マンション売却にリフォームは必要?費用相場や注意点を解説

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.03.09

マンション売却とリフォーム。費用や必要性、注意点を解説

この記事では、マンションを売却する際のリフォームの必要性について解説いたします。

古いマンションの売主様は、部屋が汚かったり、故障していると売りにくいと考え、売却前にリフォームすることを検討されるのだと考えられます。

あるいは買取再販業者(不動産会社)が大規模なリフォームを施工後、リフォーム済み物件として高く販売をしているのを目にされて、ご自身の部屋もリフォーム後に売却をした方が高く売れるのかもとお考えになられ、売却前のリフォームを検討されているケースもあるでしょう。

買取再販業者として年間200件を超える中古マンションの仕入れ(購入)とリフォーム工事をおこなっている弊社「東京テアトル」が、古いマンションの売却とリフォームに関するさまざまな疑問にお応えします。

この記事でわかること
  1. 売却前のリフォームの必要性
  2. リフォームをすることで高く・早く売れるのか
  3. 売却前のリフォームにかかる費用
  4. 売却前のリフォームのメリット・デメリット
  5. 業者によるリフォーム済み物件が高く売れる理由

マンションを売却する時リフォームは必要?

「リフォーム」という言葉の定義について調べると、ウィキペディアでは居住の改築や改装のことを指し、主なものとして雨漏りなどの修繕、外壁の取り替え、住宅設備の取り替え、補修などと説明されています。

あるいは「老朽化した建物を新築の状態に戻すこと」というように、住居を現状回復することをリフォームと定義することが多いようです。

最近よく使われているリノベーションとの対比としてリフォームを説明する場合は、「原状回復のための修繕・営繕、不具合箇所への部分的な対処」となります。ちなみにリノベーションは、「機能、価値の再生のための改修、新築の状態よりも向上させること」という定義になっています。

マンション売却前にリフォームをするべき?

言葉の定義からするとリフォームは、元に戻す、原状回復ということになります。誰もがリフォーム会社に依頼さえすればリフォームをすることができます。誰でもできるリフォームによって住居の状態を元に戻すだけなので、売却前というタイミングに限って行うメリットはあまり無いといえます。

専門家でない個人の売主がリフォームしたマンションより、買主は自分が望むスペック、予算で購入後にリフォームしたいと考えるはずです。買主心理から考えても売却前のリフォームはデメリットの方が大きいといえます。

売却前にリフォームするメリット

もちろん、マンション売却前にリフォームすることによるメリットはあります。

古いマンションの内装や設備が経年劣化して汚れていたり、故障や不具合のあることは当然であり、古いマンションの価格・相場は、そのことを織り込んだ金額となっています。

そのため、立地環境・駅距離や部屋の個別条件(専有面積、方位、階数等)が同じ物件があったら、築年数の古い物件は、築年数の浅い物件に比べて販売価格が安くなります。

想定範囲の汚さや故障不具合であれば、購入検討者は価格が安いことで内装設備のマイナスを了承して、購入後に自分でリフォームをする前提で購入します。

ただし、人間には最初に提示された情報が後の印象形成や判断に大きな影響を与える、「初頭効果」と呼ばれる心理的な傾向があります。つまり、第一印象が最重要ということです。

第一印象を良くするという点で、マンション売却前のリフォームにはメリットがあるといえるでしょう。

想定を超える汚さや不具合などは、判断に重要な第一印象を極めて悪くします。その後の情報を受け容れにくくして、「なんとなくこの物件は気に入らない」という方向の判断になってしまう可能性があるのです。

売却前にリフォームが必要なケースとは

全てのマンションにおいて売却前のリフォームが必須ということではないですが、中にはリフォームが必要と判断されるケースもあります。

実際にあった事例を申し上げると、想定を超えるヘビースモーカーの売主が住む部屋は、リビングダイニングや寝室などの壁・天井のクロスが想定を超える黄色(タバコのヤニ等)に変色していたことがありました。

