マンションの相続手続きと費用

カテゴリ:マンション売却と相続
投稿日:2021.05.19

マンションの相続手続きと費用

大切なご家族が亡くなると同時に相続の手続きが必要となります。

相続とは、亡くなられた方のマンションなどの不動産や預貯金などの金融資産等のプラス財産とマンション購入のための住宅ローンやその他借金などのマイナス財産を相続人や遺言で指定された者である受遺者が引き継ぐことを言います。

相続が発生すると期限内に相続手続きを済ませる必要があります。

相続手続きを怠るとペナルティーが生じる場合もありますし、手続きの進め方によっては思わぬ損失を招くこともあります。

そこで、今回は、マンションを所有していたご家族が亡くなられた場合に、どのような流れで相続手続きを進め、どのような費用が発生するのかのポイントを見ていきましょう!

遺言書の確認と手続き

マンションの相続手続きと費用-遺言書の確認と手続き

相続が発生するとまず、遺言書の有無を確認しましょう。

大切なご家族が亡くなると残されたご家族である相続人が、相続手続きを進めていくことになります。

その際に、遺言書があれば、原則として故人の遺志に従って遺言書で指定された者が、遺産を引き継ぐことになります。

もっとも、遺言書の作成者の遺志とは異なり、相続人の全員が、遺言書とは異なる相続財産の分配を希望し合意した場合には、遺産分割協議により相続財産を分配することができます。

いずれにしても、故人の遺志を尊重しながらも相続手続きを進めるうえで、遺言書の有無の確認は、とても大切なことです。

相続人が故人の遺言書の保管場所を把握している場合は、問題はありませんが、故人が遺言書の作成の有無や保管場所を相続人に告知していない場合もあります。

そこで、遺言書の有無の確認方法を見ていきましょう。

公正証書遺言の有無の確認方法

公証役場で遺言を作成すると、原本は作成した公証役場で保管され、その写しである正本と謄本が遺言作成者に交付されます。

通常、そのどちらかを遺言作成者や相続人が保管し、他方は、遺言の文案を作成した専門家や遺言執行者が保管していると思われます。

もっとも、どうも公証役場にて遺言は作成していたようだけれども、相続人や受遺者の誰もが遺言書の存在を確認できない場合があります。

そのような場合には、公証役場にて平成元年度以降に作成された遺言書は、相続人や受遺者・遺言執行者等であれば、最寄りの公証役場にて公正証書遺言の作成の有無などを検索できます。

検索結果を記した照会結果の通知書には、公正証書遺言の有無や遺言の作成日付、証書番号、遺言を作成した公証役場や公証人、公証役場の所在地や連絡先が記載されています。

なお、検索自体にかかる費用は無料です。

遺言の検索の照会をした相続人等は、通知書を持参し記載されている公証役場にて遺言の写しである謄本の交付を請求することができます。

この謄本により、相続手続きを進めていくことができます。

謄本請求の費用は、遺言書1枚につき250円です。

昭和に作成された遺言書は、遺言書を作成したであろうと思われる公証役場にて現地調査をすることになります。

法務局保管制度を活用した自筆証書遺言がある場合

令和2年7月10日より、法務局(遺言書保管所)による自筆証書遺言書保管制度がスタートしました。

これまでの自筆証書遺言と比べると以下のようなメリットがあります。

・自宅での保管による紛失・亡失の防止

・他人に遺言書を見られることがない

・相続発生後、家庭裁判所を介さずに済む
 (検認手続き不要)

・最低限の遺言の形式のチェックがある

法務局に手書きした遺言書の保管を申請するには、予約を入れることは必要ですが、遺言書の保管申請書・住民票(本籍地記載のあるもの)・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど顔写真付き証明書で有効期限内のものを1点)・手数料3900円(法務局等で収入印紙購入可能)を遺言作成者本人が持参して管轄の法務局(遺言書保管所)に予約した指定日時に赴けば30分程度で完了します。

