夫婦で住宅ローンを組む方法は3種類|それぞれのメリット・デメリットを解説
カテゴリ:買い替え・住み替え
投稿日:2024.05.27
夫婦で住宅ローンを組む場合、ローンの契約方法によってメリットやデメリットが異なります。そのため、住宅ローンを組む前に、夫婦でよく検討することが大切です。
また、返済負担割合、離婚時の対応なども事前に話し合っておくことも重要です。
本記事では、夫婦で住宅ローンを組む方法、メリット・デメリット、注意点についてご紹介します。
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- 夫婦で住宅ローンを組む方法はペアローン・収入合算(連帯保証)・収入合算(連帯債務)の3種類
- 夫婦二人とも返済の責任を持つのか、どちらかが連帯保証人になるのかといった違いがある
- 離婚時や死亡時なども想定してローンを決めることが重要
- 夫婦向けの団体信用生命保険「夫婦連生団信」に加入することも可能
目次
住宅ローンを夫婦で組む方法は?
住宅ローンを夫婦で組む方法としては、下記3つの方法があります。
- ペアローン
- 収入合算(連帯保証)
- 収入合算(連帯債務)
それぞれの特徴やメリット・デメリットをよく理解し、最適な方法を選択しましょう。
1.ペアローン
ペアローンは、夫婦それぞれがローンの債務者となり、お互いを連帯保証人とする方法です。
借入額が同じである必要はなく、夫が2,000万円、妻が1,000万円のようにバラバラでローンを組むことも可能です。
ペアローンを組める条件は、金融機関や借入金・返済年数によっても異なります。
例として下記のような条件が、定められている場合があります。
- 20歳以上65歳以下、完済時年齢が80歳未満
- 団体信用生命保険に加入できる健康状態
- 前年度税込み年収300万円以上
- 正社員または契約社員
ペアローンを組む際は、金融機関で条件面などを確認しましょう。
ペアローンのメリット
ペアローンの最大のメリットは、夫婦それぞれの収入を合算して審査を受けられることです。一人当たりの収入が少なくても、収入を足すことで借入可能金額を増やせます。
ペアローンのメリットをまとめると、下記の通りです。
- 夫婦の収入を合算して審査を受けられる
- 借入可能金額が増える
- 収入の変動にも対応できる
- リスク分散ができる
- 住宅ローンの控除を受けやすい
このようにペアローンには、審査の合格しやすさや返済リスクの低減、税制面でのメリットがあります。夫婦で住宅ローンを組む際は、ペアローンを選択肢に入れておきましょう。
ペアローンのデメリット
ペアローンには、メリットだけではなく、下記のようなデメリットがあります。
- 団体信用生命保険の保障が限定的
- 諸経費が2倍かかる
ペアローンは、夫婦で団体信用生命保険に加入できますが、保障は亡くなった方のローン残債にしか適用されません。
つまり、生存している配偶者は、引き続きローンを返済する必要があります。
また、夫婦それぞれが個別にローンを契約するため、契約に伴う諸経費(事務手数料や印紙代など)が2本分発生してしまいます。
このように、ペアローンにはデメリットもあることを理解しておきましょう。
2.収入合算(連帯保証)
収入合算(連帯保証)とは、主たる債務者以外(配偶者)の収入も合算して、住宅ローン審査を受ける方法です。
主たる債務者が債務不履行に陥った際、配偶者が連帯保証人として責任を負います。
連帯保証はあくまでも夫婦の一方が債務者となるため、もう一方が住宅ローン控除を利用したり、団体信用生命保険に加入はできません。
収入合算(連帯保証)のメリット
収入合算(連帯保証)の大きなメリットは、夫婦それぞれの収入を合算することで住宅ローンの借入額を増やせることです。
例えば、下記のような年収の夫婦の場合を考えてみましょう。
- 夫(年収500万円)
- 妻(年収300万円)
夫の年収だけで借入できる金額は限られますが、妻の収入を合算することで、借入額を増やせます。
契約が1本に絞られるため、住宅ローン契約にかかる諸経費を抑えられるメリットもあります。
また、団体信用生命保険に加入している債権者の方が亡くなった場合、保険金から残りのローン全額が支払われ、完済扱いとなります。
そのため、残された遺族の方に返済の負担を気にすることなく住み続けることができます。
収入合算(連帯保証)のデメリット
収入合算(連帯保証)には、以下のようなデメリットがあります。
- 返済能力が低い方の収入によって、借入可能額が制限される
- 片方が収入を失えば、片方が全額返済する義務がある
収入合算(連帯保証)の場合、債務者が返済できなくなると、連帯保証人に大きな負担がかかってしまいます。
そのため、夫婦間で十分に話し合い、リスクを理解した上で選択する必要があります。
3.収入合算(連帯債務)
収入合算(連帯債務)とは、夫婦の双方が借り手として住宅ローンを組む方法です。夫婦それぞれの年収を合算して総返済能力を判断し、双方が連帯して債務を負う形になります。
