ライオンズマンションの評判・特徴と分譲会社大京の会社概要などを解説

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2024.09.09

ライオンズマンションの評判・特徴と分譲会社大京の会社概要などを解説
■ライオンズマンション井土ヶ谷第6/出所:物件写真.net

目次

ライオンズマンションとは

ライオンズマンションの分譲会社は大京

ライオンズマンションは、東証プライム市場に上場するオリックス株式会社のグループ会社である株式会社大京が分譲していたマンションブランドです。

ライオンズマンションシリーズの供給戸数はNO1

大京のライオンズマンションシリーズは、事業開始から全国で計350,186戸分譲され(~2023年12月)、累計供給戸数ランキング業界NO1を誇ります。

ライオンズマンションとは/ライオンズマンションシリーズの供給戸数はNO1
出所:大京ウェブサイト

シリーズ第1号は「ライオンズマンション赤坂」

大京のライオンズマンションシリーズの第1号は1968年に分譲された「ライオンズマンション赤坂」です。「ライオンズマンション赤坂」は、現在でもヴィンテージマンションとして有名です。

大京は、50年以上のマンション供給の歴史を有するマンション業界の老舗です。

ライオンズマンションとは/シリーズ第1号は「ライオンズマンション赤坂」
出所:ザ・ライオンズ公式facebookページ

大京のマンションブランド

大京のマンションブランドは、ライオンズマンション、ザ・ライオンズ、ライオンズアイル、ライオンズヴィアーレ、ライオンズヴィラッジオ、ライオンズガーデン、ライオンズガーデンシティ、ライオンズガーデンテラス、ライオンズガーデンヒルズ、ライオンズシティ、ライオンズステージ、ライオンズステーションタワー、ライオンズステーションプラザ、ライオンズタワー、ライオンズテラス、ライオンズヒルズ、ライオンズプラザとライオンズを冠したものだけで17種あります。

そのほかでは、アルト、エルザ、エルラフィナ、グランジオ、グレンセリオン、グランフォート、グリーンティアラ、グリーンプラテア、クロスフォート、シルエ、スカイタワーエグゼ、ソルジェガーデン、ネクサスガーデン、フォレストレイクなどがあります。

さすが業界NO1の供給実績を誇る大京だけあって、ブランド名も豊富です。

ライオンズマンションとは/大京のマンションブランド

ライオンズマンションの大京

ライオンズマンションを分譲する大京の詳細を解説していきます。

大京の会社概要

大京の会社概要は以下の通りです。

会社名:株式会社大京

所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷

資本金:1億円

売上高:522億円(2023年3月期)

従業員数:450名(2023年3月、マイナビ2025から)

設立:1964年(旧大京観光株式会社)

1984年に東京証券取引所市場第1部(当時)に上場しましたが、2019年にオリックス株式会社が全株式を取得し上場を廃止しています。

出所:官報決算データベース|第99期決算公告 株式会社大京(2023年8月7日官報掲載)

大京の沿革

大京の創業から現在までの歩みは以下の通りです。

1960年:横山修二が株式会社大京商事創業

1964年:大京観光株式会社設立

1968年:シリーズ第1号「ライオンズマンション赤坂」発売

1969年:マンション管理会社 大京管理株式会社(現株式会社大京アステージ)設立

1978年:マンション発売戸数で初の業界第1位

1984年:東京証券取引所市場第1部(当時)に上場

1987年:株式会社大京に社名変更

1988年:不動産流通会社 株式会社大京住宅流通(現株式会社大京穴吹不動産)設立

1998年:日本一の超高層マンション(当時)として「エルザタワー55」が竣工

2004年:産業再生機構による支援

2005年:オリックス株式会社と資本提携

2007年:シリーズ6,000棟目となる「ザ・ライオンズ上野の森」発売

2013年:株式会社穴吹工務店がグループ入り

2014年:設立50周年

2019年:オリックス株式会社が株式会社大京の全株式を取得(上場廃止)

出所:マイナビ2025大京ウェブサイト

大京の新築分譲マンション

大京は、ライオンズマンションの供給実績が全国で約35万戸、関連企業を含めたマンションの供給実績が全国で約47万戸を誇る、マンション供給戸数累計NO1のマンション業界の大手企業です。

大京は、1978年~2006年の29年間、全国マンション年間供給戸数ランキング1位の座を連続し、特に70年代から80年代にかけては2位以下に2倍以上の大差をつける独走状態が続きました。

