孤独死マンション売却は事故物件にならない?告知義務と資産価値への影響
カテゴリ:マンション売却
投稿日:2025.08.07

予期せぬ孤独死に直面すると、売却や近隣への配慮まで一人で抱えきれないものです。ただ、適切な判断基準が分かれば、売却は必ず前に進みます。
ポイントは2つ:①死因 ②発見までの日数と汚損の有無
本記事はこの2つポイントを押さえたうえで、孤独死は事故物件か否か、告知義務の必要性の判断基準を解説します。さらに、事件性のある場合とない場合で資産価値への影響や、あなたのご状況に合わせた最適な売却方法まで具体例で解説します。
- 孤独死マンションは適正価格なら必ず売却できる
- 孤独死の価格は死因と発見日数が重要
- 事故物件になるかは、告知の有無で決まる
- 孤独死は事件性が無いなら0~10%の下落
- 自殺などの事件性がある場合は30~40%の下落
目次
孤独死マンションとは?
定義:マンション内で看取る人がいないまま亡くなった事例がある物件。
結論:買主への告知義務が生じる場合のみ「事故物件」。生じなければ事故物件ではありません。
判断軸:死因(事件性の有無)× 発見までの日数 → 建物への影響度合い(汚損/特殊清掃の要否)。
- 自殺・他殺:発見の速さに関係なく告知義務あり=事故物件。
- 発見が遅れ汚損・特殊清掃が必要:告知義務あり=事故物件。
- 自然死/不慮の事故で早期発見かつ汚損なし:原則告知不要(事故物件ではない)。
孤独死マンションの「よくある誤解」
HPの記事やAIによる概要では『孤独死=告知義務あり』と断定されたり、告知義務の説明で孤独死=事故物件と説明していますが、実際は死因(事件性の有無)と 発見までの日数次第です。ここでは誤解が生まれる理由と境界線を実例で説明します。

誤解①:孤独死なら必ず事故物件
なぜ誤解? ─ ニュースやポータルの要約が“孤独死=心理的瑕疵”と短絡するため。
線引き実例 ─ 72歳の自然死、当日発見、汚損なし → 原則告知不要(契約書の付記も不要)。
誤解②:発見が早ければ全部セーフ
なぜ誤解? ─ 「発見日数が重要」という説明だけが切り取られがち。
線引き実例 ─ 自殺で当日発見 → 告知義務あり(発見の速さだけではなく死因も重要)。
誤解③:特殊清掃すれば告知不要
なぜ誤解? ─ “現状回復した=瑕疵解消”と捉えがち。
線引き実例 ─ 体液汚染でオゾン脱臭・床材交換を実施 → 清掃実施の事実自体が告知対象。
告知文言例 ─ 「室内で自然死があり、特殊清掃・床材交換を実施しました。」
孤独死が事故物件になるか(告知義務の有無)は、死因(事件性の有無)× 発見までの日数です。次の章では、死因について解説していきます。
孤独死と死因
売却に大きな影響を与える孤独死の死因には、具体的には以下のような状況が考えられます:
- 病死や老衰による自然死
- 入浴中の溺死や階段からの転落などの不慮の事故死
- 食事中の誤嚥による窒息死
- 自殺や他殺などの事件性のある死
なお、実際の孤独死の死因の多くは、下記の日本少額短期保険協会の「第9回 孤独死現状レポート」の通り、病死または不明のケースになります。

孤独死の発見日数は何日が平均?