保管制度を活用した遺言者には、遺言書保管所の名称及び保管番号が記載された保管証の交付を受けます。

この保管番号があると後の手続きで便利ですので遺言書を法務局に預けていることとともに、ご家族の皆さんや遺言を執行する方と保管番号も共有することをお勧め致します。

この番号を誰かと共有しても、遺言の作成者が死亡するまでは、遺言の内容を見られることはありません。

遺言作成者が亡くなった際には、相続人等が遺言書保管所に「遺言情報証明書」の交付の請求をすることで遺言書の内容を記載した証明書の交付を受けることができます。

1通につき1400円です。

相続人等の誰かが証明書を取得すると、遺言書保管官は他の相続人等に対して遺言書の保管をしていることを通知します。

これにより相続手続き関係者には遺言作成者が亡くなり、遺言書が遺されていることが分かります。

自宅や貸金庫等へ保管している自筆証書遺言がある場合

【自筆証書遺言の調査・ポイント】

遺言書を作成しているものの、公正証書遺言でもなく、法務局で自筆証書遺言を保管してもらう自筆証書遺言書保管制度も活用していない場合には、自宅・貸金庫等を探したり、遺言を寄託されている相続人や受遺者・遺言執行者に指定されていそうな人に尋ねるしかありません。

探しても遺言書を発見できない場合は、相続人全員で遺産分割協議をすることになります。

遺言書を作成した方は、自分の遺志を尊重してもらうためにもご家族に遺言の保管場所を知らせておくか、専門家に遺言の保管を依頼することがとても大切です。

【検認手続き】

「検認」とは、相続人全員に自筆証書遺言の存在とその内容を知らせることで、自筆証書遺言の形状・加除訂正の有無、状態・日付・署名など自筆証書遺言の内容を明確にするとともに、自筆証書遺言の偽造・変造を防止するための手続です。

そのため、「検認」は遺言書の有効・無効を判断するための手続きではありません。

法務局(遺言書保管所)による自筆証書遺言書保管制度を利用していない自筆証書遺言を保管又は発見した相続人は、遺言者の死亡後に故人(遺言者)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「検認」を申立てなければなりません。

封印のある遺言書は開封することなく、家庭裁判所に検認日に持参します。

遺言書の提出の懈怠や開封してしまった場合は、5万円以下の過料に処せられることがあります。

同じ自筆証書遺言でも自筆証書遺言書保管制度を活用している場合は、法務局に自筆証書遺言が保管されていることにより偽造・変造のおそれがないため検認の手続きは不要です。

相続人の調査と相続財産の調査

相続手続きにおいて必須の手続きは、相続人と相続財産の調査をして確定することです。

相続をするかどうか(相続放棄をするかどうか)、また、相続をするにしても遺産を誰がどのように承継するかの合意(遺産分割協議)、さらに相続にかかる税務申告(準確定申告・相続税申告や納付)をするうえでも前提となる手続きです。

相続放棄、準確定申告・納付や相続税申告・納付にはそれぞれ期間制限があるため、迅速かつ正確に相続人と相続財産を調査・確定する必要があります。

相続人の調査・特定

遺産分割協議をするには相続人が全員参加し合意をしなければなりません。

マンションの名義変更をするにも、遺言書がない場合には、相続人全員を明らかにしなければ法務局で相続登記をすることはできません。

遺言書がある場合でも、相続人が遺産を最低限承継できる取り分である遺留分を把握するためにも、相続人を調査し特定することは必要です。

相続人を調査する術は、故人の出生から死亡までの戸籍をコツコツ収集することです。

それにより認知された子を含め相続人を特定していきます。

では、具体的にどのような戸籍を取得するのでしょう?

マンションの相続手続きと費用-相続手続きをする際に必要な戸籍等の種類

戸籍とは、日本人の出生・死亡・婚姻・離婚・親子・認知・養子・離縁などの身分関係を証するものです。

そのため、相続手続きをするためには、相続人を特定するために故人の出生から死亡までの戸籍を収集します。

日本人であれば出生により戸籍に名前を刻まれ人生の中で転籍・結婚・離婚等によりいくつもの戸籍を渡り歩きます。また、その間に戸籍にまつわる法改正により旧来の戸籍様式(改製原戸籍)から新しい戸籍の様式に改正され、新しい戸籍ができあがります。

