築古マンション売却で後悔しない不動産会社3選と築40~50年の売却相場

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2025.08.05

築古マンション売却で後悔しない不動産会社3選と築40~50年の売却相場
こちらのイメージは生成AIにより作成されました

築40〜50年の築古マンションを売却したいけど、どこに頼んだら分からない。変な不動産会社に頼んで安く買い叩かれて後悔したくないと考えている方のために、築古マンション売却で後悔しないための不動産会社3選紹介します。この記事は売主目線で、最短で判断できるように「仲介/買取の違い」→「築古売却で後悔しないための不動産会社3選→「築40〜50年の売却相場」→「高く・早く売るコツ」までを一気通貫でまとめました。すぐ会社を見たい方は不動産会社3選へどうぞ。

この記事でわかること
  1. 築古の買取に強い業者3選をデータから紹介
  2. 築40~50年の売却相場を住宅地・商業地で解説
  3. 旧耐震もデータ上実際に売れている
  4. 今後10年で築40年以上の築古は2倍に急増!

目次

築古マンションの売却方法は仲介と買取

マンションの売却方法は「仲介」「買取」の2つがあります。

①仲介

最もよく知られた方法で、不動産会社が広告やポータルサイトを通じて個人の買主を探し出し、売主と買主を仲介します。 

②買取

マンションを買い取って再販することを目的とした、買取業者に売るという方法もあります。この場合、さらに2つのパターンに分かれます。

  1. 仲介会社経由で買取業者が買い取る
  2. 買取業者が直接買い取る(=直接買取)
項目①仲介②-1買取
(仲介経由)
②-2買取
(直接買取)
売却相手個人買取業者買取業者
売却価格
売却期間3-6か月1-2か月5-30日
売却活動必要不要不要
仲介手数料ありありなし
売却後リスクあり原則免責原則免責

※②-1は複数の買取業者に声をかけるため一般的に買取価格は②-2より高くなります。ただし、仲介手数料が発生するため手取りの観点ではケースバイケースです。

築古マンションの売却は仲介と買取どっち?

築古マンションを売却する際、「仲介」と「買取」どちらが適しているのかは、多くの方が気になるポイントです。ここでは、それぞれの方法が向いているケースの特徴を整理します。

仲介が向いているケース

  • 管理・修繕履歴がしっかり、駅距離や眺望など推せる強みがある
  • 価格を最大化したい/値引き交渉も含めて時間と手間は許容できる
  • 直近で大規模室内リフォームをしていて買主が住むイメージができる

買取が向いているケース

  • 期日が決まっている(住み替え・納税・相続整理など)
  • 室内の残置物が大量にあったり、内見対応が難しい
  • 老朽化による設備不良・配管不安がある
  • 旧耐震で金融機関のローン通過が読みにくい

結論

上記の条件を踏まえると、一般的な築古マンションの売却では、「買取」が適しているケースが多いといえます。
特に築年数が経過し、修繕や設備面で懸念がある場合は、仲介よりも買取のほうがスムーズかつ確実に売却できる可能性が高まります。

築古マンション売却で後悔しない不動産会社3選

築古マンションの買取が得意な不動産会社とそうでない会社があります。そこで、築古マンション売却で後悔しない不動産会社3選を紹介します。選択基準は、リフォーム産業新聞が発表する「買取再販年間販売戸数ランキング2025」を参考に、「平均買取築年数が高い業者」を選びました。

東京テアトル

築古マンションの買取が得意な業者3選/東京テアトル
マンション売却相談センターHPより

東京テアトルの強み・特長

東京テアトルは、1946年に設立され1949年に東証上場、看板事業の映画興行・配給や焼き鳥屋も営む異色のマンション買取業者です。

買取マンションの平均築年数は39年です。

築古マンションの買取に強みを持つ東京テアトルは、築古だけでなく首都圏、関西圏、名古屋の下記のような少し難あり物件も積極的に買い取ります。

  • 駅徒歩15分超・バス便
  • 敷地が借地権・地上権
  • 専有面積40㎡未満~30㎡超
  • エレベーター無し
  • 自主管理
  • 孤独死物件
  • 事故物件

