借地権付きマンションは売却できる?デメリット、所有権との価格差、中古相場を解説

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.07.11

借地権付きマンションは売却できる?デメリット、所有権との価格差、中古相場を解説

「借地権付きマンションを売却したいけど、所有権のマンションに比べて売りづらいのではないか」とお悩みの方へ、借地権付きマンションについて解説します。

この記事を読むことで、借地権や定期借地権など権利の種類ごとの違いから、借地権付きマンションのメリット・デメリット、売却時の注意点まで知ることができます。

これらの情報を成約事例データで検証し、さらに弊社「東京テアトル」が実際に買い取らせて頂いた実例までご紹介いたします。

この記事でわかること
  1. 借地権は3種類あってそれぞれ違う
  2. 借地権付きマンションは土地の税金がかからない
  3. 定期借地権のマンションは契約更新できない
  4. 借地権と所有権のマンション価格差は築年で変わる
  5. 都心で存続期間の長い定期借地権マンションは高需要

目次

借地権とは

借地権とは、建物の所有を目的とする「地上権」または「土地の賃借権」のことです。

地上権

地上権とは、工作物又は竹木を所有するため他人の土地(地下又は空間を含む。)を使用収益することを目的とした民法第265条《地上権の内容》に規定されている「物権」のひとつです。

物権とは「物を直接的かつ排他的に支配する権利」であり、地主は地上権の登記に応じなければならず、登記により第三者に対しても主張できます。

地上権は直接、土地に対して権利を持つものとされているため、地主の承諾なく建物の建築や増改築、建て替え、第三者への売却や転貸も可能です。

土地の賃借権

一方で「土地の賃借権」とは、土地を借りて利用できる権利です。民法で規定される「債権」のひとつで、地主との契約で得た権利なので、契約の当事者である地主に対して主張できます。

ただし、土地の賃借権では、地主の承諾なく建物の建築や増改築、建て替え、第三者に売却したり転貸したりすることはできません。

借地権のマンションと所有権のマンションの違い

敷地が借地権のマンションと所有権のマンションの違いをご紹介します。

借地権所有権
土地の権利借地権の準共有所有権の共有
土地の税金地主マンション所有者
地代かかるかからない
更新料必要
期限借地契約の期限

所有権のマンションを購入した場合は、土地も建物もマンション住戸の所有者全員の共有で「私たちのもの」となり、一般的に住戸の所有権とともに、土地についても一部を共有持分として所有することになります。

所有権マンション
土地も建物も全区分所有者の共有(所有権あり)

一方、借地権のマンションを購入しても、土地の所有権は「他人のもの」ということになります。

借地権マンション
土地は地主が所有(所有権なし)
建物は全区分所有者の共有(所有権あり)

出典:総務省|e-Gov法令検索 民法 第二百六十五条(地上権の内容)

出典:総務省|e-Gov法令検索 借地借家法 第一条(趣旨)

3種類の借地権

1992年8月の法改正により、現在は以下の3種類の借地権が混在しています。

  • 旧法借地権
  • 普通借地権(新法借地権)
  • 定期借地権

3種類の借地権の違いは、以下の表の通りです。

旧法借地権普通借地権定期借地権
存続期間木造20年以上/RC-SRC30年以上30年以上50年以上
更新不可
更新後木造20年~/RC-SRC30年~最初20年~/2回目以降10年~
終了時建物買取請求権あり建物買取請求権あり更地にして返還

3種類の借地権の違いについて、それぞれ詳しく解説していきます。

旧法借地権

旧法借地権とは、大正10年(1921年)に建物の所有を目的とする土地の契約期間などを定めた「旧借地法」という法律に基づく借地権のことです。

平成4年(1992年)8月より以前に土地を借りた場合は、この旧法借地権が該当します。

新たに締結することはできなくなりましたが、更新を続けることで旧法借地権の内容を引き継ぐことができます。

そのため、世の中に存在する多くの借地権の中には、旧法借地権を引き継いでいるものもあるのです。旧法借地権では、堅固な建物(鉄筋造または鉄筋コンクリート造)の契約期間は30年以上、非堅固の建物(木造)の契約期間は20年以上の期間を定めないといけないとされています。

契約書に定めがなかった場合の存続期間は、鉄筋造または鉄筋コンクリート造は60年、木造は30年となります。

この存続期間内もしくは更新時における、地主から借地人に対しての明け渡し請求については、正当事由が無いと認められませんでした。この正当事由については戦時立法で、戦争に出ている家主の家族を守るために制定されたという背景があります。

これにより、借地ではバブル時の土地の有効利用が出来ず、旧借地法の改定(新借地借家法の制定)につながったと言われています。

旧法借地権は、借主にとって非常に有利な借地権といえます。

普通借地権(新法借地権)

普通借地権(新法借地権)とは、1992年8月に新たに制定された「借地借家法」で定める借地権のことです。

契約更新を前提としている借地権で、地主は正当事由がなければ契約を更新しなければなりません。また、契約期間と建物の構造が関係ないのも旧法借地権と異なる点です。

普通借地権の存続期間は当初は30年以上で、更新後第1回目は20年以上、それ以降は10年以上と徐々に短くなります。

旧法借地権も新法借地権も、存続期間が満了して契約の更新がないとき、借地権者は地主に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取ることを請求することができます。

この権利を「建物買取請求権」といいます。

出典:総務省|e-Gov法令検索 借地借家法 第十三条(建物買取請求権)

定期借地権

定期借地権とは、1992年8月に施行された借地借家法に規定される借地権の一種です。通常の借地権と異なり、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後は更新できません。