ライオンズマンションの大京/大京の新築分譲マンション

■大京のマンション供給戸数ランキング推移(全国)、データは不動産経済研究所による

ピーク時の年間供給戸数は1万5千戸を超え、全国のマンションの10%を超える供給シェアを誇ったマンション業界を牽引してきた企業です。

ライオンズマンションの特徴

ライオンズマンションのライオン像

ライオンズマンションといえばエントランスに設置されたライオン像が有名です。ライオン像には、「家族を愛し、守るライオンのように、大切な人との住まいを守り続ける」という想いが込められているそうです。

ライオン像は最初から設置されていたわけではなく、始まりは1977年の「ライオンズマンション唐山」(愛知県名古屋市)から。ライオン像のデザインは、時代、地域によってさまざまなバリエーションがあり、沖縄ではシーサー像が設置されていたそうです。

ライオンズマンションの特徴/ライオンズマンションのライオン像

詳しくは、大京ウェブサイトの「ライオン像の秘密」をご覧ください。

ライオンズマンションのタイル

ライオンズマンションのタイル:ライオンズマンション初台
■ライオンズマンション初台/出所:物件写真.net

ライオンズマンションの外観の最大の特徴は、赤レンガ調タイル張りの外壁です。

80年代以前、マンションの外壁のほとんどは吹付タイルでした。ライオンズマンション以外にも外壁タイル張りのマンションはありましたが - 例えば1965年竣工のコープオリンピアなど - 都心の超高級マンションのごく一部の物件だけでした。

60年代に都心の高級マンションで一世を風靡した秀和レジデンスや現在、ヴィンテージマンショの代表的存在である三田綱町パークマンション(1971年竣工)なども外壁は吹付タイルです。首都圏でタイル張りのマンションが半数を超えたのは1985年下期のことでした(『マンション白書』 住宅新報社 1986年)。

ファミリーマンションにおいて外壁タイル張りを標準仕様にしたのはライオンズマンションを嚆矢とします。マンションではじめてオートロックを採用(1975年)したのも大京でした。

70年代の大京はマンション業界に新風を吹き込む企業でもありました。

ライオンズマンションのタイル:ライオンズマンション大和
■ライオンズマンション大和

ライオンズマンションの認知度

業界最多の供給量を誇り、歴史のあるライオンズマンションは、数あるマンションブランドのなかでも認知度の高いブランドです。

具体的に見てみましょう。

インターネット調査会社マイボイスコムの「マンションのブランドに関するアンケート調査(第21回) 2024年5月実施 n=9,485」において、ライオンズマンションは、「知ってるマンションブランド」という質問で、52.3%の回答(複数回答)を得て第1位にランキングされています。第2位以下の「プラウド」「グランドメゾン」「ザ・パークハウス」などの30%台を大きく引き離しての断トツのトップです。

ライオンズマンションの特徴/ライオンズマンションの認知度
出所:「マイボイス」サイト

累計供給戸数トップという実績が全国市場で認知が高い要因といえます

「マイナビニュース不動産査定」サイトが「2024年最新マンションブランド最新ランキング」を掲載しています。

複数のランキング記事や資料を参考に業績や人気度などを調査し、おすすめのマンションブランド10選をランキング形式で紹介しているものです。実際にそのブランドマンションを購入した人へのアンケート調査をもとに、各ブランドのリアルな口コミや専門家のインタビューも掲載されています。

ライオンズマンションは第4位にランクインしています。

ライオンズマンションの特徴/ライオンズマンションの認知度
出所:「マイナビニュース」サイト

ライオンズマンションならではの歴史を感じさせる高級感ある外観・内装、建材の品質や素材にこだわった安心して住めるマンション、コストパフォーマンスに優れたマンションなどが評価されています。

ライオンズマンションの資産価値

ライオンズマンションの資産価値はどうなのか?業界専門家はどう見ているのか?複数のサイトに当たってみました。

ライオンズマンションは累計供給戸数NO1と供給戸数が圧倒的に多く、またブランド認知度もトップクラスなど、市場での知名度が高いことが、ほかの物件よりも目を引きやすい、安心感があるなど、売却の際に有利になる傾向がある、と解説しているサイトがあります。

中古で売却する際にすぐに買い手がつく、相場よりも高く売れるなど、具体的なメリットも語られています(出所:「マンション売却」ウェブサイト)。

別のサイトでは、中古で売却する場合の平均値上がり率などの具体的な試算などが掲載されています(出所:「住まいのサーフィン」ウェブサイト)。

ライオンズマンションの評判

ライオンズマンションの評判:ライオンズプラザ相模大野一番館
■ライオンズプラザ相模大野一番館

ライオンズマンションブランドの人気は?

