マンション投資の利回りって?不動産投資の相場や利回りの計算方法や注意点を解説!

カテゴリ:マンション買取
投稿日:2024.07.26

不動産投資とは切っても切れない「利回り」の考え方。投資を始めてみたいけれど、利回りの概念が難しいと感じられる方は多いです。分からないまま手を出してしまい、想定外の利回りの低さなどに頭を抱えることになってしまうこともしばしば。

この記事では、マンション投資の利回りの計算方法や相場、注意点について解説します。

マンション投資の利回りや、物件種別によって異なる利回りについて理解したいとお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

マンション投資の利回りって何?

マンション投資における利回りとは、「投資金額に対する1年間の運用利益の割合」を指します。繰り返しになりますが、投資用の不動産を考える上で、利回りは欠かせない指標です。

仮に利回りが10%の物件があったとすると、100%の投資に対して1年間の回収率が10%となるので、「投資金額の回収に10年かかる物件」であるということが分かります。

利回りには一般的に、以下の4パターンが存在します。

  • 表面利回り
  • 実質利回り
  • 想定利回り
  • 現行利回り

次項にて各利回りについて詳しく解説します。

利回りの種類と計算方法

本項では前項で挙げた利回りの種類と計算方法を解説します。

表面利回り

表面利回りは「グロス」とも言われ、不動産投資において最も一般的に使われている数値です。計算はとても単純で、年間の利益の合計金額を物件の価格で割ることで算出することができます。不動産会社がチラシへ記載する利回りの数値は、表面利回りの数値であることが多いです。

注意点としては、細かな費用が計算に含まれていないという点に気を付けましょう。表面利回りには維持費等の諸費用がまったく加味されておりません。

実質利回り

実質利回りは「ネット」と言われ、投資に対する利益から維持費等の諸費用を差し引いた上で物件価格で割ることで算出できます。不動産投資に掛かる諸費用には火災保険料、登記費用、ローンの事務手数料や各種税金、また物件の維持費(管理費・修繕積立金やクリーニング費用、トラブル時の費用等)が含まれます。

想定利回り

想定利回りはアパートやマンション等、部屋が複数ある物件において、「満室状態での運用を想定した」利回りの計算です。したがって、もし複数ある部屋の内1部屋でも空室が出てしまった際には、利回りは想定利回りを下回ることになります。その際、表面利回り同様に諸費用は計算に入らないため、こちらも注意が必要です。

現行利回り

現行利回りも想定利回り同様、部屋が複数あるアパートやマンションにおける利回りの考え方です。ただし現行利回りにおいては計算時点で空室になっている部屋の家賃は家賃収入から差し引かれ、入居者がいる部屋のみの家賃収入で利回りを算出します。

注意点ですが現行利回りも想定利回り同様、諸費用は計算に含まれていません。現行利回りに基づいて実質利回りを算出することは投資物件を検討する上で必須であると言えます。

不動産投資における利回りの理想は?

ここまで様々な利回りの計算方法を解説してきましたが、実際に投資用不動産を検討する際には、どんな方法で算出された、どの程度の利回りを目標値とすればよいのでしょう。

結論からいうと、利回りの目安とすべき数値は、対象物件の種別(マンション/アパート/戸建て 等)や、新築であるか中古であるか、といった要素で大きく異なります。したがって、利回りの数値の大小だけで投資物件としての価値を判断しないことが大切です。

本項では投資用不動産を区分マンション、一棟アパート/マンション、そして戸建ての3種別に分類し、それぞれの種別における利回りの目安を解説します。

区分マンションの場合

対象物件が新築のマンションの場合、物件の購入価格(=投資費用)がどうしても高くなってしまうため、利回りの理想は3〜4%となります。中古マンションの場合、例えば築20年程度のマンションですと、修繕費用やメンテナンス費を加味して約5.5%、築20年を超える場合には7〜8%程度が理想の利回りであるとされています。