東京テアトルの口コミ・評判

  • レスポンスが早く、こまめに連絡をいただいていました。また、こちらの要望や取引の価格についても、ほぼ言い値での取引となり、何のストレスも感じることなく、最初から最後まで取引をすることができました。出所:おうちの語り部
  • 提示額が、他の業者よりも多めだったことも大きいです(もう少々多くを望んでおりましたが、それが上限である旨の説明も納得がいくものだったと思います)出所:不動産を売却したお客様の声・良い評判

東京テアトルのお客様の声

タイセイハウジーリバース

築古マンションの買取が得意な業者3選/タイセイ・ハウジーリバース
出所:タイセイ・ハウジーリバースHP

タイセイ・ハウジーリバースの強み・特長

タイセイ・ハウジーリバースは、2009年に設立、賃貸管理大手のタイセイ・ハウジーのグループ会社です。

買取マンションの平均築年数は38年です。

タイセイ・ハウジーリバースの口コミ・評判

タイセイ・ハウジーリバースの口コミ・評判を詳しく見る>>

あなぶきグループ(穴吹興産)

築古マンションの買取が得意な業者3選/あなぶきグループ(穴吹興産)
出所:あなぶきグループ(穴吹興産)HPより

穴吹興産は、主力である分譲マンション事業をはじめとして、区分マンション投資事業や一棟収益マンション販売などを行う大手不動産会社です。本社が香川県にあるのも特色です。

買取マンションの平均築年数は35.7年です。

2024年6月期の決算短信によると1,195戸の賃貸中マンションを保有、穴吹興産は大手リースバック業者です。

築40~50年マンションの売却相場

売却を依頼する不動産会社の目星はついたと思います。次に、「いくらで売れるのか」が最も気になる点でしょう。ここでは、築年数の経過とともに売却価格は下がり続けるのか?築40~50年の築古マンションの売却相場を住宅地と商業地にわけて解説します。

築年とともに売却価格は下がり続けるのか?

築古マンションは時間の経過とともに売却価格が下がり続けて最後にはなくなるのでしょうか?

結論から言うと、築年数の経過とともに売却価格は下げ止まります。

なぜそうなるのでしょうか。ポイントは「マンション価格=土地+建物」。経年で価値が目減りするのは主に建物部分であり、土地は「築年数」で減価しません。売却価格が下がりきった先は、価格全体に占める「土地(立地)・管理状態・リノベ適性」など築年に左右されにくい要素のウエイトが大きくなります。実際に首都圏の築年数別の価格を見てみましょう。

グラフ①首都圏の築年帯別平均価格

下記は、【2024年1月~2024年12月】の築年数ごとの平均価格のグラフです。

築浅で高値→築20年台まで段階的に下落し、築31年以降は低位安定。

グラフ①首都圏の築年帯別平均価格【2024年1月~12月】
出典:東日本不動産流通機構(REINS)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)「中古マンション成約物件、築20年超の比率は全体の過半の53%」より当社が独自に作成

グラフ②首都圏の築年帯別平均㎡単価

グラフ①における面積差をならした指標です。築31年以降はこちらも低位安定しています。

グラフ②首都圏の築年帯別平均㎡単価【2024年1月~12月】

以上のように、築30年あたりから平均成約単価は安定します。新築と同じ金額で売却は難しいですが、築古マンションも一定の金額では売却可能なのでご安心ください。

築40~50年マンション売却相場<住宅地編>

それでは、築40年超のマンションは実際にいくらで売却されているのでしょうか。そして本当に価格は横ばいになっているのでしょうか。2025年上半期に売却された築44年以上のマンションのデータを見てみましょう。

今回「築44年以上」で抽出したのは、2025年上半期時点における、おおむね旧耐震~新耐震移行期にあたるラインだからです。第一章でご説明したように、旧耐震であるかどうかというのは一つの基準となります。そのため、「より価格が低くなると想定される旧耐震の築古」の価格を把握する目的で抽出しています。

練馬・世田谷・杉並の築古マンション売却相場

住宅地編では、 練馬・世田谷・杉並の3区 に絞って分析しています。

これらの区は戸建て・マンションを問わず住宅地が広く分布し、築古ストックの流通量も多いため、「住宅ニーズを反映した実勢を把握しやすい」という実務的メリットがあります。また、首都圏全域を対象にすると数が多すぎて傾向がぼやける恐れがあるため、“住宅地を代表する3区”にフォーカスしました。