この物件は、販売価格(売却価格)は適正であったのに通常より成約までの時間がかかってしまいました。悪い第一印象によって、売れるまでの時間がかかったのだと思います。

第一印象が極端に悪くならないようにするクロス張替え等のリフォームは、売却前リフォームのメリットです。

想定を超えるようなマイナスを是正できる少額費用のリフォームであれば、メリットがあると言えます。

マンション売却前のリフォーム費用

皆さまご承知の通り世の中はインフレの渦中にあり、中古物件のリフォームに必要な扉や枠などの建具、フローリングなどの床材、壁・天井のクロス、キッチンや洗面などの水回り・水栓金具・照明器具の価格が値上がりしています。
数年前から、大工さんやクロス屋さんなどの人件費も値上がりしています。
値上がり後の3LDK、60㎡程度のマンションのリフォーム費用目安をご紹介します。

部分リフォーム費用の目安

例えば、洗面室だけをリフォームすると対比によってより他の箇所が汚く、古く見えてきます。初頭効果を考えて極端に汚い箇所だけのリフォームが合理的です。

部分リフォームにかかる費用の目安を以下の表にまとめました。

リフォーム費用範囲
床-壁クロス50~90LD・居室・廊下・水回り
フローリング-巾木55~125LD・居室・廊下・キッチン
トイレ25~60トイレ-収納
洗面室26~40洗面台(750)-リネン庫
キッチン70~140キッチン(2100)-換気扇
浴室75~150ユニットバス(1216)-乾燥機
トイレ、洗面室、キッチンのリフォームは壁・天井クロス、床シート工事含む/単位:万円

悪徳リフォーム業者がネットやチラシで提示するおとり価格は、上記でご紹介した弊社費用(目安)より大幅に安いものがあります。

下記の関連記事のようなトラブルが発生していますので、検索をした際に上位に表示されたとしても、くれぐれもご注意ください。

関連記事:水回り修理、検索上位でも業者とトラブル多発、国民生活センターが注意喚起

大規模リフォーム費用の目安

スケルトンリフォームとは、一旦室内をスケルトン状態にして間取り、内装、住設機器、給排水管などすべてを新しくするリフォーム方法です。

フルリフォームとは、間取り変更を最小限にすることで壁や天井を残してコストダウンし、内装や住設機器などは全て新しくするリフォーム方法です。

一般的なスケルトンリフォームの費用は、概ね12,000円/㎡~15,000円/㎡とされています。

【大規模リフォーム費用】

築年目安費用
フルリフォーム25~30年600~700万円
スケルトンリフォーム35~50年700~800万円
3LDK、60㎡のマンションリフォーム

スケルトンリフォームであれば、一次取得者が好む流行りの間取りを選択しなければなりません。

フルリフォームであれば、価格帯によって購入者層に合わせた内装や住設機器のスペックを選択しなければなりません。

一般の方にこのような選択は難しいため、大規模リフォームを売主自らして売却するのはあまりおすすめをしません。

リフォーム済みマンションが売れる理由

リフォームをしただけで100%売れるマンションになるというわけではありませんが、リフォーム済みのマンションが売れる理由として、以下の3つが挙げられます。

  1. お客様のニーズに合わせたリフォームを行ったため
  2. アフターサービス保証付きで安心なため
  3. リフォーム以外に売れる理由があるため

これらの理由を踏まえたリフォームを実施できるのが、買取再販業者です。

一つずつ詳しく見ていきましょう。

1.お客様のニーズに合わせたリフォームを行ったため

マンション売却の専門家である買取再販業者は、古くなったマンションを原状回復(リフォーム)するだけではなく、機能・価値を再生させるための改修(リノベーション)を行っています。

買取再販業者は、コストをかけたリノベーションで物件の付加価値を高め、お客様のニーズに応えることで、高い販売価格を実現しています。リフォーム代も大量発注、継続発注によってコストダウンがはかられています。

2.アフターサービス保証付きで安心なため

ほとんどの買取再販業者のリフォーム済み物件には、アフターサービス保証が付いています。このような安心なサービスも買取再販業者のリフォーム済み物件が売れる要因です。

3.リフォーム以外に売れる理由があるため

マンションが売れる理由は一つではありません。

その理由の一つとして、買取と仲介の仕組みも関係しています。

例えば、「ABC不動産販売」と「XYZ住宅」という2社の仲介会社があったとします。

購入検討者に物件探しを依頼されている仲介会社・ABC不動産販売の営業マンにとっては、仲介会社・XYZ住宅が「専任媒介契約を結んでる個人が売主の物件」より、「買取再販業者が売主のリフォーム済み物件」を販売した方が自分の収入が多くなるのです。