戸籍は「本籍地」と「筆頭者・戸主」により従前の戸籍と紐づけされています。そのため、一つ前の戸籍の「本籍地」と「筆頭者・戸主」が分かれば戸籍を辿り収集することができます。

古い戸籍は手書きで崩された字体で記載されているため、判読が難しく、戸籍収集をすることが困難な場合もあります。また、戸籍を収集しても相続人が特定できているのかを確信できない場合もあるでしょう。

相続が発生した場合は、迅速性が要請されるため、司法書士等の専門家に戸籍収集を依頼することをお勧め致します。戸籍収集の司法書士等への報酬は、故人のご家族構成にもよりますが通常3万円から5万円程度かと思われます。

相続財産の調査・特定

マンションの相続手続きと費用-相続財産の調査・特定

相続財産を調査し特定することにスピード感を求められるのはなぜでしょうか?

故人に借金がある場合、どれだけの借金があるのか?借金の額が特定できればプラスの遺産と天秤にかけて相続をするか又は相続を放棄するかを選択できます。

この相続放棄は、法律により相続財産の全部もしくは一部の存在を認識したとき又は通常認識し得べきときから3ケ月以内に管轄の家庭裁判所に相続放棄の申立てをしなければなりません。

また、相続税申告をするにしても遺産の全体像が分からなければ申告もできず納付もできません。

相続税の申告と納税のリミットは、相続が発生してから10ケ月以内です。

この間に遺産を特定し誰が何を承継するかの遺産分割協議を終了し、納税資金の準備をしなければなりません。相続人によっては、相続したマンションを売却して納税資金に充当することもあります。その場合は10ケ月以内にマンションの売却まで済ませなければなりません。相続税の申告のみならず納税まで含めて10ケ月以内だからです。

【マンション等不動産の調査】

マンションの相続手続きと費用-マンション等不動産の調査

故人が遺したマンション等不動産は、毎年4月ごろに故人に郵送されてきた固定資産税納税通知書(納付書)や手元にあった権利証(登記識別情報通知)・売買契約書から確認することができます。

また、他にも不動産があると予想できる市区町村に名寄帳を請求することにより、当該市区町村の不動産を確認することもできます。

それらの書類で不動産の所在や地番・家屋番号を確認することができるので、最寄りの法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得しましょう。

それにより不動産の権利関係を確認することができます。

所有者が故人なのか?借金のために抵当権がないか?税金の滞納により滞納処分がされていないかなどを確認します。

【預貯金・有価証券等金融資産調査】

金融機関の通帳やキャッシュカード、さらに故人宛の金融機関からの郵送物等から関連金融機関の目星をつけます。

金融機関名や支店口座を特定できたら各金融機関に連絡を取って、各金融機関の方式に従い残高証明・履歴事項証明の取得や、名寄せ照会をしていきます。

金融機関を示す関連物や書類がなくても、生前話題に上っていた金融機関があるのであれば名寄せをし口座の有無を確認しましょう。

【債務調査】

行政機関や金融機関からの郵送物などから債務の存在を調査するとともに、故人が債務を負っていたか否かを行政機関・信用情報機関へ照会をかけることによって債務関係を明らかにしていきます。

マンションの相続手続きと費用-債務調査

全国銀行個人情報センター、株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機関にて、それぞれ住宅ローン・キャッシング、またクレジットカード、さらに消費者金融に対する残債が調査できます。

相続放棄

相続人と相続財産の特定ができたら、相続をするのか相続放棄等をするのかを決断します。

相続放棄とは、故人が遺した遺産全体から見て借金などのマイナス財産がプラス財産よりも多い場合に、故人の相続人たる地位を完全に手放すことにより、負債を含めた一切の遺産を相続しない旨の意思表示です。

ときには負債のあるなしにかかわらず、相続手続きを取り巻く親族関係に関わり合いたくないことを理由に相続人が相続放棄を利用することもあるでしょう。

相続放棄は、基本的には、故人が亡くなったという事実に加えて、自分も相続人になったということを知った時から3ケ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に戸籍等の必要書類を添付して相続放棄の申述をしなければなりません。

