マンション売却時の税金 -譲渡費用とは-

カテゴリ:マンション売却の税金
投稿日:2020.06.02

ここでは譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)の譲渡費用についてみていきます。

譲渡費用とは?

譲渡費用とはマンションを売却(譲渡)するために直接かかった費用をいいます。

取得費に入れるものを除き二重計上しないようにしましょう。

修繕費や固定資産税などマンションの維持や管理のためにかかった費用は入りません。

また、判断するのは難しいですが、マンションの譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用は入ります。

譲渡費用にはどのようなものがありますか?

①マンションを売却するために支払った仲介手数料

不動産業者が受け取ることのできる仲介手数料は、宅地建物取引業法により一定の上限額が決められています。

他方、親戚等に仲介手数料を支払う場合は注意が必要です。仲介料という名目であっても、一般的に、不動産業者に支払う仲介手数料をはるかに超えるような金額になる場合は、仲介者への贈与となる可能性もあります。

なお、マンション購入時の仲介手数料は取得費に入ります。

②売買契約書の作成を依頼した場合の費用

弁護士等に売買契約書の作成を依頼し報酬として支払った金額です。

③売却時の売買契約書に貼付した印紙代

売却時の売買契約書に貼付した印紙代です。

購入時の印紙代は取得費に入ります。

たとえば、2014(平成26)年4月1日から2022(令和4)年3月31日までの間であれば、印紙代は次のようになります。

500万円を超え1千万円以下のもの……5千円

1千万円を超え5千万円以下のもの……1万円

5千万円を超え1億円以下のもの………3万円

1億円を超え5億円以下のもの…………6万円

 

(2014(平成26)年4月1日から2022(令和4)年3月31日までの間)

(参考:国税庁・質疑応答事例|「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」)

④印鑑証明手数料

売買契約書に実印を使用する等で、印鑑証明書が必要な場合にかかる費用です。

⑤測量のために土地家屋調査士等に支払った測量費用

土地の境界が不明な場合等、実際の面積と登記上の面積が異なれば、保有資産の評価に影響します。

そのため土地を売却する際に、接している土地との境界を測定し確定する作業を土地家屋調査士等に依頼することがあります。その対価として支払う費用です。

⑥解約違約金

既に売買契約を交わしていたマンションをさらに有利な条件の買主が現れた場合に、契約を解除して売却先を変更することがあります。その際に支払った違約金です。

違約金の支払いと手付金の返還が、同一の領収書に記載されていた場合は、違約金のみしか譲渡費用に入りませんので注意しましょう。

⑦建物の取り壊し費用

土地等を譲渡するためにその上にある建物等の取り壊しに要した費用です。

⑧借主がいるマンション等を売却する際に、貸主へ支払った立退料

貸マンション等を売却する場合に、その入居者の立ち退きのため支払った費用です。家族が賃借人である場合は基本的には譲渡費用にはなりません。

また支払う必要のないもの、必要以上に支払った額については譲渡費用に認められない場合もあります。立退料の支払時期とマンション売却時期についても直接の関連性があることが必要です。

譲渡費用に入らないもの

「マンションの譲渡に直接かかった費用」や「マンションの譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用」に該当しない費用は譲渡費用に入りません。次のようなものです。

①引越し費用

住んでいた自宅マンションを売却し、引越しする際に引越し業者等に支払う費用です。 

②修繕費、清掃費用

マンションの維持管理や保全のための費用です。

③住所変更登記・抵当権抹消登記・相続登記の費用

これらの登記は譲渡とは別の行為の流れから生じる費用であり、単に譲渡と同一時期になされたにすぎないため譲渡費用ではありません。

④弁護士費用

・売却代金の取立てに要した費用

 →売却代金を取立てるための費用です。

・紛争解決のための訴訟費用

 →資産の権利確保について紛争になった場合に解決のために要した費用です。

・遺産分割協議の成立のための費用

 →遺産分割交渉を依頼し報酬を支払った場合の費用です。

⑤税理士報酬

マンション売却時の税金についての相談や譲渡所得が生じた場合の所得税の確定申告を税理士に依頼した場合の費用です。

⑥固定資産税・都市計画税

マンションの保有に要した費用です。

⑦引渡遅延損害金

契約で定めた期限までに譲渡物件の引渡しを完了しなかったため、買主に対して損害金を支払った場合、その損害金は譲渡費用とせず、売買契約締結時の売却金額の修正とします。

⑧交通費、宿泊代

消費生活の範ちゅうに含まれる費用です。

しかし、時期、相手方、金額等から譲渡の実現との直接的関連性と有益性がある場合は譲渡費用となる可能性があります。

⑨リフォーム費用

マンションの売却価額を増加させるためにかかった費用であれば、譲渡費用になる可能性があります。個別具体的に慎重に判断すべきでしょう。

(執筆)税理士 永竿 敬子
税理士 永竿 敬子
【東京税理士会麻布支部 会員番号106656】

地方公務員→公認会計士事務所を経て2006年税理士登録、2011年税理士事務所を神田錦町にて開業。南青山に移転し現在に至る。
税務署での法人決算説明会講師、区役所・東京商工会議所・東京税理士会納税者支援センター、JETRO等で税務相談員、租税教室などを担当。
東京簡易裁判所所属・民事調停委員。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻修了

 税制は毎年改正されますので、納税者にとって有利な特例等を適用するための要件も毎年変わることが多々あります。
 マンションの売買は人生の中でも大きなご決断になる場合も多いかと存じます。
 お早目の査定と共にその年の税制の取扱いをチェックしていただき、資金計画等に役立てていただければと思います。