発見日数も売却価格に大きな影響を与えます。
発見が遅くなると、体液汚損による特殊清掃が必要になり、心理的瑕疵も大きくなるためです。では、孤独死はどれくらいの期間で発見されるのでしょうか。日本少額短期保険協会のレポートには、衝撃的なデータが示されています。
- 孤独死発見までの平均日数:全体で18日(男性18日、女性17日)
- 発見の遅れの男女差: 3日以内に発見される割合は女性が43.5%であるのに対し、男性は 36.6%。逆に、発見まで15日以上かかる割合は男性の方が高い。
このレポートによると女性より男性の孤独死の方が発見が遅れるケースが多く、発見までの日数は平均で18日ということが分かります。身内に男性の一人住まいがいらっしゃる場合は特に気を付ける必要があるかもしれません。
まとめ
孤独死が発生したマンションは、『事故物件になるケース』と『ならないケース』の2種類があり、事故物件の判断基準である告知義務の有無は、「死因」と「発見までの日数」が大きな影響を与えます。
孤独死は病気や原因不明で亡くなることが多く、発見までに平均18日かかります。このような孤独死が発生したマンションは事故物件か否かが気になると思いますので次の章で解説していきます。
事故物件にならないかは告知義務で判断
事故物件と告知義務基準について説明し、孤独死でも事故物件になるケースとならないケースについて解説していきます。
事故物件
事故物件とは、過去に人の死亡事故や事件が発生し、買主・借主に心理的な抵抗感を与える可能性がある不動産のことを指します。
正式には「心理的瑕疵物件」と呼ばれ、売買・賃貸時に「告知義務」が発生する物件が、一般的に「事故物件」と呼ばれています。
事故物件の特徴
事故物件の特徴としては大きく3つの特徴があります。
- 物理的な問題はないが、心理的な影響がある
- 売買・賃貸時に「告知義務」が発生する
- 一般的な市場価格より安くなる傾向
告知義務
告知義務とは、買主の判断に重要な影響を与える事実を伝える法的義務のことで、国土交通省が2021年に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」で詳細な基準が定められています。
孤独死で事故物件になるケース(告知義務が必要)
ガイドライン原則と実態を踏まえると、告知義務が必要になる、つまり事実上「事故物件」として扱われるのは、主に以下のケースです。
1. 発見が遅れて特殊清掃が必要な場合
- 遺体の発見が遅れ、体液や血液が床材・壁紙に染み込んだ
- 腐敗による臭いが建物に残っている
- 害虫が発生している
- 専門業者による特殊清掃や大規模なリフォームが必要
- →買主に心理的抵抗感を与える可能性が高い
2. 自殺・他殺などの事件性がある場合
- 死因に関わらず、事件性があれば告知義務が発生
- 発見の早さは関係なし
- →買主の判断に重要な影響を与える
孤独死で事故物件にならないケース(告知不要)
一方で、告知が不要となる可能性が高いのは、以下のケースです。
1. 発見が早く建物への影響がない場合
- 亡くなってから数日以内に発見された
- 室内に体液や血液の染み込みがない
- 異臭が発生していない
- 通常の清掃で対応可能
- →心理的抵抗感が軽微
2. 自然死で特殊清掃が不要な場合
- 病死や老衰による自然死
- 日常生活における不慮の事故死(階段からの転落、入浴中の溺死など)
- →ガイドラインで告知義務の対象外
事故物件か知ろう!告知義務判定チェックリスト
以下のチェックリストで、あなたの物件が事故物件か否かを確認してください:
ステップ1:死因の確認
□ 自殺・他殺などの事件性がある
→ 告知義務あり(事故物件)
□ 病死・老衰・事故死(事件性なし)
→ ステップ2へ
ステップ2:発見日数と建物への影響
□ 特殊清掃が必要だった
□ 体液や血液が床材・壁紙に染み込んだ
□ 腐敗臭が残った
□ 害虫が発生した
1つでも該当 → 告知義務あり(事故物件)
すべて該当しない → 告知義務なしの可能性
ステップ3:グレーゾーンの判断
以下に該当する場合は専門家への相談を推奨:
- 発見まで3日~1週間の微妙なライン
- 軽微な清掃は行ったが特殊清掃かどうか不明
- 臭いがあったが短期間で消えた
判断に迷った場合の鉄則
「告知あり」として扱うのが最も安全
隠してトラブルになるリスクの方が、告知するデメリットより大きいためです。
よくある勘違い
❌「発見が3日以内なら絶対に告知不要」
⭕ 発見が早くても状況次第で告知義務が発生
❌「清掃したから告知不要」
⭕ 特殊清掃が必要だった事実は告知対象
❌「病死だから告知不要」
⭕ 病死でも建物に影響があれば告知義務あり
孤独死マンションのその後。売却はできる?
