マンションの相続放棄の手続き、流れ、期限等を解説
カテゴリ:マンション売却
投稿日:2023.02.14
親などのマンション所有者が亡くなると相続が発生します。
マンションも相続財産である以上は、通常は遺言書によりマンションを引き継ぐ者を指定しておくなり、遺言書が作成されていないようであれば遺産分割協議によりマンションを引き継ぐ相続人を決めることとなります。
もっとも、何らかの事情でマンションを含むすべての財産を承継したくないという場合もあります。その際は、相続方法の選択として相続放棄をすることになります。
しかし、平成30年の国土交通省のマンション総合調査によると、総戸数に対する所在不明・連絡先不通の住戸の割合が 20%超のマンションは 2.2%、0%超~20%のマンションは 1.7%、所在不明・連絡先不通の住戸が無いマンションは 31.4%となっています。
所在不明・連絡先不通の住戸の割合には、マンションを遺産とする相続が発生しても相続人が何ら手続きをしていない事由も入っているかと思われます。
築古のマンションゆえ、処分に困り相続手続き、名義変更を後回しにしているケースもあるでしょう。
可能であれば相続放棄をしたいけれども、相続放棄をするにしてもどのような流れを踏んでいくのか?期限は?どのような効果が発生するのか?それらが分からないがために放置している場合もあります。
そこで、今回は、相続財産にマンションがある場合の相続放棄の流れと留意すべき点について解説していきたいと思います。
目次
マンションの相続放棄とは
相続が発生するとその相続人は亡くなられた人のマンションを含む一切の財産を受け継ぐことになります。
一切の財産を受け継ぐことからマンションの管理費や修繕積立金の滞納金や借金等マイナス財産も引き継ぐことになります。
亡くなられた人の債務者たる地位を引き継ぎ借金等マイナス財産を返済していくことになります。
しかし、亡くなられた人に借金があっても相続人だからといって返済を押し付けられる合理的理由はありません。
また、何らかの家族の事情により借金がなくてもそもそも相続財産を承継したくない、他の相続人と一切関わりあいたくない相続人もいらっしゃいます。
そこで、相続方法として法は、「単純承認」・「相続放棄」・「限定承認」の3つの選択肢を準備しています。
相続放棄をしない相続方法、単純承認とは
単純承認とは、亡くなられた人のプラス財産のみならずマイナス財産を含め一切の相続財産を引き継ぐ相続方法です。
通常、相続開始後に相続方法の選択をせずに3ケ月以上放っておくことにより単純承認をしたことになります。一般家庭でよくある相続方法といえます。
相続放棄をしない相続方法、限定承認とは
【限定承認の利用場面】
●相続債務がどの程度あるのかが分からないが、遺産が残るのであれば承継したい場合
●相続財産の中に実家など承継したい財産がある場合(※相続人が優先的に先買権を行使して、実家などを買い取る相続財産を承継する)
●優先順位の相続人が、相続放棄をすると、次順位の相続人に迷惑を掛けたくない場合
限定承認とは、相続人が相続財産の範囲内で亡くなられた人のマイナス財産たる借金や滞納金等の債務を弁済する相続方法です。限定承認は、相続人全員から、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しなければなりません。
そのため、亡くなられた人の借金や債務については、相続財産のみから支払えばよく、充当しきれない分を各相続人が自己の財布たる固有財産から支払う必要はありません。
相続時にプラス財産とマイナス財産のどちらが多いか、すぐに判断ができないときやどうしても残したい財産、例えば、亡き親とともに過ごした生活基盤であるマンションなどがある場合に有効な相続方法といえます。
相続放棄とは
【相続放棄が想定される場面】
●不動産・預貯金を上回る多額の借金が相続財産として残っている
●被相続人(故人)との関係がよくなく相続財産を承継する気がない
●他の相続人と関わりたくない
