離婚した場合の持ち家はどうする?3つの選択肢とポイントを徹底解説
カテゴリ:マンション売却
投稿日:2024.05.27
離婚する際に持ち家がある場合、大きな問題となります。離婚後も名義人が住み続けるのか、売却するのか、残ったローンはどうするのかなど、状況によって対応が異なります。
持ち家と住宅ローンの名義人を明確にし、夫婦にとって最適な選択をすることが重要です。
本記事では、離婚後の持ち家の扱いについて3つのケースと注意点を紹介します。
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- 持ち家がある状態で離婚をする際は、まず名義人と不動産価格を確認
- 状況に応じて、名義人が住み続けたり名義人を変更して住み続けるといった選択をする
- 条件が合えば、売却して財産分与をすることも可能
- 公正証書を作成する、養育費との兼ね合いを考えるといったポイントを押さえてリスク回避
目次
離婚するときに持ち家がある場合のチェックポイント
離婚するときに持ち家がある場合、下記の2点をチェックする必要があります。
- 持ち家と住宅ローンの名義人は誰か?
- 持ち家の不動産価格はいくらか?
持ち家と住宅ローンの名義人は誰か?
離婚するときには、持ち家と住宅ローンの名義人の確認が重要です。
名義人によって離婚後の持ち家の扱いが大きく変わってきます。具体的には、下記のようなパターンが考えられます。
持ち家の名義 | 夫の単独名義夫婦の共有名義 |
住宅ローンの名義 | 夫の単独名義夫婦の共有名義親などが連帯保証人 |
離婚の際には、持ち家と住宅ローンの名義関係を必ず把握しておく必要があります。
誰が持ち家に住み続けるのか、名義変更や売却、ローンの借り換えなど、様々な選択肢を検討する上で欠かせない重要な情報です。
持ち家の不動産価格はいくらか?
離婚するときには、持ち家の不動産価格を正しく把握しておきましょう。
持ち家の正確な不動産価格を確認するためには、不動産業者に査定を依頼します。
不動産業者は、市場動向を踏まえた適正価格を算出してくれます。
不動産価格が住宅ローンの残債より高い場合はアンダーローンと呼ばれ、売却すれば住宅ローンを一括返済でき、売却益は資産となります。
一方、不動産価格より住宅ローン残債のほうが高い場合は、オーバーローンと呼ばれます。オーバーローンの場合、住宅ローンを完済しなければ売却できません。
持ち家の不動産価値によって、その後の対応も変わってくるため必ず確認しましょう。
【離婚後の持ち家】誰かが住み続けるケース
ここからは、離婚後の持ち家に誰かが住み続けるケースについてご紹介します。
離婚後の持ち家に誰かが住み続けるケースとしては、下記の3ケースが考えられます。
- 名義人の夫が住み続ける場合
- 名義変更をして妻が住み続ける場合
- 名義人以外が住み続ける場合
それぞれの注意点も合わせてご紹介します。
名義人の夫が住み続ける場合
持ち家と住宅ローンの名義人である夫が住み続ける場合、特別な手続きは必要ありません。夫が今までどおり住宅ローンの返済を続けながら住み続けることになります。
妻は持ち家から離れることになりますが、特別な手続きは必要ありません。
注意点
名義人の夫が住み続ける場合、万が一住宅ローンの返済を怠ってしまうと、連帯保証人が返済責任を負うことになるという注意点があります。
そのため、夫が単独で住宅ローンの返済を継続していけるかどうかが重要なポイントです。離婚後の夫の収入や支出をよく見極め、返済能力の確認が必要です。
離婚後の連帯保証人の変更は、一般的には認められません。夫の収入や返済能力に不安がある場合は、妻が名義人になるか、売却を検討するなど他の選択肢を検討しましょう。
名義変更をして妻が住み続ける場合
住宅ローンを完済していれば、離婚の財産分与や慰謝料の一環として、持ち家の名義を夫から妻に変更できます。
この場合、妻が単独で持ち家の名義人となり、そのまま住み続けられます。
注意点