借地権では、正当な事由がない限り、貸主のほうから更新を断ることはできません。

なぜなら、万が一土地の契約の更新ができなければ借主は建物を撤去しなければならず、負担があまりにも大きいため、権利が保護される仕組みとなっているからです。

一方、貸主の立場が弱くなってしまう面があるため、借地借家法では普通借地権以外の選択肢も設けられました。

それが、あらかじめ契約期間を明確に定める定期借地権です。定期借地権は、契約期間の延長を定めないことが特徴です。

定期借地権には契約の更新がないため、終了後は更地にして土地の持ち主に返還しなければなりません。

また、定期借地権は更新ができないものの、最初の契約期間(存続期間)が50年以上と長いのも特徴です。

「土地の譲渡はしたくないが、有効に土地活用をしたい」という地主の方が利用する借地権といえます。

借地権の存続期間おさらい

3つの借地権それぞれの特徴を述べてまいりましたが、契約上の存続期間に関して、注意点をおさらいしましょう。

旧法借地権の存続期間は建物の構造で異なる

旧法借地権では、建物が木造なのか、鉄骨造または鉄筋コンクリート造なのかで、契約上の存続期間が下記の通り異なることにご注意ください。

  • 堅固な建物(鉄筋造または鉄筋コンクリート造)は30年以上
  • 非堅固の建物(木造)は20年以上

なお、契約書に定めがなかった場合の存続期間は、鉄筋造または鉄筋コンクリート造は60年、木造は30年となります。

普通借地権で契約できる最短の存続期間は更新ごとに短くなる

普通借地権では、下記のように契約できる最短の存続期間が、更新ごとに徐々に短くなることにご注意ください。

  • 当初→30年以上
  • 更新後第1回目→20年以上
  • それ以降→10年以上

定期借地権は長い存続期間

定期借地権では、契約上の存続期間が50年以上と長期です。最近は高齢化社会を見据えて存続期間を70年以上にしている定期借地権マンションも増えています。

また、定期借地権の場合は存続期間が長期ではありますが、契約の更新はできませんのでご注意ください。

借地権付きマンションのメリット

借地権付きマンションには、以下のようなメリットがあります。

  • 建物の税金はかかるが土地の税金はかからない
  • 土地価格が所有権に比べて安価
  • 継続して土地を借りることができるケースもある

それぞれ、詳しく解説していきます。

建物の税金はかかるが土地の税金はかからない

借地権付きのマンションの土地は地主が所有しているため、土地に関わる「固定資産税」や「都市計画税」といった税金も当然地主に支払義務があります。

しかしながら、建物を取得する際の「不動産取得税」や、建物に関わる「固定資産税」や「都市計画税」はかかるので注意しましょう。

また、相続税や贈与税も課税対象となります。

相続税については、更地での評価額に対して、地域ごとに決められた借地権割合を乗じた金額が借地権の評価となり、税額が決定します。

土地価格が所有権に比べて安価

土地の価格が所有権に比べて安い「借地権価格」であることが大きなメリットです。同じ予算でも、立地などの条件がより良い物件に住むことができます。

継続して土地を借りることができるケースもある

借地権付きのマンションを購入する側にとっては、いつかは土地を地主に返還しなければならないのではという不安をお持ちかもしれません。

借地契約は期限付きですが、定期借地権以外は更新をすることで継続できます。

一般的に借地契約の地主側からの更新拒絶は、地代の不払いや建物の老朽化などといった正当な事由がなければ認められません。

なお、地主が更新を拒絶する際は、地主が多額の立退料を支払わなければならないといったケースもあります。

借地権付きマンションのデメリット

ここからは、借地権付きマンションのデメリットについて解説いたします。

  • 土地価格上昇に伴って地代が上がる
  • 契約更新料の支払いが発生する
  • 売却時に譲渡承諾料の支払いが発生する
  • 住宅ローンが利用しにくい

土地価格上昇に伴って地代が上がる

借地権付きマンションでは、借地契約に基づいて、毎月決められた金額の地代(借地料)を支払わなくてはなりません

土地価格が上昇している局面であれば、土地価格上昇に伴って地代の支払額も上昇する可能性があります。

借地借家法では、

  • 土地に対する租税その他の公課の増減
  • 土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動または近傍類似の土地の地代等に比較して不相当

となったときに地代の見直しができると定めています。

出典:総務省|e-Gov法令検索 借地借家法 第十一条(地代等増減請求権)

契約更新料の支払いが発生する

毎月決められた金額の地代(借地料)とは別に、借地契約の更新のたびに更新料を支払わなくてはならないケースもあります

借地権の更新料の支払い義務については、法的な根拠が明確となってはいませんが、以下のような点に気をつけなければなりません。

  • 契約書に明記されている
  • 明記されていなくても両者に支払の合意がある
  • 過去に支払がされた実績がある

このような場合に、更新料の不払いを理由に賃借契約を解除された判例もあります。

売却時に譲渡承諾料の支払いが発生する

借地権付きマンションを売却する際に、地主へ連絡するだけでなく、許可とともに譲渡承諾料(名義書き換え料)の支払いが必要になる場合もあります。

一般的に大都市圏では借地権価格の5%~10%が相場で、地方ではこれよりも低いケースも多いようです。

住宅ローンが利用しにくい

借地権が付いたマンション物件の場合は、土地の所有権がないので金融機関が抵当権を設定できず、住宅ローンが利用できないケースがあります。

利用できたとしても借地契約期間(残存期間)内でのローン契約になるなど、審査条件が付くこともあるので注意が必要です。

借地権が「土地の賃借権」ではなく、「地上権」で登記されている場合は住宅ローンが利用できるケースもありますので、借入先候補の金融機関に確認しておきましょう。

借地権付きマンション売却時のリスクと注意点

では、借地権付きマンションを売却する際にはどんなリスクがあるのでしょうか?