相続放棄とは、プラス財産もマイナス財産も一切の相続財産を承継しない旨の家庭裁判所に申述する意思表示です。
相続放棄は他の相続人と意見を合わせることなく、各相続人が家庭裁判所に相続放棄を申述できます。
亡くなられた方に多額の借金があり、プラスの相続財産を充当してもとても完済できないような場合には有効な選択肢といえます。
注意しなければならないのは、相続放棄の効果は、初めから相続人ではなかったとみなされる強力なものだということです。一度選択すると取消は基本的にはできません。
相続放棄をした相続人に代わって他の親族が相続人として借金を引き継ぐことも考えられます。後々、マイナス財産よりプラス財産の方が多かったという事態も考えられます。
相続放棄を選択するにあたり相続人や相続財産の調査・特定は慎重に行うことが求められます。
マンションの相続放棄を検討する流れ
相続が発生したからといって即座に相続放棄をするのではなく、相続放棄の効果を十分に検討し、相続人や相続財産を特定したうえで相続放棄をすることをお勧め致します。
ここでは、相続人の特定・相続財産の特定を含めマンションが相続財産にある場合の相続放棄の流れをお話したいと思います。
相続人の特定
相続放棄は、相続方法の一つである限定承認と異なりすべての相続人が同じ相続方法を選択する必要はありません。
他の相続人と見解を一致させて進めていく限定承認のような手続きではないため、各相続人が各自の判断のもと手続きを進めていくことができます。
そのため必ずしも相続放棄の前提として相続人の調査・特定が必要ではありません。
しかし、多額の借金がありプラス財産から弁済しきれない状況で相続放棄をすると他の相続人が借金を背負う事態になるかもしれません。
知り得る相続人には自身が相続放棄をする旨を伝えてあげることも、相続人間の無用な紛争を防止する一つの考え方と思われます。
相続人の調査・特定は、亡くなられた人の出生から死亡までの一連の戸籍(現在戸籍・改製原戸籍・除籍等)を収集し相続人を特定していきます。
世間一般の家族構成だと郵送料を入れても数千円~2万円程度で収集できるかと思います。
前述のとおり、戸籍の収集の結果、知れたる相続人には相続を放棄する旨を伝えてあげることも相続人間の関係を配慮し、必要かと思います。
例えば、マンションの賃貸業をし多額の借金を残していた父が、母と第一順位の相続人子一人を残し亡くなった際、借金を返済できる当てもないため母子が相続を放棄したときは、父の父母つまり祖父母が相続人となります。祖父母等が既に他界しているときは、父の兄弟姉妹やその子が相続人となり得ます。
相続放棄した者が、他の相続人に父にかかる相続の現状をお知らせすることは今後の親族関係にとって必要といえます。
相続財産の特定
【預貯金・有価証券】
通帳・キャッシュカードや亡くなられた人宛の金融機関等からの郵送物から金融機関や支店さらに口座を特定します。
銀行や証券会社等を特定できたら各金融機関の方式に従い残高証明書などの照会をします。
【マンション等不動産】
亡くなられた人の所有していたマンション等の不動産は、固定資産税納税通知書や権利済証・登記識別情報通知などから確認することができます。
さらに、生前話題に上がり、不動産があると思われる市区町村で名寄せを取得することで当該市区町村の不動産を確認することもできます。
不動産を特定できたら登記事項証明書(登記簿謄本)を最寄りの法務局で取得します。
取得した登記事項証明書から当該マンション等の不動産の所有者が亡くなられた人が所有するものなのか?税金等の滞納により滞納処分など差押えがされていないか?金融機関からの借入により抵当権や根抵当権が設定されていないかを確認します。
抵当権・根抵当権などの担保権が設定されていたり、差押え等がされているとそれなりの金額のマイナス財産があることが想定されます。
債務調査
亡くなられた人が、借金や税金の滞納等の債務を負っていたかを行政機関・信用情報機関へ照会をします。未払い金や借金の金額を特定していきます。