「孤独死があったマンションなんて、売却できるの?誰が買うの?」これは、多くの方が抱く率直な疑問です。しかし、結論から申し上げると、孤独死マンションは確実に売却できます。
弊社の売却データで解説
弊社「東京テアトル」は、年間200件超の平均築年数30年超の区分所有マンションを取得して、リフォーム後に一般のエンドユーザーに販売をしています。
前述してきた自殺、孤独死などの事故物件も取得をして、フルリフォーム後に販売をしています。弊社は事故の痕跡をできる限り見えにくくするために、原則全ての内装、全ての設備(水回り等)をリフォームします。
自殺や孤独死があったことは告知をしますが、室内の見た目は全く事故物件とは分からない状態にして販売をします。
このような物件を実際にどのような方がどのようなニーズ、理由で購入しているか、弊社の事例をご紹介をします。
物件 | 事故 | 購入理由 | 居住 | 用途 | ニーズ |
藤沢 | 自殺 | 割安感 | 藤沢 | 賃貸 | 数年居住 |
板橋 | 自殺 | 割安感 | 埼玉 | 居住 | 買い替え |
横浜 | 自殺 | 割安感 | 横浜 | 居住 | 賃貸脱出 |
横浜 | 火災 | 割安感 | 横浜 | 居住 | 賃貸脱出 |
川口 | 孤独死 | 割安感 | 川口 | 居住 | 賃貸脱出 |
千葉 | 孤独死 | 割安感 | 千葉 | 居住 | 実家近い |
座間 | 孤独死 | 割安感 | 座間 | 居住 | 賃貸脱出 |
孤独死のマンションを買う人とは?
購入希望者 | 目的・用途 |
投資家 不動産業者 | ・利回りを重視 ・リノベーション後の再販を目的 ・相場より安く購入できるメリットを評価 |
価格重視の 実需購入者 | ・立地や設備を重視し、過去の出来事をそれほど気にしない ・予算に制約があり、価格メリットを優先 ・合理的思考で物件を判断 |
特定の用途目的 | ・セカンドハウスとしての利用 ・事業用途(事務所、店舗)としての利用 |
※価格重視の実需購入者の具体例としては、一般的に医師や看護師、葬儀関係者等が言われております。
売りやすくするための3つのコツ
実際に、孤独死マンションは売却できる事は分かりました。では、売却するための3つのコツについて解説します。
①適正価格の設定が最重要
上記の「弊社の孤独死・事故物件売却一覧」を見ていただくと分かりますが、購入理由は「割安感」です。「割安感」があれば孤独死マンションは事故物件でも事故物件じゃなくても売却可能です!
②物件の魅力を最大化する方法
売却の最低限の準備をすることで売却の結果は大きく変わります。
1. 徹底的な清掃とメンテナンス
- 専門業者による特殊清掃(必要な場合)
- 室内の完全消臭
- 必要に応じた修繕・リフォーム
2. 情報の透明性
- 事実を隠さず、正直に伝える
- 清掃やリフォームの実施状況を明示
- 購入者の疑問に誠実に回答
3. 付加価値の訴求
- 立地の良さ
- 設備の充実度
- 管理体制の良さ
- 価格メリットの明確化
③購入者の不安を和らげる情報提供
孤独死・事故物件と聞くと買主は身構えますので、しっかりした売主であることをアピールできるような下記の材料を事前に揃えておきます。
- 法的な告知義務を正しく果たしていることの説明
- 清掃・リフォームの詳細な実施内容
- 近隣の類似物件との価格比較
- 購入後のサポート体制
重要なのは、「売れない物件」ではなく「適切な価格設定と準備をすれば確実に売れる物件」であることを理解することです。
マンションの孤独死は資産価値を下落させる?