先に引用したマイボイスコムの「マンションのブランドに関するアンケート調査(第21回)」に「最も住んでみたいマンションブランド」という項目があります。

「最も住んでみたいマンションブランド」は、「プラウド(野村不動産)」が7.4%で第1位、「ライオンズマンション」は、「グランドメゾン(積水ハウス)」「ザ・パークハウス(三菱地所レジデンス)」と並んで4%台とそれに続く人気です。

ライオンズマンションはブランド名の認知度だけではなく、住んでみたいマンションとしても上位に評価される高い人気を誇っています。

ライオンズマンションはなぜ高いか?高級か?

一般にライオンズマンションといえば、駅に近い割と便利な立地、物件規模はさほど大きくなく、合理的な共用スペース、比較的コンパクトな間取り、総額を抑えた価格設定という印象ではないでしょうか。

大京が供給ランキング上位に登場するのは70年代後半からです。

オイルショック(1973年)を機にした戦後初のマイナス成長、戦後初の地価下落の影響により、住宅建設にストップがかかります。マンションは販売不振に陥り、それまでの郊外化の流れから一転し、マンションは都心に回帰していきます。

秀和、ニチモ、地産など、それまでのマンション供給上位の企業が軒並み苦戦を強いられるなかで、利便性の高い立地、価格を抑えたコンパクトな間取り、赤レンガ調の外壁タイル張りの高級感、そして強力な営業力を武器に、供給戸数を急拡大させ業界トップに躍り出たのが大京でした。その後、大京は連続29年間にわたり供給ランキングトップを独走します。

他社の追従を許さない圧倒的な供給戸数を目指すライオンズマンションにおいて、なによりも重視されたのが立地と価格でした。

「質より量」の戦略です。

したがって、ライオンズマンションは、価格が高い高額物件かというと決してそうではありませんし、高級マンションというカテゴリーでもありませんでした。

一方で、マンションがまだ少なかった時代や過去にマンション供給がなかったエリアにおいては、タイル張りのライオンズマンションは、他社の吹付タイルのマンションに比べて、あるいは周囲の賃貸マンションや賃貸アパートに比べて、十分に高そうに見えたこと、なかなか高級に見えたことは想像に難くありません。

他社に先駆けて全国展開したことや供給戸数を背景にした圧倒的な存在感も、そうしたイメージ形成に寄与しました。

ライオンズマンションはなぜ高いか?高級か?:ライオンズマンション宮前平第6
■ライオンズマンション宮前平第6/出所:物件写真.net

ライオンズマンションは価格が安いか?

ライオンズマンションは価格が安いのでしょうか?

商品の大量販売は、製造段階での大量仕入れ、大量発注を可能にし、その結果、規模の経済によりコストメリットが生まれるというのが商取引上の一般論です。

しかしながら、こと不動産やマンションに関しては、こうした一般論はあてはまりません。マンション用地を大量に仕入れたからといって他社より土地が安く買えるわけではありません。供給戸数が増えても原価に占める用地費は低減しません。

建物建設に関してはどうでしょうか?

内実は不明ですが、供給量の多い大京の場合、スケールメリットを活かし、発注量がある程度読める設備機器や仕上げ材の一部を自社で一括購買して、ゼネコン(建設会社)に支給する発注方法を採用していたことは考えられます。

ただし、そうした品目の製造原価総額に占める割合や一括購買による値引効果などから考えると、競合物件に比して明らかに坪単価が安いというレベルまでのコスト低減効果があったのかどうかはやや疑問が残ります。ライオンズマンションの坪単価が総じて割安だったという記憶もありません。

大京に限らず、一般にマンション分譲事業において規模のメリットは、さほど大きくないといっても過言ではないと思われます。

ライオンズマンションが「安い」本当の理由

「ライオンズマンションが安い」との印象があるとすれば、設備・仕様などの商品性にあるのではなく、また製造コストにあるのでもなく、先の述べたように、ライオンズマンションの戦略、すなわち、多くの需要が見込める高利便立地において、販売しやすい価格(総額)にするために住戸面積を絞ったコンパクトな間取りを企画する、という戦略に由来したものだと考えられます。

