1棟マンションを高く売るタイミングとは?売却の流れやコツも紹介

カテゴリ:マンション売却
投稿日:2024.05.20

不動産投資は、時期を逃さずに適切なタイミングでの売却が重要です。

特に1棟マンションを所有している場合、高値で売却できるチャンスを見逃さないことが大切になります。

今回は、1棟マンションの売却に適したタイミングをご紹介するとともに、売却の流れやできるだけ高く売却するコツをお伝えします。今後の投資戦略を立てる上で、参考になれば幸いです。

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この記事でわかること
  1. 1棟マンションとは建物全体を一つの所有物件として扱うマンション形態のこと
  2. 築年数や周辺環境の変化などから、1棟マンションのベストな売却タイミングがわかる
  3. 1棟マンションの売却額は高額になるため、税法などをきちんと理解しておくことが大切
  4. 1棟マンションの売却には、区分マンションとは異なるノウハウが必要

1棟マンションとは

1棟マンションとは、いわゆる区分所有のマンションとは異なり、建物全体を一つの所有物件として扱うマンション形態のことを指します。

各住戸が独立した所有権を持つのではなく、建物全体が一つの所有権で管理されています。1棟マンションは建物全体が一つの不動産となり、建物単位で取引が行われる点が大きな特徴です

そのため、建物の管理や修繕・入居者募集などを一括で行うことができ、オーナーにとっては運営がしやすいというメリットがあります。

区分マンションとの違い

マンションには1棟マンションと区分マンションが存在します。

1棟マンションが、1棟全体が一つの所有者に属する一方、区分マンションは1棟の建物の中に複数の区分所有者が存在する形態のマンションです。

区分マンションは1棟マンション投資に比べると、少額投資から始められるほか、角部屋や最上階に絞った購入もできるため不動産投資初心者には敷居が低いのが特徴です。

1棟マンションと区分マンションの具体的な違いは、以下になります。

項目区分マンション1棟マンション
所有形態区分所有1棟所有
管理組合設立が義務付け設立は任意
修繕積立金義務任意

区分マンションでは、建物の区分所有に伴いさまざまな権利義務が発生しますが、1棟マンションでは制約がありません。 一方で、修繕などの管理運営面での手間は1棟マンション所有者に全て集中します。

区分マンションについては『区分マンションとは?投資のメリット・デメリット・ポイント・購入の流れを解説』の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。

1棟マンションを売却するベストなタイミング

1棟マンションの売却を検討する際は、いつ売却するのが最適かを見極めることが重要です。売却のタイミングを逃すと、想定していた価格で売れない可能性があります。

1棟マンションの売却タイミングは、地域の状況や建物の経年・税制メリットなどさまざまな要因を総合的に勘案する必要があります。以下で1棟マンションを売却するベストなタイミングをご紹介します。