収入合算(連帯債務)のメリット
収入合算(連帯債務)のメリットは、下記の通りです。
- 夫婦の年収を合算できるため、より高額の住宅ローンが組める
- 2人とも住宅ローン控除を受けることができる
夫婦それぞれの収入を合算できるため、住宅価格が高い場合でも住宅ローンを組むことができます。
また、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるため、節税効果が高まります。
収入合算(連帯債務)のデメリット
収入合算(連帯債務)の場合、夫婦双方がローン全額に対して返済責任を負うため、以下のようなデメリットがあります。
- 一方が返済できなくなると、もう一方が全額返済する義務がある
- 夫婦連生団信にどちらかしか加入できない
- どちらかが亡くなっても、片方のローンは継続して払う義務がある
連帯債務の場合、夫婦双方が借入に対して債務を負うため、もし一方が返済できなくなったとしたら、残りの配偶者に全額を返済する義務が発生します。
また、収入合算(連帯債務)の場合、夫婦が一つの債務者とみなされるため、原則、夫婦連生団信(団体信用生命保険)には、どちらか一方しか加入できません。
そのため、加入していない方になにかあった場合は、保障が受けられないというデメリットがあります。
収入合算(連帯債務)は、夫婦双方が借り手として債務を負う形となります。そのため、収入合算(連帯保証)と違い、どちらかが亡くなっても、片方のローンは継続して払っていく義務があります。
夫婦で住宅ローンを組む上での注意点
ここからは、夫婦で住宅ローンを組む上での注意点についてご紹介します。
夫婦で住宅ローンを組む上での注意点は、下記の通りです。
- 所有権割合と返済負担割合の違いを理解する
- 離婚時の対応を決める
- 相手への思いやりと協力体制を構築する
- 死亡時など万が一の事態を想定する
所有権割合と返済負担割合の違いを理解する
夫婦で住宅ローンを組む場合、住宅の所有権割合と返済負担割合の違いを理解しておく必要があります。
所有権割合とは、住宅の持分の割合を指します。基本的には、それぞれが負担した金額の割合によって決まることが一般的です。
例えば、夫が70%、妻が30%の金額を負担した場合、所有権割合は夫70%、妻30%となります。
一方、返済負担割合とは、住宅ローンの返済額をどのように分担するかを決める割合です。返済負担割合は、夫婦で任意に設定できます。
所有権割合と返済負担割合に差異があると、多く負担した方から少ない方へ贈与が行われたとみなされ、贈与税の対象となる可能性があります。
例えば、所有権は半分ずつであっても、返済は夫が70%、妻が30%を負担する場合、夫から妻へ贈与があったと判断されてしまうかもしれません。
そのため、夫婦で住宅ローンを組む際は、所有権割合と返済負担割合の違いを理解し、できるだけ差異を生じさせない設定が重要です。
離婚時の対応を決める
夫婦で住宅ローンを組む際は、万が一離婚することになった場合の対応を事前に決めておくことでトラブルを避けられます。
具体的には、下記のような点を事前に決めておくと安心です。
- 住宅ローンの返済方法
- 住宅の所有権
離婚後、誰が住宅ローンの返済を続けるのか、折半して返済するのかなどを決めておきます。 また、返済が滞った場合の対応も決めておくと良いでしょう。
また、住宅の所有権を誰が引き継ぐのか、あるいは売却して代金を分けるのかなどを話し合っておきます。
夫婦で住宅ローンを組む際は、幸せな家庭を築くことを前提としていますが、離婚のリスクも無視できません。
事前に離婚時の対応を決めておくことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな手続きが可能となります。
相手への思いやりと協力体制を構築する
住宅ローンは、長期にわたる債務のため、相手への思いやりと協力体制を構築し、返済していく強い覚悟が必要です。
結婚当初は経済的に余裕があっても、育児や転職、病気などのライフイベントで収入が減少する可能性は常にあります。
将来的な収入変動を想定し、万が一の場合でも返済が続けられるよう、お互いに返済プランを共有し、お互いを思いやり、補い合える関係を日頃から築いておくことが大切です。
死亡時など万が一の事態を想定する
夫婦で住宅ローンを組む際、万が一の事態を想定しておくことも大切です。例えば、夫婦の一方が死亡した場合、残された方が返済を全て引き継がなければなりません。
このような事態に備え、団体信用生命保険(夫婦連生団信)に加入しておくことがおすすめです。
団体信用生命保険(夫婦連生団信)に加入しておけば、保険金で亡くなった方の住宅ローン残債を完済でき、経済的な負担を軽減できます。
夫婦で住宅ローンを組む際には、万が一の事態を想定して団体信用生命保険(夫婦連生団信)の加入を検討しましょう。
団体信用生命保険に加入できる?