ライオンズマンションにおいては、ファミリー向け住戸よりもさらに面積を絞った1R、1DKなどの狭小な投資家向け住戸などを混在させていたことも、価格(総額)が安い住戸が多いという印象の一因といえます。

住戸面積が狭い分、価格(総額)も安い住戸が多かったこと、これが「ライオンズマンションは価格が安い」という印象を形成している大きな要因ではないでしょうか。

当然ながら、ライオンズマンションに限らず、マンションの価格はひとつひとつの物件ごとの立地や仕様や間取りや広さによります。ライオンズマンションをひとくくりにして、価格が高いか?安いか?を論じることには限界があるといえます。

関連記事:ダイアパレスはダイア建設の分譲、評判・特徴、CMや安い理由を解説

ライオンズマンションのSNSの口コミ

ライオンズマンションは、高額マンション、高級マンションではないとはいえ、一方で設備・仕様が見劣りする粗製乱造のチープなマンションでもありません。重大な法令違反や施工不良などの問題などが起きたとの話なども聞こえてきません。

ライオンズマンションは、同業大手他社と同様の、普通の、当たり前の、問題のないマンションです。

一方で、SNS上では、例えば下のサイトのように、ライオンズマンションは良くない?というネガティブな質問や意見などがみられます。

何故ライオンズマンションはよくないと言う方が多いのでしょうか

ライオンズマンションの評判

ライオンズマンションってどうですか

ライオンズマンションの良くないという評判の背景

ライオンズマンションの良くないという評判の背景:ライオンズマンション伊勢佐木長者町第2
■ライオンズマンション伊勢佐木長者町第2/出所:物件写真.net

ライオンズマンションに対するネガティヴな印象の背景には、大京のかつての営業戦略とそれによって一般消費者に浸透した企業イメージがあるのではないでしょうか。

前述のように、大京は「質より量」の戦略で他社の追従を許さない大量販売でのし上がった企業です。

大京というと、ライオンズマンションの外壁タイル張りとならんで必ず話題にのぼるのが強力な営業力のことです。

「『ライオンズマンション』の大京、オリックスが完全子会社化する本当の理由」と題された記事があります。(Buisness Journal 2018年12月13日)

18年5月6日、大京創業者の横山修二氏が92歳で亡くなった。マンションデベロッパーの草分け的存在だった。

東京高等工学校(現芝浦工業大学)在学中に学徒出陣。4年間のシベリア抑留を経て復員。戦友の勧めで不動産業を始めた。1960年、大京の前身である大京商事を設立。68年、最初の「ライオンズマンション」を赤坂に建設し、分譲マンション事業に進出した。営業担当者に対する歩合制を導入し、朝8時から夜11時まで戸別訪問や電話セールスのモーレツ営業を敢行。コンビニエンスストアの名をもじって“エイトイレブン”の異名をとった。

「ライオンズマンション」の大京、オリックスが完全子会社化する本当の理由

売上歩合制の給与体系による営業集団、夜討ち朝駆けの電話営業や戸別訪問、担当を代え頻繁にかかってくる電話勧誘、アポなしの突然の訪問、さかんに契約を勧誘する営業トークなどなど、今とは時代が違い、当時の不動産業者においては、程度の差こそあれ、こうした営業方法はある程度当たり前でしたが、大京の営業のモーレツさは業界でも有名で、同業他社からはその販売力が羨まれるほどのレベルでした。

横山社長の薫陶を受けたある支店長は当時、「営業の鬼軍曹」と呼ばれていたそうです。

一方、大京の営業マンからこうした営業攻勢を受けた顧客のなかには、しつこい、強引、怖いなど大京という会社に嫌悪感を抱く人も少なくなかったのが現実でした。

「モーレツ」や「鬼軍曹」など、今では完全に時代錯誤的で、軍隊まがいのブラック企業だと言われかねない、かつてのこうした大京の営業姿勢が、大京やライオンズマンションに対するネガティヴなイメージとなって今も尾を引いていることは否定できません。

ライオンズマンションは危ない?