不動産価格が上昇しているタイミング

不動産価格の動向は、1棟マンションの価値に大きな影響を及ぼすでしょう。

一般的に、不動産価格が上昇トレンドにあるタイミングが1棟マンションの売却に適しています。売主にとって有利な価格で売却できる可能性が高まるからです。

不動産市場は常に変動しており、価格が上昇しているときに売却すると、より高い利益を期待できます。

一方で、下落トレンドの場合は売却価格が不利になりがちです。そのため、上昇トレンドの時期を狙って売却するのが良いでしょう。

不動産価格の動向は地域によって異なるため、目利き力が重要です。過去の価格推移や今後の見通しを参考にして、タイミングを逃さないよう注意を払う必要があります。

周辺環境の変化が予想されるタイミング

1棟マンションの価値は、立地環境によっても大きく左右されます。

周辺に良好な変化が予想される場合は、売却のタイミングとして適切でしょう。具体的には、以下のようなケースが考えられます。

  • 新しい商業施設など大規模な再開発が控えている 
  • 新駅や新路線の開業で交通アクセスが改善される
  • 学校や病院など生活関連施設が整備される

周辺に駅や商業施設が開業する予定がある場合、現時点で好立地でなくても売却価格が上がる可能性があるでしょう。

一方で、周辺にあった大手企業やスーパーなどの移転が決まり過疎化が進むと、不動産価値が下がっていき売却価格も下がります。

マンションの資産価値は周辺環境に大きく影響を受けます。将来的に良好な変化が期待できる場合は、適切な売却タイミングと言えます。

減価償却期間が満了になるタイミング

1棟マンション売却のベストタイミングの一つに、減価償却期間の満了があります。減価償却期間とは、建物の資産価値が徐々に減少していく期間のことを指します。

マンションは償却資産と呼ばれており、古くなるにつれ資産価値が下がります。

そのため、下がっていく価値を減価償却費として必要経費に計上可能です。しかし、減価償却資産は、法定耐用年数が決まっており、期間が過ぎると経費計上できません。

それらをふまえ、減価償却期間が満了になるタイミングで売却を検討する価値はあります。

法定耐用年数ギリギリまで1棟マンションを保有することは、市場の変化による資産価値の下落リスクもありますが、税制メリットを考えると売却に適したタイミングです。

1棟マンションが築20年以内のタイミング

不動産は築年数が経っていないほど高く売れる傾向があり、1棟マンションでも変わりません。建物の維持管理や修繕の状況によりますが、マンションの経年劣化の目安は下記の通りです。

経年数劣化
5年ほとんど劣化なし
10年軽微な劣化
15年一部劣化が目立つ
20年劣化が顕著に出る
25年以上大規模修繕が必要

20年を超えると劣化が顕著になり、売却価格が大きく下がってしまいます。

そのため、1棟マンションの売却タイミングとしては、築20年以内が最も適切でしょう20年を過ぎると修繕費の負担が大きくなり、買主からの需要も低下します。

一方で築20年までは比較的劣化が少なく、需要も高いため高値で売却できる可能性が高まります。

1棟マンションの売却を検討する際は、築20年以内の売却がおすすめです。

資産整理や相続準備などのタイミング

高齢化や相続など生活設計の節目に差し掛かると、1棟マンションの売却を検討するタイミングが訪れます。

売却額を有効活用すると、老後の生活設計や相続対策を着実に進めることができるでしょう。

例えば、所有者が高齢で資産を整理する必要が出てくると現金化して生活費や施設入所費用に充てることが考えられます。

また、相続税の支払いや相続人への遺産分割のため現金化して相続税を支払いやすくしたり、相続人間で金銭の均等分配を図ったりすることもあるでしょう。

資産整理や相続準備などで1棟マンションを処分したい場合は、本人の意志決定時が売却のベストタイミングです。

1棟マンションを売却する流れ

1棟マンションは資産価値が高く、売却には慎重な準備が求められます。

売却を決めたら、スムーズな売却を実現するための手順を確認する必要があります。間違った手順では、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあるでしょう。

以下では、1棟マンションの売却の流れを詳しく解説します。売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

1.事前準備

1棟マンションを売却する際には、事前に適切な準備を行うことが大切です。

まず、売却物件の現況確認や修繕箇所の有無を確認します。古い物件の場合は、修繕費用を見積もる必要があるでしょう。

また、相場の把握や売却のために必要な書類の準備なども欠かせません。

さらに、1棟マンションの売却後に現在抱えている不動産投資ローンが残ってしまうと売却できないため、残債の確認も重要です。

次に、売却理由を明確にしましょう。相続対策か資産の有効活用かで、売却のタイミングが変わってきます。事前準備を怠らずに進めることで、スムーズな売却が期待できます。

2.査定依頼

1棟マンションの売却価格を知るためには、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。マンションの立地条件や築年数・設備状況など、さまざまな要因が価格に影響するためです。

まずは、売却を検討している1棟マンションの概要を整理し、複数の不動産会社に査定を依頼してください。査定は対面での内見が一般的で、不動産会社の担当者が現地に赴き、マンションの状況を確認します。

査定結果は、売却価格の目安が記載された査定書にまとめられるケースが多いです。

査定価格は、不動産会社によって多少の違いがあるのが普通です。 査定価格を比較検討し、売却価格の目安を立ててください。複数の査定を踏まえることで、より適正な価格設定ができるでしょう。

3.媒介契約

1棟マンションを売却する際、一般的に不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産会社に売却の媒介を依頼する契約のことを指します。

媒介契約を結ぶメリットは以下の通りです。

  • 専門家が適正な査定と売却活動を行ってくれる
  • 広告宣伝から購入者の手配まで一貫して対応してくれる
  • 売主・買主の二重代理は法律で禁止されているため公正な取引ができる

媒介手数料が発生するデメリットもありますが、不動産会社と媒介契約を結ぶことで、適正な査定と広告宣伝や売買の仲介を専門家に任せられます。

4.売却活動

1棟マンションの売却活動では、まず「物件の情報を不動産ポータルサイトなどで広く公開する売却活動」と、「希少性をもたせるためにわざとWebには掲載せずに不動産仲介業者の既存客を中心に紹介していく売却活動」とがあります。