注意すべきポイントとともに解説します。

定期借地権は契約の更新ができない

借地権付きマンションを売却する場合、「借地契約の更新」が可能かどうかということは大きなポイントです。

旧法借地権と新法借地権(普通借地権)のマンションは借地契約の更新がありますが、

定期借地権のマンションは契約の更新がないので、契約期限がきたら住めなくなってしまいます。

期限が近づいてから後悔することのないように注意してください。

契約期限までの残存期間が少ないほど、住めなくなるリスクが大きくなり、マンションの価値が下がることにつながってしまいます。

借地権の範囲で土地価格が変わる

土地の価格が所有権に比べて安い「借地権価格」であることをメリットとして前述しましたが、借地権が敷地全体に及ぶのか、あるいは敷地の一部だけなのかで土地の価格は異なります。

敷地全体が借地権のマンションは、敷地の一部が借地権のマンションよりも土地価格が安く、借地権になっている敷地の割合が少ないほど土地価格は高くなります。

売却するために地主の承諾が必要なケースがある

借地権付きマンションを売却するにあたっては、地主の承諾が必要なケースがあります。

冒頭でも前述した通り、「地上権」の場合は地主の承諾なく建物の建築や増改築、建て替え、第三者に売却したり転貸したりすることもできます。

しかしながら、「土地の賃借権」の場合、地主の承諾なく建物の建築や増改築、建て替え、第三者に売却したり転貸したりすることはできません。基本的に、地主の承諾を得てから行います。

ちなみに、「地上権」の場合でも、契約書に「建て替えや売却時は地主に報告する」などの内容があるなら、地主に報告する義務があります。

借地契約では、地代を数年〜数十年にわたって支払っていくため、地主にとっては借地人が十分に地代を支払っていけるかどうかは重要な問題です。

承諾なく「土地の賃借権」付きマンションを売却してしまった場合、無断譲渡を理由として借地契約を解除される可能性もありますのでご注意ください。

マンション、所有権と借地権の流通価格差

借地権マンションの売却にあたって、「所有権マンションと比べてどれくらい安くなるのかを知っておきたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ここでは、

  • 借地権のマンションの仲介の成約事例
  • 事例に似た近隣の取有権マンションの成約事例

の2つを比較していくことで、借地権マンションが所有権マンションに比べてどれくらい安いのかをおおまかに把握することができます。

本来は階数、バルコニー方位、専有面積、角部屋、リフォームの有無などによって売却相場に補正が必要ですが、説明が複雑で難しくなるので割愛します。

東京23区内の直近1年の成約事例から、築年数別に見ていきましょう。

所有権と借地権、マンション築年数ごとの物件価格推移

まずは、不動産流通標準情報システム「レインズ(REINS)」のデータから、所有権マンションと借地権付きマンションの成約平均坪単価を比較してみましょう。

この表をみてまずわかることは、築浅のマンションでは借地権のほうがわずかに高いということです。

不動産相場上昇局面に伴って、竣工からちょうど10年以上経過した都心エリアの定期借地権付きタワーマンションが需要の高さを保っており、分譲時と比較して価格が上昇していることへの影響も見てとれます。

以下のグラフで、築年数ごとの価格推移をご覧ください。

東京23区成約マンション築年別平均坪単価

青色グラフの所有権マンションの平均坪単価から価格推移をみると、約16%減少→約18%減少→約10%減少と比較的緩やかであることがわかります。

一方で、オレンジ色グラフの借地権マンションでは、約28%減少→約26%減少→約12%上昇と所有権とは異なる推移がみられます。

これはどういうことなのでしょうか?借地権には定期借地権のマンションも含まれるため、建物の存続期間による減少が影響していると思われます。

築41~50年の借地権マンション価格上昇については、不動産売却市場の上昇に伴って、築年が古くても良い立地に建つ借地権マンションの価値が見直された結果と推測されます。

また、築41~50年を見ると、所有権と借地権の価格差が小さくなってきていることが読み取れます。

どちらのマンションもリフォームを施した物件が増え、少しずつ下落していた建物価格が底値に近付く時期であるためと考えられます。

築年数借地権の
平均坪単価
所有権の
平均坪単価
マンション価格の差
築11~20年約287.4万円約285.1万円→借地権マンション価格は所有権の約101%
築21~30年約207.8万円約240.8万円→借地権マンション価格は所有権の約86%
築31~40年約152.3万円約197.5万円→借地権マンション価格は所有権の約77%
築41~50年約171.5万円約179.3万円→借地権マンション価格は所有権の約96%
※東京23区で直近1年の成約

ちなみに、「レインズ(REINS)」で発表している統計データは、「レインズタワー」というサイト内の「レインズデータライブラリー」から、一般の方も一部閲覧が可能です。

出典:レインズデータライブラリー ((公財)東日本不動産流通機構、(公社)中部圏不動産流通機構、(公社)近畿圏不動産流通機構、(公社)西日本不動産流通機構)

それでは、実際の成約事例をもとに、築年数ごとの借地権と所有権のマンション価格の差を見ていきましょう。

【築11~20年】借地権と所有権マンションの流通価格差

東京23区内で直近1年に成約した、築年数が11~20年の借地権マンション全98件(2021年8月レインズ閲覧及びデータ集計時点)から、

  • 荒川区1件
  • 杉並区1件
  • 台東区1件
  • 江東区1件

の合計4件をピックアップし、近隣で同じく直近1年に成約した所有権マンションと比較しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
①R3/1エムブランド田端1170.48172.7旧借0.81
①´R3/3プレジール尾久1151.30224.3所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

