老後、マンションの管理費が払えない?

カテゴリ:マンション売却のお金
投稿日:2021.02.19

老後、マンションの管理費が払えない?

住宅ローンを完済しても管理費など費用の支払いが心配

「住宅ローンは完済したが、心配なのは管理費、修繕積立金、駐車場代、修繕の一時金。現在はそれほど苦にならない金額だが、これから先を考えると年金で賄えるのか分からない」

「年金生活に突入した後も、管理費などをきちんと払っていくことができるのだろうか?」

「老後も収入がある人もいるかもしれないが、ほとんどの人は年金だけが頼みの綱のはず。今後、高齢世帯で管理費や修繕積立金が払えなくなるケースが頻発するのではないか?」

と、将来のマンションの管理費等の支払いについて、不安に思っている方は多いのではないでしょうか。ここでは、「老後、マンションの管理費が払えない」不安の原因と、対策についてご説明致します。

資料から見る管理費・修繕積立金の相場

管理費収入/月/戸当たり/(使用料・専用使用料からの充当額を除く)

国土交通省による「平成30年度マンション総合調査」のうち、管理費の戸当たりの月額の平均はいくらくらいなのか調査結果をみてみると、「10,000円超15,000円以下」が22.5% と最も多く、つぎに 「7,500円超10,000円以下」が17.2% です。

管理費の平均戸当たり月額は10,862円となっています。

現在の修繕積立金の額/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)

また、修繕積立金の戸あたりの月額の平均は「10,000円超15,000円以下」が25.1% と最も多く、つぎに 「7,500円超10,000円以下」が17.9% です。

修繕積立金の平均戸当たり月額は11,243円となっています。

それぞれの平均戸当たり月額を合計すると22,105円となります。

管理費平均戸当たり月額 10,862
修繕積立金平均戸当たり月額 11,243
合計 22,105

単位:円

出典:国土交通省|マンションに関する統計・データ等 平成30年度マンション総合調査結果

資料から見る修繕積立金の値上げ幅

建物の維持保全のために、ほとんどのマンションの管理組合が作成しているのが「長期修繕計画」ですが、新築時より一定の期間ごとに段階的な値上げが想定されていることが多いのが修繕積立金です。一体どれくらいの値上げを行っているのでしょうか?

直近の修繕積立金の増額幅/現在の修繕積立金総収入

上記のグラフは、現在の修繕積立金収入に対する、直近の修繕積立金の増額幅の割合を示したものです。

修繕積立金の増額幅は、「20%以上30%以下」が14.8%と一番多く、次いで「10%以上20%以下」が10.5%、「30%以上40%以下」が9.2%となっています。

この結果に照らし合わせて、仮に修繕積立金が30%(およそ3,372円)値上がりした場合、管理費と修繕積立金の平均戸当たり月額の合計はいくらになるでしょうか。以下をご確認下さい。

管理費平均戸当たり月額 10,862

修繕積立金平均戸当たり月額
(30%値上がり後)

14,615
合計 25,477

単位:円

出典:国土交通省|マンションに関する統計・データ等 平成30年度マンション総合調査結果

そもそも管理費や修繕積立金を値上げするかどうかについてはマンションによりますので一概には言えませんが、平均的な管理費と修繕積立金の合計額が22,105円、それが修繕積立金の平均的な値上げ幅である30%の増額で25,477円となると年間では40,464円の負担増になってしまいます。

管理費や修繕積立金の負担増の原因

管理費や修繕積立金の負担が増える背景には、どのような原因が考えられるのかをみてみましょう。

総戸数が少ない

総戸数規模 管理費平均戸当たり月額※

修繕積立金平均戸当たり月額※

20未満 13,260 14,722
21~30 12,106 11,416
31~50 9,847 12,028
51~75 10,386 9,850
76~100 11,490 10,872
101~150 9,451 10,058
151~200 10,989 10,526

