マンション売却時の税金 -収入金額とは-

カテゴリ:マンション売却の税金
投稿日:2020.06.02

ここでは「譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)」の収入金額についてみていきます。

収入金額とは?

売却金額+固定資産税・都市計画税(以下、固定資産税等)の精算金が収入金額になります(特殊な場合を除きます)。

売却金額とは?

売却金額については、売買契約書に具体的な金額の記載があります。

→例:3,000万円

固定資産税等の精算金とは?

固定資産税等の精算金とは、売却したマンションの固定資産税等について、買主から売主へ支払う金額をいいます。

なぜ精算するのですか?

固定資産税等はその年の1月1日時点で固定資産税台帳に登録されている人に課されます。つまり売主がその年分の固定資産税等の納税義務者になっています。

年の途中で所有者が変更してもその年分の固定資産税等を売主が納める義務がありますので、その一部を、買主にも負担してもらうために精算するのが一般的です。

固定資産税等の精算は契約書ではどうなっていますか?

次のような条項が一般的です。

13条1 本物件に課される公租公課は、引渡し日前日までの分は売主が、引渡し日以降の分は買主がそれぞれ負担する。

  2 公租公課の分担の起算日は1月1日とする。

  3 公租公課の分担金の精算は残代金支払い時に行う。

この公租公課に「固定資産税等」が含まれます。 

本条項ではマンションの引渡し日を基準に売主と買主の負担を決めることとしています。売却代金のように具体的な金額の記載はありません。

売買契約書とは別に「精算書」等を作成し、日割り計算を行った上で、買主から売主へ支払う金額を決めることがほとんどです。

契約条項を入れないと固定資産税等は、売主が負担します

注意しなければならないのは、買主は、地方公共団体に対して自ら支払うべき固定資産税等を立て替えてもらっているわけではありません。納税義務者はあくまでも売主です。

契約書で買主との合意がなければ年の途中で所有者が買主になったとしても、売主は買主に対して固定資産税等の一部を求償できません。全額が、売主の負担になります。

固定資産税等の精算金の計算例

売主と買主が所有期間に応じて固定資産税等を負担する例をみてみましょう

固定資産税の精算金の計算例

 

固定資産税等の納税額:10万円(起算日1月1日)→売主に納税義務あり

マンションの引渡し日:3月1日

売主の所有期間:1月1日~2月28日(59日)

売主の負担金額:10万円×59日/365日=16,164円→実際は10万円納税

買主の所有期間:3月1日~12月31日(306日)

買主の負担金額:10万円×306日/365日=83,836円→売主に支払う

固定資産税等の精算

固定資産税等の精算金は忘れず収入金額へ加算

固定資産税等の精算金は、買主が支払うべき税金を売主が立て替えているものではありません。 

売主と買主間で行う利益調整のための金銭の授受であり、マンションの譲渡対価の一部として受け取っているため収入金額に加算しなければなりません。

確定申告時に売買契約書上の売却代金だけを収入金額に入れて、精算書をチェックし忘れ、固定資産税等の精算金をうっかり忘れてしまうと、譲渡所得の計算上のミスになります。

固定資産税の精算金は消費税の対象になりますか?

売主又は買主が、消費税の課税事業者である場合、建物に係る固定資産税は消費税の課税対象となります。

管理費・修繕積立金等の精算金は収入金額に入れません

同じ精算金でも、マンションの管理費・修繕積立金・駐車場・駐輪場は、引渡し日以降は所有者である買主が負担することになります。これらの費用を、前月末までに翌月分を支払う場合は、引渡し日以降の分を売主が先払いしていることがあります。 売主に立て替えてもらっている金額を精算するだけなので(立替金の精算)、対価の調整ではなく収入金額には計上しません。

共有者がいる場合の収入金額

共有者がいる場合(1つのマンションを複数で所有している場合)は、持分割合に応じて収入金額を配分し、各自が譲渡所得の計算を行います。共有持分割合については登記事項証明書・売買契約書等で確認しましょう。

(執筆)税理士 永竿 敬子
税理士 永竿 敬子
【東京税理士会麻布支部 会員番号106656】

地方公務員→公認会計士事務所を経て2006年税理士登録、2011年税理士事務所を神田錦町にて開業。南青山に移転し現在に至る。
税務署での法人決算説明会講師、区役所・東京商工会議所・東京税理士会納税者支援センター、JETRO等で税務相談員、租税教室などを担当。
東京簡易裁判所所属・民事調停委員。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻修了

 税制は毎年改正されますので、納税者にとって有利な特例等を適用するための要件も毎年変わることが多々あります。
 マンションの売買は人生の中でも大きなご決断になる場合も多いかと存じます。
 お早目の査定と共にその年の税制の取扱いをチェックしていただき、資金計画等に役立てていただければと思います。