①と①´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約86%でした。

①の借地権マンションはJR高崎線尾久駅徒歩7分、8階建てマンションの2階、坪単価172.7万円で成約しています。

旧法借地権で、地代は月額6,809円と一般的な負担額です。

比較対象の所有権マンション①´は同駅徒歩3分、9階建てマンションの8階、坪単価224.3万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
②R2/11グローリオ永福町1133.16329.0普借1.07
②´R3/3ゼファー明大前クローチェ1730.73285.1所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(普借→普通借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

②と②´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約107%でした。

②の借地権マンションは京王井の頭線永福町駅徒歩2分、7階建てマンションの5階、坪単価329.0万円で成約しています。

普通借地権、地代は月額3,760円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション②´は同駅徒歩8分・明大前駅徒歩7分、9階建てマンションの4階、坪単価285.1万円で成約しています。

ワンルーム同士の比較でしたが、築年数とともに駅からの距離も影響しているケースといえそうです。

年月マンション名面積坪単価権利比較
③R2/11イニシアイオ入谷龍泉1247.94236.6旧借0.94
③´R3/5ベルグレードUK1351.26248.3所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

③と③´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約94%でした。

③の借地権マンションはJR山手線入谷駅徒歩7分、10階建てマンションの6階、坪単価236.6万円で成約しています。

新法借地権で、地代は月額2,724円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション③´は同駅徒歩4分、12階建てマンションの6階、坪単価248.3万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
④R3/2モナーク東大島フォースコート1264.42151.9旧借0.86
④´R2/11ルネリバーズタワー東大島1173.41182.4所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

④と④´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約86%でした。

④の借地権マンションは都営新宿線東大島駅徒歩15分、7階建てマンションの5階、坪単価151.9万円で成約しています。

旧法借地権で、地代は月額3,870円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション④´は同駅徒歩16分、20階建てタワーマンションの10階、坪単価182.4万円で成約しています。

【築21~30年】借地権と所有権マンションの流通価格差

東京23区内で直近1年に成約した、築年数が21~30年の借地権マンション全41件(2021年8月レインズ閲覧及びデータ集計時点)から、

  • 文京区1件
  • 墨田区1件
  • 北区1件
  • 足立区1件

の合計4件をピックアップし、近隣で同じく直近1年に成約した所有権マンションと比較しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑤R2/11根津南シティタワー2143.08251.7旧借0.86
⑤´R2/9根津シティタワー2363.60285.9所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑤と⑤´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約86%でした。

⑤の借地権マンションは東京メトロ千代田線根津駅徒歩1分、住友不動産旧分譲の10階建てマンションの2階。

システムキッチンを新規交換済、坪単価251.7万円で成約しています。

敷地の一部が旧法借地権で、地代は月額3,772円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑤´は同駅徒歩5分、同じく住友不動産旧分譲の14階建てマンションの4階、坪単価285.9万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑥R2/10コスモ押上サザンフォルム2263.94247.2地上1.02
⑥´R2/11コスモ押上ガーデンシティ2183.62256.2所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(地上→地上権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑥と⑥´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約102%でした。

⑥の借地権マンションは都営浅草線押上駅徒歩8分、14階建てマンションの7階、西向きバルコニーから北西側の東京スカイツリーを望む西北東の3方角部屋、坪単価251.7万円で成約しています。

敷地の一部が地上権、地代は月額3,800円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑥´は同駅徒歩7分、14階建てマンションの13階、南東角部屋、坪単価256.2万円で成約しています。

敷地の一部が地上権であることに加え、東京スカイツリーが眺望できる希少物件としての価値により逆転現象を起こしているといえます。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑦R2/10ライオンズシティ日暮里2355.03195.3旧借0.86
⑦´R2/11ライオンズプラザ日暮里2850.67214.0所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑦と⑦´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約86%でした。

⑦の借地権マンションはJR山手線日暮里駅徒歩5分、13階建てマンションの5階、坪単価195.3万円で成約しています。

旧法借地権で、地代は月額5,000円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑦´は同駅徒歩6分、8階建てマンションの4階、坪単価214.0万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑧R3/6朝日クレス・パリオ綾瀬2393.81134.0地上0.88
⑧´R3/4リベール綾瀬2171.15180.3所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(地上→地上権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑧と⑧´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約88%でした。

⑧の借地権マンションは東京メトロ千代田線綾瀬駅徒歩9分、8階建てマンションの6階、坪単価134.0万円で成約しています。

地上権で、地代は月額6,381円と一般的な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑧´は同駅徒歩9分、10階建てマンションの6階、2020年11月にフルリフォーム済、坪単価180.3万円で成約しています。

【築31~40年】借地権と所有権マンションの流通価格差

東京23区内で直近1年に成約した、築年数が31~40年の借地権マンション全70件(2021年8月レインズ閲覧及びデータ集計時点)から、

  • 江東区2件
  • 葛飾区1件
  • 北区1件

の合計4件をピックアップし、近隣で同じく直近1年に成約した所有権マンションと比較しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑨R3/3エスポワール亀戸3153.40151.1旧借0.89
⑨´R2/11中銀亀戸マンシオン3550.70163.1所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑨と⑨´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約89%でした。

⑨の借地権マンションはJR総武中央線亀戸駅徒歩5分、11階建てマンションの5階、坪単価151.1万円で成約しています。

旧法借地権で、地代は月額5,616円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑨´は同駅徒歩3分、10階建てマンションの5階、坪単価163.1万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑩R3/3アドール亀有3258.36119.0旧借1.05
⑩´R3/7スカイワード亀有3948.03103.3所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑩と⑩´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約101%でした。

⑩の借地権マンションはJR常磐緩行線亀有駅徒歩4分、7階建てマンションの6階、南西角部屋、坪単価119.0万円で成約しています。

旧法借地権、地代は月額5,810円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑩´は同駅徒歩5分、7階建てマンションの4階、南西角部屋、坪単価103.3万円で成約しています。