ズバリ、死因と発見日数がマンションの資産価値の下落に大きな影響を与えます。死因は心理的瑕疵に大きな影響を与えますし、発見日数も、遅くなると①特殊清掃の費用と②告知義務の必要性に影響を与えるため、資産価値への影響が大きいです。
この章では、死因(事件性の有無)と発見日数別に、資産価値の下落と特殊清掃費用がどれくらい必要になるかを解説します。
同じ孤独死でも事件性がある場合と無い場合で資産価値の下落率は大きく異なりますのでケース別に解説します。
事件性のないマンションの資産価値下落
発見までの日数 | 資産価値下落の目安 | 特殊清掃費用の目安 | 備考 |
1日~3日 | 0~5% | 5万円~20万円 | 体液の漏出が少なく、比較的軽微な清掃で済む場合が多い。 |
1週間程度 | 5%~10% | 20万円~50万円 | 腐敗が進行し、体液や臭いが 床材や壁紙に染み込んでいる可能性が高い。消臭・消毒作業が必須となる。 |
2週間~1ヶ月 | 10%前後 | 50万円~100万円以上 | 汚染が床下や壁の内部にまで及んでいるケース。解体やリフォームが必要になることも。 |
1ヶ月以上 | 10%~20% | 100万円以上 | 建物全体に臭いが染みつき、大規模なリフォームや解体が必要になることも。買取業者への売却が現実的な選択肢となる。 |
上記のとおり、発見が遅れるほど、経済的な負担は雪だるま式に増えていきます。この現実からも、初期対応の重要性が見て取れます。
また、遺体の腐敗進行は季節に大きく左右され、夏場は72時間程度、冬場は2週間程度で腐敗が始まると言われています。そのため、同じ発見日数でも季節により特殊清掃費用や告知義務の有無が変わってくるので注意が必要です。
事件性のあるマンションの資産価値下落
事件性のあるマンション(いわゆる事故物件)は、買主への心理的な影響が大きく、資産価値が大幅に下落する傾向にあります。下落率は事件の内容によって異なり、目安は以下の通りです。
1.事件内容別の資産価値下落率の目安
- 自殺の場合
- 下落率の目安:約30%
- 他殺の場合
- 下落率の目安:40%以上
2.他殺事件で特に価値下落が大きくなる要因
他殺事件の場合、単なる下落率以上に、以下の要素が買主の心理的負担を増大させ、さらなる価値下落に繋がることがあります。
- 事件の知名度: 全国ニュースで報道されるなど、社会的に広く知られた事件であるか。
- 犯人の状況: 犯人がまだ逮捕されていない、または事件が未解決であるか。
3. 影響範囲についての注意点
資産価値の下落は、事件が起きた部屋(当該住戸)だけに留まらない可能性があります。
- 具体例:
過去に他殺事件が起きた世田谷区のマンションでは、事件のあった部屋が売れ残っただけでなく、同じマンション内の他の部屋も、周辺相場より明らかに安い価格で販売されていたケースがあります。
このように、事件の内容とそれに伴う心理的瑕疵の大きさが、不動産の資産価値に直接的な影響を与えることを理解しておく必要があります。
告知義務ありで資産価値は本当に10%下落する?