住宅ローンに残債がある場合は、注意が必要です。
金融機関は、借主の収入や資産状況などから返済能力を判断しているため、無断で名義変更を行うと残債の一括返済を求められてしまう可能性があります。
そのため、住宅ローンに残債がある場合は、以下の手順が必要となります。
- 妻単独で住宅ローンの借り換えや完済を行う
- 借り換え後や完済後に、持ち家の名義を夫から妻に変更する
妻に名義変更する場合は、住宅ローンの残債を必ず確認し、借り換えや一括返済による残債の清算を行いましょう。
名義人以外が住み続ける場合
離婚後、名義人ではない人が住み続けるケースも考えられます。
離婚による財産分与、慰謝料、養育費の支払いの代わりとして、名義人である夫が妻に居住権を譲渡し、夫が引き続き住宅ローンの返済を続けるというケースです。
注意点
夫が住宅ローンの返済を怠ってしまう、あるいは離職などで収入が減少し返済不能に陥った場合、連帯保証人が返済責任を負わなければなりません。
返済ができなければ、持ち家は競売にかけられ、退去を強いられてしまう可能性があります。退去を避けるためには、妻名義で家を買い取る必要があります。
【離婚後の持ち家】単独名義で購入したケース
ここからは、離婚後の持ち家を単独名義で購入したケースについてご紹介します。
単独名義で購入したケースの場合は、アンダーローンなのかオーバーローンなのかによって変わってきます。
それぞれのケースを理解し、最適な選択をしましょう。
アンダーローンの場合
アンダーローンの場合は、持ち家を売却し残金を夫婦で分配します。
アンダーローンとは、持ち家を売却した際の売却価格が住宅ローン残高を上回る状況です。
アンダーローンの場合、以下のようなメリットがあります。
- 住宅ローンを完済できるため、返済の心配がなくなる
- 売却にかかった経費を差し引いた利益を夫婦で分配できる
利益の分配は夫婦間で十分に話し合い、公正な分配ルールを決める必要があります。例えば、持ち家購入時の出資割合に応じて利益を按分するなどが考えられます。
オーバーローンの場合
オーバーローンの場合、持ち家を売却しても住宅ローンを完済できません。
そのため、預貯金などの自己資金や別の金融機関からの融資、親族による援助などで不足分を補填する必要があります。
オーバーローン時の売却は慎重に
オーバーローンの場合、残債の支払いによって夫婦の資産が減少してしまいます。そのため、売却に踏み切るべきかどうかを慎重に協議しなければなりません。
また、売却後には引っ越し費用などの資金も必要なため、離婚に伴う財産分与や将来の生活設計など、総合的に判断する必要があるでしょう。
住宅ローンが完済している場合
住宅ローンが完済している場合は、持ち家の処分に関して比較的自由度が高くなります。
具体的には、下記の2つの選択肢があります。
- 持ち家の評価額を決め、一方が買い取る
- 売却代金を離婚時の財産分与にする
離婚時の財産分与は、夫婦で話し合いながら、公正で互いに納得できる解決策を見出すことが重要です。
【離婚後の持ち家】共同名義で購入したケース
ここからは、共同名義で持ち家を購入したケースについてご紹介します。
持ち家を共同名義で購入した場合では、離婚後の対応として下記の3パターンが考えられます。
- 双方の同意のもと売却する
- 新しく連帯保証人・連帯債務者を立てる
- 単独の名義で住宅ローンを借り換える
双方の同意のもと売却する
持ち家を売却し、売却代金を夫婦で分ければ財産分与できます。
ただし、売却の際には夫婦双方の同意が必要であり、共同で進めていく必要があります。
お互いに面会したくない場合は、委任状を作成して代理人を立てて進めることも可能です。代理人に売買契約の手続きを委任すれば、夫婦が直接対面する必要はありません。
問題なのは、持ち家の売却価格で住宅ローンを完済できない場合です。
住宅ローンを完済できなければ、借りている銀行から抵当権を解除してもらえないため売却できません。