ともに利便性の高いエリアで、⑩´がお値打ちだったことがあるのかもしれませんが、1982年築の⑩´の建物のグレードが1989年築の⑩に比べて低いことにより逆転現象を起こした可能性もあります。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑪R2/12コスモ田端グレイスフォーム3396.90146.1旧借0.81
⑪´R3/2コスモプレイス田端32121.89176.3所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑪と⑪´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約81%でした。

⑪の借地権マンションはJR京浜東北線田端駅徒歩7分、12階建てマンションの6階、坪単価146.1万円で成約しています。

敷地の一部が旧法借地権で、地代は月額4,340円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑪´は同駅徒歩9分、6階建てマンションの3階、121㎡の広々3LDK、2017年にトイレ2か所とリビングのビルトインエアコンを交換済、坪単価176.3万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑫R3/3ツインシティ東砂アネックス3458.30137.8地上0.82
⑫´R3/2スカイシティ南砂3379.76206.5所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(地上→地上権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑫と⑫´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約82%でした。

⑫の借地権マンションは東京メトロ東西線南砂町駅徒歩11分、9階建てマンションの9階、坪単価137.8万円で成約しています。

地上権で、地代は月額4,290円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑫´は同駅徒歩11分、28階建てマンションの19階、フルリフォーム済、坪単価206.5万円で成約しています。

【築41~50年】借地権と所有権マンションの流通価格差

東京23区内で直近1年に成約した、築年数が41~50年の借地権マンション全89件(2021年8月レインズ閲覧及びデータ集計時点)から、

  • 港区2件
  • 文京区1件
  • 大田区1件

の合計4件をピックアップし、近隣で同じく直近1年に成約した所有権マンションと比較しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑬R2/9クレール三田4343.31212.2地上0.92
⑬´R2/11ノア三田4154.54240.1所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(地上→地上権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑬と⑬´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約92%でした。

⑬の借地権マンションはJ都営三田線三田駅徒歩8分、12階建てマンションの6階、坪単価212.2万円で成約しています。

地上権で、地代は月額2,370円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑬´は同駅徒歩11分、5階建てマンションの1階、2016年にフルリフォーム済、坪単価240.1万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑭R2/9パラシオン本郷4179.27187.7旧借0.95
⑭´R3/4エクレール後楽園 42 80.31 226.0所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑭と⑭´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約95%でした。

⑭の借地権マンションは都営三田・大江戸線春日駅徒歩1分、9階建てマンションの9階、北西角部屋、坪単価187.7万円で成約しています。

旧法借地権、地代は月額10,813円と一般的な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑭´は同駅徒歩4分、8階建てマンションの7階、フルリフォーム済、坪単価226.0万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑮R2/9パセオ三光坂4197.85219.6旧借0.86
⑮´R2/11LMグリーン白金4445.79281.6所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑮と⑮´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約86%でした。

⑮の借地権マンションは東京メトロ南北線白金高輪駅徒歩5分、9階建てマンションの6階、北側のルーフバルコニーから東京タワーを望む北東南の3方角部屋、坪単価219.6万円で成約しています。

旧法借地権で、地代は月額17,673円です。

比較対象の所有権マンション⑮´は同駅徒歩9分、5階建てマンションの2階、2019年10月にフルリフォーム済、坪単価281.6万円で成約しています。

年月マンション名面積坪単価権利比較
⑯R2/11コトー大森南4171.43110.2地上0.77
⑯´R2/12大森第2スカイハイツ4359.05142.8所有1
年月:成約年月、築:築年数、面積:専有面積
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
権利:借地権の種類(地上→地上権、所有→所有権)
比較:所有権マンション価格を1とした時の借地権マンション価格の算出値

⑯と⑯´を比較すると、借地権マンションの価格は所有権の約77%でした。

⑯の借地権マンションは東京モノレール線昭和島駅徒歩13分、6階建てマンションの2階、2014年1月にフルリフォーム済、坪単価110.2万円で成約しています。

地上権で、地代は月額4,730円と比較的軽微な負担額です。

比較対象の所有権マンション⑯´は京浜急行線平和島駅徒歩14分、5階建てマンションの5階、2007年にフルリフォーム済、坪単価142.8万円で成約しています。

借地権付きマンションの中古相場

ここでは、借地権付きマンションの最新中古相場を、首都圏の主なエリアごとにご紹介していきます。どのエリアの中古相場が高額=人気が高いのか見ていきましょう。

エリア成約価格築年成約件数
東京23区5,121万28.37394
東京都下3,233万24.5470
横浜市2,239万31.6442
川崎市3,504万23.789
千葉市4,252万20.2488
さいたま市2,683万12.147
出所:レインズ22.7~23.6借地権マンション成約を弊社集計

借地権付きマンションの中古相場|東京23区

東京23区で直近1年で取引された借地権付きマンションの中古相場は5,121万円で、全エリアで最高額です。

平均築年数は28.37年、成約件数は394件で全エリアの約64.6%を占める件数です。

東京23区で直近1年に成約した借地権付きマンションのうち、高額物件のランキングは以下の通りです。

物件名成約価格権利
麻布台パークハウス26,000万定借
プラウド南麻布24,700万定借
パークコート渋谷ザタワー22,500万定借
広尾ガーデンフォレスト椿レジデンス21,800万定借
プレミスト白金台17,300万定借
出所:レインズ22.7~23.6借地権マンション成約を弊社集計/
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、普借→普通借地権、地上→地上権、定借→定期借地権)

東京23区の高額成約物件は全て都心の好立地。借地権の種類はいずれも定期借地権ですが、存続期間が34~70年と長く、建物も築10年前後の高級マンションがランクインしています。