孤独死があった物件の資産価値がどの程度下落するのか、明確な答えはありません。事件性の有無や物件の立地や需要によって左右されるからです。しかし、それでは判断基準がありません。そこで今回は、実際の取引事例をもとに、下落率がどの程度になるのかを具体的に検証してみます。
検証:マンション「エアーズシティ」の告知義務ありの売却事例
今回は、中央線「武蔵小金井」駅の人気マンション「エアーズシティ」で実際にあった告知義務ありの取引と、同時期の通常取引を比較します。
孤独死事例 | 事例1 | 事例2 | 事例3 | |
---|---|---|---|---|
売却価格 | 約5900万円 | 約5400万円 | 約6500万円 | 約9500万円 |
面積 | 約77㎡ | 約61㎡ | 約71㎡ | 約95㎡ |
坪単価 | 253万円/坪 | 292万円/坪 | 302万円/坪 | 330万円/坪 |
成約日 | 2025年3月 | 2025年3月 | 2025年2月 | 2024年12月 |
備考 | 低層階 | 中層階 | 中層階 | 高層階・角部屋 |
ステップ1:単純比較の問題点
一見すると、告知義務ありの事例(253万円/坪)は、通常事例①(292万円/坪)と比べて約13%も価格が低いように見えます。しかし、これは正しい比較ではありません。
なぜなら、告知義務ありの事例は「低層階」であり、通常事例①は「中層階」であるなど、そもそもの部屋の条件が異なるからです。
ステップ2:「条件補正」
そこで、公平に比較するために、まず通常事例の価格を「もし低層階だったら」という条件に補正します。一般的に、階数や部屋の位置によって、以下のような価格差が生まれます。
- 階数による価格差: 低層階は中層階より約5%安い。高層階より約10%安い。
- 角部屋の優位性: 角部屋は中部屋より約5%高い。
この補正率を使って、通常事例①(中層階)の価格を「低層階」の価値に換算してみましょう。
- 通常事例①の補正計算:
292万円/坪 × (1 - 0.05) = 277.4万円/坪(←これが通常事例①の低層階相当の価値)
ステップ3:補正後の価格で下落率を算出
これでようやく、同じ「低層階」という土俵で、告知あり物件と通常物件の価格を比較できます。
- 告知ありによる下落率の計算:
1 - (告知あり事例 253万円 ÷ 補正後の通常事例 277.4万円) ≒ 0.088
つまり、告知ありによる資産価値の下落率は約8.8%であったと検証できました。
同様に、他の事例とも比較すると下落率は8.8%~11.8%が、実際の取引事例からも裏付けられました。
【検証の結論】
孤独死(告知あり)による資産価値の下落は避けられませんが、その下落率は物件の持つ本来の価値(階数、日当たり、部屋の形など)によって大きく変動します。ご自身のマンションを売却する際は、これらの強みと弱みを正確に把握し、信頼できる不動産業者と相談しながら、売却価格を慎重に決定することが重要です。
孤独死物件の売却価格と買取価格をシミュレーション
最後に、孤独死物件の売却価格と買取価格をどのように算定すれば良いのか具体的に解説して、この章のまとめとしたいと思います。
①特殊事情のないマンション価格の査定
まず、suumoや不動産会社のヒアリングから対象マンションの特殊事情のないマンション価格を算出します。ここでは、特殊事象がないマンションの売却価格が3,000万円とします。
②心理的瑕疵による減価率の査定
今回は、発見3週間の孤独死が発生した場合とします。
この場合は、事件性のないマンションの資産価値下落より下落率10%とします。
③孤独死マンションの市場価格の査定
孤独死マンションの売却価格(市場価格)は
3,000万円×(1-10%)=2,700万円 となります。
④孤独死マンションの買取価格の査定
当該孤独死マンションの買取価格は、
2,700万円×(1-20%)≒2,200万円となります。
このように、孤独死の発生したマンションの市場価格と買取価格の目安は自分で算出することが可能なので是非試してみてください。
※買取による下落率が20%については、マンション買取相場をプロが解説!買取価格はマンション売却相場の何割か?を参照ください。
孤独死マンションの売却方法|買取と仲介どっち?