SNS上には「ライオンズマンションは危ない」という噂があるのだそうです。

「よつばクローバーライフ」ウェブサイトの「ライオンズマンションは危ない?賃貸で後悔?なぜ安い価格なのか徹底調査」には、「ライオンズマンションは危ない」という噂があることが記されています。

結論から言えば、「ライオンズマンションは危ない」という噂は、次章のような経緯とプロセスで流布されている、事実に基づかない虚偽の噂に過ぎません。

ライオンズマンション歌舞伎町の噂・評判

通称「ヤクザマンション」と呼ばれ、反社会的勢力が多く事務所を構える「ライオンズマンション歌舞伎町」に関するSNS投稿やマスコミ報道が元になり、いつの間にかライオンズマンション全般が「危ない」、ライオンズマンション自体が「危ない」と短絡した理解に基づいた下のような内容の質問などがSNS上で散見されるようになり、その結果、SNS上では「ライオンズマンションは危ない」との噂が流れている、ということになったようです。

ライオンズマンションを経営している大京グループの上層部って、暴力団の方がやっている

都内にいくつもある『ライオンズマンション』と『ヤクザ』は何か関連があるのですか?

言うまでもないことですが、上記の質問のような事実はまったくありません。ライオンズマンション全般が「危ない」、ライオンズマンション自体が「危ない」という事実もまったくありません。

「ライオンズマンション歌舞伎町」に関して知りたい方は下のサイトなどをどうぞ。

ライオンズマンション歌舞伎町「やばい」噂の真相を口コミとあわせて徹底解説

歌舞伎町刺殺事件の現場は通称“ヤクザマンション” 住人だったライターが見た「玄関や廊下で乱闘」「バルコニーから組員が降ってきた」

なぜか相場よりも家賃が安い…筑波大卒27歳ライターが「歌舞伎町ヤクザマンション」に住んでみた

渋谷のヤクザマンションの話〜僕が繁華街に住むことをおすすめする理由〜

ライオンズマンションの高品位シリーズ|エルザタワー55

ライオンズマンションの高品位シリーズ|エルザタワー55
■エルザタワー55/出所:ウィキメディア・コモンズ

80年代後半のバブルの時期、そして1990年のバブルの崩壊を経た90年代以降も、大京は年間供給量ランキング1位の座に君臨し続けました。

マンションが一般に広く普及し、市場が成熟期を迎え、定住・永住型のマンションが求められるようになり、マンションにおいても商品企画が競われるようになります。

大京も、当時、住宅の最高高さ(185.1m)を誇った「エルザタワー55」(埼玉県川口市、1998年竣工)を手がけるなど、量を最重視する姿勢から、質の時代への転換を試みます。

エルザ

常に新しいライフシーンをリードする大京が住宅供給戸数21万戸の実績をふまえて取り組んだ〈エルザタワー55〉。
最先端の構造・工法による高耐久性を備えた頑健な艇体。
充実した共有スペースをはじめ、暮らしを快適にするサービス、本物志向の設え。

当時のライオンズマンションの高品位シリーズ、「エルザ」の名を冠した〈エルザタワー55〉。
より高品位な都市生活の提案によって1998年に誕生した「エルザ」シリーズは、ライオンズマンションシリーズの頂点に位置する都市邸宅です。

大京穴吹不動産 エルザタワー55

一方、バブル崩壊後、成熟化が加速する市場のなか、財閥系企業によるマンション事業の強化や新興企業の登場などの新たな動きの陰で、大京はかつての存在感を失っていきます。

変わる大京、ライオンズマンションの終焉

変わる大京、ライオンズマンションの終焉
出所:大京公式サイト

大京はオリックスの子会社化

上で紹介したBuisness Journalの記事は、以下のように続きます。

 バブル真っ盛りの87年、業界の盟主、三井不動産を売上高で抜いた。オーストラリアで巨額な不動産投資を行ったが、バブル崩壊で資金難に陥り経営が悪化。当時、「この10年間で4000億円以上の金利を銀行に支払った。銀行が助けるのは当たり前」と豪語した。ところが、横山氏の自信とは裏腹に銀行はあっさり横山氏を切り捨てた。97年、社長の座を追われ、翌98年に相談役も退いた。

 その後、大京は2005年、オリックスの傘下に入った。そして今回、オリックスの完全子会社となることが決まり、大京は上場会社としての歴史に幕を下ろす。

「ライオンズマンション」の大京、オリックスが完全子会社化する本当の理由

バブル崩壊で苦境に陥った大京は、メーンバンクだった三和銀行(当時)の管理下を経て、2004年の産業再生機構の支援により債務超過の危機を一時的に乗り越えますが、その後の自主再建は難しく、最後はオリックスの子会社となり、現在に至ります。