借地権付きマンションの中古相場|東京都下

東京都下で直近1年で取引された借地権付きマンションの中古相場は3,233万円で、東京23区、千葉市、川崎市に次いで4番目に高額です。

平均築年数は24.54年、成約件数は70件で全エリアの約11.5%です。

東京都下で直近1年に成約した借地権付きマンションのうち、高額物件のランキングは以下の通りです。

物件名成約価格権利
プラウドシティ武蔵野三鷹グリーンコート8,880万旧借
テラス武蔵野中町8,180万普借
ウエリス井の頭公園8,000万定借
ザ・パークハウス武蔵境6,480万普借
イニシア三鷹6,080万旧借
出所:レインズ22.7~23.6借地権マンション成約を弊社集計/
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、普借→普通借地権、地上→地上権、定借→定期借地権)

東京都下の高額成約物件は、三鷹や吉祥寺、武蔵境とJR中央線沿線エリアの好立地物件がランクイン。

旧法借地権や普通借地権が多いなか、定期借地権の1件も存続期間が64年と長期です。建物も築10年以内と築浅のマンションばかりです。

借地権付きマンションの中古相場|横浜市

横浜市で直近1年で取引された借地権付きマンションの中古相場は2,239万円、全エリアで1番安い価格なのは、平均築年数が31.64年と全エリアで最長であることも関係していると思われます。

成約件数は42件で全エリアの約6.9%です。

横浜市で直近1年に成約した借地権付きマンションのうち、高額物件のランキングは以下の通りです。

物件名成約価格権利
パークホームズ横浜反町7,280万定借
ブリリア東戸塚5,210万定借
タンタタウン4,966万定借
イニシアイオ横濱関内4,820万地上
ウエリス横濱日本大通り3,600万定借
出所:レインズ22.7~23.6借地権マンション成約を弊社集計/
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、普借→普通借地権、地上→地上権、定借→定期借地権)

横浜市の高額成約物件は、横浜~関内エリア、東戸塚エリア、都筑区エリアの駅近好立地物件がランクイン。

定期借地権が4件ありますが、存続期間は51~64年と長期です。築10年以内の築浅マンションは3件、いずれも定期借地権です。

都筑区、駅徒歩6分、総戸数678戸のタンタタウンは定期借地権で2005年築ですが、108.79㎡の広々とした4SLDKです。

イニシアイオ横濱関内は2007年築、58.16㎡の1SLDKですが、地上権のマンションです。

借地権付きマンションの中古相場|川崎市

川崎市で直近1年で取引された借地権付きマンションの中古相場は3,504万円で、東京23区、千葉市に次いで3番目に高額です。

平均築年数が23.78年、成約件数は9件で全エリアの約1.5%です。

川崎市で直近1年に成約した借地権付きマンションのうち、高額物件のランキングは以下の通りです。

物件名成約価格権利
パークホームズ新百合ヶ丘ブライトグレイス6,380万定借
ザ・パークハウス宮前平5,210万定借
パークホームズ若葉台ステーションサウス2,800万定借
ホーユウパレス宮前2,200万旧借
ハイツ武蔵小杉1,850万地上
出所:レインズ22.7~23.6借地権マンション成約を弊社集計/
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、普借→普通借地権、地上→地上権、定借→定期借地権)

川崎市の高額成約物件は、新百合ヶ丘、宮前平、若葉台、川崎、武蔵小杉の駅近好立地物件がランクイン。

定期借地権が3件ありますが、存続期間は38~55年と長期です。築10年以内の築浅マンションは2件、いずれも定期借地権です。

麻生区、若葉台駅徒歩3分のパークホームズは定期借地権で2009年築、70.17㎡の3LDKです。

ホーユーパレス宮前は1986年築、52.03㎡の2LDKですが、2年前にフルリフォーム済みで旧法借地権のマンションです。

ハイツ武蔵小杉は1972年築、31.25㎡のワンルームですが買取業者がフルリフォーム済み、地上権のマンションです。

借地権付きマンションの中古相場|千葉市

さいたま市で直近1年で取引された借地権付きマンションの中古相場は4,252万円で、東京23区に次いで2番目に高額です。

平均築年数が20.24年、成約件数は88件で全エリアの約14.4%です。

千葉市で直近1年に成約した借地権付きマンションのうち、高額物件のランキングは以下の通りです。

物件名成約価格権利
ザ幕張ベイフロントタワー&レジデンス10,000万普借
セントラルパーク・イースト幕張パークタワー8,680万普借
パティオス21番街7,950万普借
マリンフォートサンセットウイングセンター6,000万普借
幕張ビーチテラスサニーレジデンス6,000万普借
出所:レインズ22.7~23.6借地権マンション成約を弊社集計/
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、普借→普通借地権、地上→地上権、定借→定期借地権)

千葉市の高額成約物件は、海浜幕張エリアのタワーマンションやオーシャンビュー物件がランクイン、いずれも普通借地権です。

1位のザ幕張ベイフロントタワーは2015年築の31階最上階、142.08㎡の3LDK+ウォークインクローゼット+シューズインクローゼット。リビングは33.7帖の高級物件です。

借地権付きマンションの中古相場|さいたま市

さいたま市で直近1年で取引された借地権付きマンションの中古相場は2,683万円で、東京23区、千葉市、川崎市、東京都下に次いで5番目に高額です。

平均築年数が12.14年と全エリアで最短、成約件数は7件で全エリアの約1.1%と最少です。

さいたま市で直近1年に成約した借地権付きマンションのうち、高額物件のランキングは以下の通りです。

物件名成約価格権利
リビオ大宮宮原3,680万定借
リビオ浦和領家3,400万定借
ソフィア大宮日進1,750万旧借
ベルドゥムール浦和750万定借
出所:レインズ22.7~23.6借地権マンション成約を弊社集計/
権利:借地権の種類(旧借→旧法借地権、普借→普通借地権、地上→地上権、定借→定期借地権)