一棟アパート/マンションの場合

対象物件が新築の一棟アパートの場合の利回りの理想は約8%であると言われています。一方、一棟アパートに比べ購入価格が高くなる一棟マンションの場合、必然的に利回りは下がるため、6%程度が理想となります。

中古の一棟アパート/マンションの場合には管理費や修繕費、その他費用を踏まえ1~2%が上乗せされ、中古一棟アパートの場合は9~10%、中古一棟マンションの場合は7~8%程度が理想の利回りであると言われています。

戸建ての場合

戸建ての場合の利回りの理想は物件の所在地、エリアによって大きくことなりますが、一般的に新築であれば10%程度、中古であれば15%程度が理想であると言われています。

マンション投資の利回り相場

前項では理想の利回りについて解説しましたが、ここでは現在の実際の利回り相場を見ていきましょう。

まずは2024年5月29日に発表された「第50回不動産投資家調査(2024年4月現在)の調査結果より抜粋し、エリア別に期待利回りをまとめてみましたので、以下の表をご覧ください。

地域ワンルームタイプ(一棟)ファミリータイプ(一棟)
東京(城南エリア)3.8%3.8%
札幌5.0%5.0%
名古屋4.5%4.6%
大阪4.3%4.3%
広島5.1%5.2%
福岡4.5%4.5%
出典:「不動産投資家調査」(2024年5月)|日本不動産研究所

東京城南エリアの不動産は一棟単位で見ると利回りが低い傾向にありますね。

一方区分マンションにおいては、2023年1月時点で利回り平均が首都圏で約6.7%、関西で7.3%、九州で9.1%という調査結果が出ています(健美家:収益物件市場動向マンスリーレポート2024年1月期より)。こちらも同様に、東京は他のエリアに比べ利回りが低い傾向にあります。

この数字だけを見ると、東京の物件よりも地方の物件のほうが投資に向いているのでは、と考える方がいらっしゃるかと思います。しかしここが落とし穴で、東京は他エリアに比べ人口が多く、地方からの移住者も絶えず流入します。賃貸の需要が常に高く保たれているため、不動産投資における一番のリスクである空室リスクが非常に低いというメリットがあるのです。

このように、利回りの高さだけに囚われることなく、市場動向や立地を加味しながら投資物件を総合的に評価することが大切であると言えます。とは言え繰り返しになりますが「利回り」は投資物件の価値を見定める上で欠かせない数字です。

不動産投資の回収期間の目安

不動産投資に掛かる費用の回収期間の目安はおよそ5年から10年であると言われています。回収期間をあまり短く設定し過ぎる(利回りを最大限に)ことも、長く設定し過ぎる(利回りを最低限に)こともオススメはできません。無理に短く設定することはつまり、家賃を相場よりも高く設定することを意味します。すると入居者が入りづらく、空室リスクを高めてしまうことに繋がります。一方、長く設定することは、物件の老朽化に伴い維持費が増加してしまう危険性を生みます。投資当初には想定していなかったコストが発生するリスクが高まりますので、いくら空室リスクをさけ収益を安定化させることが目的であっても、こちらもオススメはできません。

回収期間は相場や専門家の意見を目安に、5〜10年程度で見積もっておきましょう。

不動産投資の回収期間の計算方法

不動産投資の回収期間の計算方法をご紹介します。不動産投資の回収期間の計算方法には、利回りという考えとは別に、自己資金配当率、別名「CCR」という言葉が登場します。CCRは「Cash on Cash Return」の略で、物件を購入する際の自己資金に対しての年間のキャッシュフローの割合を指す言葉です。

このキャッシュフローは利回り計算で言うところの「家賃収入」とは異なり、家賃収入から物件の維持費、税金、また融資を受けている場合にはその返済額を引いた金額を指します。簡単に言えば「最後に手元に残るお金」のことです。