築年帯成約件数成約中央価格
(万円)
成約平均価格
(万円)
平均面積
(㎡)
成約平均単価
(万円/㎡)
築44‑48年1183,2003,56053.664.9
築49‑53年1443,1603,38051.863.8
レインズ成約DATAより(練馬区・世田谷区・杉並区)より弊社が編集 期間:2025年1月~2025年6月

※売却相場の計算例
住宅3区の 築44‑48年帯 は平均単価 64.9万円/㎡。
所有物件の面積が60㎡なら 64.9×60㎡ ≒ 3,890万円  が相場の目安、というイメージです。

①売却価格・単価差はごくわずか

中央価格:3,200 万円 → 3,160 万円(▲40 万円)

平均価格:3,560 万円 → 3,380 万円(▲180 万円)

平均単価:64.9 → 63.8 万円/㎡(▲1.1 万円/㎡、約▲1.7%)

⇒ 築年数が5年進んでも価格水準はほぼ横ばい。住宅3区では築50年前後の差は大きなディスカウント要因になりにくい。

面積もほぼ同じ

平均面積:53.6㎡ → 51.8㎡(▲1.8㎡)

⇒ この年代帯のストックは、専有面積にほぼ差がなく「広さ」での優劣がつきづらい。

件数は築49‑53年帯が多い

118件 vs 144件で約+20%。取引量が維持されている=買い手ニーズも継続的に存在している。これは、築古になっても、価格の値ごろ感が出るため、人気のある住宅地では築50年前後でも需要があることを示唆しています。

築40~50年マンション売却相場<商業地編>

次に、商業地の築築40~50年超のマンション売却相場について調べてみましょう。

港区・中央区・千代田区の築古マンション売却相場

商業地編では、 都心3区(港区・中央区・千代田区) に絞って分析してみます。

築年帯成約件数成約中央価格
(万円)
成約平均価格
(万円)
平均面積
(㎡)
成約平均単価
(万円/㎡)
築44‑48年1413,8205,93845.5114.5
築49‑53年552,4804,06736.2102.4
レインズ成約DATAより(港区、中央区、千代田区)より弊社が編集 期間:2025年1月~2025年6月

①売却価格・単価ともに大きく下落

中央価格:3,820 万円 → 2,480 万円(▲1,340 万円)

平均価格:5,938 万円 → 4,067 万円(▲1,871 万円)

平均単価:114.5 → 102.4 万円/㎡(▲12.1 万円/㎡、約▲11%)

面積は大きく減少

平均面積:45.5㎡ → 36.2㎡(▲9.3㎡)約▲20%

⇒ 平均面積が約2割も小さくなった背景には、都心部の住宅事情があります。都心は、ワンルームや1LDKの需要があり、特に築古のマンションほど、コンパクトな部屋の供給割合が多くなります。その結果、平均面積の違いが表れています。

件数は築49-53年帯はかなり少ない

今回の調査では、築49-53年帯の成約事例はかなり少ない結果となった。これは、建築当初は、需要の旺盛だったコンパクトな住戸の供給割合が多いが、現在は30㎡以下のコンパクトな住戸の需要は乏しく、売りづらい。一方で、相対的に需要の高い30㎡以上の住戸の件数が少ないため、成約件数が少ないと推測されます。

築40~50年のマンション売却相場まとめ

グラフ①首都圏の築年帯別平均価格の通り、築年数が進んでも、築30年を超えると価格はおおむね横ばいで推移する傾向にあります。但し、住宅地と商業地では若干異なる結果となりました。住宅地は概ね横ばいで推移していますが、商業地は築古になるほど▲11%とやや下落があるように見えます。しかし、これは現在需要の乏しいコンパクト住戸の単価も加味されているためと推測されます。

ここで得られる最も重要な教訓は、「立地さえ良ければ安心、ではない」ということです。いくら人気のある都心部でも、「現在の市場ニーズに合わない物件(例:30㎡以下のコンパクト住戸)」は、築年数とともに価値が下落し続けるリスクをはらんでいます。

逆に言えば、たとえ築年数が古くても、「今の時代に求められる広さや間取り」を持っていれば、売却価格は下げ止まり、安定した価格で売却できる可能性が高いのです。

これから売却を考える方も、購入を検討する方も、「築年数」という一つのものさしだけで判断するのではなく、「立地」×「市場ニーズ」という掛け算で物件の価値を見極めることが、成功への鍵となります。

築古マンションは売れるのか?

