法書士に依頼せず、自分で相続登記をできるかの目安は次の5つ全てにチェックが入るかによります。

自分で行うことを検討してもいいケース

【☑相続人の構成がシンプル】

相続人となるべき者が被相続人の配偶者と子供のみである場合は、相続人の構成がとてもシンプルといえます。

このような場合は、登記申請をする際に添付する戸籍等の収集も思ったほどは複雑ではありません。また、子供だけの相続と異なり親がいるため、オーソドックスなご家庭では遺産分割協議も比較的スムーズにまとまり、その内容も簡易的なことが予想されます。

【☑相続不動産がシンプル】

被相続人が所有していた不動産が自宅のみだと、公衆用道路やゴミ置き場などの自宅周りの不動産調査で済むため、十分な注意を払うのであれば登記漏れが比較的少ないといえます。

登録免許税の計算に自信がある場合には、自宅の相続登記の申請は十分可能といえます。

他方、不動産の数が多い場合は、不動産を特定する調査に時間を要し、その後の遺産分割協議を鑑みると相続税の申告が必要な場合は10か月というリミットに間に合わないことが十分に想定さます。

【☑不動産の売却を考えていない】

相続した不動産の売却を考えているときは、相続人の誰がどのように相続するかで相続税や譲渡所得税が異なります。遺産分割協議の内容には十分な注意が必要です。

【☑平日時間があること】

戸籍収集等は市区町村役場、相続登記申請は法務局への申請となりますが、基本的に、お役所は平日対応のみです。

そのため、手続きをする相続人も平日に対応する必要があります。

【☑根気があること】

相続登記手続きで最も重要なポイントは根気を要するということです。

相続人を特定するために収集した被相続人の出生から死亡までの一連の現在戸籍・除籍謄本・改製原戸籍を読み解き、遺産分割協議書、相続登記の申請書を作成し、法務局に納付する登録免許税の計算をしたりと、何度も役所へ足を運んだり、やり直しの手間暇、費やす時間、不慣れからくる精神的ストレスなどから途中で断念し、司法書士に依頼する方は少なくありません。

司法書士への依頼を検討すべきケース

次のようなケースでは、非常に手間暇がかかる相続登記が予想されます。

専門家を介さずにご自分で相続登記をすることは、おすすめできません。

司法書士への依頼を検討すべきケース

【☑兄弟姉妹が相続人・代襲相続】

被相続人から近しい本来相続人となる者が既に亡くなっている代襲相続や被相続人の兄弟姉妹が相続人のときは、戸籍の収集や遺産分割協議の合意が難しいことが予想されます。

【☑相続人の関係が疎遠・良好でない・遠方にいる】

相続人との関係が疎遠・良好でない場合は、書類の収集に時間を要する場合があります。

関係が良好でない場合は、進め方を間違うと手続きに非協力的となることも少なくありません。

海外に相続人が居住しているような場合には、大使館・領事館を介することもあります。

【☑家督相続】

かなり昔に亡くなられた方の名義の不動産登記が残っている場合は、家督相続となるケースもあり、旧民法の適用が必要となります。

【☑不動産が遠方にある】

不動産が遠方にある場合は、管轄法務局とのやり取りや相続登記の申請に不備がある場合の補正の手続きをすることが困難といえます。

【☑相続不動産の売却を検討】

相続不動産の売却を検討している場合は、誰が何をどのように相続するかで相続税や譲渡所得税も異なるため慎重な検討が必要となります。

【☑行政機関が破棄した書類がある】

相続登記を申請する時には、関係書類を添付します。

添付書面の中には、既に役所が破棄して、交付されない場合があります。

そのような場合には、法務局に別途添付しなければならない書面があるため、ハードルが高くなります。

【☑代償分割・換価分割による遺産分割】

特定の相続人が不動産を取得する対価として他の相続人に代償金を支払う遺産分割の方法を代償分割と言います。

この場合、遺産分割協議書の記載内容によっては、贈与税が課せられるリスクがあります。

また、相続した不動産を売却し現金に換金し、その現金を遺産分割する方法を換価分割といいます。

この場合も代償分割と同様に、遺産分割協議書の記載内容によっては、現金の分配の際に贈与税が課せられるリスクがあります。

【☑民事信託を締結している】

民事信託(家族信託)を組成している不動産は、委託者や受益者が亡くなった際に、通常の相続とは異なる手続きが必要となります。

信託契約書の内容が重要となるため専門家とともに進めていくべきです。

まとめ

相続登記をする際には、原則、登録免許税の納付が必要となります。

問題は、相続登記の際に必要な書類の収集と申請書等の作成、さらに登録免許税の計算です。

公衆用道路やマンションの敷地権などは、登録免許税の算出に少し知識が必要であることはお分かりいただけたかと思います。

相続財産が、自宅のみのような場合は、ご自身で相続登記の申請をするのもよいかもしれません。

その際は、これまでの解説を参考にしてみてください。

また、相続登記の申請につき不明な点は各法務局で予約を取り、窓口で相談をすることも可能です。

くれぐれも相続不動産を含む遺産分割協議書の内容には気を付けてください。法務局も遺産分割協議書の内容まではケアーしてくれません。


司法書士 岡山 司(執筆)
司法書士 岡山 司

人生設計や人生の節目をサポートする会員制の「ひだまり俱楽部」を運営。

相続・税務・保険・不動産・FPと「暮らしの安心・安全」を提案し解決するアドバイザー。

近年は、お部屋の整理収納や妊婦さん・高齢者・離婚のカウンセリングなど暮らしにおけるカスタマーサービスの充実を図っております。

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