亡くなられた方が法人の連帯保証人になっているような場合は、信用情報機関に登録されていないこともあるため、書類等を確認することが大切になります。
【債務照会】
●KSC(全国銀行個人情報センター)/銀行の住宅ローン・キャッシング
●CIC(株式会社シー・アイ・シー)/クレジットカード
●JICC(株式会社日本信用情報機構)/消費者金融
また、マンションを所有している場合は、戸建てと違いマンションの管理費や修繕積立金があるため、その滞納がないかを管理組合等に確認します。
マンションの相続放棄ができないケース
単純承認とみなされマンションの相続放棄ができないケースをご紹介します。
相続財産を特定する際の注意事項
相続財産を特定するための遺品整理中に次のようなことをすると単純承認とみなされて、相続放棄ができない場合があります。
□金融機関の口座を解約して自己のために消費
□株主として議決権を行使
□マンションを売却
□形見分けとして高価な動産を取得
単純承認とみなされないケース
相続財産から葬儀費用や治療費・入院費の支払い、常識の範囲内であれば墓石・仏壇の購入は、単純承認とはみなされないと言われています。
マンションの相続放棄、管理費は注意
また、マンションを所有している場合の管理費や修繕積立金の滞納、その他借入金などの支払いは、相続財産を処分したと判断されると単純承認とみなされるため、自己の固有財産から支払うのが安全といえます。
相続放棄の期間
マンションなどの相続財産の相続放棄にはタイムリミットがあります。相続放棄の期限について解説していきます。
熟慮期間
相続人と相続財産を特定できたら相続を放棄するかを決めることになります。
相続放棄の決断までのリミットは意外とタイトです。
相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に相続放棄をしなければなりません。この3ケ月の期間を熟慮期間といいます。
具体的に、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した又は通常これを認識しうべき時から起算するべきと示されています(最判昭59.4.27)。
相続放棄の申述をする期限
通常は相続開始から3ケ月以内に相続放棄をするか否かを決断して亡くなられた方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述をすることになります。
しかし、必ずしも相続開始から3ケ月以内というわけではありません。
例えば、何らかの事情で亡くなられた人と長い間、疎遠な状態であった相続人は、相続が発生したことさえも知らず相続人たる地位を取得している場合があります。
カード会社などから債権回収の通知が郵送されてきて初めて家族や親族が亡くなったこと、さらに借金の存在を知ることがあります。
このような場合には、カード会社等からの通知が来た時から3ケ月以内に相続放棄の決断をすることになります。
相続人にとって3ケ月という熟慮期間に相続人や相続財産を調査・特定したうえで相続放棄の申述を家庭裁判所にすることは、非常に負担が大きい期間となります。
葬儀の手配に始まりお通夜・お葬式、初七日、四十九日等の法要と3ケ月はあっという間に過ぎてしまいます。
熟慮期間の伸長の申立て
熟慮期間内に相続人が亡くなられた人の相続財産を調査したもののいまだ特定できず、相続放棄をすべきかを選択できない場合は、家庭裁判所へ相続の放棄の期間伸長の申立てができます。期間の伸長は比較的容易に、1~3ケ月程度は認められます。
マンションなど相続放棄の手続き、申述書や必要書類
相続財産を特定し総合勘案した結果、相続方法として相続放棄を選択した場合は、熟慮期間内に亡くなられた人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄をする旨の申述をしなければなりません。
相続放棄の手続きはマンションを所有しているか否かで変わることはありません。
ここでは具体的な相続放棄の手続きを見ていきましょう!