売却活動を開始すると、購入希望者が内覧に来ることがあります。内覧の際は、売却価格や物件の魅力を適切にアピールしましょう。

その際は、1棟マンションの魅力を存分に活かした売却活動を行うことが大切です。

1棟マンションの売却期間は一般的に3〜6ヶ月程度かかりますが、売却価格や立地などの条件によりまちまちです。

5.売買契約

売主と買主の双方が売買契約書に署名または記名捺印をすると、正式に売買契約が成立します。

特に重要な項目は、売買代金の金額と支払い方法・引渡し期日などが挙げられます。万が一、契約不履行があった場合の罰則規定なども確認してください。

売買契約成立後は、決済までの間に売買代金の一部として買主から売主へ交付される中間金の支払いがある場合もあります。売買契約成立後は双方の合意のもと売買が完了するまでの間、契約内容に従う必要があります。

6.決済・引渡し

売買契約が成立すると決済を行い、所有権移転登記を行って引渡しです。

残りの売買代金の決済を行い、1棟マンションの引渡しが行われます。最後に司法書士が法務局で登記を行い、完了すれば物件の所有権は買主に移転します。

決済と引渡しが完了すれば、物件の売買は無事終了です。売主は確定申告の手続きを残すのみになります。

7.確定申告

1棟マンションの売却によって利益が生じた場合は、利益に対して譲渡所得税が課せられます。

譲渡所得税が発生した場合は、税法上、売却した翌年の2月16日~3月15日に、確定申告が必要です。

また、売却で損失があった場合でも一定の条件を満たすことで損益通算が可能なため、確定申告の手続きや期限を確認して対応してください。

1棟マンションを売却する際にかかる費用

1棟マンションの売却には以下のようにさまざまな費用が発生します。

  • 登記費用
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 渡所得税
  • その他の費用

以下で各費用を詳しく見てみましょう。

登記費用

登記費用とは、不動産登記の際に発生する登録手数料です。登記を司法書士に依頼する場合は、報酬として支払う金額も含めて登記費用と呼びます。

売却時の登記費用は、1棟マンション売買価格次第で変動するため、事前に概算額を把握しておきましょう。

売却を検討される際は不動産会社などに相談し、登記費用を含めた総額の試算をしっかりと行ってください。

仲介手数料

1棟マンションの売却時は、不動産会社に媒介を依頼する必要があります。

依頼する際は、売買価格の3%前後が仲介手数料として必要です。仲介手数料は、1棟マンションの売却が成立した際に支払う成功報酬のことです。

仲介手数料率は物件の種類や不動産会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

印紙税

1棟マンションを売却する際には、印紙税も支払う必要があります。

印紙税とは、不動産の売買契約書に貼付する収入印紙の金額のことです。印紙税の金額は、売買価格に応じて決まり、価格が高くなるほど税額も高くなります。

1棟マンションの売却では高額になる可能性があるため、事前に印紙税の概算額を把握しておくことが重要です。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、土地や建物などの資産を売却したときに発生する所得税です。

具体的には、売却益に対して課税されます。1棟マンションの売却時に譲渡所得が発生した場合は、確定申告で申告するようにしてください。

利益が出た場合は、譲渡所得税として所得税や住民税・復興特別所得税が加算されます。

税率を掛けて税額を計算しますが、税率は売却した1棟マンションの所有期間によって異なるほか資産状況等によっても異なるため税務署や税理士に確認しておきましょう。

その他の費用

1棟マンションを売却する際には、登記費用や仲介手数料などの費用のほかにも、以下のような費用がかかります。

  • 火災保険料
  • 引っ越し費用
  • 税理士報酬(確定申告を税理士に依頼した場合)

また、1棟マンション購入時にローンを利用していた場合は、ローンを完済してから売却する必要があり、金融機関などで完済手続きをする際は手数料が発生します。

1棟マンションの売却にはさまざまな費用がかかるため、事前に概算額を把握しておきましょう。

1棟マンションをできるだけ高く売却するコツ

1棟マンションの売却は大きな資産を手放すことになるため、できるだけ高い価格で売却したいものです。

しかし、実際にはさまざまな要因によって価格が左右されてしまいます。

そこで、以下では1棟マンションを高く売却するためのコツをご紹介します。

相場を把握しておく

1棟マンションの売却のタイミングを見計らう際には、事前に市場の相場を把握しておくことが重要です。不動産市場は常に変動しているため、相場を知ることで適切な売出し価格を設定できます。