遺産にマンション等不動産がある遺産分割協議

相続人が複数人いる場合には、遺産を誰が何をどのように承継するのかを相続人全員が合意する遺産分割協議をしなければなりません。

故人が遺言書を残していれば、遺言書に記載された内容のとおりに遺産を分配することができます。

もっとも、相続人全員が合意の下で遺産分割協議により遺言書とは異なる分配をすることも可能です。

例えば、遺言書では、妻にマンションを相続させると記載されているけれども、その妻は、もう施設で生活をしているのでマンションで生活をすることは今後は期待ができないため、妻と子供達の相続人全員で、長男が全ての財産を引き継ぐ旨の合意をする遺産分割協議をすることは可能です。

この場合、長男はマンションを売却して売却代金を今後の母の施設費用に充当していくことが可能となります。母が今後、認知症等が発症し財産管理が困難になることを想定すると長男がマンションの売却代金を母のために管理することは、家族として安心安全な設計といえます。

このように、遺産にマンション等不動産が含まれていると遺産分割協議は検討事項が多くなり複雑となります。

一般家庭では、マンション等不動産があれば、不動産の価値が遺産の大部分を占めているため相続人間で公平に遺産を分配をすることは大変難しくなります。

現金のみであれば相続人間で公平に相続することも、又は、好きな割合で相続することも容易にできます。

ところが、マンション等不動産がある場合には、マンション等不動産を誰が取得するのか?不動産を相続しなかった相続人は遺産の現金のみでよいのか?相続人間で不公平を埋める対策を検討しなくてもよいのか?など、検討しなければならないことが多々あります。

遺されたご家族の今後の関係にも影響するため相続のポイントとなるところです。

そのため、相続する財産の中にマンションなどの不動産がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家を交えて慎重に遺産分割協議を進めていくことが必要となります。

ここでは、マンションなどの不動産がある場合の遺産分割の方法とそれぞれの特徴を確認し、どのような方法をとることが得策なのかを見ていきましょう!

遺産分割の方法

マンションの相続手続きと費用-遺産分割の方法

【現物分割】

現物分割とは、相続財産を現状のまま分配して相続することです。

例えば、相続財産のうち、マンションは母、現金は長女、有価証券は長男、車は次男が相続するといった、皆さんがよく想像する遺産分割の形態です。

マンション等の不動産がある場合は、相続人間での公平感のある遺産分割を実現することは難しいといえます。

また、マンションを相続人全員で共有することによって公平を実現することはできますが、将来、マンションを売却したいと考えたときに、共有している相続人全員の意見が一致しないと売却できないことや、共有者である親の認知症によりマンションを売却できないなど、マンションを巡る問題が複雑化する要因になり、様々なリスクが発生するため、マンションの共有をすることは基本的に避けるべきです。

【代償分割】

代償分割とは、現物分割による相続人間の不公平感を調整するために、法律で定められた相続分(法定相続分)よりも多く相続する相続人から、少なく相続する相続人に対して、不公平を埋める差額分を代償して分配する方法です。

例えば、親が遺したマンションを長男が相続する場合に、もう一人の相続人である弟に対して、相続分に応じて金銭を代償金として支払うことにより不公平感を埋めます。

現物分割と比較すると平等な分割方法といえます。

しかし、問題はマンションを相続した長男に代償金を支払う経済的な余裕がないと実現しません。

【換価分割】

換価分割とは、遺産分割をする過程で、マンションなどのように公平に分割することが困難な遺産を売却して金銭に換えてから相続人間で好きな割合で分配するという方法です。

分配しやすい金銭に変えることにより公平な遺産分割を実現することができます。

この点、マンションを売り出したもののなかなか買主さんが見つからない場合や、相続人が思っていたほど高値で売れないなど、思い通りに進まないことは想定しなければなりません。

遺産にマンションがある場合の注意点

遺産にマンションなどの不動産がある場合は、現物分割のようにどの相続人が何を相続すると決められれば問題ありませんが、遺産であるマンションなどの不動産の売却を検討している場合は、税金も念頭に入れて誰が何を承継し負担するかを不動産の専門家・相続の専門家を交えて検討することをお勧めします。

