マンション売却で注意すること(瑕疵担保責任→契約不適合責任)
カテゴリ:マンション売却
投稿日:2019.07.25
目次
「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に
2020年(令和2年)4月1日の民法改正により、これまで「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが、「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき(民法第562条)」に発生する責任と定義されることから「契約不適合責任※」と名称が変更されました。
この記事では、従前の「瑕疵担保責任」と比較しつつ「契約不適合責任」とは何か、マンション売却にあたっての注意点とともに解説します。
旧民法上の「瑕疵」と「瑕疵担保責任」
旧民法上の「瑕疵」とは、雨漏りや水漏れ、設備の故障など欠陥のことで、「瑕疵担保責任」については、買主が注意しても確認できなかった”隠れた瑕疵”が対象となりました。物件を引き渡した後でこの隠れた瑕疵が表面化した時に、「瑕疵担保責任」が発生しました。そして売主の費用負担で原状回復し、買主に引き渡す等の義務を負うことになっていました。
また「瑕疵」は物理的な欠陥だけではなく、室内で住人が孤独死した物件なども、「心理的瑕疵」とみなされ、知っていながらその事実を説明しない場合には、「瑕疵担保責任」を問われました。
改正民法上の「契約不適合」「契約不適合責任」
改正民法上の「契約不適合責任」は、契約の際に買主が気づいている欠陥でも、契約内容にそぐわなければ売主は責任を負うとする、より買主を保護する概念といえます。
参考:国土交通省|「住宅業界に関連する民法改正の主要ポイント」
ここで重要なのは、「設備表」や「物件状況等報告書」でマンションの設備内容や故障個所、マンションの物件状況を契約内容として細かく明記することです。
旧民法上の「隠れた瑕疵」→「契約不適合」実際の事例
実際の事例として、分かり易い物件を弊社が買取したケースをご紹介いたします。
【大手デベロッパー分譲、上場ゼネコン施工物件/築22年】
ウォークインクローゼットの床が少し浮いているのに気が付いたのは、弊社が物件の引き渡しを受けて、リフォーム工事の打ち合わせに行った時のことでした。
〈契約前の訪問査定時のウォークインクローゼット〉見た目には床下が腐食しているとは分かりませんでした。
〈ウォークインクローゼットの床を剥がした状態〉フローリングを剥がしてみて、初めて二重床が腐食していることが分かりました。これが旧民法上の隠れた瑕疵→契約不適合箇所です。二重床は溜まった水の湿気によって腐食している状態でした。
〈ウォークインクローゼットから居室側に出てきた箇所〉水が薄く溜まっているのが分かります。
〈もう少し居室の中央に出てウォークインクローゼット見る〉ウォークインクローゼット側から居室側に水が流れ出ているのが分かります。
時間が更に経過すれば居室側の二重床の腐食がすすみ、床の浮きや沈み込みなどが起きていたと想像されます。
〈フローリングを剥がす前の居室〉見た目では二重床の下に水が流れ出していることは分かりません。
最初にも書きましたが、原則として売主は契約不適合責任を負わなければならことになります。従って今回のようなケースでは、二重床などの修補をしなければならないことになります。
契約不適合責任を負うということ
やっかいなのは、水漏れの原因。水がどこから漏れてきているのかを突きとめるのに結構時間や労力がかかることがあります。
買主へ引渡し決済(売買代金全額受領)後であれば、当然買主は「こんな水が溜まっているマンションを購入したつもりはない」とクレームを言ってくるのが想像できます。
引渡し決済前に偶然発覚した場合は、当然に「こんなマンションの決済(残代金支払い)はできない、直してください」という展開になると想像できます。学校の入学、賃貸を既に解約などの理由で引越し時期が決まっている場合は、更に問題は深刻になります。
契約不適合責任を避ける方法
このような旧民法上の隠れた瑕疵→契約不適合箇所は、隠れているので売却前に注意をするといっても限界があります。
このような事態を避けるには、買主と合意することが前提ですが、契約の条件に”契約不適合責任の免責”を入れる方法があります。
築年数が古かったり、空き家状態が長かったり、一度もリフォームしてなかったり等で、旧民法上の隠れた瑕疵→契約不適合箇所に起因する売却後のトラブルなどがご心配なら、売却を依頼する不動産屋さんにご相談されることをお勧めします。
直接買取なら契約不適合責任は免責
東京テアトルの直接買取なら売主様の契約不適合責任は免責です。従って今回の水漏れが発覚したマンションの売主様は、原因を突きとめて修補をする責任や義務はありません。(追加の費用や手間がかかりません)
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