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が万が一死亡したり、高度な障害状態になった場合に、残りの住宅ローン残高の支払いを保険金で肩代わりしてくれるものです。
残りの住宅ローン残高を保険金から支払うことができるため、残された家族に経済的な負担をかけずに済みます。
団体信用生命保険は、一般的に住宅ローンを組む際にのみ契約可能なものがほとんどです。
夫婦連生団信とは
夫婦連生団信は、夫婦が共同で加入できる団体信用生命保険のことです。
夫婦のどちらかが死亡または高度障害状態になった場合に、住宅ローン残高の全額が補償されます。
夫婦連生団信のメリット
夫婦連生団信には、大きく2つのメリットがあります。
- 夫婦どちらかに万一のことがあった場合、残りの住宅ローンが全額補償される
- 住宅ローンの連帯債務者あるいは連帯保証人である夫婦双方が加入できる
夫婦のどちらかが亡くなった場合、住宅ローン残高が保険金で全額補填されます。
住宅の持分割合や返済負担割合に関わらず、ご家族に住宅ローンの返済負担がかかることはありません。
また、連帯責任を負う夫婦が共に加入することで、万が一の事態に備えられます。
夫婦で住宅ローンを組む際は、夫婦連生団信に加入することで経済的リスクを軽減し、安心して新生活を始められます。
加入条件と加入時期
夫婦連生団信の加入条件は、加入する保険会社によって異なります。
一例として住宅金融支援機構では、加入条件・加入時期は下記のようになっています。
加入条件 | 内容 |
加入時期 | 住宅ローン申し込み時 |
申込可能年齢 | ご夫婦2名ともに満15歳以上70歳未満 |
補償期間 | 満80歳の担当者の属する末日まで |
保険金が支払われるタイミング | 加入者の一方が 死亡されたとき、または障害の等級が1級または2級に該当し身体障害者手帳の交付を受けたとき |
参考:【フラット35】をご夫婦で借りるなら - 2名分の保障が付いた - ペア連生団信をご検討ください!
詳しくは、加入予定の夫婦連生団信をチェックしてみましょう。
夫婦で受けられる住宅ローン控除はある?
住宅ローン控除とは、年末調整や確定申告の際に受けられる住宅の取得に伴う控除制度です。
夫婦で住宅ローンを組む場合でも、一定の条件を満たせば、控除を受けられます。
ペアローンで控除を受ける上での注意点
ペアローンで住宅ローン控除を受ける際の注意点は、下記の通りです。
項目 | 内容 |
住宅ローン控除の要件 | 年間所得が2,000万円以下 取得住宅の床面積が規定を満たす ローン返済期間が10年以上 |
借入限度額 | 新築住宅: 5,000万円 省エネ住宅: 4,500万円または4,000万円 その他: 3,000万円 |
頭金と名義持分比率の関係 | 頭金の拠出額と住宅の名義持分比率を合わせる必要がある 頭金を夫婦で半々出資した場合、名義持分も半々となる |
ローン負担と持分比率の違い | ローン返済負担割合と名義持分比率が異なる場合、贈与税が発生する可能性がある 差額を頭金として現金で拠出し、両者を同じにする必要がある |
土地と建物の所有者が異なる場合 | 戸建て住宅で土地と建物の所有者が異なる場合、建物の所有者のみが住宅ローン控除を受けられる |
配偶者の出産休業時 | 配偶者が出産休業で無収入になった期間は、住宅ローン控除を受けられない |
以上が、ペアローンで住宅ローン控除を受ける上での主な注意点となります。頭金と持分比率の調整、所得要件、休業時の影響など、様々な要素に気を付ける必要があります。
控除の流れと計算方法
控除の流れとしては、まず所得税から控除対象額が差し引かれます。残った控除対象額があれば、次に住民税から差し引かれる仕組みです。
住宅ローンの残高を1,000万円とした場合の計算方法は、下記の通りです。
- 年末の住宅ローン残高の0.7%が控除対象額になります。
- 控除対象額には上限があり、所得税で35万円、住民税で13万6,500円が上限です。
- ペアローンの場合は、夫婦それぞれに上記の控除が適用されます。
つまり、所得税で最大70万円(35万円×2人)、住民税で最大27万3,000円(13万6,500円×2人)が控除額の上限です。
具体的な計算例を挙げると、年末の住宅ローン残高が1,000万円の場合、控除対象額は700,000円(1,000万円×0.7%)となります。
この700,000円が所得税から優先的に控除され、所得税の控除額が35万円を超えた場合、超過分が住民税から控除されます。
このように、夫婦でペアローンを組むと、最大で所得税70万円、住民税27万3,000円の控除を受けられるため、大きな節税効果が期待できます。
まとめ
本記事では、夫婦で住宅ローンを組む方法、メリット・デメリット、注意点についてご紹介しました。
夫婦で住宅ローンを組む方法としては、ペアローン、収入合算(連帯保証)・(連帯債務)の3つがあります。
夫婦の年収や資産状況、将来的な収入の見通しなど総合的に考えて判断する必要があります。
また、長期間の返済になるため、万が一のことに備えて離婚や死亡時の対応なども話し合うことが大切です。
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