価格の目安が分かったところで、次は「どうやって売るか」です。孤独死マンションの売却には、「仲介」と「買取」という2つの選択肢があり、あなたの状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
比較項目 | 買取 | 仲介 |
---|---|---|
売却価格 | 安い傾向(市場価格の7〜8割) | 高い傾向 |
売却期間 | 最短数日〜1週間 | 長期(3ヶ月〜1年以上) |
手間・精神的負担 | 一切不要 | 内覧対応、告知など負担が大きい |
契約不適合責任 | 免責される | 負う必要がある |
向いている人 | 早く、楽に、確実に売りたい人 | 時間をかけてでも高く売りたい人 |
買取は業者が買主のマンション売却方法
マンション買取は、下記の通り不動産会社(不動産買取業者)が買主となります。
プロである不動産会社にマンションを売却するマンション買取は、一般的な仲介と比べ短期間で現金化可能、契約不適合責任免責など多くのメリットがあります。
■買主は不動産会社(不動産買取業者)
仲介は主に個人が買主のマンション売却方法
仲介とは、マンション取引において、売主様と買主様の間に仲介業者に入り契約を成立させることです。
一般的な仲介は、下記の通り主にエンドユーザー・個人が買主となります。
仲介業者は、買主を探すため広告や販売活動を行い、契約まで一定の時間がかかります。
仲介業者は、契約が成立すると報酬として仲介手数料を受領します。
■買主様はエンドユーザー(個人)
マンション買取のメリット
マンション買取には、仲介と比べて主に下記の7つのメリットがあります。
- 仲介で売り難い物件でも早期に売却が確定
- 希望に沿った契約日や短期間で現金化が可能
- お部屋はそのまま、家具や荷物の処分も不要
- 故障・不具合があってもリフォームは不要
- 部屋の内覧立ち会いなどの売却活動が不要
- 広告が不要なため周囲に知られず売却が可能
- 売却後のクレーム・トラブルの心配無用
マンション買取のデメリット
一方マンション買取のデメリットは、下記の1点です。
- 仲介に比べて売却価格が安くなることがある
マンション買取と仲介の売却価格差
弊社が導き出したマンション買取は、仲介で個人に売るマンション売却相場の概ね80%(弊社理論値)です。
現状のような価格上昇マーケットの場合、人気エリアのマンションなら買取価格は90%を超えることも。一方アスベストが使われている、浴室が在来など解体やリフォーム費用がかさむ物件は80%を大きく下回ることもあります。
孤独死物件の売却は買取と仲介どっち?
- 時間に余裕があり、少しでも高く売りたい場合 → 仲介
- すぐに現金化したい、精神的な負担を避けたい、リスクをなくしたい場合 → 買取
特に、発見が遅れてしまった物件や、相続人が遠方に住んでいるケースなどでは、買取業者への相談が、最も現実的で有効な選択肢と言えるでしょう。
孤独死・事故物件における買取業者の選び方
ここでは、孤独死・事故物件の買い取り先として買取業者に決めた場合の選び方や注意点について解説します。
失敗しないマンション買取業者の選び方5つのポイント
①宅地建物取引業の免許番号と行政処分歴を確認する
これは最も基本的かつ重要なチェックです。プロの不動産業者であれば当然ですが、悪質な業者はこれを偽ったり隠したりします。
確認すること:
1. 免許番号の記載: 公式サイトの会社概要に「宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第〇〇〇〇号」のような表記が必ずあります。
2. ( )内の数字 この数字は免許の更新回数を示します。数字が大きいほど、業歴が長い証拠です。(1)は新規、(2)なら5年以上、(3)なら10年以上営業していることになり、信頼性の一つの目安になります。
3. 行政処分歴の検索: 国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で、業者名や免許番号を入力すれば、過去に行政処分を受けていないかを確認できます。
読者へのメッセージ: 「査定額が高い」という理由だけで飛びつくのは危険です。まず、その業者が国から正式な許可を得て、クリーンな営業を続けているかを必ず確認しましょう。
②事故物件の「買取実績」が具体的に公開されているか?