相続放棄の申述書の作成
相続放棄に必要な書類を収集している間に、家庭裁判所へ申述する相続放棄の申請書を作成します。
家庭裁判所へ添付する書類の準備
自身が亡くなられた人(被相続人)の相続人であることを戸籍により管轄の家庭裁判所に示します。そのため、相続人であることを証明できる範囲の戸籍が必要となります。
【必ず必要な書類】
a 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
b 相続放棄の申述をする相続人の戸籍謄本
aとbの書類は亡くなられた人と相続人の親族関係に関わらずどの相続人においても必要となる書類です。
aの被相続人の住民票除票又は戸籍附票は亡くなられた人の最後の住所地が記載されているため管轄裁判所を特定するために添付します。
また、bの相続放棄の申述をする相続人の戸籍謄本は、相続放棄申述人が相続人であることを証明する一資料となります。
【相続人の配偶者・相続順位等属性による必要書類】
以下に記載されている必要書類は、aとbの書類に加えて必要となる書類です。
亡くなられた人と相続放棄を家庭裁判所に申述をする相続人との親族関係により必要書類が異なります。
しかし、難しいことはなく亡くなられた人と相続放棄をする相続人との親族関係が分かる戸籍があればよいということになります。
では、どのような書類が必要かを確認していきましょう。
c 申述人が被相続人の配偶者の場合
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・
改製原戸籍)謄本
d 申述人が,被相続人の子又はその代襲者
(孫・ひ孫等)(第一順位相続人)の場合
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・
改製原戸籍)謄本
・申述人が代襲相続人(孫・ひ孫等)の場
合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の
記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)
謄本
e 申述人が被相続人の父母・祖父母等(直系
尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位
相続人等から提出済みのものは添付不要)
・被相続人の出生時から死亡時までのすべ
ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡
している方がいらっしゃる場合、その子
及びその代襲者の出生時から死亡時まで
のすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)
謄本
・被相続人の直系尊属に死亡している方
(相続人より下の代の直系尊属に限る
(例:相続人が祖母の場合、父母))
がいらっしゃる場合、その直系尊属の死
亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)
謄本
f 申述人が被相続人の兄弟姉妹及びその代襲
者(おい・めい)(第三順位相続人)の場
合(先順位相続人等から提出済みのものは
添付不要)
・被相続人の出生時から死亡時までのすべ
ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・被相続人の子及びその代襲者で死亡して
いる方がいらっしゃる場合、その子及び
その代襲者の出生時から死亡時までのす
べての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある
戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・申述人が代襲相続人(おい・めい)の場
合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の
記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)
謄本
家庭裁判所へ相続放棄の申述
亡くなられた人(被相続人)の住民票の届出のある最後の住所地を管轄とする家庭裁判所へ必要書類を添付して相続放棄を申述します。
照会書の返送
管轄家庭裁判所へ相続放棄を申述すると、10日程度で相続放棄に関する照会書が管轄家庭裁判所より送付されてきます。
照会事項は次のようなものです。
【照会事項】
□相続放棄をする意思は真意に基づくものですか
□相続放棄の理由は
□相続の発生はいつ知りましたか
□相続財産の内容は
□相続財産につきいつ把握しましたか
□熟慮期間中になぜ相続放棄の申述ができなかったのですか
照会書への回答はそんなに難しいものではありませんので必要事項を記載して返送することになります。
管轄家庭裁判所からの相続放棄受理通知書の通知
【相続放棄申述受理通知書】
照会書を家庭裁判所へ郵送すると何事も問題がなければ10日程度で相続放棄の申述が受理されます。
相続放棄が受理されると「相続放棄申述受理通知書」が家庭裁判所から郵送されてきます。
相続放棄申述受理通知書は、裁判所があなたの相続放棄を受理したということを通知する書類ですから、この通知書が届けば、相続放棄の手続きは完了したといえます。
家庭裁判所に相続放棄申述をしてから、相続放棄申述受理通知書が手元に届くまでには、1~2ケ月程度です。
【相続放棄申述受理証明書】
相続放棄申述受理通知書は、相続放棄の申述を確かに受理し手続きが完了したことの通知書面にすぎません。
この書面を紛失した場合は、再発行を家庭裁判所に求めても再発行はしてくれません。