そのため、夫婦で協議しローンを払い続けるのか、工面して一括返済するのか協議する必要があります。
新しく連帯保証人・連帯債務者を立てる
共同名義で住宅ローンを組んでいた場合、新たに連帯保証人や連帯債務者を立てることができます。
例えば、妻が持ち家を引き継ぐ場合、妻の両親などに新たな連帯保証人または連帯債務者となってもらうことで、夫の債務負担を外せます。
連帯保証人と連帯債務者は、それぞれ以下のように役割が異なります。
名称 | 役割 |
連帯保証人 | 債務者と連帯して債務の全額について責任を負う人 |
連帯債務者 | 複数の人が共同で債務を負う場合に、それぞれが債務の全額について責任を負う立場の人 |
連帯保証人や連帯債務者を新たに立てることで、円満に持ち家を処理することができます。ただし、新たに連帯保証人や連帯債務者を立てるには、金融機関の承認が必要です。
単独の名義で住宅ローンを借り換える
持ち家の住宅ローンを単独名義で借り換えることも、選択肢の1つです。
この場合、住み続ける側が金融機関に単独で住宅ローン審査を受ける必要があります。
住宅ローンの借り換えには、下記のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | 住み続ける側が単独で名義を持てる出ていく側は連帯保証人・連帯債務者から外れることができる |
デメリット | 単独で金融機関の厳しい審査を受けなければならない収入などの審査条件を満たせない場合は借り換えができない |
単独名義で借り換えを行う場合、住み続ける側の収入や資産状況などが重要になります。離婚前の共同名義時と比べ、審査が厳しくなる可能性があることを頭に入れておきましょう。
持ち家がある状態で離婚する際の注意点
ここからは、持ち家がある状態で離婚する際の注意点についてご紹介します。
持ち家がある状態で離婚する際の注意点は、下記の2つです。
- 公正証書を作成する
- 養育費がある場合はローンの負担額を考慮する
公正証書を作成する
離婚後の持ち家の取り扱いは、口頭での約束では法的な拘束力がありません。
将来的なトラブルを防ぐために、離婚協議書を作成し、公正証書化しておくことが賢明です。
公正証書とは、法務局の公証人が作成する公文書のことです。公正証書に記載された内容に違反した場合、強制執行(財産の差し押さえなど)が可能になるため、法的な拘束力が生じます。
離婚時の持ち家の取り扱いについて、夫婦間で合意した内容(持ち家の処分方法、住宅ローンの負担割合など)を公正証書に記載しておけば、後々トラブルになるリスクを大幅に減らせます。
養育費がある場合はローンの負担額を考慮する
子供の親権を持つ側は、もう一方の親に対して養育費の支払いを請求する権利があります。その場合、養育費と住宅ローンの両方を負担しなければなりません。
養育費と住宅ローンの合計額が高額になりすぎると、ローン返済が滞り、不払いなどのリスクが高まってしまいます。
そのため、離婚後に家のローン負担を求める場合は、養育費などの金額も考慮し、お互いが納得できる範囲で話し合うことが重要です。
例えば、養育費が高額な場合は、住宅ローンの負担額を抑えるなど、総支払い額が過大にならないよう調整しましょう。
お互いの事情を理解し合い、子供の利益を第一に考えながら、冷静に協議を重ねることが肝心です。
まとめ
本記事では、離婚後の持ち家の扱いについて3つのケースと注意点を紹介しました。
離婚の際に持ち家がある場合、 名義人が住み続ける、売却するなどの選択肢があります。
また、共同名義の場合は、売却か借り換えかを選択しなければいけません。
いずれの場合も、住宅ローン残債の取り扱い、名義変更や連帯保証人設定の手続きなど、慎重に検討する必要があります。
トラブルを避けるためには、公正証書を作成し、養育費の有無も考慮して、双方が納得できる形で決めることが重要です。
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