築古マンションは売れます。ただし、1981年の耐震基準が売れる可能性を大きく左右します。ここでは、売却が最も困難とされる「築40年~50年マンション(旧耐震の可能性が高い物件)」に焦点を当て、具体的なデータに基づき、築古マンションが実際に売買されている現実をお伝えします。

築40~50年マンションの実際の売れ行きは?

築40~50年マンションは、本当に売却難易度が上がるのでしょうか?

実際のデータを見てみましょう。下記は、東日本不動産流通機構(REINS)のデータより当社が独自に作成した 成約率 (=成約件数 ÷ 登録件数)のグラフです。

出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)「中古マンション成約物件、築20年超の比率は全体の過半の53%」

首都圏の築年帯別成約率
首都圏の築年帯別成約率 期間:2024年1月~2024年12月 

築30年を超えたあたりで下げ止まっていますが、確かに、築年数の経過とともに成約率は低下する傾向にあります。このデータだけを見ると、旧耐震はもちろん、築30年以上の築古マンションは売れにくいのかと感じるかもしれません。

しかし、成約率だけでは市場の全体像は見えてきません。実際の取引量を見てみましょう。

取引件数の約4割は、築古マンション!

では、件数で見てみるとどうでしょう。同じく、東日本不動産流通機構(REINS)のデータ首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況 より当社が独自に作成したグラフを見てみましょう。

首都圏の築年帯別成約件数
首都圏の築年帯別成約件数 期間:2025年4月~2025年6月

直近のデータである2025年4月~2025年6月の首都圏におけるマンション売買件数は合計12,086件でした。そのうち、築30年を超える築古マンションの成約は4,754件にのぼり、全体の約40%を占めています。

さらに深掘りし、同期間に1981年以前の旧耐震基準で建てられたマンションの成約数を調べたところ、実に1,235件もの取引がありました。確かに、新しい物件に比べて成約率は落ちる傾向にありますが、これらのデータが示す通り、条件の厳しい旧耐震マンションでさえ、数多く売買されているのが現実です。

つまり、日本のマンション市場の大半が築古マンションであり、築古マンションだから売れないという事はありません!

10年後、築40年超マンションは「供給過多」の時代へ

現在の市場データと一定の需要者層の存在を確認して「まだ売るのは大丈夫」と安心するのは危険です。本当に目を向けるべきは、10年後、20年後に訪れる市場の激変です。

国土交通省が2025年8月5日に更新したこちらの衝撃的なデータをご覧ください。

分譲マンションストック数の推移(2024(令和6)年末現在)
分譲マンションストック数の推移(2024(令和6)年末現在)

このグラフが示す通り、築40年以上のマンションは、今後10年で現在の約2倍(293万戸)、20年で約3.3倍(482万戸)にまで急増すると見込まれています。

その結果、現在の成約率カーブに見られる旧耐震マンションのゾーンが、今よりももう一段階、明確に下落する可能性が非常に高いでしょう。

将来の供給を知ったからこそ、築古マンション、特に旧耐震のマンション売却について真剣に検討することをおすすめいたします。

築古マンションを高く・早く売る7つの方法

築古マンションの売却は、新築や築浅物件とは異なり、専門的な戦略と知識が求められます。闇雲に売りに出しても、時間だけが過ぎて価格を下げざるを得ない…という事態に陥りかねません。

ここでは、数多くの築古物件を取り扱ってきたプロの視点から、売却の成功確率を飛躍的に高める「7つの具体的な方法」を伝授します。

複数社査定で「売却の物差し」を手に入れる

まず、最初に行うべき最も重要なステップがこれです。1社の査定額だけを鵜呑みにするのは、羅針盤を持たずに航海に出るようなもの。その価格が本当に適正なのか、安すぎないか、あるいは高すぎて売れ残るリスクはないか、判断する基準がありません。

最低でも2社に査定を依頼し、各社の査定額とその根拠を比較検討しましょう。これにより、あなたのマンションの客観的な価値、つまり「売却の物差し」を手に入れることができます。この物差しがあるからこそ、後述する不動産会社選びや価格戦略を、自信を持って進めることができるのです。

査定を依頼する際は、以下の質問を必ずしてください

「築古マンションの取扱実績はどれくらいありますか?」
「この物件の強みと弱みを教えてください」
「売却期間の目安はどれくらいですか?」
「買取も可能ですか?買取価格はいくらですか?」