一般の方には分かりにくい、片手仲介と両手仲介について下記のイラストを使ってご説明いたします。

【片手仲介の仲介手数料】

リフォーム済みマンションが売れる理由、片手仲介の仲介手数料

ABC不動産販売の営業マンが受領する仲介手数料は、買主様から受領する仲介手数料(105.6万円)のみになります。

売買金額3000万×3%+6万+消費税=105.6万円

売主様の仲介手数料(105.6万円)は、専任媒介契約を結んでいるXYZ住宅が受領することになります。

ABC不動産販売の営業マンはいわゆる片手仲介(片手手数料)となります。

【両手仲介の仲介手数料】

リフォーム済みマンションが売れる理由、両手仲介の仲介手数料

こちらのイラストでは、ABC不動産販売の営業マンが受領する仲介手数料は、買取再販業者(売主)から受領する仲介手数料105.6万円、買主様から受領する仲介手数料105.6万円、合わせて211.2万円になります。

この場合、ABC不動産販売の営業マンは、片手仲介と比較して2倍の仲介手数料を受領できます。この両手仲介(両手手数料)が、リフォーム済み物件が売れる理由のひとつです。

マンション売却前のリフォームは効果なし?

前述の通りABC不動産販売の営業マンは、買取再販業者が売主のリフォーム済み物件を売買契約した場合、片手仲介の仲介手数料と比べて2倍の仲介手数料を受領できます。

当然、買主様側の仲介会社であるABC不動産販売の営業マンは、「買取再販業者が売主の物件」を売ろうと努力をします

このことが、リフォーム済み物件が高く売れる理由の一つです。

マンション買取業者によるリフォーム済み物件が高く売れるのは、この努力、優先して売ろうとするモチベーションによるところが大きいといえます。

個人がリフォームすると「片手仲介」に

繰り返しになりますが、両手取引が見込める買取再販業者が売主のリフォーム済み物件の販売が”優先”されます。

売主側の媒介契約を持たない買主側の仲介会社にとっては、個人の物件は片手仲介になるので、前述した”優先”という力、モチベーションが働きません。

結果として優先されるのは買取再販業者が売主のリフォーム済み物件であり、個人が売却前に大規模リフォームをしても優先されません。これでは高く売れる確率は低く、かけた費用に見合う効果は期待できません。

リフォームと買主側の仲介会社

業者のリフォーム物件は、リフォーム済みだから高く売れる側面もありますが、両手仲介になるので優先して一生懸命売り込むという側面もあります。

リフォームだけが売れる要因ではないということをご理解頂けたでしょうか。

リフォーム費用はいくらかけるのが妥当?

前述した通り、買主が決まる前に高額な費用をかけて大規模リフォームをしたとしても、費用に見合うようなメリットは得られない可能性があります。

設備の故障や不具合などがない限りは、リフォームを行うとしても費用は30~50万円に抑えておくのが良いでしょう

前述したようにシステムキッチンや浴室周りの故障などについては、百万円単位の費用が想定されます。

気になる所をすべてリフォームする前に、弊社を含めた不動産会社に相談をしてみましょう。

売却前リフォームで時間短縮

想定を超える程度のタバコやカビによるクロスの汚れは、第一印象を悪化させ購入意欲を大幅に減退させることになります。

時間をかければ極端な汚れも気にしない買主が現れますが、時間をかけず早く売りたいならクロスの張替えなど第一印象を上げるリフォームは有効です。

第一印象によるオミットが減り、早く売れます。早い不動産売却なら少額リフォームは有効な手段です。

リフォームをしたマンションの査定価格はどう決まる?