月額の単位:円

出典:国土交通省|マンションに関する統計・データ等 平成30年度マンション総合調査結果

※「管理費の平均戸当たり月額」及び「修繕積立金の平均戸当たり月額」は使用料・専用使用料からの充当額を除く

上記の表は総戸数の規模別で見たマンションの管理費と修繕積立金の平均相場を示しています。

管理費は9千円~1.2万円程度が多い中、20戸以下の規模のみ約1.3万円と高くなっていることが分かります。

修繕積立金は9千円~1.2万円程度が多い中、20戸以下の規模のみ約1.4万円と高くなっていることが分かります。

20戸以下の管理費平均戸当たり月額 13,260
20戸以下の修繕積立金平均戸当たり月額 14,722
合計 27,982
単位:円

小規模なマンションは、管理費や修繕積立金を少ない戸数で賄う必要があるため、どうしても1戸あたりの相場が高くなりがちです。

一方、総戸数が多いマンションは、管理費や修繕積立金が小規模なマンションと比較して低くなる傾向にありますが、マンションの構造によっては清掃など普段の維持管理や大規模修繕工事の費用が多くかかる場合もありますし、後述するマンションの設備も負担増の要因となりえます。

機械式駐車場

立体駐車場

マンションの管理費は、「設備のメンテナンス費用の増加」が原因で上がる可能性があります。設備のなかでも機械式駐車場は、「狭い敷地でも駐車可能台数を増やすことができる」というメリットがあり、駐車場の需要があるのに土地がない、という都心の立地に向いています。機械式駐車場の寿命(耐用年数)はどれくらいなのでしょうか。

平置きの駐車場のようにさほど手間がかからず長期間使用できるわけではなく、機械式駐車場の法定耐用年数は15年です。しかし、法定耐用年数は法人税の算定基準であり、やや短めに設定されています。通常なら20〜25年は使用できるという話も聞きますが、それは機械式駐車場設備「一式」での話です。

機械式駐車場の法定耐用年数は15年

機械式駐車場にはその他の関連設備として、排水装置、安全装置などがありますが、それらの法定耐用年数は下記関連資料8ページ「前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの-機械式駐車設備-」に示されているとおり10年ですので、20年以上使用するには、各装置に応じた周期でのメンテナンスが必要です。

出典:国税庁|耐用年数等の見直し(平成20年度税制改正)に関するQ&A

どんなにしっかりとメンテナンスを行ったとしても、将来的には必ず耐用年数に終わりがきます。その先も使用を継続したければ、設備のリニューアル・更新が必要になります。リニューアルには多額の費用がかかりますが、通常のメンテナンスにもお金がかかります。適切なメンテナンスを行っていなければ、もちろん耐用年数も短くなってしまいます。

昨今、若年層を中心に「車離れ」が進んでいますが、分譲当初から駐車場使用料の収入を管理費や修繕積立金に定期的に充当する計画で機械式駐車場が導入されているマンションの場合、利用台数が少なくなると、駐車場収入の減少が管理費や修繕積立金の不足につながり、それが原因で管理費などの費用を値上げしなければならなくなります。

機械式駐車場区画の空きがある場合はマンションの近隣の利用希望者に貸し出せるようにしたり、一部の機械式駐車場をメンテナンス対象外にして使用も止め、費用負担を軽減するといった対策をしている管理組合のケースもあります。

ディスポーザー排水処理システム

ディスポーザー

各戸のキッチンにディスポーザーが備え付けられているマンションは、野菜くず等の生ごみを処理できるので人気があります。ディスポーザー排水処理システムは、キッチンシンクの下に強力なモーターを取り付けた粉砕室内で細かくし、水とともにジュース状にして浄化槽などの処理槽に流し、槽内で浄化された後で下水道に流す仕組みです。

