ホルムズ海峡封鎖でナフサ不足へ―マンション価格はどうなる?
カテゴリ:売却ノウハウ・注意点
投稿日:2026.04.26

2026年2月末に始まった米・イスラエルとイランの武力紛争に伴うホルムズ海峡の航行制限を背景に、原油供給への懸念が高まり、ナフサの供給不安が現実のものとなっています。ナフサは建築資材の原料として広く使われているため、その影響はユニットバスやクロスなどの内装材にも及び、供給の不安定化が続いています。
実際に現場レベルでは、「今発注してもユニットバスの納期は数ヶ月先になる」といった声も聞かれ、リフォームや新築工事の遅れが顕在化し始めています。
こうした資材不足は建設現場だけの問題にとどまらず、住宅全体の供給にも波及します。結果として、新築・中古を問わず市場全体に影響を与え、中古マンションの価格や需給バランスにも変化が生じる可能性があります。
本記事では、ナフサ不足と建築資材の供給不安を踏まえ、不動産市場への影響と、現在の市況が売却にとってどのような意味を持つのかを解説します。
- 中東情勢の緊張によりナフサ不足が発生、建材供給が不安定化
- 新築やリフォーム工事の先行きが読めず住宅供給全体が滞る可能性
- 「すぐ住める物件(築浅・リフォーム不要)」の希少性が高まる可能性
- 売却ポイント①リフォーム不要・築浅物件は価格上昇の可能性
- 売却ポイント②築古・リフォーム前提物件は要注意
目次
ナフサとは?建築資材との関係
ナフサとは何か
ナフサとは、原油を精製する過程で得られる石油製品の一種で、主にプラスチックや合成樹脂の原料として使われます。
ナフサはユニットバス・クロスにも
住宅においてナフサは、以下のような建材に広く使われています。
- ユニットバス(浴槽・パネル)
- 壁紙(クロス)
- 床材(クッションフロアなど)
- 配管や断熱材
つまり、ナフサは住宅の内装・設備に不可欠な存在です。
ナフサ不足で家が建てられない?
ナフサ不足による建築現場の現状
ナフサ不足の影響は、すでに住宅設備メーカーの動きに明確に表れています。
2026年4月には、住宅設備大手のLIXIL(リクシル)がユニットバスの注文について「納期未定」とする対応を発表しました。注文自体は受け付けるものの、納期を示せない状態となっており、実質的には供給の見通しが立たない状況です。
また、TOTOも一時はユニットバスの新規受注を停止するなど、業界全体で供給が不安定化しています。その後、段階的に受注は再開されたものの、部材不足が続く製品については納期未定のままというケースもあり、完全に正常化したとはいえません。
これらの背景には、中東情勢の影響による原材料調達の不安定化があります。ナフサ由来の部材や溶剤の確保が難しくなり、製品の生産計画自体が立てづらくなっているためです。
実際の建築現場では、こうしたメーカー側の対応を受けて、
- ユニットバスの納期が読めず工事が組めない
- 一部の設備が入らず引き渡しが遅れる
- リフォームの着工自体を見送る
といった影響が出始めています。
特にユニットバスは代替が効きにくく、1つの設備の遅れが全体工程に直結するため、現場へのインパクトは非常に大きいといえます。
ナフサ不足はいつまで続くのか
現時点では、こうした供給不安がいつ解消されるかは見通せない状況です。
TOTOは受注を再開したものの、「部材の調達は依然として不安定」としており、今後も状況次第で供給に影響が出る可能性を示しています。またLIXILも納期未定の対応を継続しており、安定供給には時間がかかると見られます。
そのため、短期的に解消するというよりは、一定期間続く前提で考えるべき状況です。
結果として、
- 新築は予定通り進まない
- リフォームはやりたくてもできない
といった状態が続きやすくなり、住宅市場全体の供給構造にも影響を与えていく可能性があります。
ナフサ不足がマンション市場に与える影響
新築マンションの着工遅延・供給減
資材不足や建築コストの高騰により、新築マンションは
- 着工の延期
- 供給戸数の減少
といった影響を受けています。
リフォーム済み物件の供給減少
新築供給が減る中で、本来その受け皿となるのが中古物件ですが、資材価格の上昇や人件費の増加で
- リフォーム費用の上昇
- 工期の長期化
が発生しています。
その結果、再販を前提としたリフォームが進みにくくなり、新たなリフォーム済み物件の供給は減少する可能性があります。
「すぐ住める物件」の希少化
新築も少ない、リフォームも進まない――
この2つが重なることで、「購入後すぐに住める状態の物件」が市場から減少しています。
本来であれば手間なく入居できるこうした物件は、共働き世帯やリフォーム負担を避けたい層からの需要が高く、供給減少により相対的な価値はさらに上昇。さらに実需の購入に加え、業者による仕入れ対象として選ばれるケースが増えることが考えられます。
結果として、“すぐ住める”という状態そのものが、これまで以上に希少な付加価値となりつつあります。
中東情勢で中古マンション価格はどうなる?