さいたま市の高額成約物件は、宮原、日進、南与野、与野の物件がランクイン。駅からの距離は徒歩15~25分のエリアです。

定期借地権が3件あり、存続期間は短いものから25年、63年、69年です。そのうち築10年以内の築浅マンションは2件、いずれも存続期間60年以上の定期借地権です。

ベルドゥムール浦和は1998年築、65.10㎡の3LDKですが、定期借地権の存続期間が25年(借地期限は2048年4月)と長期ではないことが、成約価格に反映しているといえます。

定期借地権付きマンションは売れない?

「定期借地権付きマンション」は借地契約の更新がなく、期限がきたら更地にして地主に返還しなければなりません。

そのため、売却しようにも売れないのではとお悩みの方に、定期借地権付きのマンションの流通状況について解説いたします。

2000年代以降、特に都心部を中心に、好立地や生活の利便性を追求しつつ土地価格を抑えた存続期間の長い高層のタワーマンションが竣工しており、現在も需要が落ち込むことなく流通している物件や、郊外でも活発に流通している物件もあります。

ここでは、3つの代表例を挙げています。

  • シティタワー品川
  • 銀座タワー
  • コスモ川口戸塚ガーデンフォルム

各マンションの物件概要や成約状況など詳しい内容は以下をご覧ください。

都心で売れている定期借地権付きマンション|シティタワー品川

シティタワー品川外観

シティタワー品川は、港区港南4丁目に2008年4月に竣工した、存続期間72年(2080年10月31日)の定期借地権マンションです。

分譲会社は住友不動産、設計・施工・監理は竹中工務店です。JR山手線品川駅から徒歩10分、43階建て、総戸数828戸となっています。

専有面積は約73~114㎡で、分譲価格帯は2,247万~4,347万円、最多価格帯は3,200万円台、平均分譲価格は3,060万円、平均分譲坪単価はおよそ120万円です。

都心部の不動産売却市場をみると、マンション価格も2013年以降上昇を続けており、都心3区(千代田区、中央区、港区)のマンション価格相場は2021年4~6月の平均坪単価で約452万円です。

一般的に存続期間が長期の定期借地権マンションの価格は所有権の70%程度と言われているので、仮に所有権の坪単価を452万円としたら定期借地権だと坪単価でおよそ316万円という価格が導き出されます。

結果論になりますが、分譲時の平均坪単価120万円はその半分以上、6割引き程度に安かったということになります。

2008年9月5日に行われた抽選の申込者は14,279件に及び、抽選倍率は最高378倍、平均17.65倍で即日完売しました。過去1年分の仲介での成約坪単価は約250~297万円です。

シティタワー品川の物件をまとめた以下の表における⑥の物件は2021年1月に成約しており、

  • 43階建ての40階部分
  • 89.86㎡の3LDK
  • リビングダイニングは20.2帖

と富裕層にも訴求力のある間取りとなっています。

室内やバルコニーからレインボーブリッジを望むことができる北東向き住戸です。

都心3区のマンション相場2021年4~6月の平均坪単価452万円のおよそ55%~65%で成約しています。

年月面積方位坪単価取引
①R2/782.775南東250.9専任
②R2/880.0921265.6専任
③R2/982.7725北東266.9専属
④R2/1084.2628西255.1専任
⑤R2/1173.8928282.3専属
⑥R3/189.8640北東297.3一般
⑦R3/288.4336南東288.6専任
⑧R3/289.1827南西282.8専任
⑨R3/380.0923296.4専任
⑩R3/573.8921288.0専任
⑪R3/789.8620北東294.4専属

年月:成約年月、面積:専有面積、階:物件所在階
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
取引:取引態様⇒売主、代理、媒介・仲介(参考記事:取引態様とは SUUMO

都心で売れている定期借地権付きマンション|銀座タワー

銀座タワー外観

銀座タワーは、中央区銀座1丁目に2003年8月に竣工した存続期間50年(2053年8月31日)の定期借地権マンションです。

分譲会社は三菱地所、施工は鹿島建設です。

東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅から徒歩4分、25階建て、総戸数180戸。専有面積は約54~188㎡です。

分譲価格帯は2,880万~33,360万円、最多価格帯は3,000万円台(1,000万円単位・43戸)、平均分譲価格は6,281万円、平均分譲坪単価はおよそ252万円です。

前述の通り都心3区(千代田区、中央区、港区)のマンション価格相場は2021年4~6月の平均坪単価で約452万円です。

一般的に期間が長期の定期借地権マンションの価格は所有権の70%程度と言われているため、所有権の坪単価を452万円としたら定期借地権だと坪単価でおよそ316万円となります。

これも結果論となりますが、分譲時の平均坪単価はおよそ252万円、ほぼ2割引の価格です。

2002年1月と2月に行われた抽選の申込者は1,504件に達し、抽選倍率は最高51倍、平均8.35倍で即日完売しました。

過去1年分の仲介での成約坪単価は約262~376万円です。

銀座1丁目という立地の希少性に加え、以下の表における③の成約物件は高層階の角部屋という眺望の良さもあり、都心3区のマンション相場での2021年4~6月の平均坪単価452万円のおよそ60%~80%台で成約しています。

年月面積方位坪単価取引
①R2/1083.5513南東284.8専任
②R2/1157.068南東262.7専任
③R3/482.5721北東・北西角376.0専任