2005年にオリックスの資本の傘下に入った後、大京は経営戦略を180度転換します。フロー(開発分譲事業)からストック(維持管理事業)重視の経営です。

ライオンズマンションも、それまでとは逆の「量から質へ」の転換が目指されます。

大京のウェブサイトで「ライオンズリビングラボは、お客さまの『自分らしさを実現する家時間』を提案するプロジェクト」のタイトルで紹介されている顧客目線での商品づくりの試みである「ライオンズリビングラボ」は、オリックスとの資本提携と同年の2005年にスタートしています。

こうした「量から質へ」の転換の成果は、例えば、「大京 劇的に変わったマンション商品企画」(RBAタイムズ)と題された2011年に書かれた業界記事にその一旦をうかがうことができます。

大京のマンション供給戸数ランキング

大京の戦略転換は供給戸数の推移にも現れています。2007年に30年ぶりにトップの座を譲った後に、ランクは上下しながら、大京は急速にランクを落していきます。

2021年以降はトップ20位に大京の名前を見ることはなくなりました。

ライオンズマンションからザ・ライオンズへ

2023年4月、大京はブランド名を「ザ・ライオンズ(THE LIONS)」に変えると発表します(「ライオンズマンションを「THE LIONS」に 大京が変更」日経新聞2023年4月10日)。

変わる大京、ライオンズマンションの終焉/ライオンズマンションからザライオンズへ
出所:THE LIONS

新ブランド名のもと、大京はパワーカップルなどアッパークラスをターゲットとした商品を供給する方針だそうです。

日本のマンションの代名詞だった「ライオンズマンション」の55年の歴史に名実共に幕が下ります。

ライオンズマンションの管理会社

ライオンズマンションの管理会社/大京アステージ
出所:大京アステージ公式サイト
ライオンズマンションの管理会社/穴吹コミュニティ
出所:穴吹コミュニティ公式サイト

大京グループのマンション管理会社は、現在、大京アステージと穴吹コミュニティの2社です。

大京アステージは、1969年に設立された大京管理が発祥の企業で、穴吹コミュニティは、2013年に大京が穴吹工務店を買収した際に子会社化した企業です。

管理受託戸数は2社合計で539,263戸と業界NO1を誇ります(マンション管理新聞 2024年5月)。

ライオンズマンションの管理会社
出所:大京ウェブサイト

オリコン顧客満足度ランキング「分譲マンション管理会社 首都圏 総合ランキング(2023年)」では、大京アステージは顧客満足度第14位、穴吹コミュニティは高評企業にランキングされています。

ライオンズマンション、大京のまとめ

ライオンズマンションの分譲会社の大京は50年超の歴史を有するマンション老舗企業。年間供給戸数ランキングで29年間連続第1位など日本のマンション業界を牽引した。

大京の新築マンション供給戸数は?

大京のマンション累計供給戸数は約35万戸と業界1位。ライオンズマンションは日本で最も知名度の高いマンション。

ライオンンズマンション人気の理由は?

ライオンズマンションはエントランスのライオン像、外壁タイル張り、便性な立地、コンパクトな間取りで比較的買いやすい価格などが特徴。

大京グループのマンション管理受託戸数は?

大京グループのマンション管理受託戸数は約53万戸と業界1位。

大京とオリックスの関係は?

バブル崩壊後、大京はオリックスの傘下に。ストックビジネスを軸にした経営にシフト。分譲マンションも量から質へと方針を転換。

現在の大京のマンションブランドは?

2003年、大京はブランド名を「ザ・ライオンズ(THE LIONS)」に改め、ライオンズマンションの歴史は幕を閉じる。


大村先生(執筆
大村哲弥 有限会社プロジェ代表  projet-ltd.co.jp/

1984年、セゾングループのディベロッパー株式会社西洋環境開発に入社。住宅・マンション事業のマーケティング・商品企画・事業企画に従事する。バブル前夜からバブル崩壊とその後のカルチャーシーンのなかで20歳代、30歳代を過ごし、不動産ビジネスに携わる。1996年、有限会社プロジェ設立。不動産・住宅・マンション分野のコンサルティング・商品企画・建築デザイン・プロモーション戦略・執筆などを手がける。

東京工業大学大学院修士課程修了。一級建築士。

本・映画・音楽・アート・デザイン・ファッション・都市・建築・食・料理・ワイン・まち歩きなどのフィールドを横断的に渉猟・論考するnoteを主宰。

note:tetsuya omura