この4つの質問への回答で、その会社が築古に強いかどうかが判断できます。曖昧な回答しかできない会社は避けましょう。

築古に強い不動産会社をパートナーにする

不動産会社ならどこでも同じ、ではありません。特に築古マンションの売却では、会社選びが成功の9割を決めると言っても過言ではありません。

築古に強い不動産会社は、以下のような点で普通の会社と異なります。

  • 価値評価の視点: 築年数だけでなく、「土地の権利」「管理状態」「建物の構造」「リノベーションのポテンシャル」といった多角的な視点から物件の真の価値を評価できる。
  • 独自の販路: リノベーション目的の個人や、利回りを重視する投資家など、築古物件を積極的に探している独自の顧客リストを持っている。
  • 経験と知識: 契約不適合責任や税金といった、築古特有のトラブルや手続きに関する豊富な経験と知識がある。

築古に強い不動産会社の見分け方

✅ ホームページに築古物件の売却事例が豊富に掲載されている
✅ 「リノベーション」「投資物件」のページがある
✅ 査定時に建物の構造や管理状況について詳しく質問してくる
✅ 「買取」も選択肢として提案してくれる
✅ 契約不適合責任について具体的な説明ができる

逆に避けるべき会社

❌ 「古すぎて難しい」と最初から消極的
❌ 「とりあえず価格を下げましょう」しか提案しない
❌ 新築・築浅物件ばかりを扱っている

会社のウェブサイトで「築古物件の取扱実績」を確認したり、査定時の担当者の知識レベルを測ったりして、信頼できるパートナーを慎重に見極めましょう。

大規模リフォームは不要!「現状のまま」を武器にする

「高く売るために、キッチンやお風呂をリフォームした方が良いですか?」という質問をよく受けますが、答えは「NO」です。

数百万円かけてリフォームしても、その費用を売却価格に上乗せできるとは限りません。また、買い手は自分の好みにリノベーションしたいと考えていることが多く、良かれと思って行ったリフォームが、逆に敬遠される原因にすらなります。

ただし、以下の「最小限の投資」は効果的です:

【費用10万円以内で効果大】

・プロのハウスクリーニング(特に水回り):3-5万円

・壁紙の部分補修(目立つ傷や汚れのみ):2-3万円

・電球・蛍光灯をすべて新品LED電球に交換:1-2万円

・玄関ドアの清掃・ワックスがけ:5,000円 ~

【やってはいけないリフォーム】

・キッチン・バス全体の交換:数百万円かけても回収困難

・フローリング全面張替え:買主の好みと合わない可能性

・間取り変更:大規模すぎて費用対効果が悪い

高額なリフォームはせず、「自分好みの空間を一から創れる、自由度の高い素材です」と、現状のままをポジティブな武器としてアピールしましょう。

「管理状態の良さ」を書類で証明

築古物件の購入希望者が最も恐れているのは、「見えない部分の劣化」です。「耐震性は大丈夫?」「大規模修繕はちゃんとやってる?」といった不安は、必ず聞かれると思って間違いありません。しっかり準備して内見に備えましょう。

内覧時に準備すべき書類チェックリスト:

【必須書類】

□ 長期修繕計画書(10-30年計画)

□ 修繕積立金残高証明書

□ 直近3年分の総会議事録

□ 管理費・修繕積立金の変遷表

【あると有利な書類】

□ 大規模修繕の施工写真・報告書

□ 耐震診断結果(実施済みの場合)

□ 管理組合の財務状況報告書

□ 共用部の清掃・点検記録

内覧時にこれらの書類を揃えて提示し、「計画的に修繕が行われていること」「住民の管理意識が高いこと」を証明できれば、買い手の信頼感は一気に高まります。口頭での「大丈夫ですよ」という一言より、一枚の公式な書類の方が、何倍も説得力を持つのです。

市況と季節を読む「売却タイミング戦略」

不動産には、売れやすい「旬の時期」があります。季節や金利その他の要素も含めて解説します。

築古マンション売却のベストタイミング:

季節戦略

・1-3月:転勤・進学シーズンで需要増。ただし競合も多い

・4-6月:競合が減り、じっくり検討する層にアプローチ可能

・9-10月:転勤シーズン第2波。投資家の動きも活発

・11-12月:年内決済を急ぐ買主に有利な条件で売却可能

築年数戦略

築49年→築50年の切り替わり前が狙い目。「築40年台」で検索する層を取り込める。

金利・市況戦略

住宅ローン金利上昇前、増税前など、買主の購入意欲が高い時期を狙う。不動産会社と相談し、3-6ヶ月先の市況予測を聞いておきましょう。

ただし、最も重要なのは「売りたい」と思ったご自身のタイミングです。専門家と相談し、市場のトレンドを理解した上で、最適な売り出し時期を戦略的に決めましょう。

「買取」という切り札を常に用意しておく

買取とは、不動産会社が直接あなたの物件を買い取る方法です。仲介より価格は安くなる傾向がありますが、「すぐに現金化できる」「内覧対応が不要」「売却後のトラブルがない」という絶大なメリットがあります。

なお、買取業者にも築古マンションが得意な業者とそうでない業者が存在します。方法2と同様に築古物件の取扱実績(買取実績)を確認して信頼できる買取業者を探しましょう。

買取価格の目安をシュミレーション

買取価格は、売却の物差しで仲介会社からが算定した市場価格の8割程度が目安と言われています。もちろん物件の状態やエリアによって変動しますが、この水準を大きく下回る査定額を提示された場合は、その根拠を詳しく確認する必要があります。

【具体的な買取価格例】
例えば、仲介で個人に対して3,000万円で売却できるマンションの場合:

・3,000万円×0.8=買取価格 約2,400万円→ 600万円の差

この市場価格と差額分で、「時間」「確実性」「手間の省略」を買うのが買取です。

トラブルを回避する契約不適合責任の知識

最後に、築古物件の売却で絶対に知っておかなければならないのが「契約不適合責任」です。これは、売却後に物件にシロアリ被害や雨漏りなど、契約書に書かれていなかった欠陥(不具合)が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

契約不適合責任でよくあるトラブル実例

【雨漏り】売却後に発覚→修繕費50万円を請求される

【給排水管の詰まり】売却3ヶ月後に発覚→配管工事費30万円を請求される

【シロアリ被害】床下点検で発覚→駆除・修繕費80万円を請求される

これらを防ぐ具体的対策

✅ ホームインスペクション(住宅診断)を売却前に実施:5-10万円

✅ 物件状況報告書に不具合を明確に記載して、当該箇所に関して免責になる。

✅ 契約書に「築○年の物件のため、経年劣化による不具合は免責」の特約を入れる または、契約不適合責任が完全に免除される「買取」を選択するのも有効な戦略です。

といった対策が有効です。そして、この契約不適合責任が原則として「免責」されるのが、前述した「買取」という売却方法です。売却後の心配から完全に解放されたいと考えるなら、買取は極めて有力な選択肢となります。

古いマンションで売れない場合の解決策

今まで古いマンションでも売れるという事を説明してきましたが、それでもまだ不安な方もいらっしゃると思います。そこで古いマンションで売れない場合の3つの解決策について、解説します。

賃貸運用で家賃収入を得る選択肢

売却が難しいなら、所有権を維持しつつ賃貸に出して家賃収入を得る方法も有効です。

  • メリット: 収入で負担軽減、将来的な売却可能性も残せます。
  • デメリット:リフォーム費用、空室リスク、家賃設定の制約、管理の手間が発生します。

収支シミュレーションの徹底を

家賃収入からリフォーム費、管理費、税金、手数料などを差し引き、毎月プラスになるか、赤字が続くかを詳細にシミュレーションしましょう。これは、賃貸管理専門の不動産会社に相談するのが最も確実です。地域の相場や費用に基づき、現実的な収支計画を立ててくれます。

所有権の手放し方

流動性のあるエリアであるなばら賃貸運用や売却も可能ですが、マンション需要の低いエリアでかつ、築古マンションの査定額を左右する5つの要素をどれも満たさないマンションの場合は、管理費修繕費と固定資産税だけが無駄にかかってしまいます。とにかく手放したい場合の最終手段としては下記の2つが考えられます。

  • 「負動産」からの解放:相続放棄(相続時のみ)

相続する方のみの選択肢です。故人の全財産を放棄することで、売れないマンションの負担から解放されます。ただし、他のプラス財産も全て放棄します。相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てが必要です。

  • 寄付の現実(非常に困難) 