孤独死物件の買取は、通常の不動産売買とは全く異なる特殊なノウハウが必要です。その実績があるかどうかは、査定額や手続きのスムーズさに直結します。
確認すること:
公式サイトに「買取事例」として、どんな物件を(例:〇〇区、築〇年、発見まで〇週間)、いくらで買い取ったかが具体的に掲載されているか。
事例が豊富で、写真付きなどリアルな情報が多ければ多いほど、その業者の経験値と透明性が高いと言えます。
読者へのメッセージ :「どんな物件でも買い取ります!」という言葉だけでなく、「実際に、どんなに大変な状況の物件でも解決してきたか」という具体的な証拠(実績)を示している業者を選びましょう。
③査定額の「根拠」を明確に説明してくれるか?
「なぜ、この金額になったのか?」という問いに、素人でも納得できるように説明してくれる業者は信頼できます。
確認すること:
良い点だけでなく、マイナス査定の理由(例:「臭いが柱にまで達しているため、解体費用〇〇円を差し引いています」「近隣の類似物件の売却価格が〇〇円なので…」など)を明確に示してくれるか。
複数の業者に査定を依頼した際、ただ「他社より高くします」と言うだけでなく、自社の査定額のロジックをきちんと説明してくれるか。
読者へのメッセージ:高い査定額には必ず理由がありますし、低い査定額にも理由があります。その「理由」を丁寧に説明し、あなたの疑問に誠実に答えてくれる担当者がいる会社こそ、信頼に値します。
④「契約不適合責任の免責」が契約書に明記されるか?
買取の最大のメリットの一つが、売却後に物件の欠陥が見つかっても責任を問われない「契約不適合責任の免責」です。これが保証されているかは絶対に確認すべきです。
確認すること:
最初の相談段階で「契約不適合責任は免責になりますか?」と質問し、「はい、契約書にその旨を明記します」と明確に回答してくれるか。
口約束で済ませようとせず、必ず売買契約書の条文に「契約不適合責任を負わない」という一文が入っていることを確認する。
読者へのメッセージ: 「売った後に何が起きるか分からない」という不安を完全に解消するために、この「責任免除」の約束が、法的な効力を持つ契約書にしっかりと記載されるかを確認してください。これが、買取を選ぶ最大の安心材料です。
⑤司法書士や弁護士など、専門家との連携体制があるか?
孤独死の案件は、相続や税金など、不動産以外の法律問題が複雑に絡み合うことが多々あります。不動産のプロであると同時に、他の専門家とのネットワークを持っているかが、ワンストップで問題を解決できるかの分かれ目になります。
確認すること:
・「相続放棄も考えているのですが…」「税金の相談もできますか?」といった質問に対して、「提携している司法書士(弁護士)をご紹介できます」とスムーズに答えてくれるか。
・自社の利益だけでなく、あなたの状況全体を解決するための体制が整っているか。
読者へのメッセージ:孤独死の不動産売却は、単なる物件の売買ではありません。あなたの抱える問題をトータルでサポートしてくれる、法律の専門家との「連携力」も、業者選びの重要な判断基準に加えましょう。
孤独死・事故物件の取り扱いが可能な買取業者
事故物件は、取り扱わない不動産業者もいますので、参考までに、孤独死・事故物件の取り扱い実績のある買取業者2社を紹介いたします。
東京テアトル株式会社
社名 | 東京テアトル |
住所 | 東京都新宿区新宿1-1-8 |
資本金 | 45億5,264万円 |
設立 | 1946年6月28日 |
上場 | 東証スタンダード |
営業 | 10:00~18:00 |
定休日 | 水曜日 |
電話 | 0120-900-881(東京本社)0120-711-018(関西支社) |
東京テアトルの強み・特長
東京テアトルは、1946年に設立され1949年に東証上場、看板事業の映画興行・配給や焼き鳥屋も営む異色のマンション買取業者です。