コロナ後の価格上昇と、直近のマンション在庫増加
コロナ前後で中古マンション市場は大きく変化しました。現在のような新築やリフォームに着工できないことにより都心部を中心とした23区の在庫数が大きく減少したことで価格は上昇し、その流れがしばらく続いてきました。
しかし直近では、
- 価格上昇による買い手の減少
- インフレの進行による購買力低下
- 外国人投資家の様子見姿勢
- タワーマンションの販売鈍化
などが重なり、市場はやや停滞気味となっています。
東京都23区を中心としたの中古マンションの在庫状況を見ても、在庫数はコロナ禍で一時的に約2万件前後まで減少しましたが、その後は徐々に回復し、直近では増加傾向にあることがわかります。
| 年/月 | 件数 | 価格(万円) |
|---|---|---|
| 19/12 | 26,454 | 4,197 |
| 20/01 | 26,694 | 4,226 |
| 20/02 | 26,637 | 4,223 |
| 20/03 | 25,866 | 4,241 |
| 20/04 | 25,888 | 4,249 |
| 20/05 | 25,932 | 4,267 |
| 20/06 | 25,351 | 4,268 |
| 20/07 | 24,616 | 4,278 |
| 20/08 | 23,846 | 4,279 |
| 20/09 | 22,880 | 4,286 |
| 20/10 | 22,198 | 4,310 |
| 20/11 | 21,547 | 4,271 |
| 20/12 | 21,326 | 4,255 |
| 年/月 | 件数 | 価格(万円) |
|---|---|---|
| 25/03 | 22,948 | 6,635 |
| 25/04 | 23,076 | 6,852 |
| 25/05 | 23,277 | 7,011 |
| 25/06 | 23,188 | 7,229 |
| 25/07 | 23,271 | 7,455 |
| 25/08 | 23,148 | 7,554 |
| 25/09 | 22,795 | 7,728 |
| 25/10 | 22,722 | 8,031 |
| 25/11 | 22,691 | 8,294 |
| 25/12 | 22,921 | 8,513 |
| 26/01 | 23,967 | 8,699 |
| 26/02 | 24,449 | 8,731 |
| 26/03 | 24,569 | 8,986 |
2026年の中東情勢がマンション市場の次の転換期となるか
一方で、足元では新たな懸念が浮上しています。前述した昨今の原油不足により、ユニットバスなど住宅設備の供給が滞り、現在発注しても数ヶ月先まで納品できないケースも出ています。
この影響により、
- リフォーム工事の遅延・停止
- 新築供給の停滞
といった供給制約が現実化しつつあります。
つまり、「作りたくても作れない」状況に入り始めており、これが次の価格変動の引き金になる可能性があります。
リフォーム不要・築浅物件は価格上昇の可能性
今後想定される動きとして、
- 消費者による新築・築浅物件の購入加速
- 不動産業者による「リフォーム不要物件」の仕入れ強化
が挙げられます。結果として、
- 即入居可能な新築・築浅物件の在庫は急減
- 希少性の高まりにより価格が再上昇する可能性
が考えられます。
築古・リフォーム前提物件は価格差拡大のリスク
一方で、築年数が古くリフォームが前提となる物件は注意が必要です。
これまで主な買い手であった買取業者が、
- 工事リスク
- 納期不透明
を理由に仕入れを控える可能性があります。
その結果、
- 買い手の減少
- 築浅物件との価格差拡大
といった動きが起きることも想定されます。
中東情勢を受けマンションを売るべきか?判断ポイント
高値売却が狙える物件の特徴
以下のような物件は、今回の市況で有利に働く可能性があります。
- リフォーム不要
- 築浅
- 室内状態が良好
早めの売却を検討すべきケース
以下に該当する場合は、比較的早い意思決定が重要になる可能性があります。
- リフォーム前提の物件
- 設備の老朽化が進んでいる物件
こういった物件は、購入後にリフォームが必要になるケースが多く、現在のように資材不足や工期の長期化が続く局面では、買い手にとって負担が大きくなりやすい傾向があります。リフォームコストや工期の不透明感が強い局面では、買取業者側もリスクを取りづらくなり、仕入れを一時的に抑える判断をする可能性があります。そのため、建築資材不足の影響がさらに広がる前に売却を検討することが、結果的に有利に働く可能性もあります。
様子見も選択肢となるケース
一方で、
- 築浅物件
- リフォーム不要・室内状態が良好な物件
については、慌てて売却する必要はなく、しばらく市場の動向を見極めるのも一つの戦略です。
ただし、今後の売却に備えて、
- 室内を丁寧に使用する
- 次の購入者が気持ちよく住める状態を維持する
といった点は重要になります。
市況が不透明なときの戦略
現在の市況は、原油をめぐる供給不安の影響により、今後より不透明な状況になっていく可能性があります。
そのため、
- 複数社での査定取得
- 市場データの定期的な確認
を行いながら、柔軟に売却戦略を検討することが重要です。
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2026年、中東情勢の緊張は売却チャンスになるのか
今回の原油不足を起点とした供給不安は、
- 新築供給の停滞
- リフォーム遅延
- 即入居可能物件の希少化
を引き起こす可能性があります。
これにより、
- 築浅・リフォーム不要物件は価格上昇の余地
- 築古・リフォーム前提物件は需要減少リスク
という「二極化」が進む可能性があります。
不動産市場はいま、大きな転換点に差し掛かっている可能性があります。
今後の動向次第では、数ヶ月で市場の景色が変わることも十分に考えられます。
ご自身の物件タイプに応じて、最適なタイミングを見極めることが重要です。
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