ディスポーザーの中には排水を処理する部分のない、単体ディスポーザーという商品があります。自治体によって異なりますが、東京都23区、横浜市、千葉市、さいたま市では単体ディスポーザーの設置を認めていません。排水処理をしないため、この記事でもおすすめできません。東京都下水道局では、どういった商品が設置可能なのか紹介していますので、ぜひご確認下さい。

出典:東京都下水道局「ディスポーザ排水処理システム」の設置について

浄化槽などの排水処理装置が共用設備になっているマンションは多く、メンテナンスや更新には費用が掛かります。そのため、中規模以上の戸数のマンションに設置されているのが多い印象です。

一時金を負担するケース

10数年ごとに実施する大規模修繕工事の費用を積立金だけでは支払いきれず、追加費用を一時金として住民で負担するケースがあります。

近年は急激な気候変動などによる自然災害の発生が増えており、その影響でマンションの建物のどこかが傷んだら、すぐに修繕する必要があります。しかし、災害がたび重なると修繕積立金だけで充当しきれなくなり、この場合も追加費用の捻出手段に「一時金」の徴収という選択肢が出てきます。
 
1棟に数百戸が入居するような大規模マンションなら追加費用も少額ですむ場合が多いのでしょうが、小規模のマンションではまとまった金額が必要な場合もあります。例えば、外壁の修繕を実施するのに積立金だけでは足りず、1世帯あたり20万円を負担する議案が提出され、総会で賛成多数により可決した場合、「まだ修繕の必要はない」と思っていても、あるいはお金にも余裕がないので支払いたくなくても、適法に開催された総会で決議されたことには従う義務があります。

そのため、普段から総会に出席して意見を述べ、機会のある限り正当性を主張することが必要です。しかしながら、マンション全体の資産価値を維持していく為には、時として個人の権利が大幅な制約を受ける可能性もあるということをご承知おき下さい。

タワーマンションはスケールメリットがある?

「戸数が大規模なタワーマンションであれば、スケールメリットで1戸あたりの管理費や修繕積立金が安く抑えられるのでは?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、高所作業等による大規模修繕工事期間の長期化、枠組足場を用いる一般的な低~中層マンションと比較して工事費用が高額になってしまうという高層マンションならではの理由と、充実した諸設備のメンテナンスや交換費用、コンシェルジュをはじめ常駐スタッフの人件費等を含めて考慮すると、スケールメリットは期待できないといえます。

1998年築、650戸、55階建て、高さ185.8mの大規模タワーマンションの先駆的存在「エルザタワー55」(川口市元郷2丁目)の工事事例は、2015年3月から工期2年、工事費用12億円のビッグプロジェクトです。詳細は下記をご覧ください。

出典:SUUMO|55階建てタワーマンションの大規模修繕工事が開始、その難しさとは

管理費や修繕積立金を滞納するとどうなる?

管理費や修繕積立金の支払いを滞納すると、まず管理会社から督促があります。一般的に、督促期間は3~6カ月といわれています。そこで支払えば問題ないのですが、なお滞納を続けると、悪質な滞納者として判断され、管理会社からの督促ではなく、管理組合を交えた法的措置へと移行していきます。管理組合は総会での決議を経て、裁判所に対して「支払督促」という法的措置を講じます。

裁判所が行う支払督促には法的な強制力がありますので、この段階に至っても支払いがなされない場合は、「建物の区分所有等に関する法律 第五十九条」の規定に基づき、管理組合は総会での決議を経て、強制的に競売の手続きを進め、滞納されている管理費や修繕積立金の回収に動きます。滞納から2~3年以内に競売の申し立てに至る事例が多いです。

出典:総務省|e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律 第五十九条(区分所有権の競売の請求)

管理費等の支払いが滞ると

・管理会社から督促(およそ3~6か月)       → (支払いすれば解決)
        ↓
 法的措置
・管理組合が裁判所に「支払督促」の申立      → (支払いすれば解決)
        ↓
・管理組合が先取特権の実行(訴訟は不要)
・管理組合が区分所有者の資産の差押え(訴訟が必要)