亡くなられた人に借金がある場合に、戸籍上の相続人であるあなたに借金の返済請求がなされる場合があります。その際、相続放棄申述受理通知書の提示をすると借金の返済の請求をしてこないのが通常です。
しかし、相続放棄申述受理通知書を紛失しているときもあるでしょう。
その時は、家庭裁判所に「相続放棄申述受理証明書」の発行請求をすることで問題は解決します。
相続放棄受理証明書とは、確かにこの者は管轄家庭裁判所にて相続放棄の申述をし当裁判所としても受理しましたという証明書です。
相続放棄申述受理証明書の発行請求は事件番号が必要となりますが、分からない場合は管轄家庭裁判所に相談しましょう。証明書の発行はして頂けます。
相続放棄したマンションはどうなる?相続放棄した者の責任
相続放棄の効果は、その相続人に関しては初めから相続人とはならなかったものとみなされます。
亡くなられた人に借金があったとしても、相続放棄の効果により借金を背負うことはありません。
相続放棄をしたものによる管理責任
相続放棄をした者は、その相続人に関しては初めから相続人とはならなかったものとみなされますが、その放棄によって相続人となった者がマンションなどの相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければなりません。
相続放棄をしたマンションの管理責任
マンションなどでは、マンションの管理組合との連絡、部屋の保全・管理は必要となるかと思われます。
かかる管理責任は無視できません。民法の条文上は管理責任につき明白ではなく意外とトラブルのもととなります。
相続放棄でマンションに相続人がいない場合
相続放棄でマンションに相続人がいないケースについて解説をしていきます。
相続人の不存在
相続財産の中に築古のマンションなどの不動産がある場合は、注意が必要です。
通常、相続放棄がなされるケースは相続財産において債務超過の場面です。
相続人はみな相続放棄をすることが予想されます。
そのようなケースでは相続人が不存在という事態になります。
知れている相続人がみな相続放棄をした場合、マンションなどの相続財産は宙に浮いてしまうような状態となります。
このように相続人の有無が不明な時は、相続財産を管理・精算する一方で相続人が本当にいないかを確認する必要があります。この手続きを相続人の不存在といいます。
管理責任を免れる、相続財産管理人の選任
相続人のあることが明らかでないとき、相続財産は法人となります。
マンションなどの登記簿謄本には、「亡○○相続財産」と法人名義が入ることがあります。
ここで、相続財産が法人になるにしても管理する者は依然として相続放棄をした者です。
自己の管理責任から解放されるためには、家庭裁判所に利害関係人として相続財産を管理する相続財産管理人の選任の申立てをする必要があります。
この点、相続財産管理人の選任の申立てをする際には、相続財産管理人に就任する者の報酬や諸経費等を予納する必要があります。
マンションなどの不動産については、通常はマンションそのものを国に帰属させるのではなく、相続財産管理人が売却して清算手続きを経て現金で納めます。
築古マンションなどは売却にも時間がかかる場合もあります。また売却価格も期待できないため予納金が戻ってくることも期待できません。
予納金については事案にもよりますが100万円程度を予納することもあります。
マンションの相続放棄の手続き、流れ、期限等を解説まとめ
相続財産が債務超過の時は、相続放棄をすることはとても有効な手段といえます。
初めから相続人とはみなされないため借金や築古分譲マンションの管理義務・処分リスクを負わずに済みます。
しかし、確かに借金等を負うことはありませんが、思いがけないところで負担や支出をしなければならないことがあります。
相続放棄をしても相続財産の管理責任があり、相続財産管理人の選任時の予納金の負担など、安易に相続放棄をすることはリスクがあります。他の親族との紛争の火種となることもあります。
相続財産にマンション等不動産がある場合には、不動産会社や弁護士、司法書士などの専門家に相談することをお勧め致します。
マンションの相続放棄とは?
相続が発生するとその相続人は亡くなられた人のマンションを含む一切の財産を受け継ぐことになります。
相続放棄とは、プラス財産もマイナス財産も一切の相続財産を承継しない旨、家庭裁判所に申述する意思表示です。
相続放棄の詳しくはこちらをご覧ください。
相続放棄の期限までにすることは?
相続放棄の期限前に検討、特定、調査することは、相続人の特定、相続財産の特定、債務調査です。
マンションなどの相続不動産が相続財産にある場合の相続放棄の流れの詳しくはこちらをご覧ください。
単純承認とみなされ相続放棄ができないケースは?
遺品整理中にマンションなどの不動産売却、故人の形見分けとして高価な動産を取得などは、単純承認として相続放棄ができない場合があります。詳しくはこちらをご覧ください。
相続放棄の期間は?
相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に相続放棄をしなければなりません。
相続放棄の期間や申述する期限などの詳しくはこちらをご覧ください。
相続放棄の手続きは?
相続財産を特定し総合勘案した結果、相続方法として相続放棄を選択した場合は、熟慮期間内に家庭裁判所に相続放棄をする旨の申述をしなければなりません。
相続放棄の手続きの詳しくはこちらをご覧ください。
相続放棄したマンションはどうなる?
相続放棄の効果は、その相続人に関しては初めから相続人とはならなかったものとみなされますが、相続人となった者がマンションなどの管理を始めることができるまで相続財産の管理を継続しなければなりません。
相続放棄によりマンションの相続人が不存在という事態などの詳しくはこちらをご覧ください。