国土交通省の土地総合情報システム(不動産の取引情報サイト)で、過去の成約案件から類似した物件を検索するとおよその金額が出るでしょう。

特に、同じ地域の売買例は最も信頼できる相場の情報源です。地域や築年数が近い物件の売買価格を知ることで、自身が持つ1棟マンションの相場価格を把握しやすくなるでしょう。

相場を把握しておくことで、売却交渉の際に有利に立つことが可能です。

できる限り稼働率を高くしておく

1棟マンションを売却する際は、できる限り高い稼働率を維持しておくことが重要です。

稼働率が高い分、収益も大きくなり買主からの評価も高くなります。特に投資目的の場合、買主はマンションの稼働率を見て収益があるかどうか判断します。

稼働率が高い物件であれば、空室が出てもすぐ埋まるため、すぐに賃料が発生すると予測されるでしょう。

そのため、なるべく満室の状態を保つことが大切になります。着実に稼働率を上げることができれば、買主にとっても魅力的な1棟マンションとなり、売却価格の上乗せも見込めます。

マンションの状態をできる限り良くしておく

1棟マンションを高く売却するためには、マンションの状態を良好に保つことが重要です。

一般的に、手入れや管理が行き届いていないマンションは、賃貸の需要が低くなります。

1棟マンションの場合は、管理状態が悪いと購入後にメンテナンス費用が多くかかり、マイナスイメージにつながるでしょう。

共用部分の清掃や手入れはもちろん、内装の補修・設備の定期的なメンテナンスや外壁の定期的な点検などを行うことで、マンションの資産価値を保ち高めることも可能です。

さらに、マンション内の光ファイバーや防犯カメラなどの整備状況も見直しておくと良いでしょう。マンションの状態を良好に保っておくことで査定額がアップし、高値での売却が期待できます。

1棟マンションの売却が得意な不動産会社に依頼する

1棟マンションを売却する際は精通した不動産会社に依頼しましょう。

マンション1室の売却と1棟の売却とでは、購入希望者層も営業方法も異なるため、1棟マンション売却の取扱い実績が多い不動産会社を選んでください。

信頼できる専門家に依頼すれば、以下のようなメリットがあります。

  • 適正な査定金額を算出してくれる 
  • ターゲットとなる優良な買主層に効果的にアプローチできる
  • マンションの立地や設備の特徴を熟知しており、売却活動がスムーズ
  • 法務・税務など専門的な手続きを代行してくれる

一方で、1棟マンションの売却に不慣れな業者に依頼すると、査定額が適正価格を大きく下回ることや買主の掘り起こしが不十分で売れ残る可能性も出てきます。

1棟マンションの売却は、一般の住宅の売却とは異なる専門性が求められます。信頼できる専門業者に依頼すると、スムーズに高値で売却できるでしょう。

まとめ

今回は、1棟マンションの売却に適したタイミングをご紹介するとともに、売却の流れやできるだけ高く売却するコツを解説しました。

1棟マンションを売却する際は、最も高い価格を得られるタイミングを見計らうことが重要です。

不動産価格の上昇期や周辺環境に大きな変化が予想される時期・減価償却期間の満了時期などがベストなタイミングとなります。

また、築20年以内の物件であれば、比較的高値で売却できる可能性もあります。

さらに、相場価格を事前に把握して稼働率を高く保ち、物件の状態を良好に保っておくことも重要なポイントです。

加えて、1棟マンション売却に実績のある不動産会社に依頼すれば、スムーズな売却が期待できるでしょう。

売却時にはさまざまな費用がかかりますが、上手に対処すれば高値で売却できるはずです。今後の資産活用や相続対策など各々の事情に合わせて最適なタイミングを逃さず、十分な準備を重ねましょう。

東京テアトルは中古マンションの売却に特化した会社です。直接買取、保証付き買取仲介、仲介の3つの販売方法を提供しています。

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airi
(執筆)

Airi.M

ウェブマーケティング企業出身、異色の不動産ライター。
「エンド目線」をなにより大切にしており、エンドユーザー側・不動産業界側、どちらの視点も知っているからこその"濃い"コンテンツ制作に定評がある。多くの不動産関連媒体での執筆経験を持つ。

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