 ※どちらの措置を実施しても滞納額の全額は回収
  できない見込みの場合、管理組合は競売請求が  →  弁済交渉等を継続
  適切か否かを判断                 (支払いすれば解決)
        ↓
・管理組合が裁判所に「競売請求」
        ↓
 (競売請求訴訟における認容判決の確定)
        ↓ 
・管理組合が裁判所に「競売実施」の申立 
                  

出典:国土交通省|滞納回収のための管理組合による措置に係るフローチャート

管理費や修繕積立金の値上げの対策

管理費内訳の見直し

まず、管理費の内訳がどうなっているのかを、管理組合の総会資料の収支報告内容をみて、上記でご紹介したような機械式駐車場、ディスポーザー排水処理システムといった負担増の原因となりうる諸設備が適正に運用されているか、管理会社に支払っている管理委託費も含め、確認してみましょう。もし総会前であれば、収支報告内の管理費の実績と予算案に目を通し、削減できそうな部分を見つけて質問できるように準備することをおすすめします。

大規模修繕工事費用の見直し

近年は人件費の高騰により、大規模修繕工事費用の額も上がることが懸念されています。修繕積立金の値上げ対策としては、必要であれば施工業者の変更工事費用の減額、さらには管理会社の変更も視野に入れなくてはなりません。複数の管理会社に見積もりを依頼して比較検討するなど、前もって調査を行う必要もあります。

前項をお読みになってすでにお気づきかもしれませんが、管理費や修繕積立金の見直しは、いち区分所有者として行えることではなく、管理組合に議案を提出して、その議案が総会で決議された結果、管理組合が行うことになります。そのため、区分所有者全員が問題意識をもって臨むことこそ見直しの第一歩といえます。

老後、マンションの管理費や修繕積立金が払えない?のまとめ

管理費等の相場は?

管理費の平均戸当たり月額は10,862円、修繕積立金の平均戸当たり月額は11,243円です。(出典:国土交通省|平成30年度マンション総合調査)

修繕積立金の値上げ幅ってどれくらい?

「20%以上30%以下」が14.8%と一番多く、次いで「10%以上20%以下」が10.5%、「30%以上40%以下」が9.2%となっています。(出典:国土交通省|平成30年度マンション総合調査)

管理費や修繕積立金の負担が増える原因は?

この記事では、以下の4点を挙げています。

  • 総戸数が少ない
  • 機械式駐車場
  • ディスポーザー排水処理システム
  • 一時金を負担するケース

老後もマンションの管理費等をきちんと支払うための注意点は?

管理組合の「総会資料の収支報告」「長期修繕計画」で管理費や修繕積立金の値上げの予定をみて、老後の資金計画と比較して無理なく支払っていけるかどうかを確認しましょう。

もう一つは「長期修繕計画」で「今後の大規模修繕工事の計画に無理がないか」を確認することです。詳細はこちらをご覧ください。

今後、管理費等の値上がりがはっきりしているが現状では支払いが難しくなり、管理組合も動いてくれない、という場合には、「マンション売却」という選択肢もあります。

マンション売却でのさまざまなニーズのあるお客様にとって何よりも大事なのは、相談する相手がいかに信頼できる相手かどうかです。

東京テアトルグループはサービス業を主軸とする会社であり、マンションの売却相談についてもサービス業のアイデンティティで取り組んでおります。

古くなったけど愛着あるマンションを安心して売却したい、というお客さまの心のパートナーとして、どんな些細な相談でもお気軽にお問合せいただけることを心よりお待ちしております。

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森田学(執筆
森田 学【宅地建物取引士】

1999年東京テアトル株式会社に入社。「テアトルタイムズスクエア」などの映画館の運営スタッフ業務、ラグジュアリーホテル「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、区分所有マンションの売買を担当し現在に至る。

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