築古マンションの買取に強みを持つ東京テアトルは、築古だけでなく首都圏、関西圏、名古屋の下記のような少し難あり物件も積極的に買い取ります。孤独死や事故物件の買取も積極的に行っております。マンション買取専門で年間250件超の買取実績があるため、価格査定は信頼がおけます。
成仏不動産
運営会社 | 株式会社マークス不動産(英語表記:MARKS REAL ESTATE Co.,Ltd.) |
設立年月日 | 2010年3月31日 |
拠点数 | 16 |
電話番号 | 0120-917-974(受付9:00~20:00) |
本社所在地 | 東京都中央区日本橋本石町3-1-2 大阪ガス都市開発日本橋ビル4階 |
資本金 | 272,466,662円(資本準備金含む) |
代表取締役 | 花原 浩二 |
成仏不動産の特徴・強み
- 正しい査定で高価買取
- 買取以外の対応もワンストップで解決
- 仲介手数料なし
- 買取り後の売主様責任なし
- きちんとお祓い・ご供養周囲の方へ配慮
- スピード対応!最短即日に現金化可能
- どんな物件でもお断りしません。
孤独死マンション売却に関するよくある質問
Q. 絶対に避けるべき特殊清掃業者は?
A. 自社で孤独死の不動産を買取ことを全面に押している会社です。特殊清掃と不動産売買は、言わば「内科」と「外科」ほど専門性が違う世界です。そして、あなたの資産の中で最も高額なのは、間違いなく不動産そのものです。
もし、孤独死が発生したマンションの売却と特殊清掃をまとめて依頼するなら、最も金額の大きい不動産の仕事でプロの力を借りるべきではないでしょうか。ワンストップの利便性を求めるのであれば、清掃業者ではなく不動産業者に依頼することをおすすめいたします。
Q. お祓いの費用相場は?
A. 神主さんや僧侶に依頼する場合は、ネットで見ると3万円~5万円程度と言われております。重要な点としては、出張エリアが決まっているケースが多いので、近所のお寺や神社に電話をしてお祓いの費用を確認することが重要です。筆者の経験としては、ネットで記載されている費用より安く請け負ってくれる神社が殆どでした。
Q. 告知義務は何年間ですか?
A. 国土交通省のガイドラインでは、賃貸借契約においては、人の死が発生 してから概ね3年間が告知義務の期間とされています。売買契約においては 、期間の定めはありませんが、買主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる限り、告知義務は続くと解釈されています。ただし、これはあくまで目安であり、個別の事情によって判断は異なります。
Q. 孤独死を隠して売却できる?
A. 絶対にできません。 告知義務のある孤独死を隠して売却することは法的に禁止されており、以下の重大なリスクがあります。
隠せない理由:
- 近隣住民や管理会社が事実を知っている可能性
- 事故物件検索サイト「大島てる」に掲載される可能性
- 警察の記録や行政機関の情報から発覚するリスク
発覚した場合: 売却後に事実が判明すると、買主から契約解除や損害賠償を請求される可能性が高く、結果的により大きな損失を被ることになります。
Q. 告知義務違反をするとどうなる?
A. 告知義務に違反した場合、以下の法的責任を負う可能性があります。
1. 契約解除
- 買主からの売買契約解除請求
- 既に受け取った代金の返還義務
- 仲介手数料等の費用返還
2. 損害賠償責任
- 転売価格との差額分
- 引越し費用、登記費用等の実費
- 精神的苦痛に対する慰謝料(50万円~200万円程度)
実際の判例: 東京地裁平19年(ワ)第30753号では、事業用賃貸不動産において睡眠薬自殺の事実を隠して売却した売主に対し、売買代金額の1パーセントの損害賠償が認められた事例があります。
不動産取引紛争事例等調査検討委員会の事例検討報告より
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