【換価分割を選択したときのポイント】

換価分割をする場合は、各相続人にマンション等の不動産の譲渡所得税が課される場合があります。

親が取得したマンションの価格より売却した売買価格の方が大きい場合には、売却利益が発生するため税金負担は念頭に入れておかなければなりません。

専業主婦の方などは、所得が発生するため、ときには扶養枠から外れる場合もありますし、翌年の健康保険料が上がることもあります。

【不動産売却を見据えた3000万円控除】

遺産であるマンションを売却する場合には、誰が相続して誰が売却するかがポイントとなることもあります。

例えば、母は既に他界しており父親所有のマンションに長男が同居し介護をしていた父親が死亡した場合、父親の相続人である長男と次男の相続人のうちだれがマンションを相続し売却するかで税金負担が異なることがあります。

換価分割か代償分割かの選択は、マイホームを売却したときの3000万円の特別控除の特例の利用をできる相続人はどの相続人かを視野に入れて遺産分割協議をすることも必要です。

【2次相続対策・配偶者居住権】

父親所有のマンションに父と母が生活をしており父が亡くなり生活基盤であるマンションを母が相続することはよくあることです。

令和2年4月1日より配偶者居住権制度が施行されました。

これにより、夫を亡くした妻は自宅に住み続ける権利を取得し、子は配偶者居住権の負担のついた自宅の所有権を取得します。

これにより、妻は住む場所を確保した分に相当する相続財産を取得したことになり、子は配偶者居住権の付着した所有権にあたる相続財産を取得したことになります。

例えば、相続税評価額5000万円の価値あるマンションにおいて、妻は相続税評価額として3000万円の価値ある配偶者居住権を取得し、息子は残りの2000万円のマンションの配偶者居住権付きの負担ある所有権を取得することになります。

妻である母が亡くなると、この3000万円の価値ある配偶者居住権は消滅するため、母の相続財産にはカウントされません。

2次相続を考えると、1次相続の遺産分割の方法の仕方により納める相続税の納税額も変わってくることになります。

遺産分割方法でもめたとき

相続人間で遺産分割の協議がまとまらない場合は、遺産分割調停を管轄の家庭裁判所へ申し立てることになります。

調停申し立て費用は1200円プラス郵便切手代程度です。

申立てを司法書士等に依頼した場合は30万円程度ではないでしょうか。それぞれ報酬体系があるので問い合わせをして確認することをお勧め致します。弁護士にすべてを依頼した場合には100万円~200万円以上の費用負担となることが予想されます。

申立てが受理されると、家庭裁判所により第1回目の期日が決定され、申立人と相続人に通知がされます。通知された日に裁判所に出頭し、裁判官、または裁判所が選任した調停委員と話し合いを行います。1回目で決着がつかない場合は、2回・3回と順次期日を決めて話し合いを重ねることになります。調停期日は1~2か月に1回で、1回あたり1~2時間の時間を設けられます。

調停が成立したら、採決された内容に従って手続きを行います。

遺産分割調停で決着しなかった場合は、さらに審判へ移行することになります。

マンションの名義変更

遺言書の有無や遺言書の内容によりマンションなど不動産の相続登記の手続き方法は異なります。

マンションの相続手続きと費用-マンションの名義変更

マンションなどの不動産の登記は遺言の内容によっては、相続人全員が関与しなければならない場合もあります。遺言執行者が存在すれば遺言執行者と受遺者で登記をすることもあります。

ここでは遺産分割協議によるマンションの名義変更の手続きについてお話を致します。

遺産分割協議によるマンションの名義変更は、遺言書が存在する場合と比べると管轄法務局に添付する書類が多くてとても大変です。

マンションの相続手続きと費用-遺産分割協議による相続登記

遺産分割協議の合意が成立すると遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書に基づきマンションなどの不動産の相続を原因とする所有権移転登記をすることになります。