弊社「東京テアトル」では、居住年数と使い方にもよりますが、所有者が大規模リフォームを実施した場合は査定価格にも反映します。リフォームを査定に反映してもらうコツ・方法は、リフォーム工事の内容や金額の分かるものを用意して仲介業者に説明することです。

実際にヒアリングをしてみると、仲介業者やその担当によって既存リフォームに対する評価には大きく違いがありそうです。リフォーム内容を正しく伝えて、リフォーム費用の残存価値を正しく査定に反映してもらいましょう。

不動産一括査定サイトで査定

不動産一括査定サイトで一括査定をする場合は、大規模リフォームの詳細を記入して査定価格へ反映してもらいましょう。

それにはリフォームの残存価値があることを正確に伝えることが大事です。

残存価値を評価して正しく査定に反映してくれる不動産会社は良い業者です。逆をいうと、残存価値も分からないような不動産屋に売却を依頼するのは少々考えものです。

特殊、個性的過ぎるリフォームを実施した場合

例えば、

  • 70㎡3LDKを広いワンルームにリフォーム
  • 浴室を無くしてシャワーブースのみにリフォーム
  • 大理石の廊下や無垢材のフローリング
  • 防音室

といった個性的、特殊なリフォームは、かけたリフォーム費用の残存価値相当をそのまま査定に反映するのが難しいことがあるため注意が必要です。

個性的過ぎたり、特殊なリフォームは万人受けしないため、査定価格に反映することが難しい場合があります。

個性的過ぎる間取りは、流通性が下がり、売却相場を下回ってしまうこともあります。

マンション売却におけるリフォームの必要性、費用や注意点のまとめ

最後に、この記事で解説したマンション売却とリフォームに関する内容をまとめていきます。

マンションを売却する時にリフォームは必要?

売却前にするリフォームには、メリットとデメリットがあります。メリットになるようなリフォームであれば必要といえます。

詳しくはこちらをご覧ください。

なぜ、業者のリフォーム済み物件は高く売れる?

不動産業者が売主のリフォーム済み物件が高く売れているので、売却前にリフォームをしようと考えている方もいらっしゃるようです。

なぜ、業者のリフォーム済み物件が高く売れるのか?そんな疑問に記事内でお答えしています。

詳しくはこちらをご覧ください。

売却前の大規模なリフォームで必ず高く売れる?

結論を申し上げると、必ずしもかけた費用に見合うほど高く売れる確率は低いと言わざるを得ません。

詳しくはこちらをご覧ください。

売却前のリフォームはいくらかけるのが妥当?

購入希望者が引いてしまうほどの極端な汚れや破損は、第一印象を大幅に悪くしてしまうので、このような箇所を改善するリフォームは効果的といえます。

詳しくはこちらをご覧ください。

最後に

最後に申し上げたいのは、「マンション売却リフォーム」と検索した時に検索結果に表示されるサイトの解説内容の質が低い、ということです。

少し前に「キュレーションメディア」とよばれるサイトが根拠や信憑性の疑わしい内容の記事を掲載して問題になりました。記事内容の根拠のなさと、転用が行われているという点では同じような状況ではないかと思います。

「マンション売却リフォーム」と検索すると上位に表示されるのは似たような記事ばかりであることにお気づきでしょうか。これは、検索上位を取る記事からの転用が行われているためです。このようなことがユーザーの本当に求めることでしょうか?

「水回りのリフォーム工事」を検索して、検索上位に表示されたリフォーム会社に依頼したら、法外な工事費用を請求されたというトラブルも過去には起こっています。詳細は下記記事をご覧ください。

関連記事:水回り修理、検索上位でも業者とトラブル多発、国民生活センターが注意喚起

本記事は、不動産会社としてノウハウを持つ弊社「東京テアトル」が執筆・監修をしておりますので、安心してご参考にしていただければと思います。

マンション売却をご検討されている方、不動産に関するお悩みがある方は東京テアトルにご相談ください。

☎0120-900-881

東京テアトル株式会社公式サイト

森田学
(執筆)

森田 学

宅地建物取引士。1999年東京テアトル株式会社に入社。映画館の運営スタッフ業務、「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、マンション買取再販を担当し現在に至る。

マンションのご売却はご不明な点も多く、不安をお感じの方もいらっしゃるかと存じます。

弊社は、マンション専門に年間200件超を買取、独自メソッドによる査定で築古物件でも高値買取致します。