さて、CCRの計算方法ですが、「(年間のキャッシュフロー÷自己資金)×100」で算出することができます。

イメージとしては実質利回りに近いですが、金融機関からの融資(=他人資本)を計算に含めることで、単なる利回りではなく、どれだけ少ない自己資本でどれだけ効率的に利益が出せているかを計るための、不動産投資独自の指標なのです。

投資用の不動産を検討する際の注意点

利回りの高さだけで投資を決めない

投資用の不動産を検討する際、利回りの高さだけを基準にしてしまうのは大変危険です。利回りが高いことだけが重要なのであれば上から高いものだけを選び購入すればいいだけの話になりますが、実際のところ、利回りが高くても売れていない物件は多数存在します

例えば、利回り自体は高くなくとも、その高い資産価値で投資物件として評価されている不動産も多くあります。都市部に近く、主要駅から徒歩圏内、築年数が浅く広さも十分であったり等、「物件としての魅力」が強い物件は、入居者が絶えない、つまり空室リスクが低い物件です。そういった魅力的な物件は一般的に購入価格が高くなる傾向にありますから、利回りは勿論低くなってしまいます。

したがって利回りが高い物件というのは、上記の理屈で言えば物件としての魅力が低いという可能性も孕んでいます。高い利回りに惹かれ購入したものの、入居者が一向に入らず、投資回収が進まない、といったケースが多く見られます。

投資用の不動産を検討する際には、利回りが高いか低いか、という指標だけではなく、空室リスクに直結する大きな要素である物件としての魅力を確認するようにしてみましょう。

利回りが相場からかけ離れている際は原因を確認

投資用の不動産を探し始める際、無数のチラシを目にすることになるかと思います。チラシに限らず、インターネット上にはいくつものポータルサイトがあり、物件情報はごまんと出てきます。そんな中で、相場と見比べても群を抜いて利回りが高い物件を見つけた際には、一度その原因を確認するようにしましょう。

不動産業者の目的は「物件を買ってもらって手数料を稼ぐこと」であり、購入者がその後利益を出すことはその範疇ではありませんので、嘘は書かずとも良い情報だけを記載するということは十分に考えられます。本記事内でも言及しました通り、チラシやポータルサイトに記載の利回りは基本的に、最も高い数字が算出される表面利回り、或いは想定利回りです。

表面利回りであることを前提として考え、物件の維持費や購入時の諸費用等を踏まえた実質利回りを細かく計算しましょう。

一方、利回りが相場から抜きん出て高い場合の要因は、表面利回りだから、という限りではありません。利回りが高くなる要因としては物件価格の安さも考えられます。

利回りを求める際のベースとなる計算式は「(家賃収入÷物件価格)×100」ですから、ファクターである物件価格が低くなれば必然的に利回りが高くなるのです。

物件価格が低い要因はいくつもありますが、主に以下の3点です。

  • 立地
  • 築年数
  • 耐震性

立地が悪い物件、築古の物件、またそれに伴って耐震性が低い物件などは、当然のことながら物件価格が低くなり、利回りだけを見ると高くなります。しかし同じ理由から入居者が入りにくく、空室リスクが極めて高くなってしまうと考えられます。

投資用の不動産を検討する際には、チラシやポータルサイト上の数字を鵜呑みにするのではなく、できる限りすべての諸費用を含めて実質利回りを計算しましょう。

その他、マンション投資のメリット・デメリットについてはコチラの記事を参考にしてみてください!

まとめ

本記事ではマンション投資における利回りについて解説しました。不動産投資の利回りは「(年間家賃収入÷物件購入価格)×100」で求めることができます。しかしそれは表面利回りの求め方で、その他に実質利回り、想定利回り、現行利回りと分類することができます。また、不動産投資における利回りの理想値は物件種別によって異なること、そしてそれらの相場についても解説しています。最後に、投資用の不動産を検討する際には利回りの高さだけで選ばないこと、そして利回りが相場からかけ離れている際にはその原因を確認することに気を付けてください。

この記事を読んでくださった方々の「利回り」に対する理解が少しでも深まったことを祈っております。