マンションを自治体や個人に寄付することは、管理負担があるため、受け入れられることは極めて困難です。現実的な選択肢ではありません。

マンション買取業者に売却

どうしても売れない時、ここで「買取」という切り札を常に用意しておくが生きてくるのです。

築年数が古いマンションは、資産価値の低下や老朽化の印象から、どうしても売れないケースが出てきます。特に個人の買主は、購入後の修繕コストやリフォームのイメージがつきにくく、購入をためらう傾向にあります。

しかし、買取なら不動産会社がリフォーム前提で購入してくれるため、売主は現状のままで売却が可能です。結果として、築古マンションでは「時間・手間・価格」のバランスから見て、買取のほうがスムーズで現実的な選択となるケースが多くあります。

築古マンション売却 Q&A

ここからは、築古マンションの売却や購入に関して、多くの方が疑問に思う点や検索でよく見られるキーワードについて、Q&A形式で解説していきます。あなたの疑問解決の一助となれば幸いです。

Q. 築古マンションを売却した時の利益は?

売却益が出た場合:払う税金と減らす方法

マンションを売却して利益が出た場合、その利益には「譲渡所得税」がかかります。これは、所得税と住民税を合わせたものです。

1. 利益ってどう計算するの?

利益は、「売却金額」−「買った時の費用」−「売るためにかかった費用」 で計算します。

  • 売却金額: マンションをいくらで売ったか。
  • 買った時の費用: 購入代金や仲介手数料、登録費用など。建物の古くなった分の価値(減価償却)も考慮します。
  • 売るためにかかった費用: 売却時の仲介手数料、印紙税など。

この計算でプラスになった分が「利益」です。

Q. 売却時の費用は何があるの?

築古マンションの売却では、売却価格だけでなく、手元に残る「手残り額」を正確に把握することが重要です。売却には様々な費用や税金がかかりますが、控除特例還付制度を賢く利用することで、手残りを最大化できる可能性があります。

売却時にかかる費用一覧

発生条件費用項目概要目安・計算式
必ず発生印紙税売買契約書に貼付する収入印紙
(2027年3月31日までの軽減措置適用)
売却価格1,000万円超5,000万円以下は1万円 など段階課税
仲介会社を利用して売却する場合仲介手数料不動産会社への成功報酬(売却価格×3%+6万円)×消費税
売却時点で抵当権が残っている場合抵当権抹消登記費用登記簿から抵当権を外す費用総額3万円前後
売却代金で住宅ローンを一括返済する場合住宅ローン繰上げ返済手数料金融機関への一括返済手数料0〜5万円程度(ネット銀行は無料が多い)

Q. 税金の割合(税率)はどれくらい?

売却した年の1月1日時点でのマンションを所有していた期間が…

5年超の場合⇒20.315% (所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

5年以下の場合⇒39.63% (所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)

このため、5年以下での売却はまずおすすめできません

仮に5年超保有しているマンションを売却したら利益が5,000万円の場合の税金は、

5,000万円×20.315%≒1,015万円になります!!

Q.税金の特例はないの?

特にマイホームを売却した場合に、税金を大きく減らせる特例があります。

A. マイホーム3,000万円特別控除

マイホームを売った場合、利益から最大3,000万円まで税金がかからなくなります。利益が3,000万円以下なら、税金はゼロになります。

注意:一定の条件を満たす必要があるので確認しましょう。

B. マイホームの税率優遇(10年超所有の場合)

マイホームを売却し、所有期間が10年を超えている場合、上記の3,000万円控除を使った後の利益のうち、6,000万円までの部分の税率が14.21%に下がります。

C. マイホーム買換え特例

マイホームを売って、新しいマイホームに買い換える場合に、一定の条件を満たせば、譲渡所得税の支払いを将来に繰り延べられます。

注意:税金がなくなるわけではなく、支払いを先送りにできる制度です。また、買換え先の物件価格が売却物件の価格以上であることなど、厳しい要件もあるので確認しましょう。

【重要】 これらの特例は、確定申告をしないと適用されません。売却の翌年に忘れずに手続きしましょう。

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(著者
今井 俊輔【不動産鑑定士宅地建物取引士

2006年東京テアトル株式会社に入社。不動産鑑定により培った「理論」と不動産取引実務の「経験」に基づき、一棟オフィスビルをはじめ多岐にわたる不動産物件の売買に携わる。現在は管理職として区分所有マンション担当若手社員の育成にも力を注ぐ。

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