登記が完了するとマンションなど不動産の名義人は、故人から遺産分割で合意した相続人へと変更されます。

相続登記の際には、管轄の法務局に添付する多くの書類が必要となります。

【添付書面】

□故人の出生から死亡までの戸籍謄本

□故人の住民票の除票

□各相続人の戸籍謄本

□不動産を取得する相続人の住民票

□遺産分割協議書

□相続人全員の印鑑証明書

□相続する不動産の固定資産評価証明書

□戸籍等の原本を還付してもらうため相関図

これらの書類を準備して申請書を作成しなければならないため、通常は司法書士へ相続登記を依頼することが多いと思われます。

司法書士への報酬は登記費用のみであれば6万円~10万円程度かと思われます。

さらに、遺産整理業務、例えば戸籍の収集、マンションの相続登記、遺産分割協議書の作成、銀行・有価証券等金融機関の名義変更手続きや2次相続を踏まえた遺産分割協議のアドバイスなど相続手続きを丸投げするような場合には相続財産の1.2%など各司法書士等により報酬体系が異なります。

相続登記をする際には別途、登録免許税が発生します。

登録免許税は登記対象不動産の固定資産税納税通知書に記載されている評価額を基準に算出します。

「固定資産税評価額×0.4%」にて計算できます。

例えばマンション専有部分と敷地権の固定資産税評価額の合計が4000万円の場合は

4000万円×0.4%=16万円

登録免許税は16万円となります。

マンションがある場合の相続手続きのトラブル防止のポイント

築古のマンションを相続する場合

遺産に築古のマンションがある場合には、相続する際にどのような点に注意すべきなのでしょうか?

築年数の古いマンションは、相続後は速やかに自己の住居として使用するのか?賃貸物件(収益物件)として活用するのか?売却するのか?判断するべきです。

ポイントは

✔築古マンションは賃貸は難しい

✔マンションは戸建てと異なり建て替えを基本的に検討できない

✔修繕積立金や管理費の負担増も考えると早い段階で売却も必要

相続したマンションを賃貸物件(収益物件)として活用する場合には、ハウスクリーニングやリフォームが必要となります。

また、管理会社に管理・広告や仲介を依頼するため、管理会社に支払う費用が発生します。

築古のマンションは、新築マンションの賃貸物件と比べると賃料設定や入居者募集の点でも分が悪いことを考慮して判断しなければなりません。

売却する場合は、買主さんがなかなか見つからないこともあります。

相続したマンションに居住しない場合は、できるだけ早く売却することによって維持費等無駄な費用はかけたくないものですが、築古マンションは売却に時間がかかることも予想されます。

また、相続人が希望する売却代金額では買主が見つからないことも予想されます。

マンションを相続された場合には、早い段階で専門家に相談し対処を検討することが安心安全といえます。

相続放棄をする場合

相続放棄をすると確かに初めから相続人ではなかったこととして扱われます。当然故人が遺した借金を背負うこともありません。

しかし、相続放棄をした者は別の相続人がマンション等の相続財産を管理できるまで、自分が所有している財産と同様に当該マンションを管理しなければなりません。そこから事故が起これば責任を負わなければなりません。

相続人がいなければ相続財産管理人を選任し代わりにマンション等を管理してもらえますが、その費用負担が発生する場合もあります。予納金として100万円を超えることもあります。

このような負担を鑑みると、とても返済しきれない負債がある場合は相続放棄以外に選択肢はないといえますが、相続放棄は慎重に検討し、遺産であるマンション等不動産を相続人として売却して借金の返済ができるのか?又は残債はどの程度なのかを検討するべきです。

まとめ

相続財産にマンションがある場合には、期間制限のある相続手続きを進めながらも法務面・税金面・マンションの管理・処分を検討し、様々な点に注意をし可能な限り損失なく相続を終えたいものです。

手続きによっては手元に残る遺産の額も大きく変わることもあります。

しかし、相続手続きは誰もが何度も体験するものではないので、手続きの流れや方法、費用が分からない相続人の方も多くいらっしゃるかと思います。

相続財産にマンションがある場合の遺産分割協議の方法やその後の管理処分の方法、さらに相続税の申告・納付の疑問や不安はマンションや相続の専門家に相談することで解消しましょう!


司法書士 岡山 司(執筆
司法書士 岡山 司

人生設計や人生の節目をサポートする会員制の「ひだまり俱楽部」を運営。

相続・税務・保険・不動産・FPと「暮らしの安心・安全」を提案し解決するアドバイザー。

近年は、お部屋の整理収納や妊婦さん・高齢者・離婚のカウンセリングなど暮らしにおけるカスタマーサービスの充実を図っております。

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