年月:成約年月、面積:専有面積、階:物件所在階
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
取引:取引態様⇒売主、代理、媒介・仲介(参考記事:取引態様とは SUUMO

出典:三菱地所株式会社|「銀座タワー」全180戸完売

ここまでで都心の定期借地権マンションが活発に流通していることがお分かりいただけたかと思います。

続いては、郊外の定期借地権付きマンションについてはどうかをご覧ください。

郊外で売れている定期借地権付きマンション|コスモ川口戸塚ガーデンフォルム

コスモ川口戸塚ガーデンフォルムは、埼玉県川口市内に2000年2月に竣工した存続期間50年(2050年3月31日)の定期借地権マンションです。

分譲会社はリクルートコスモス、施工は埼玉建興です。

JR武蔵野線・埼玉高速鉄道線東川口駅から徒歩8分、8階建て、総戸数64戸。専有面積は約82~105㎡です。

分譲価格帯は2,898万~4,848万円、最多価格帯は3,000万円台(1,000万円単位・47戸)、平均分譲価格は3,568万円、平均分譲坪単価はおよそ135万円です。

駅徒歩10分圏内という立地の良さに加え、以下の表における①の成約物件は角部屋という眺望の良さもあり、埼玉県中央部のマンション相場での2018年1~3月の平均坪単価119万円のおよそ60%~70%台で成約しています。

年月面積方位坪単価取引
①H22/591.516南東・南西・北西角87.8専任
②H28/485.255南東・南西・北西角77.6専任
③H30/285.255南西83.4売主

年月:成約年月、面積:専有面積、階:物件所在階
坪単価:1坪あたりの価格(価格の単位:万円)
取引:取引態様⇒売主、代理、媒介・仲介(参考記事:取引態様とは SUUMO

都心のみならず郊外でも定期借地権マンションが活発に流通している事例をご紹介いたしました。

続いては、弊社東京テアトルの借地権付きマンション買取実績をご覧ください。

借地権付きマンションの弊社買取実績

ここでは、過去に弊社「東京テアトル」が買取させて頂いた借地権付きマンションの一部をご紹介します。

住所 マンション名 面積 地主 権利 割合 地代
大田区 田園マンション 32.37 個人 旧借 全部 3,646
世田谷区 ヴィルヌーブタワー駒沢 76.65 宗教法人 地上 全部 -
目黒区 ニュー中目黒マンション 32.68 個人 旧借 全部 23,000
墨田区 ニシジマハウジング 47.91 個人 新借 全部 -
足立区 シテヌーブ北千住30 62.81 管理組合 旧借 一部 -

面積:専有面積
権利:借地権の種類、地上→地上権、旧借→旧法借地権、新借→新法借地権
割合:敷地に対する借地権の割合、地代:(価格の単位:円)

定期借地権付きマンション以外は買取実績あり

前項で解説しましたが、旧法借地権や普通借地権付きマンションであれば、借地契約の契約期間が終了しても更新することができます。

一方で、定期借地権では契約の更新ができません。

そのため弊社では定期借地権のマンションは買取対象外なのですが、それ以外の借地権付きマンションについては買取実績があります。

上記の表では、買取事例ごとにどんな借地権の種類か、借地権は敷地の全部か一部か、さらに地代についてもご覧いただけます。

地代が書かれていないマンションは、地代が管理費に含まれており、管理組合がまとめて支払っているケースです。このような物件の場合は直接地代としての支払いはありません。

特に借地権物件が多いエリアに関しては、寺社などの所有地で代々手放さなかった土地であるため、利便性や住環境に優れているということが多くあります。

好立地で定期借地権付き住宅が多いのは、代々寺社などの所有地といった土地の特徴によるものです。

世田谷区のマンション、ヴィルヌーブタワー駒沢は、1699年(元禄12年)創建のお寺(宗教法人)の所有地に建つ地上権のマンションで、地代月額約5,228円は管理費に含まれています。

また、足立区のマンション、シテヌーブ北千住30は全敷地の一部、5%ほどの面積を管理組合が所有しており、管理組合への地代月額77円の支払いが管理費に含まれるといった軽微な内容となっています。

借地権マンションの売却相談は東京テアトルへ

借地権マンションの成約価格は、権利の種類をはじめ、立地を含む様々な要素とともに、販売時の市況にも影響されます。

弊社のマンション買取についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

東京テアトルのマンション買取

借地権付きマンションは売却できる?デメリット、所有権との価格差、中古相場を解説のまとめ

最後に、この記事でご紹介した借地権付きマンションの売却について、まとめていきます。

借地権とは?

借地権とは、建物の所有を目的とする「地上権」または「土地の賃借権」のことです。

地上権は他人の土地においてその土地を使用する物権の性質を持ち、土地の賃借権は土地を借りて利用できる債権の性質を持っています。

詳細はこちらをご覧ください。

借地権付きマンションのメリットは?

土地の価格が所有権に比べて安い「借地権価格」であることが大きなメリットです。同じ予算でもより条件のよい物件に住むことができます。

詳細はこちらをご覧ください。

借地権付きマンションのデメリットは?

地代(借地料)を毎月支払う必要があり、土地価格が上昇すると地代も上昇する可能性があります。詳細はこちらをご覧ください。

借地権付きマンション、売却での注意点は?

借地権付きのマンションを売却する場合、地主の承諾が必要となるケースがあります。

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森田学
(執筆)
森田 学【宅地建物取引士】

1999年東京テアトル株式会社に入社。「テアトルタイムズスクエア」などの映画館の運営スタッフ業務、ラグジュアリーホテル「ホテル西洋銀座」ドアマン業務を経て2008年不動産関連部署に異動、区分所有マンションの売買を担当し現在に至る。

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